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■オープニング本文 前回のリプレイを見る 数々の想いと戦いを重ね、時は現在に至る。 あの時、あの場所で、あの人達だから。そうやって人々の歴史は紡がれていく。 そして人生には必ず区切りがある。事件には終わりがある。それが、悠久の時を経てなお不変の真理――― 謎の陰陽師と呼ばれる存在により創りだされたアヤカシ兵器の数々。それらを打ち倒し続け、開拓者たちはついに本人へと辿り着く。 しかし謎の陰陽師……十七夜 木乃華と名乗る老婆は巧妙に人に紛れ、一切の証拠を残しておらず、罪に問うのは難しい。 一時行方不明になったギルド職員、十七夜 亜理紗を無事に救い出したのも束の間……今度は過去に攫い、人格改竄をした少女を再調整して解き放ち暗躍させていた。 とうとうその少女とも決着がつき……残すは木乃華本人のみである。 「私を……お嫁さんにしてください。くー、いいなぁ。妹分に先越されちゃうのかぁ」 「か、かかか一葉さんっ! からかわないでくださいよぅ!」 「私もステキな王子様が欲しいなー」 「も、もぉ! 怒りますよ!?」 ある日の開拓者ギルド。 ここ最近、職員の十七夜 亜理紗は先輩職員の西沢 一葉にからかわれっ放しであった。 先日、プロポーズをして周囲を驚かせたことは知る人ぞ知る事実となっており、ニヤニヤと生暖かい視線を向けられることも多い。 本人にしてみれば一大決心であったし、生き残る必要が有るため浮かれている場合ではないのだが。 「今日はこのくらいにしておいてあげましょうか」 「今日『は』!? まだ続くんですか!?」 「当然。しばらく弄り倒すから覚悟するように」 「ひーん!?」 「真面目な話をしましょうか。石鏡から連絡があって、木乃華が釈放されたそうよ。証拠不十分でね」 十七夜 木乃華。亜理紗の祖母にして、その正体は謎の陰陽師と呼ばれた希代のマッドサイエンティストだ。 しかし社会的立場をしっかり確立し、仕事にも証拠を残さない。故に、不穏当な言動をしてもそれだけでは罪に問えないという厄介な存在なのである。 手駒を失い、どんな行動に出るかわからない彼女に対し、開拓者たちは後手に回るしか無かった。そこで、足止め兼情報引き出しのために木乃華を捕縛してもらったのが前回の話。 木乃華が言う十七夜。それはこの世に蘇ろうとする十七夜家の根源であるという。 時の狭間に封印されたなどとご大層なことを言っているが、本当かどうかは眉唾ものである。 状況に埒を明けるため、二人の開拓者が別行動を取り『第二研究所』なるものの手がかりを求め、捜索を行った。すると、偶然か幸運か……隠れ里のようなものを発見。そこには、地中に向かうトンネルのようなものも不気味に口を開けていた。 「これが厄介なものでね……どうも地上からは見つけられない感じなのよ」 「え……まさか、私が使った人除けの術みたいなのがかかってるんですか?」 「みたいね。問題の場所に調査隊を派遣したんだけど、徒歩だと全然辿りつけなかったんだって。仕方なく龍に乗って空から調べたら、ようやく確認できたらしいわ。そりゃあ今まで見つからないはずよ」 「私にできたなら、木乃華が似たようなことをできて当たり前……ですよね……」 今は無人の隠れ里。しかし、簡素ながら各々の家には確かに人が生活した形跡があったらしい。 流石にトンネルの中は危険だろうということで調査隊は入らなかったので、今回はその引継ぎということになる。 こうなると嫌な想像が真実でないことを祈りたいレベルである。トンネル内部がどうなっているのか、アヤカシなどがいないのか、更なる手掛かりは発見できるのか……期待と不安は高まるばかりだ。 「木乃華を追い詰めるには物的証拠が必要よ。虎穴に入らずんば虎児を得ず……ってね。危険だけど頑張って」 「はい。あの人の野望は、絶対に阻止して見せます!」 決戦への手掛かりを探るべく、開拓者たちはトンネルの奥へと調査に向かう。 かつて研究が行われていたであろうその奥に何を見るのか……それは神と木乃華のみが知る――― |
■参加者一覧
鷲尾天斗(ia0371)
25歳・男・砂
ヘラルディア(ia0397)
18歳・女・巫
真亡・雫(ia0432)
16歳・男・志
雪切・透夜(ib0135)
16歳・男・騎
レネネト(ib0260)
14歳・女・吟
无(ib1198)
18歳・男・陰
鹿角 結(ib3119)
24歳・女・弓
神座真紀(ib6579)
19歳・女・サ |
■リプレイ本文 ●証を求めて 鬱蒼とした森の中にひっそりと佇む家々。村と言うよりは集落に近く、隠れ里と読んで差し支えないくらいその存在は世間と隔離されている。 広場なども勿論無いため、ギルドから借りた龍を着陸させるのも一苦労であった。 何らかの術の影響か、徒歩では侵入できないこの集落。その一角に、地下に向かって闇を湛えるトンネルのようなものが存在する。 十七夜 木乃華の悪事の証拠を求めて、今はこの奥に進むしか無い。開拓者たちは二班に分かれ、それぞれの役割を全うすることを目指す。 分散する前、レネネト(ib0260)はトンネルの入口付近で時の蜃気楼という曲目を演奏してみた。 本当は木乃華が村を出たアリバイのない日時を指定したかったが、気がついたらいなかったということが多いらしく、詳しい特定はできなかったのである。いない理由も、野菜の行商であったり旅行(?)であったり他人の口伝で探るには少々厳しい。 だから、半ば勘で日時を指定して演奏した。 幻影らしきものは現れない。失敗だったかと思われたが、3分を過ぎた辺りで変化が現れる。 親子連れと思われる若い女性と5歳くらいと思われる子供の幻影が現れ、一行の前を通り過ぎていく。 笑顔に包まれたその二人は、何の疑いもなくトンネル内部へと入っていく。過去に起きた出来事とはいえ、何とかして引き止めたい衝動に駆られた。 その後レネネトは何度か時の蜃気楼を奏でたが、何人か違う人物がトンネルへと入っていった。勿論、トンネル内部から出てきた者は誰もいない。 「……妹から聞いとったけど、これはきっついなぁ」 一連の事件に初参加となる神座真紀(ib6579)。経緯は妹から聞いているようだが、幼い妹が耐え切れなくなったとしても無理は無いと嘆息する。 消えては現れる死の片道切符を握った幻影たち。その中に、首謀者であろう木乃華の姿はない。 レネネトの練力にも限界があるので、時の蜃気楼はここまで。あとは足で調べると相成った。 入り口に残るのは三人。内部を探索するのは六人。十七夜 亜理紗は探索班を志願した。 「危なくなったらこれを吹け。何があっても助けに行くからな」 「はい。そちらもお気をつけて……!」 亜理紗の未来の夫、鷲尾天斗(ia0371)。呼子笛を亜理紗に渡し、自らは警戒に残る。 亜理紗は当初鷲尾と共に居ようかと思ったが、トンネル内部で木乃華の術に遭遇した場合、自分が役に立つかもしれないと思考を切り替えたのだった。 かくして、闇への行軍と、それを守るための拠点防衛が開始される――― ●衝撃 トンネル内部は思った以上に整備されており、明らかに人の手が入っていることを窺わせた。 入り口からしてそうだったが、中もかなり大きい。以前に戦った三つ首の犬のようなアヤカシも充分通れる。 ひんやりとした空気が流れる中、ヘラルディア(ia0397)は辺りを見回し冷静に報告する。 「とりあえず周囲に罠は見当たりません。瘴索結界にも反応はありませんわ」 「……静かだ。静かすぎる。中に誰かいるとは思えませんね。ジルべリアと同じ……嫌な臭いだ……」 雪切・透夜(ib0135)は、トンネル内部に流れる空気の中に本能的に負のものを感じ取る。 あれだけの数の人間が入っていったにも関わらず人の気配が無いということは、やはり……。 と、進む先に空間が広がっているのが見えた。 トンネル内部は遺跡と同じように仄かに明るく、松明などがなくても問題はない。 その空間の中央部には蟻地獄のような窪みができており、正面には更に奥に進むための道がある。 ヘラルディアは首を振り、アヤカシや式などの存在はないと意思表示する。 窪みは迂回すれば余裕で奥に進める。何のためにあるのかよく分からない。 「……ヒットして欲しいような、そうでないような」 レネネトは再び時の蜃気楼を発動する。それは、最初に入り口で親子の幻影を視た時間から少し経った時刻。 ふと後方からあの親子が歩いてくる。笑顔で、親子の会話を楽しみながら……窪みなどまるで見えないように。 だから、落ちた。親子ともども手を繋いだまま滑り落ちた。 すると砂が蠢きだし、親子を飲み込んでいく。そして不意に血飛沫が舞い始める……! 「まさか……!? 砂の圧力で身体を砕いてる!? あぁぁ……!」 雪切の声も虚しく親子の顔が苦痛に歪む。歪みながらも無理に笑顔を作ろうとする。 本能が訴える苦痛や恐怖を無理に上書きされた痛々しい表情。母親は必死で子供を抱え上げ砂から逃がそうとするが、やがて本人が飲み込まれ子供も逃げることかなわず砂の餌食となった。 血飛沫は砂に吸い込まれ、蠢きが止まる頃には何事もなかったかのように静けさを取り戻す。 「この目にするまでは考えたくなかった……だけどっ……!」 壁をガツンと殴る真亡・雫(ia0432)。皆憤りは同じである。 ヘラルディアが術視で検分したところ、生命体が嵌り込むとそれをすり潰すように絞め殺し、下に送る術式ではないかとのこと。 普通はこんな怪しい穴は避けて通るが、『真っ直ぐ進め』というような命令をしてトンネルに向かわせれば必然的に落ちる計算になる。 「……辛い真実です。ですが、重要なのは得た事実をどう扱うかです。往きましょう」 これで、この隠れ里が木乃華の実験のためのストック置場であるという説が現実味を増した。 无(ib1198)は動揺する仲間たちに声をかけ、先に進むことを促す。 「これなら私が破壊できます。こんなもの、この世から消しちゃいましょう!」 そう言って亜理紗は印を組み、地面に手をついて術を発動。すると振動とともに蟻地獄に電流のようなものが迸り、弾けた。窪んだ部分が盛り上がり、普通の地面と何ら変わりない高さ、様子に戻ったのだった。 相変わらず防衛機能のようなものはない。守護者らしきものも出てこない。 それ故に不気味さが増すのは皮肉な話である――― ●登場 「匂うなァ……反吐が出そうな匂いがするなァ」 外で防衛戦を張っていた鷲尾は、嫌な空気を感じ取りその方角へ宝珠銃を発砲した。 チュインと木が弾け、その陰からゆっくりと十七夜 木乃華が姿を現す。 「いよう義祖母様ァ。遅いお着きで」 「心眼か。こればっかりは姿を消していてものう」 ホッホッホ、と余裕綽々のいつもの態度。 どうやって開拓者がここに来たことを察知したのか。徒歩で侵入できないはずのこの隠れ里にどうやって入ったのか……聞きたいことは山ほどある。 しかし、確かなことは…… 「あんたが木乃華さん? なるほど、パッと見じゃ可愛いお婆ちゃんやな」 「む……見ん顔じゃの。まぁ、どちらにせよ邪魔するんじゃろ?」 「そらお互い様や。そっちも中の人達の邪魔する気やろ」 「ホッホッホ……然り。まさかここが発見されるとは思いもよらんかったよ」 確かなことは、木乃華が開拓者の邪魔をしに来たこと。そして、本人が出向くくらい都合の悪いものがここにあるのだろうということ……! 神座は長巻を構え、通すまじという意志を見せつける。 「見張りを立てたのは流石じゃったが、僅か二人とは。ワシを舐めておるのか?」 「ンなわけあるか。来るかわからないお前を警戒して、何が仕掛けてあるかわかんねェ中の探索を疎かにできるかよ」 「道理じゃな。では来たからにはさっさと突破させて―――」 鷲尾との会話を打ち切り、戦闘に入ろうとする木乃華。しかしその言葉は最後まで紡がれなかった。 どこからともなく、夜を切り裂く流星のように閃光が走る。 月の涙のように上方から射ち放たれた一矢が、木乃華の心臓を正確に撃ち抜く! もんどり打って地面を転がり、ぴくりとも動かなくなった木乃華。しんとした空気の中、鹿角 結(ib3119)は埋伏りを解き鷲尾たちと合流した。 「まさかここまで上手く嵌るとは思いませんでしたが……」 一人、隠れて機を窺っていた鹿角。いくら見つかりにくくなる技を使っていたとはいえ、あの木乃華をこうも簡単に出し抜けるとは。そして、こうも簡単に射ち抜くことができるとは正直信じ難い。 呆気なさすぎる。これまでのやり取りを鑑みて、木乃華が死んだとは到底思えない。 警戒を緩めず、木乃華の死体を凝視すること数分。 「……やはり迂闊に近づいては来んか。嫌な連中じゃのう」 よっこらせと呟きつつ、何事もなかったかのように起き上がる木乃華。矢が突き刺さった心臓部分からは大量の血を噴き出しているのにも関わらず……だ。 「ホントに人間かよお前……」 「ホッホッホ。この体はワシのものではないからのう」 「は……?」 「そこら辺を歩っておった老婆を捕まえてちょちょいとな。生きたまま遠隔操作させてもらったんじゃよ。外見がワシのように見える幻影付きでな。証拠に、もう心眼に引っかからんじゃろ?」 肉体が死亡したためか確かに心眼に反応はない。しかし木乃華は安全なところからこの肉体を操作しているという。 「……! それでは僕は、無関係の人を殺してしまったと……!?」 「いかにも。ワシが他人の思い通りになるのが嫌いと忘れたか?」 「く……!」 「しかしまぁ、こんな出会い頭で身体が壊されるとは思わなんだ。これでは内部へは行けんし生き埋めにするのも難しいのう」 木乃華の声と気配が徐々に遠くなる。どうやら遠隔操作が切れる兆候らしい。 「うーむ……どんな資料を残しておったかな。思い出せん」 「随分大雑把やなぁ」 「ここに誰かがやってくるとは思わんかったのでな。これは覚悟しておいたほうが良いかも知れん―――」 その言葉を最後に木乃華の気配は消え、誰とも知らない老婆の遺体だけがその場に倒れ伏した。 鹿角は唇を噛みながらも、無言で墓を作り始める。 鷲尾と神座もそれに加わり、一先ず木乃華の迎撃には成功したのであった――― ●手にしたもの 「……これは凄い。人格には問題がありますが、やはり木乃華という人は天才ですね」 无はまだ新し目の紙の資料をあれこれ見回しながら思わずそんな言葉を口にした。 結局、何の妨害もなく再奥の研究所らしき場所まで辿り着いた一行は、そこに残された数々の資料や機材などを目にすることになる。 中でも目を引いたのは、例の蟻地獄から流れてきたものを貯めておくのであろう水槽のようなもの。乾いた赤黒い血液がこびりつき、惨状の歴史を物語る。 肉を、骨を、魂を飲み込みかき混ぜるための機材。嫌悪を通り越して恐怖すら感じる。 資料は陰陽師である无や亜理紗には書いてあることが大体理解できるものの、他の面子にはさっぱりだった。 「……これ、木乃華の字じゃないですね。若木乃華のかも知れません」 「筆跡で追うのは無理ですか……流石に手堅い」 木乃華の行動を見抜くのに長けた雪切であっても、本人に繋がる手掛かりは見つけられない。 置いてある物を片っ端からひっくり返してみるが、アヤカシ兵器の設計図のようなものや術の理論などが書いてあるものばかり。 そんな時、ふと遠い目をしている真亡の姿を雪切が認めた。 「雫くん、どうかした?」 「……人の成す研究はやはり、人を糧にしないといけないの? でも故にそれが人の研究であるなら……それを成す木乃華はまだ人であるのだろうか」 「……難しいね。人でなしでからこんなことができるのか……人であるからこんなことができるのか。どちらにしても、こんなことは不許可だよ。絶対に許しておけない」 「うん……わかってる。十七夜という木乃伊……どのみち僕達とは相容れない存在のようだ」 そうして、再び資料漁りに戻る二人。ヘラルディアやレネネトも、分からないながら繋がりになりそうな資料を捜索している。 時の蜃気楼も試してみたのだが、幻影として現れるのは若木乃華だけ。もしかしたら老木乃華は姿を消す術を使っていたのかもしれない。だとすればどこまでも用心深い。 と、そこでヘラルディアがとある物に気がついた。 「これは……?」 それは血液が凝固したもののようだが、擦り付けたような感じで机の角にくっついていた。 最初は被害者のものかと思われたが、周囲を見回しても似たような血痕はない。 木乃華の持論は、『人間は棄てるところのない最上の材料』。ならば血でさえも無駄にはすまい。 「しかし聞くところによると、白骨遺体をごろごろと転がしていた場所もあった聞き及んでおりますが……」 「それが『棄てた』のではなく『いつか使うかもしれないから取っておいた』のだとしたらどうでしょう。その研究所は幽霊のようなアヤカシ兵器を作っていた場所らしいですから、骨はその研究には必要なかったというだけで」 ヘラルディアの疑問に无が答えを用意する。研究者の思考はこういう時頼りになる。 なら、この血痕は木乃華のものだろうか。研究中に怪我をするようなマヌケには思えないし、若木乃華のものだったらアウトなわけだが。 「あ、ちょっと待って下さい。確か……」 ポンと手を打った亜理紗が懐から符に束を取り出しペラペラめくっていく。その中の一枚で手を止め、抜き出した。 「それは?」 「落物符です。落し物の持ち主の名前と年齢を特定できる術ですね。前、人に頼まれて作ったんです」 十七夜 木乃華という名前そのものが珍しく、同姓同名はほぼいない。仮に若木乃華も木乃華として扱われるとしても、年齢が特定できるなら区別ができる。 もっとも、術を使う亜理紗が落とし主を知らないと効果がないというのが困りものな点なのだが、幸い今回は問題ない。 加えてこの術は失敗がほぼ無いものらしい。亜理紗は願いを込めて血痕に符をかざし、術を発動した。 その脳裏に浮かぶ名と年齢は……! 「…………所有者名、十七夜 木乃華。年齢、67歳!」 この血痕を公的機関で分析してもらえば公の証拠としても採用できるはず。 どういう経緯でこの血痕がここに残されたかはこの際問題ではない。この場に、十七夜 木乃華の血がこびり付いているという事実が問題なのだ。これはどんな資料や証拠よりも言い逃れが難しい。 いよいよ詰めが近いのかもしれない。探索班は気持ちも新たにトンネルを出る。 「おかえり。ほんま、よかったわ」 ほっとした笑顔で出迎えてくれた神座。即席の墓を前に手を合わせる鹿角。宝珠銃をくるくる回している鷲尾。それだけで何者かの襲撃があったのだと予感させた。 謎の陰陽師、十七夜 木乃華。証拠を握られたことでどう動く―――? 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