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■オープニング本文 開拓者たちは疲れていた。 どこを見てもカップル、カップル、カップルだらけ――。 ここは神楽の都の中でも、花見のメッカとして有名な河辺である。 「あ、こっち! こっちですよ!!」 開拓者ギルドの少年・宗一が、開拓者たちを呼んだ。手には提灯。もうすっかり夜の時間だ。 「ここをずっと行くと、ちょうどいい場所があるんですよ! 『彼ら』に邪魔されちゃたまりませんから、場所選びに時間がかかりましたが‥‥」 幸せそうに手をつなぎ、桜を見て歩くカップルを横目に、宗一はそう言った。 今夜は宴である。ただ、たまには男だけの飲み会も良いんじゃないかということで、男だけに声がかかっていた。 「今日はありがとうございます! 意外と、この時期って忙しい時期って言うか、なんと言うか‥‥」 飲み会・副幹事の宗一が、目を閉じる。 『悪い! その日は彼女とデートなんだ。申し訳ない』 『ボクも、ちょっと懇意にしてるお姉さんからお誘いがあって‥‥』 『すまん、そもそも俺、実は女なんだ』 (‥‥とか、いろいろ、断られたしなぁ) 誘う側には、誘う側なりの苦労があったようだ。 「さ、ここですよ!!」 宗一が案内した先は、花見のメインコースからは逸れた、林であった。「ここを抜ければすぐですから」と言って進む宗一の後に続いて、開拓者らは林の中を進んでいく。 ――と。 急に開けた場所に出た。今日の人数にちょうど良いくらいの広場。その中央に大きな桜が一本、開拓者たちを出迎える。風に揺れる桜の枝には、満開の花。 穴場だった。 朧月夜に風が吹く。 「あれ? どこ行ったかな、先輩?」 宗一は首をかしげた。 今日の幹事が見当たらない。 つい、先ほどまでこの広場で待っていたはずなのだが? 「あっ――!!」 宗一は息を飲んだ。 彼は、提灯を桜の木の根元に向けている。 「ち、違う! 違うんだ!! 見るんじゃない!!」 そこには、あられもない姿の女性とがっしり抱き合った、ギルド職員赤守ゆわたの姿があった。彼が、今夜の幹事である。 「違う! 違うんだ!」 弁解もむなしく、宗一は冷めた目で赤守を見つめている。 「‥‥(クワッ)」 女性の異様に赤く染まった唇が、赤守の首に向かう。まるで、『食べてしまいそうなくらい大きく』口を開けて。ビキビキと、彼女の口が裂けていき‥‥。 「助けて! こいつは、こいつは‥‥」 地面がボコボコと、めくれあがる音がした。 |
■参加者一覧
天津疾也(ia0019)
20歳・男・志
氷(ia1083)
29歳・男・陰
喪越(ia1670)
33歳・男・陰
ルオウ(ia2445)
14歳・男・サ
神鷹 弦一郎(ia5349)
24歳・男・弓
和奏(ia8807)
17歳・男・志
ハイネル(ia9965)
32歳・男・騎
今川誠親(ib1091)
23歳・男・弓 |
■リプレイ本文 ●恋人河辺 手をつないで歩く恋人たち、寄り添う二人、草陰に響く甘いささやき。 (待て待て! どないなっとんねん、これは!) 天津疾也(ia0019)は内心ため息をついた。開拓者たちはいま、宗一に続いて飲み会の場所へと向かっている。 (どこを見渡してもカップルカップルカップル‥‥あ〜、嫉妬の覆面でも被りたくなってくるわな) 半目に細めた疾也の視線を感じたのか、桜の木の下でいちゃついていたカップルがそそくさとその場を去っていく。 (それに) と、先頭で宗一と一緒に歩くルオウ(ia2445)に視線を移した。 (あいつ、微妙に相手がおるっぽいんやけどな) ルオウは、宗一と酒のラインナップについて盛り上がっている。今日は大いに飲むつもりらしい。 (ま、あとで見とき) 今日はルオウに呑ませるぞと、疾也は決めた。 (おにょれ〜〜〜っ) 移動中、眉間にしわを寄せてなにやら考え事をしている喪越(ia1670)を、疾也はじろりと見た。 「‥‥一人くらいは‥‥『脱ぐと凄いんです』な‥‥マヂで野郎ばっかりが‥‥ごにょごにょ」 (なにゆうとるかわからんが、こいつもいろいろ思うところがありそうやな。今日は激しくなりそうやで) と、それぞれ思い思いに時間は過ぎ、 「ここを抜けたらすぐですよ!」 開拓者たちは、小さな林の前に着いた。 ●アヤカシの出現 「がっかりしましたよ、先輩!!」 宗一はあられもない姿の女性とくっついていたゆわたを見るなり、そう吐き捨てた。 「い、いや、これは違うんだ! これは!!」 なんとか弁解しようとするゆわたを前に、開拓者たちがぼそぼそと話を始める。 「開拓者になると、こういうことも経験させてもらえるんですね?」 和奏(ia8807)の言葉に、ハイネル(ia9965)は少し首をかしげた。 「出歯亀というんですよね? こういうとき、どう反応しましょうか?」 和奏はこのシチュエーションを楽しんでいるらしい。 「あの! 助けてください!!」 ゆわたの声が聞こえたような気がする。気のせいか。 「どういうことや、これは」 疾也は懐からsitと書かれた覆面を取り出した。背中の理穴弓に手が伸びる。疾也の言葉に、神鷹 弦一郎(ia5349)がうなずいた。 「自分で呼びかけておいて、逢引というのは、ちょっと‥‥」 「同意、後より人が来るとわかっていながら‥‥」 ハイネルもかぶりを振って、皆でじろりとゆわたを見た。ルオウは帰ろうとすらしている。そんな中、一人熱い心を燃やす男がいた。喪越である。 「いやあれ、どう見ても‥‥」 アヤカシなんだけどな、と氷(ia1083)が言い終えるより早く、喪越はゆわたと女性に近づいていた。 「そのままだゆわた君! おめでとう。いいさ。そのまま続けて続けて‥‥」 そう言いながら、徐々に距離を詰めていく。 女アヤカシが、細めた流し目で喪越を見つめる。ゆわたはアヤカシの手につかまれて、それどころではない様子だ。喪越は眉根を上げてうなずいた。 「そうか、遠慮するのか。それなら」 喪越が体勢を低くし、両手を合わせ、まるでプールに飛び込むように――。 「おねーさん! 俺がお相手するぜ Yes! we can!!!!」 喪越は一気に飛び込んだ。 「あぶねえ!」 帰ろうとしていたルオウは足を止めた。 「さっき、口が裂けてたよな? ‥‥本当に帰るところだったぜ!」 桜の木に向き直るなり、走り出す。 女アヤカシの胸元に、しっかりと喪越が収まっていた。 「なにしてんだ喪越!!」 【隼人】を発動させて一気に距離を詰める。女の口から、真っ白な糸があふれ出てきて。 「‥‥あ、ホントにアヤカシだ‥‥ええ、と‥‥」 かくり、と首をかしげる和奏。喪越は女アヤカシに抱きしめられ、ゆわたはいつの間にか糸でぐるぐる巻きになってアヤカシの足元に転がっている。 「戦闘準備ですよ? 和奏君」 という今川誠親(ib1091)の呼びかけにうなずきつつも、 「あ、いえ、相手が誰でも恋愛は自由だと言いますし‥‥あの、赤守さま‥‥いや、喪越さま? 自分は応援したい気もするんですが、お助けしたほうが良いのでしょうか〜?」 と、呼びかける。和奏の言葉が届いたのか、ゆわたはかくかくと首を縦に振った。 「開戦、行くぞ。当然、アヤカシであるというならば、民の安全の為、殲滅する他無い!」 ハイネルが、どうすればよいのか混乱していた宗一へ檄を飛ばした。 「宗一! 退避できるか?」 「えっ、あ、ああああ!」 宗一が目を見開いた。 「いああああ!!」 女の声が、広場に響く。 彼女の足が、地面の下からメリメリと露わになった。 暗がりでわかりづらいが、腰から下は人間のそれではなかった。黒く尖った体毛、かさかさと地面を這い回るいくつもの足音。上半身は女、下半身は蜘蛛。彼女は、女郎蜘蛛であった。 「うおおお!」 ルオウが彼女に近づいていく。手には松明。 「「足元!!」」 疾也と氷の声がかぶった。 桜の木周辺の地面がめくれ上がり、大量の蜘蛛型アヤカシが現れた。 (無視だ、無視! 後ろの皆がなんとかしてくれんだろ!) ルオウは蜘蛛たちの背中を踏んづけながら、一気に女郎蜘蛛のそばまで辿り着いた。 (正直、こうなってからどうするか考えてなかったぜ‥‥Hey Yo! とにかく、これくらいは!) 女郎蜘蛛の胸に顔をうずめながら飛ばした喪越の【夜光虫】が、女郎蜘蛛の姿を照らし出す。白く透き通った肌、黒くいびつな形の複数の脚。 「いああ?」 女郎蜘蛛の湿った瞳が、眼前に迫るルオウを捉えた。 「気をつけて! なんだか、嫌な感じが!!」 ゆわたの声がルオウに届く前に、 「!?」 女郎蜘蛛の【魅了】が、ルオウに発動した。 (‥‥お、俺にじゃないのか‥‥) ふとそんな言葉が喪越の頭をよぎる。 一瞬の間。 「いくぜぃ?」 ルオウの蹴りが、女郎蜘蛛を襲った。痛烈な一撃。女郎蜘蛛の【魅了】は、ルオウにはまったく効いていなかった。その隙をついて、女郎蜘蛛の腕から喪越を引っ張り出す。 ●色恋蜘蛛の意地 「あかん!」 疾也は矢を放った。 暗がりの中、矢がまっすぐ女郎蜘蛛に向かっていく。黒い脚が地面に転がるゆわたを踏み潰そうとしていた。 ジュサッ! 女郎蜘蛛の足先に矢が突き刺さった。 間一髪。ゆわたは助かった。 「はよ逃げろ!」 芋虫みたいに、ゆわたはひょっこひょっことその場を離れていく。 (蜘蛛が邪魔で【桔梗】が届きませんね‥‥まずは近くの相手からでしょうか) 和奏は名刀『ソメイヨシノ』を、目の前の蜘蛛に振るった。地面から出てきた蜘蛛は決して小さくは無い。最小でも60cm。桜の木を取り囲むそれは、さながら小さな堤防である。氷が片っ端から【魂喰】を食らわせているが、なかなか数は減っていかない。 「警告、私から離れるな」 「は、はい!」 ハイネルの言葉に、宗一はうなずいた。 (変更、これだけの数が相手なのであれば、宗一を一人で退避させるのは危険である) 周囲の状況が、ハイネルの目に映る。 (警戒、女アヤカシのそばにルオウと喪越、赤守、それをぐるっと大量の蜘蛛が取り巻いているか) いまから女アヤカシに近づくのは難しそうであった。ハイネルの体表に漂う濃青の光が、徐々に白に変わっていく。 「各個、破壊する!」 蜘蛛の爪を飛鳥の剣で受け止めつつ、宗一の位置に気を配る。いま宗一を守れるのは自分だけか。体重を乗せようとする蜘蛛からさっと離れるその際、一撃切り払う。 「嘆息、覚悟してもらおう」 数刃もせず、蜘蛛は瘴気となって消えた。 「‥‥さて、そろそろ出番かな」 戦いの様子を伺っていた弦一郎が、【鷲の目】を使った。 (アヤカシでなければ面白い光景だったのに‥‥残念だ。実に残念) 五人張をぎりりと引き絞る。喪越は女郎蜘蛛から、ルオウが既に引っぺがした。ゆわたはしゃくとり虫のごとく、女郎蜘蛛から離れつつある。 (頼みますね、喪越さんの光が頼りです!) そのまま、矢を放った。 女郎蜘蛛の声がその場に響く。弦一郎の矢が、喪越に伸ばされた手に突き刺さった。さらにもうひと矢。ルオウを背後から狙っていた蜘蛛の頭を貫いた。 「っ!」 ルオウが『阿見』を抜き、上段に構えた愛刀を、そのまま一気に【払い抜け】た。 致命的な一撃だった。 「っ、あ、あああうう‥‥ゴメンナサイ‥‥」 女郎蜘蛛は涙を流していた。しっとりと愁いをまとった瞳が、ルオウを見つめる。小刻みに震える細腕で、すがるようにルオウの袖をつかもうと――。 しかし。 「だまされるか!」 ルオウは冷静にその腕を切り払った。 「ああう!」 結局、手を変え品を変え、女郎蜘蛛はルオウを【魅了】の餌食にしようとしたが、一度たりともそれは成功しなかった。 (実際のところ、アヤカシでも俺はあんまり気にしないんだがなぁ。差別いくない) なんてな。と自分に突っ込みを入れつつ、喪越は【夜光虫】で彼女を照らし続ける。 その女郎蜘蛛を、誠親の『アーバレスト』が狙っていた。 「漢だけの熱い宴会、楽しみにしていたんですが」 遠江今川流機械弓術。 命中精度よりも、破壊力と連射力を追求した独自の型。 いつか彼の手で、我流は本流になる。 「目標捕捉、いきますよ」 ジルベリアで製造された大型機械弓から、矢が放たれた。 圧倒的速度でその矢は開拓者たちの間を通り抜け、蜘蛛たちの頭上を通り過ぎ、散りゆく花びらを貫いて、女郎蜘蛛の胸元にざっくりと突き刺さった。 「‥‥あ‥‥ああ‥‥」 女郎蜘蛛の動きが止まる。 「お、終わった?」 「油断はダメや」 宗一のつぶやきに疾也がそう返し、氷が「おー、さすが」とぱちぱち拍手をし、喪越が残念そうな目をして。 女郎蜘蛛は瘴気になり、散っていった。 ●男たちの華宴 「氷さん! うわっ! ちょっとっ」 女郎蜘蛛の糸から解放されたゆわたに、氷の【呪縛符】が絡み付いていた。 「遊び心は忘れちゃダメかなって」 氷は頭をぽりぽりかきつつ、さらりとそんなことを言う。 大量に地面から現れた蜘蛛たちは、女郎蜘蛛がいなくなったあとも俄然、ヤる気であった。開拓者たちは蜘蛛の量に苦労しつつも、なんとかすべて倒しきり、いまは宴会の準備をしなおしているところである。怪我をした者もいたが、氷と喪越の【治癒符】で、すぐに対処できる程度だった。 「できましたよ!」 和奏が二人を呼んだ。 「はいはーい」 【呪縛符】をやめて、氷はゆわたと連れ立って、桜のそばに向かう。 かがり火が桜の花を美しく照らし出す。散りゆく花は、雪のよう。 「それじゃ、取り敢えず始めようぜぃ」 氷が率先して乾杯の音頭をとった。 「なんだか、急に元気になりましたね」 「ん? そんなことないよん」 誠親の言葉にそう答え、氷は焼き魚に箸をのばす。 「で? なにがあったんだよ、ゆわたー」 弦一郎が用意した酒「桜火」を楽しみつつ訊ねるルオウに、「だから、アヤカシに襲われたんですって」と答えるゆわた。 「先輩、嘘はいけません!」 宗一が一升瓶を持って、立ち上がった。 「そうや! どういうことなんやルオウ〜〜〜!」 疾也がルオウを背後から襲った。手には一升瓶。 「おいぃ、おめー相手おるんちゃうんかぁ?」 既に完全な酔っ払いである。 「な、なんですって!?」 信じていたのにっ、と、宗一が青ざめる。 「身の潔白を、呑んで証明するんやっっ!」 疾也はルオウの口に一升瓶を突っ込んだ。 「だあああ! やめろー!!」 ルオウが疾也の腕をつかみ、そのまま放り投げ‥‥。 「うあ!」 そのままゆわたに激突した。 「‥‥」 そんな騒ぎと離れて、喪越はひとり桜を見ていた。 「‥‥喪越さん?」 弦一郎が漬物とかしおからとかが入った器を持って、喪越のところへやってきた。 「あれ、どうしたんです?」 珍しく、喪越は静かだった。 「弦一郎よ」 「‥‥なんでしょう」 「女の人って、柔らかいんだな」 今日は酒がうまい、と杯を乾かして、漬物をぱくりと食べる喪越。 (いやいやいや) アレはアヤカシでは? と口にしかけたところで、それを言ってしまうのもなんだかなぁと思い、弦一郎はぐいと酒をひと口。 「っひゅかさぁ」 目を回しているゆわたの頬をべしべしと叩き、氷が突っかかっている。顔が真っ赤だ。 「このひぇんが空いてたのって、アヤひゃしが出るとか噂があったんじゃね? おい、聞いてる? ひゅわた〜」 どうやら、先ほどの騒ぎに巻き込まれて、しこたま呑まされたらしい。ハイネルが氷を横に寝かせた。 「注意、しばらく静養するが良案であろう」 なんとなくのんびり呑みたかったハイネルだが、まあこういうのもいいかと微笑する。 (また腕が上がった気がしますね) その隣で呑んでいた誠親が、今日のひと矢を思い返している。 (いえ、まだまだ、今川流は、もっと高みを目指さなくては) 決意新たに、目の前の酒枡に視線を落とす。 表面に、桜の花びらがひらりと浮かんだ。 「誠親〜〜っ! 呑んでないんやないかぁ!?」 疾也の矛先が、今度は誠親に。 「ふっ」 誠親は余裕の笑みで、酒枡を乾かした。既に大量の酒瓶が、彼のまわりに転がっている。 「うぉ‥‥」 その量に、疾也は閉口した。 「今日は調子がいいみたいですね」 ふっふっふという誠親の笑い声が刺激したのか、氷がむくりと起き上がった。 「った〜。頭がくらくらする‥‥あ!!」 それ、ひと口も食べてない! と指差した先で和奏が鶏の天ぷらをひょいと食べていた。最後のひとつである。和奏はかくりと首を傾け「ご馳走していただけると聞きましたので?」と答えた。そういうことではないのだが、まあ酒の席で話がかみ合わないのは、よくあること。 「ですからっ、色恋はなるようになるんです!」 「そうですよ! なんとかなります!」 弦一郎が熱弁をふるっている。それに同意している宗一。酒がすすみ、食事を楽しみ、ようやく席は色恋談義に突入した。酒のせいか、普段は静かな人もけっこう大声で話している。 「っつかさー、面倒臭そうじゃねぇー? 女の子と付き合うとか」 「それは身も蓋も無いですって!」 「Yo! 想像してみるんだ! 相手が着物美人で、チラリズムがこう、全開に‥‥」 誠親の突っ込みに続いて、喪越が拳を振るう。 一瞬、ゆわたに着物美人を重ねて考えてみたらしいが、ビジュアル的にも実質的にも微妙だったっぽい。 「和奏、こういう騒ぎはあまり好かないか?」 色恋談義を傾聴していた和奏に、ハイネルが一杯の水を差し出した。 「いえ〜‥‥男同士の飲み会って、こういう感じなんですね。恋愛、面白いかもしれません」 その答えに、ハイネルはふっと微笑む。 「カップル殲滅作戦、決行するで!」 疾也の掛け声とともに、一部の男たちはその後河辺へくりだしたとか、くりだしていないとか。 男同士の飲み会に、終わりは無い。 了 |