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■オープニング本文 天儀の中心都市たる神楽の都。 様々な人が行き交うこの都に、開拓者ギルドは存在する。 はてさて、今日はどんな依頼が舞い込むやら――― 「こんにちは。今日は御報告に上がりました」 「あらこんにちは。その背中に背負ってる袋が例の武器?」 ある日の開拓者ギルド。 仕事に勤しむ職員、西沢 一葉の元を訪れたのは、商家の娘カミーユ・ギンサである。 悩みを振り切った晴れ晴れとした表情をする彼女は、背中に大きな袋を背負っていた。 物品の耐久度を上げるという強化の宝珠を使い、カミーユ専用の武器を作ると言って出発した前回の依頼で、実に14個もの宝珠をゲットした開拓者たち。どんなものが出来上がるのかはカミーユさえ知らされていなかった。 たおやかに笑って机の上に袋を置く。随分重量感があるが、袋に入っている状態だとどんな武器か想像ができない。 「では、お披露目ですわ♪」 通りすがりの開拓者や職員も何事かと見物に来ていた。その注視の中、カミーユは満を持して袋を解く。 するとそこには――― 「…………なに、これ?」 「武器ですわ」 「どこが!?」 満面の笑みを浮かべているのはカミーユだけ。一葉は勿論、ギャラリーも誰一人として歓声を上げない。 揃って『これは何だ?』という疑問符しか浮かばない。それは武器というにはあまりに不恰好だった。 外見で言うなら、四角形の盾に近いか? しかしあちこち隙間だらけだし、形もいびつだ。 変なところに刃があったり、棒があったり、鎖があったりする。正直なんなのかわからない。名状しがたい何かだった。 「フライハルトと名付けていただきました。わたくしのための専用武器です」 「自由って意味だったかしら……? 名前はともかく、これ発想が自由すぎるでしょ。どうやって攻撃するの?」 あちこちに強化の宝珠が使われており、それが合計14個。耐久度としてはかなりのものになるだろうが、前述のとおり隙間だらけで盾とは思い辛い。かと言って攻撃するイメージが湧かない。 一葉が眉を寄せていると、その質問を待っていましたとばかりにカミーユがフライハルトを手にとった。 「見ててくださいまし」 するとカミーユはテキパキとフライハルトの部品を捻ったり外したりし、あれよあれよという間に変形させた。 今まで四角形の盾の出来損ないのような形をしていたのが、大剣のようなものへと変貌を遂げる。 「こんなこともできますわよ」 再びパーツをいじりだすカミーユ。10秒も経たない内に変形が完了し、今度はハルバートのような形状に組み替えた。 「え、何これ!? 多段変形の武器!?」 「はい。わたくしもまだ全ての形態を把握しておりませんが、結構な数の武器に組換可能ですわ」 多段変形と聞けば聞こえはいいが、そんなことをしたら武器としての耐久度はお察し状態になってしまう。 刀に対し仕込み杖が強度がまるでオモチャだと評されるのと同じで、別の機能を持たせようとすると本来の良さが殺されてしまうことが多い。これもまた、『考えついても誰もやらない』武器だ。 しかし、大量の強化の宝珠を使用することで耐久度の問題をクリア。普通の武器と同じかそれ以上の耐久度を持たせつつ、その場に応じての変形で武器を変えることができる……というわけか。 「わたくし、パズルや知恵の輪は得意ですの。発想次第で新たな形態も開発できそうですわ♪」 「いや、確かにこれはあなた専用だわ……こんなの誰も使いたがらないわよ」 余程の慣れか、天性の才能でもないと戦闘中にこれを自由に組み替えられるとは思えない。 カミーユは10秒程度で変形させたが、常人ではどれだけ時間がかかるだろうか? そんなことをするくらいなら、刀なら刀、剣なら剣を持っていくのが一番手っ取り早い。 それぞれの武器としてみればデッドウェイトも多く、重量がかさむようにしか見えないが……。 「器用貧乏大いに結構です。わたくしは騎士として、自由という名の武器で自由を守っていきます。例えそれが微力であっても」 聞けば、フライハルトはそれぞれの形態において、一般の武器と同じような威力しか持たない。耐久度はあっても武器としての性能は大して秀でてはいないのだ。 それを形態変化で対応力を増し、それで補う。騎士として歩むと決めたカミーユなら、重量の問題はまぁなんとかなるか? 「ちなみにこれ、一部のパーツだけを分離することもできますの。ほら、手斧(ハントアクスト)」 「あー……私だったらバラバラになって二度と元に戻せなさそう……。最初の盾みたいな形が基本なの?」 「いいえ、あれは盾(シルト)フォルムです。袋に入れるにはあれが一番適格だったというだけですわ」 言いつつ、分離させたパーツを組み込みハルバート状態に戻す。 「折角作っていただいたので、これを試してみたく思います。何か適当な依頼はありませんか?」 「んー……最近流れた水銀ちゃんとかどう?」 「物理攻撃が有効でないと伺いました。わたくしに流れた依頼を補填させないでくださいまし」 「てへぺろ。えっと、石鏡某所の遺跡にがらくた兵「蜘蛛」が3体ほど出現したっていう情報があるの。これどう?」 「人形兵系のお相手ですわね。初めてですが、がんばります」 「じゃあ登録しておくわね。頑張って、騎士さん」 「はい。御期待に添えて見せますわ」 騎士として生きることを決め、専用武器を手に入れたカミーユ。ようやくスタートラインに立ったというところだろうか。まぁ、その専用武器に問題がある気もするが……。 自由であるということは、自由であるように呪われていることであると誰かが言った。 その自由を守り、進むために……彼女はどのような人生を歩むのであろうか――― |
■参加者一覧
志藤 久遠(ia0597)
26歳・女・志
水月(ia2566)
10歳・女・吟
无(ib1198)
18歳・男・陰
海神 雪音(ib1498)
23歳・女・弓
華表(ib3045)
10歳・男・巫
アムルタート(ib6632)
16歳・女・ジ
不破 イヅル(ib9242)
17歳・男・砲
マルセール(ib9563)
17歳・女・志 |
■リプレイ本文 ●お前それは自由すぎるだろォ!? 「これがカミーユさんの為の、世界で一つだけの武器? ……ふらいはると、さん?」 「あっはっは! 武器完成おめでとうカミーユそしてGJー!! 自由すぎてカッコいいよ!」 遺跡に突入する前、開拓者たちは休憩がてら入口付近でカミーユの武器を見物していた。 次々と形を変えるフライハルトを目の当たりにし、水月(ia2566)やアムルタート(ib6632)は興味津々といった感じであった。 「それ何個ぐらいの武器になるの? てか何の武器になるの? 良く変形できるね〜」 「わたしもこういうの欲しいの……どんな武器を持っていくかで、よく悩んじゃうの」 そのまま変形というのもパターンは多いが、パーツを分割しての組み合わせを含めるとかなりの数になる。例えば、小型の盾と片手剣の組み合わせになるなど、小回りの効く武器にもなれるようだ。 形態の総数はまだカミーユも把握しきっていないが、どこをどうやっていじればどの武器にできるというのは自然と頭で覚えているのだという。あとは手捌きの問題だ。 自分の武器を認められて嬉しくないわけがない。カミーユは照れくさそうな、誇らしそうな複雑な表情を見せる。これを作れたのは開拓者の諸先輩方の協力あってのことだと分かっているからだった。 「いやはや、多状況対応型の可変武器とは。設計図が見たいねぇ」 「……何というか、その……自由と言うより自由すぎる武器……ですね」 朋友の尾のない管狐を撫でながら笑う无(ib1198)。冷や汗気味に一般的な感想を述べる海神 雪音(ib1498)。二人のコメントは対照的ではあるが、肯定的な意見ばかりが出るような武器ではないので致し方あるまい。 「しばらくぶりですね、カミーユ殿。結局、既存の考えに縛られぬ道を行きましたか……らしい、と言えるかもしれませんね」 「はい。茨の道であるとは思いますが、わたくしだけの強さを欲した結果です」 「自分の道を決めかねた故の武器の試行錯誤ならともかく、それが自分の道だと決めた上での不定流転ならば、頼りにさせて頂きます」 志藤 久遠(ia0597)は、カミーユが開拓者としての道を続けていこうと思ったきっかけの一人。しばらく会っていなかったが、二人には穏やかな空気が流れていた。 カミーユの道はようやくスタートラインに立ったところ。まだまだ力不足ではあるが、今までのように護衛対象となるようなことはもうあってはならない。 ……と。 「……? どうかなさいましたか?」 「えっ? あ、いや、うん……なんでもないんだ。気にしないでくれ」 しきりに辺りを気にしていたマルセール(ib9563)に気づき、華表(ib3045)が声をかけた。 どうやら何かを探しているらしいのだが、言葉を濁している。 「若輩者ではありますが、お手伝いできることもあるかもしれません。よければお話願えませんか?」 「……放っておけ。初めて依頼を受けたらしいから緊張しているのだろう。必要なら本人が話す。そうだな?」 「あ、あぁ、そうなんだ。放っておいてくれて構わない」 「そうでしたか。余計な気を回してしまったようで」 にこりと笑ってカミーユたちのところへ行く華表。助け舟を出した不破 イヅル(ib9242)は、帽子を深くかぶり直して不干渉の構えに戻った。 「すまない。恩に着る」 「要らん。戦闘で面倒をかけなければそれでいい」 ぶっきらぼうに言い放った不破であったが、初心者であるマルセールに対する彼なりの気遣いである。 初心者ならカミーユも同じでは? という意見もあるが、カミーユの場合気にかけてくれる面子がすでにいるのでそちらに任せるというスタンスなのだろう。 「……さて、ではそろそろ参りましょうか。皆様方、準備はよろしいですか?」 志藤の音頭に従い、一行は遺跡内へと突入する。本来の目的はこちらなのだ。 がらくた兵「蜘蛛」。厄介な人形兵との戦いが、今始まる――― ●三次元機動 遺跡を進む開拓者たちの道程は非常に順調であった。 内部の構造も事前に判明しているし、出現するアヤカシもそれほど強くなく、頻度も低い。前衛を務める志藤、カミーユ、アムルタートの三人が息の合った連携でアヤカシをなぎ倒し、後方から襲い掛かってくるものは後衛のマルセールと水月が牽制し、中衛の不破と海神が撃破に出る。 ちなみに水月は超越聴覚や瘴索結界での索敵も担当しているためできればマルセールに頑張ってもらいたいところ。他に中衛で、无が地図係と周辺の観察、前衛ではあるがまだ怪我人が出ていないのでまだ出番のない華表が周辺の観察という役割分担となっていた。 正直、かなりバランスが良い。このままなら余裕で内部を闊歩できるだろう。 ……と。 「…………」 前衛にしらせるため、とてとてと前に出てくいくいと華表の袖を引っ張る水月。年の近い二人のやりとりは見ていて微笑ましい。 「現れましたか?」 「…………ん」 こくりと頷く水月。彼女が発動していた超越聴覚で、カタカタという木がぶつかり合うような音を察知した。 无が地図を確認すると、方向的にも地理的にもがらくた兵が出たとされる場所と合致する。 カミーユは片手剣と盾状態だったフライハルトを、ブレードトンファーとナックルガードに変形させた。 「防御寄りの接近戦仕様ですね。悪くないと思います。では、行きますよ」 地図上では行く手を右に曲がると少し長い直線がある。接敵するなら遠距離攻撃をしやすいここは悪くない場所であろう。 水月は元いた後衛に戻り、志藤を先頭に隊列を戻す。全員で慎重に歩を進めていた、その時である。 「っ!? 来るの!」 水月のその一言だけで状況は明白だった。しかし、敵に気づかれたのは勿論、その足が思った以上に速い。 気付いた時には、曲がり角直前の一行の前にがらくた兵が現れていた。 細い腕が十本生えた、普通のからくりとは全く違う不気味な姿。足かと思われた部分もまた腕であり、一匹は地面を、一匹は壁を、一匹は天井を平然と進んでいた。 遺跡に安置された守護者の役割。他のアヤカシと違い、撃破すれば二度と動かなくなると思われるが、その分手強そうではある。 「くっ!」 海神はすぐさま天上に張り付いたがらくた兵に向けて矢を放つ。しかし敵は鎖分銅を巧みに操り、矢を受け流した! 「これはどうでしょうね?」 无は雷閃で天井のがらくた兵を攻撃する。自動命中であるこの術をどうにか出来るほど優秀ではないらしく、直撃をもらう。しかしカクンと首を傾げたのも束の間、ざざざと天上を進み、クナイを投擲する! 「痛ぅっ……! 遠距離攻撃とはね!」 反撃をもらった无を華表がすぐさま治療する。しかし敵は文字通り手数が多い。前衛の三人も思うように戦わせてもらえないようである。 「ほうらこっちだー!」 華麗なステップを踏み、鞭を振るうアムルタート。しかし壁を進むがらくた兵が鎖分銅でそれを迎撃、絡め合う事でアムルタートの足を止める。 続けざまに空いている幾つもの手の一本から手裏剣を投擲するが、ナックルガードでフォローに入ったカミーユに阻まれた。 「しまった、後ろに……!」 志藤が真正面にいるがらくた兵と交戦している隙に、天井のがらくた兵が走りぬけ後衛のマルセールと水月に飛びかかる。 ギリギリで回避したものの、挟撃されるような形になってしまう。 今まで現れた雑魚とはわけが違う。この狭い通路も蜘蛛向きの戦場だ。 「ちっ」 続けてマルセールを攻撃しようとするがらくた兵を不破が魔槍砲で攻撃する。 しかし蜘蛛は多数ある手で槍部分を掴み、受け止めてしまった。想像以上に手強い! 「猫さんたち……」 水月の呪縛符が発動し、白い子猫型の式たちが現れる。たくさんあるがらくた兵の手に甘えるように纏わりつく猫たちに、がらくた兵も何事かと気をやってしまう。 その隙を突いて海神が援護の矢を放ってくれたので、一時的に後退するがらくた兵。それでもすぐさま攻めに転じてくる。 「こ、ここはどう戦うのが良いですか!?」 「敵の手数が多いので、一体ずつ確実に撃破するのが賢明かと!」 「了解いたしました!」 カミーユは志藤にアドバイスを乞い、防御よりも攻撃にシフトすべきと判断する。 ブレードトンファーとナックルガードを展開し、変形させつつ接続。棒の部分を引き伸ばして槍(ランツェ)フォルムへ。 「アムルタートさん、そちらのがらくた兵はお願いいたします!」 「まっかせて!」 志藤とカミーユが槍を構え、真正面のがらくた兵に攻撃を仕掛ける。 カミーユの一撃を手で払いのけ、続く志藤の五月雨による二連撃。それを何とか受け流したところにカミーユ! 覚えたてのスマッシュを叩きつけ、よろけたところに阿吽の呼吸で志藤が走りこむ! 「これで!」 再び五月雨を発動、重い二連撃を叩き込んだ。流石にこの連続攻撃には対応しきれず、大きなダメージを負う。 「美味しいところをいただいて申し訳ありません」 志藤とカミーユも動ききってしまったので、无が雷閃でとどめを刺す。この際誰が倒そうと構いはしない。 「後衛の援護に回ります。カミーユ殿はアムルタート殿を!」 「はい!」 志藤はマルセールと水月の援護へ、カミーユはアムルタートの援護へ回る。 投擲により地味にダメージが蓄積しているアムルタートを下がらせ、華表に治療してもらう。 「皆様無理は駄目ですよ」 「無理しないときっついんだもんー!」 その間、カミーユは盾フォルムに変形させたフライハルトで時間を稼ぐ。 隙間だらけというのはカミーユ本人が先刻御承知。部品部品にしっかり当て、飛んでくるクナイや手裏剣を防いでいた。 「おっけー、回復! カミーユ、そのまま突っ込める!?」 「承りました!」 盾を構え壁に張り付いているがらくた兵に突進するカミーユ。そのまま盾でがらくた兵を壁とサンドイッチにする。 衝撃の次の瞬間には、アムルタートがカミーユのすぐ横に立っていた。 その手に光るジャンビーヤが閃き、がらくた兵の胸と腹の間あたりに深々と突き刺さった。 「トドメお願いー!」 「退け」 不破が先ほどまで戦っていたがらくた兵を志藤に任せ、くるりと反転する。 他のアヤカシを呼び込みたくないという理由で封印していた砲撃を、今こそ解き放つ! アムルタートたちが飛び退いた直後に爆音が響き渡り、がらくた兵に直撃。哀れバラバラに吹き飛んでいた。 「すまない、援護を頼む!」 「……手……いっぱいなの……」 「忙しいことだ」 マルセールも奮闘してはいるが、カミーユと同じで力量不足は否めない。逆に、幼い割に水月は確実に敵の動きを回避するだけの実力を有している。そういう意味では後衛はバランスがとれているのかもしれない。 とはいえ、志藤と海神の援護があっても、地面から天井へ移動したりと三次元機動を繰り返すがらくた兵には歯痒い思いをさせられているが。 「残り一体となったのであれば」 「私達の出番ですね」 邪魔をするものがいなくなったのであれば術も矢も放ち放題だ。接近戦を挑む志藤、水月、マルセール。そこに回れ右した不破も加わるが、真の狙いはそこではない。 无と海神が安全に遠距離攻撃を重ね、がらくた兵を削っていく。そうなれば腕に勝る志藤の攻撃をいつまでも捌けるわけがない。 「これで、終わりです!」 甘く振られたクナイでの一閃を受け流し、カウンターで五月雨を放つ。 首が吹き飛び、腰の部分が大きく砕けた。そこでがらくた兵は動かなくなり、地面に崩れ落ちたのだった。 「やっと終わったー! こいつら、意外と強い上にしぶといよねー」 「まぁ、痛覚などないでしょうからね」 「怪我をした方は仰ってください。すぐに治療致します」 伸びをするアムルタートに、无がさらっと答える。 後処理に奔走する華表が非常に頼もしい。 「……どうした。そこそこ傷を受けただろう。遠慮せず治してもらえ」 「え……あ、あぁ。いいのかな」 「いらなければそのままでいればいい」 不破に促され、華表に回復してもらうマルセール。少年の暖かさに、思わず独りごちた。 「(仲間がいるというのも悪くはない……か)」 安堵の息を吐く面々を眺め、マルセールも思わず苦笑いをするのであった。 「あら? カミーユさんがどうかしましたか?」 「……カミーユさん、ふっきれたみたいでよかったねって……ほっとしてたの。カミーユさんの方がお姉さん、なのですけどね」 海神が優しげな顔でカミーユを見つめていた水月に声をかける。 なんとなく分かる気がすると海神はため息一つ。自由を求めるのは結構だが、何処か危なっかしい、子供のような印象を彼女も感じていた。逆に言えば、純粋にも見えるわけだが。 「いかがでしたか? わたくしの戦いは」 「まだまだ修行中の身である私が言うのもおこがましいですが……精進あるのみといったところですね」 「あは……厳しくも優しいお言葉ですわね」 「でもでも、頑張ってたと思うよ。武器もちゃんと使えてたし、騎士としての初仕事成功だと思うな♪」 「そうですね。……ようこそ、カミーユ殿。開拓者の世界へ」 「……はい!」 自由と言う名の武器を振るい、自由を守るために戦う騎士。 カミーユ・ギンサの道は、今日、スタートしたのである――― |