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■オープニング本文 天儀の中心都市たる神楽の都。 様々な人が行き交うこの都に、開拓者ギルドは存在する。 はてさて、今日はどんな依頼が舞い込むやら――― カミーユ・ギンサ。銀の取引で財を得た銀砂屋の一人娘であり、天儀人とジルベリア人のハーフである。 流れるような長い銀髪と美貌で有名な少女であるが、どうやら最近志体を活かし開拓者のような真似事をしているようだ。 強くなりたい。先達の開拓者たちに感銘を受けそう思い立った彼女は家庭教師を依頼。様々なことを教えてもらった結果、『とりあえず色んな可能性を模索してみよう』ということになったらしい。 そして、カミーユが三度開拓者ギルドの敷居を跨いだ。 「こんにちは。依頼をお願いいたしますわ」 「……あぁ、いらっしゃいませ。また家庭教師?」 応対したのはギルド職員の西沢 一葉。その笑顔は、誰から見ても疲労の色が隠せていない。 「……まだ見つかりませんの?」 「うん……まぁ、ね」 「お察しいたします。この度は、一先ず依頼を探しに参りましたの。できれば初心者でも完遂できそうな、簡単な依頼があると嬉しいですわ。あぁ、アヤカシとの戦いは必須で」 「実戦訓練しようっていうこと?」 「まぁ実際問題初心者なわけですし」 カミーユは志体を持つとはいえ、最近までロクな訓練をして来なかったため技量は著しく低い。いきなり高望みをせず無難なアヤカシと戦って経験を積もうというのだろう。その心意気は買えなくもない。 一葉は暗くなりがちな話題をさらっと流してくれたカミーユに感謝しつつ、台帳をペラペラとめくってみせる。 世にアヤカシのある限り依頼には枚挙に暇がない。条件を指定しても意外とそんな感じの依頼に巡りあえたりするのだ。 「……これなんかどうかしら。畑を荒らすアヤカシ退治。化猪一匹、剣狼二匹、もふらさま(?)一匹が相手みたい。これなら初心者にもオススメだし、募集人数が四人までだから一人でも受けられるわ」 「もふらさま……というのはあのもふらさまですか? 疑問形でしたけれども。あれはアヤカシと一緒に畑を荒らしたりするんですの?」 「うーん、見た目は普通のもふらさまらしいんだけど、目付きが悪いというか悪そうな顔してるとかなんとか。畑荒らしもよっぽどお腹が空けばあるんじゃないかしら。……お腹が空く、か……」 「…………。では、その依頼を受けたいと思います。そして、わたくしから『その依頼に向かうわたくしをサポートしていただく依頼』をお願いいたしますわ」 「……はい?」 「相手が四匹とはいえ、諸先輩方にかかれば一瞬で終わってしまいそうですもの。わたくしも折角これを試してみたいのに、すぐに倒してしまっては困ります。折角ですからアドバイスも頂きたいですし」 そう言いつつ、カミーユは大きな弓を袋から取り出した。 確か彼女は騎士扱いだったはずだが、何故弓なのだろうか? 「以前御教授頂いた際に興味を持ちまして。後衛で的確な判断が求められるというのがやり甲斐を感じますわ」 「騎士のまま弓を試してみて、自分に合っていそうなら転職?」 「そうですわね。上手く行ったならそれもいいかもしれません」 「うーん……依頼を成功させるために別に護衛依頼を出すとか本末転倒な気もするけど……まぁ規則で禁止されてるわけでなし。家庭教師の課外授業っていうのもありっちゃありね。分かったわ、登録しておきます」 「ありがとうございます。それでは、当日を楽しみにしておりますわ。……お大事に」 「……うん。ありがと」 駆け出し志体もちをサポート+教育するための依頼。金持ちの道楽と言われても文句は言えまい。 が、本人はいたって真面目である。弓が自分に合うかどうか、そして実戦とはどういうものなのか確認しておきたいようだ。 カミーユのような駆け出しが一緒に頑張るもよし、熟練者がカミーユをサポートしつつ生暖かく見守るもよしの依頼である。 畑を荒らす下級アヤカシともふらさまの撃破が、今回の目標である――― |
■参加者一覧
バロン(ia6062)
45歳・男・弓
雲母(ia6295)
20歳・女・陰
からす(ia6525)
13歳・女・弓
无(ib1198)
18歳・男・陰
海神 雪音(ib1498)
23歳・女・弓
山階・澪(ib6137)
25歳・女・サ
アムルタート(ib6632)
16歳・女・ジ
ジェーン・ドゥ(ib7955)
25歳・女・砂 |
■リプレイ本文 ●なぜ、どうして、どうやって 五月も下旬となり、暖かさから暑さへと気温も変わりかけてきた今日この頃。依頼を受けた開拓者と、依頼主兼戦闘要員のカミーユ・ギンサは、件の村に到着していた。 それにしてもギルドに集合した時のカミーユの顔は忘れられない。集まったのが自分より遙かに格上の先輩方ばかりだったからである。 彼女としてはもう少し自分に近しい駆け出しが参加すると思っていたようだが、音に聞こえた凄腕まで参加してくれているのが驚きだったらしい。 自分で依頼を出しておいてなんだが、よくこんな道楽紛いに付き合ってくれたものだと思う。ありがたいやら申し訳ないやら……である。もちろん、カミーユは遊びのつもりは全くないが。 とりあえず今日はまだアヤカシたちは出てきていないらしい。ならばと、開拓者たちはカミーユに弓の腕前を見せてくれと要請する。 言い出したからにはそれなりの腕はあるのだろう。というか、無いと困る。というより無いならふざけるなという話になるのだから当然か。 「的を用意してみました。これの中心、黒く塗りつぶされた箇所を狙ってみてください」 山階・澪(ib6137)が自作してきた紙の的。それを適当な木に縄で括りつけ、周囲の安全を確認した上で射させる。シンプルだが一番効果のある行為である。 カミーユは用意してきた弓を構えると、引き絞り矢を放つ。 風切り音を立てて飛翔した矢は、的の中心からわりと離れた場所に突き刺さった。 第二射、第三射と続けるがド真ん中には当たらない。かと言って的から外れたり木を外したりすることもないのがなんとも中途半端である。 「ふむ……専門の弓術師でないならこんなものではないでしょうか」 「ロクに訓練を積んでいなかったというのであればまぁまぁなのでは?」 「まぁまぁで通用すればいいのですが、ね」 カミーユの腕前を見て、ジェーン・ドゥ(ib7955)はオブラートに包んだ感想を漏らす。 海神 雪音(ib1498)弓術師の先輩としてフォローを入れるべく褒めてみたが、无(ib1198)はスパっと懸念を口にする。 勿論、悪気はない。口にしないだけで誰もが多かれ少なかれ思っていることだ。 カミーユがまだ駆け出しで、道を模索している状態だから文句はないが、これからも高みを目指そうというのであれば『まぁまぁ』ではやっていけない。 「騎士が弓を使う上での欠点は、両手が塞がるので盾が使えない事、矢を番えるのに時間がかかり、隙が大きくなる事あたりか。そして利点だが、高い防御力を持つ騎士が弓を持つ事で、最前線に居ながら射撃を行なうリスクの低下が挙げられる。弓術師や砲術士と違って防御力が高く、前に出やすい特性を活かし、最前線から敵の最後衛を狙撃するような事も出来るか」 「そうね。弓は決して主役にはなれないだろう。しかし、剣や槍が華ならば我々は植木鉢のようなものかな。縁の下の力持ち。我々後衛職とはそんなものだ。地味に、淡々と、堅実に」 偉大なる弓の先達、バロン(ia6062)とからす(ia6525)が講習を行う。 特にからすはこの年齢にして凄腕の弓使いであり、年下に教わることへの抵抗は全くない。 試しに的を射てみてもらうが、二人共鼻歌交じり、片手間で見事ド真ん中を射止めてみせる。カミーユなど、足を止めよく狙いそれにのみ集中しても真ん中に当てるのは難しいのに。 本番前だというのに、自分が興味本位で弓をやってみたいなどと言い出したのが恥ずかしくなる始末であった。 「大丈夫だよカミーユ! 誰だって最初から上手くはいかないよ!」 講習が終わり、切り株に座り込んでいたカミーユにアムルタート(ib6632)が元気よく声をかけた。 「アムルタートさん……」 「さっき誓ったとおり、私はカミーユを助けていくって決めたから。一緒に強くなっていこ? 少しずつでいいんだから♪」 「……はい。この程度でくじけていたら、他の何にもなれはしませんものね」 「うんうん、その意気その意気♪」 「……ま、いきなり撃て、当てろなんて無理にもほどがあるわね」 そこに雲母(ia6295)が煙管を吹かしながらやってくる。本当はカミーユが一人になったと思って話をしにきたのだが、先客がいたようである。 また機会があるとも限らないので、雲母は二人きりでなくとも話を続けた。 「まず、どうなりたいんだ? 漠然と強くなりたいのか、何かを守りたいのか……少しくらいあるだろう」 射抜くような雲母の視線を受け、カミーユは咄嗟に答えられなかった。それは紛れもなく『漠然と強くなりたいから』というのが彼女にとっての理由だったからだ。 目標はある。願いもある。しかし、それでも理由としては漠然としているとカミーユ自身も分かっているのだ。 「……心意気はいいんじゃないかね。使えるかどうかは別の話だろうし。だが、そもそも何を目指しているのかがいまいち分からん方が問題だ」 それについてはアムルタートもフォローはできない。 強くなりたいという意思は大事だ。しかし、方向性が定まっていないと本人のためにならないというのは彼女たちも通ってきた道だ。 だが、それでも。カミーユは意を決してこう言った。 「わたくしは……わたくしの思ったように、自由に強くなっていきたいのです。遠回りでも、歩が遅くとも……わたくしがわたくしであるために」 「はっ! 唯我独尊、嫌いじゃないね。とりあえず実践訓練とはいえ討伐依頼だ……アヤカシはしっかり殲滅するよ」 「……はい!」 カミーユの返事を待っていたかのように、村人が駆けつけアヤカシが出たと報告してくる。 他の面々と合流し……一同はいよいよ実戦へと向かう――― ●弓? 「あれが、化猪と剣狼……いよいよですわね……!」 「……ちょっと待て。何だそれは」 「はい?」 木陰からアヤカシの姿を確認したカミーユは息を呑んで武器を取り出す。 するとすぐさまバロンからツッコミが飛んだ。 それは大型の鉄弓……なのだろうが、どうにも見たことのない形をしている。というか、前の部分が刃になっており、曲刀を二つ上下にくっつけたような印象を受けた。 「あぁ、これですか? お父様の知り合いに武器職人の方がいらっしゃいまして……その方が試作された『シュベルトボーゲン』という武器だそうです」 「天儀風に言うなら剣弓……でしょうか。まぁ、薙刀のようにも使えないことはないと思いますが……」 「どこかのわかめ頭は零距離では弓を近接武器にして戦ってましたねぇ。そういう思想で設計したんでしょうが、完全に騎士向けですねこれ」 ジェーンと无は半ば呆れながらその武器を見つめる。からすやバロン、海神に至っては頭を抱えるか天を仰ぐかのリアクションしか取れていない。 「え? え? 何かいけませんでしたか? これ、真ん中で分解できまして、二刀流の剣としても使えるのですが……」 「そういう問題じゃない。というか逆だろ。『弓としても使える剣』だろそれ」 「???」 「あの……その武器職人の方、変わり者ではありませんか?」 「はい、そう伺っております」 「おいアムルタート、早く何とかしろ。お前のダチだろ」 天然なのか知らないが、カミーユは雲母や山階の言葉の真意を全く理解できていない。自分がなにか悪い事をしたのかとオロオロしている。 「あ、あのねカミーユ、どうしてそれが一般に流通してない、試作段階のものだか分かる?」 「うーん……新作だからでしょうか?」 「違うよー! 結局中途半端になっちゃうから、『思いついても誰もやらなかった』ものなんだってば!」 そもそも騎士向けに弓を試作したその武器職人が悪い。もしかしたらカミーユが弓をやってみようと決意したのもこれが原因の一つだろうか? 弓術師には重すぎる。騎士にはわざわざ弓を使う意味が薄い。存在の時点で中途半端なのがこのシュベルトボーゲンという武器であることに疑う余地はない。 「まったく、頭が痛いわ。とにかく今回はそれで戦うしかあるまい。向こうもこちらに気付いたぞ」 流石にこの騒ぎで察知されないほうがおかしい。化猪と剣狼一匹がこちらに向かってきていた。 「盾役、承ります」 「乱戦になります。誤射にお気を付け下さい」 「ま、仲間に当てないようにな。それだけ注意すればいい」 山階、ジェーン、雲母が前線に出て敵の相手をする。 というか、この三人が本気で戦えばこの二匹など瞬殺してしまう。彼女らの役目はあくまで足止めと、カミーユに狙わせるための囮に他ならない。 シュベルトボーゲンの是非はさておき、矢を番え狙いを定めるカミーユ。しかし、動きまわる敵と味方という状況を初めて経験し、射ることを躊躇している。 「どうかしましたか!?」 「そ、その……山階様たちに当たってしまいそうで……!」 「それが戦場です! 如何に味方に当てず敵に当てるか! 弓に求められるのはそれです!」 「そ、そう言われましても……!」 甘く見ていた。軽く見ていたと今更ながらに思う。山階とジェーンは盾や剣でガードしつつ、わざわざカミーユが射つのを待ってくれている。 しかし技量の足りない、専門職ですらないカミーユには踏ん切りがつかない。射るだけの覚悟が、自信が足りない。 「まったく、世話のかかるやつだ」 見かねた雲母が空気撃を放ち、化猪を転倒させる。 「これでも駄目なようなら弓などやめるんだな!」 「っ!」 発破をかける雲母。流石のカミーユでも転んでもがいているような目標を外しはしない。 先程受けた手ほどきで射るまでの時間は大幅に短縮できた。空を切り裂き、化猪の腹に深々と矢が突き刺さる! 「よし、いいぞ。気を抜かず第二射!」 「はい!」 バロンの指示でもう一度矢を放つ。急所を正確にとまではいかないが、矢はしっかり命中している。 「動く目標に対しては、動きを先読みするしかありません。経験則が重要ですが、敵と味方の動きをしっかり見て、当たる瞬間までの時間を計算を忘れなければいけるはずです」 「わかりました!」 海神のアドバイスをもらったところで、山階が剣狼から少し距離を取った。こうでもしないとカミーユが射てないと踏んだのだろう。 その心遣いを有難く頂戴し、カミーユは剣狼に向けて矢を放つ。 山階に飛びかかろうとしたところに横から矢を受け、もんどり打って地面を転がる剣狼。ネタ武器のように見えてやはり鉄弓。威力はそれなり以上にあるようだ。 「……っていうかさ、それかなり重いよね? カミーユ平気なの?」 「はい。別段なんとも」 「そ、そうなんだ」 ぶんぶんと片手でシュベルトボーゲンを振り回すカミーユ。良家のお嬢様といっても志体持ち、しかも曲がりなりにも騎士扱い。腕力の成長が著しいようだった、 と、そんな時である。草むらから一匹のもふらが堂々と姿を表し、畑に植えられていたじゃがいもを掘り出して食べ始めた。 開拓者など気にも止めないその堂々さ故に、一瞬固まる開拓者たち。 「あら、例のもふらさんですか。……なんだか高額な謝礼を要求するヒットマンのようなお顔ですのね」 とてとてともふら(?)に近づき、それを撫でるカミーユ。 もふら(?)は立派な眉毛と吊り上がった目をしており、体つきなどはともかくなんだか異様な雰囲気だった。 「って、何をやっているんです! 迂闊に近づく人がいますか!」 「はい? ……〜〜〜〜〜〜ッ!?」 无が叫んだのも後の祭り。もふら(?)は大口を開けてカミーユの手に噛み付いていた。 喰いちぎられるようなことはなさそうだが、カミーユの口から声にならない悲鳴が漏れる。 「いくら似せようと、私の弓の弦は誤魔化せんぞ、と」 もふら(?)の堂々さとカミーユの迂闊な行動に一瞬我を忘れていた面々も落ち着きを取り戻す。 からすが鏡弦を使用し、もふら(?)がアヤカシであると断定した。 「ふらも、というアヤカシらしいですよ。もふらさまに擬態するアヤカシですね」 「あ、あの……治療はしていただけないのですか……?」 「迂闊なことをしたした罰です。痛みや恐れも覚悟やリスクの内なのでもう少し味わってください。あと、戦闘が終わったら反省会ですよ」 「ふぁい……」 厳しいが无の言うことは正しい。敵かもしれないと事前に知っているのに近づいて撫でるなどどうかしている。 カミーユの場合、もう少しお嬢様気分をどうにかするのが先決かもしれなかった。 「ほらほらカミーユ、怪我してても戦わなくちゃいけないことなんていくらでもあるよ。頑張って!」 噛まれていたカミーユを、ふらもを蹴り飛ばすことで救出したアムルタート。流石の彼女もカミーユの行動はフォローできないというか怒っている側だ。あんなことをされていたら命がいくつあっても足りない。 ここは多少厳しくとも実戦訓練を再開すべきである。幸いというかなんというか、ふらももやる気を出し鋭い視線でこちらに敵意を向けていた。 「ひ、引き絞る時に手が痛いのですが」 「それも経験です」 「開拓者って、大変ですのね……」 一矢目を回避され、次の矢を準備する前にふらもが飛びかかってきたので、カミーユは咄嗟にシュベルトボーゲンを分解し二刀流の剣となったそれで直接切り払う。 軽快に吹っ飛ぶふらも。もう近接格闘一本に絞ったほうがいいのではないかと思うくらいだ。 「……意外とカミーユには合っているかも知れんな。騎士として弓を使うなら、弓だけにこだわらず手段の一つと割り切り、柔軟に戦う事。騎士の特性を活かしながら弓を使う道を模索する事。どちらも満たせるといえば満たせる」 「弓から剣へはいいが、剣から弓にする時時間がかかるようだね。弦の問題があるから当然だけど」 弓に戻す時にどうしてももたつくのが欠点か。何にしろカミーユは再び矢を番え、ふらもを見事撃ち抜いた。 瘴気に戻り、消えた三匹。カミーユは大きく息を吐き、その場にへたり込む。 「お、終わりましたぁ。思ったよりずっと大変でしたわ……」 それを見て、開拓者たちはやれやれといった表情をする。『あぁ、まだまだ一人前には遠いな』と。 その時、カミーユの背後にあった草むらから何かが飛び出す。 それは剣狼。そう、剣狼は二匹いたということをカミーユはすっかり忘れていたのである。 鋭い牙と爪が、カミーユに振り下ろされる……! 「最後まで気を抜かないこと。敵の数の把握は基本ですよ」 「聞いていた数より多いこともザラですしね」 その直前、海神が放った矢が剣狼を貫く。そして走りこんだジェーンが剣狼にとどめを刺した。 二人だけでなく開拓者たち全員が、別の気配を感じ取っていたのだろう。 「……道のりは長そうですわね……」 「ま、ゆっくりやろうよ。とりあえず反省会だよ反省会〜♪」 「ふぁい……」 情けない声を上げるカミーユに、思わず笑いをこぼす開拓者たちであった――― |