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■オープニング本文 ●お昼前・ことの起こり 石鏡のとある田舎道。 ずっと遠くまで続いている青い空。 春がおわり、夏のはじまりが聞こえてくる。 「兄ちゃん、ほんとにやるの?」 道沿いの茂みの中から、二つの小さな影が顔をのぞかせた。 「ああ」 彼らの目の前には田植えをしたばかりの田んぼと、もふら様の大集団。 まだ年端もいかない男の子二人が、赤鬼と青鬼のお面をつけている。 「やっぱりやめよーよ。もふら様、つよいって聞くよ」 「やる!」 赤鬼のほうが、ばんと自分の胸を叩いた。 「われら『かぜのとーぞく団』は、やると決めたらかならずやるのだ」 「でも‥‥」 青鬼が、それを聞いてちょっと不安げな声を出す。 「なにをおじけづく! やると決めたら、かならずやるのだ!」 「わかった、わかったよ」 赤鬼の勢いに押されて、青鬼はしぶしぶうなずいた。 「よし、いくぞ!」 「せーぇのっ」 ずざっ! 飛び出そうとした少年たちは、突然びくりと固まった。 「誰もふ?」 飛び出す前に、二人はもふらに見つかった。 ● 「今日も暑いわねー」 もふらの大集団を先導しながら、牧場主の三春はひとりごちた。 最近まるで夏みたいな暑い日が続いたため、今日はもふらたちを連れて、水遊びに出かけたのである。あともう少し歩けば、穏やかに流れる川が待っている。 もふらたちも、涼しい水浴びを楽しみにして――。 「もっふぅーっ♪」 三春は足を止めた。 いまなにか聞こえたような? 眉間にしわができる。嫌な予感が‥‥。 「うわー! み、三春さんっ。大変です!!」 牧場の従業員、大畑の声。 三春はゆっくりと振り返った。 「‥‥っあ」 もふらたちが田んぼに入って遊んでいた。 どこから見つけてきたのか、赤鬼のお面をくわえている。 「返せ! 返せよ!!」 「ははっ、いやもふよ〜〜〜♪」 少年が顔を真っ赤にしてそれを追いかけている。青鬼のお面をかぶった少年が、しゃがみこんで泣いていた。もふらたちが心配そうにのぞきこみ‥‥いや、次々と変顔を繰り出して、からかっている。 「なにやってんの‥‥」 三春はくらりと天を仰いだ。 「お、大畑君」 「‥‥はい」 「開拓者を呼んできて。昨日、あそこのお宿に来たらしいから」 「合点!」 大畑が駆け出した。 三春の指差す方向に、小さなお宿が一軒建っている。 「急いでね! ‥‥こら! いい加減になさい!!」 三春の声で、もふらたちは一斉に田んぼに飛び込んだ。道にいたもふらも、一匹残らず。 |
■参加者一覧
瑞姫(ia0121)
17歳・女・巫
水鏡 絵梨乃(ia0191)
20歳・女・泰
静雪 蒼(ia0219)
13歳・女・巫
桐(ia1102)
14歳・男・巫
ペケ(ia5365)
18歳・女・シ
春金(ia8595)
18歳・女・陰
ニノン(ia9578)
16歳・女・巫
エルディン・バウアー(ib0066)
28歳・男・魔
リア・ローレンス(ib1791)
17歳・女・騎 |
■リプレイ本文 「なるほど。川へ連れ出して洗えと‥‥」 息を切らして開拓者達を呼びに来た高畑を前に、「お任せください、このペケが一肌脱ぎます!!」とペケ(ia5365)は自分の胸を叩いた。言うや否や、彼女は【早駆】で田んぼに向かう。彼女の着衣が、向かい風にきわどく揺れた。 「ん〜‥‥」 三春は紫煙をくゆらせて、木陰で開拓者達を待っていた。田んぼはけっこうひどいことになっている。もふらたちも泥まみれ。頭が痛い。 「ダメじゃないの! こういう面白いことに私を混ぜてくれないと!!」 そのとき、急速に接近してくる女の子の声が――。 ペケは畦を踏み切り台にし、田んぼでもふもふどろどろしていたもふらにジャンピングボディプレスで抱きついた。 「もふぅ!?」 突然の飛び入り参加にもふらたちはびっくりしたものの、楽しそうに泥と戯れているペケを見て、もふらたちのいたずら心に火がついた。お返しに、今度はペケにジャンピングボディプレスを仕掛けんと集まっていく。ペケに追いつくかたちで、開拓者達がやってきた。 「っ!」 パウロと一緒に田んぼにやってきたエルディン・バウアー(ib0066)は、はたと足を止めた。田んぼの脇にたたずむ大人の女性が目に入ったのである。彼女は自分と同じくらいの年齢に見えた。 「んっ、こほん」 エルディンは軽く咳払いをして髪型を整え、スマイルをぱぁっと輝かせて声をかけた。 「お困りのようですね?」 「ん? ああ‥‥もふらがちょっとね」 三春は煙管から口を離して苦笑いした。 「それは大変! 何とかしましょう。ああ、私はエルディン・バウアー。新教会の神父です。どうぞよろしく」 二人は握手を交わす。 「ありがとう。よろしく頼むよ」 エルディンの言葉に、三春も愛らしい笑顔で応えた。 ●もふら引き抜き作戦 開拓者達はもふら達を如何にせんと話し合いをしていた。 「田んぼ、けっこう大変なことになっておるの」 「まずはもふらさま達を何とかしないとね」 春金(ia8595)のつぶやきに水鏡 絵梨乃(ia0191)がぽつりと応じる。 「あら? どうしたのかしら」 畦にしゃがみこんで泣いている少年を見つけて、リア・ローレンス(ib1791)が声をかけた。少年を囲んでいたどろどろもふらが、田んぼに散って行く。泣きじゃくりながら、少年が事情を話した。 「兄ちゃんといっしょにもふら様をおどろかそうって‥‥うぐっ」 太平の頭をリアは優しくなでた。 「ほらほら、大丈夫ですよ。もふらは怖くないですから、安心してください。男の子がそんなに泣くものではありませんよ?」 太平はなんとか泣くのを止めようと一所懸命になっているみたいだ。リアの服のすそをぎゅっと握る。青鬼のお面をとって、太平はごしごしとまなこをぬぐった。 「うん、いい子ね」 やさしく励まして、リアは田んぼを見た。 「もふら様〜。あちらに川がありますから、そっちの方が気持ちいいですよ?」 宿から預かってきた手ぬぐいの山をどかりと置いて、桐(ia1102)がもふら達に声をかけてみた。が、数匹のもふらが振り返ったくらいで、泥から出てこようとはしない。 「‥‥あう、やっぱり無理ですか」 たははと苦笑いして、「私、田んぼの整地始めちゃいますね。これは時間がかかりそうですし」と袖をまくる。 「わしもそちらに尽力しようかの」 春金もにっこりと微笑んだ。 「もふ櫻ちゃん?」 そのそばで瑞姫(ia0121)とエルディンがそれぞれの相棒もふらに作戦を言い聞かせていた。 「もふ〜。あっちに参加したもふ‥‥」 もふ櫻は楽しそうに田んぼで遊ぶもふら達を見て、うらやましそうにもふもふ鳴いている。 「もふ櫻ちゃん、協力してちょうだいね!」 瑞姫はもふ櫻に、ぼそぼそと耳打ちする。 「ご褒美!?」 「ええ」 もふ櫻の大きな声に、瑞姫はこくりとうなずいた。 「‥‥お酒も頼むもふ☆」 もふ櫻はにこりと笑うと、田んぼに向かっていく。 「パウロ」 厳かな声で、エルディンは相棒もふらの名を呼んだ。 「もふっ?」 前足で田んぼの泥をこねこねしていたパウロは慌てて背筋を伸ばし、エルディンの方を向く。 「神協会の使徒ならば、人を助けるのが役目ですよ」 「わかったでふ! 神父様!」 大変良い返事ですとエルディンはパウロの頭をなでた。パウロのまなざしはいたって純粋だ。もふ櫻に続いて、田んぼに向かう。 「手伝ってもらってすまんのぉ」 ニノン・サジュマン(ia9578)が大きな風呂敷包みをもって田んぼに向かっていた。風呂敷の中には大きな丸盆があり、さまざまなおにぎりが並んでいる。その隣では、同じく大きな包みを持った静雪 蒼(ia0219)の姿があった。 「いいえぇ、うちもお菓子持っていかなと思うてましたし。田んぼさん、どないなってますやろなぁ?」 蒼の包みには同じくたくさんのおにぎりと、お菓子が入っている。おにぎりは【氷霊結】でつくった氷で安全・安心だ。宿の女将が手伝ってくれたおかげで、幾分早く出発できた。 「あとでしかってやらんといかんのぉ。食べ物を粗末にしたらいかんのじゃ」 帽子の角度が気になるらしいニノン。 「この時期言うても、暑ぅおすな〜」 太陽が、空の中心に差し掛かる。 「さあ、もふらさま達、遊びは終わりだぞ!」 絵梨乃が大きな声を出した。片手には芋羊羹。リアが柏餅をちらつかせる。 「美味しいものがいっぱいですよ〜」 瑞姫がもふら達に手を振る。 「さっき、ご褒美って聞こえたもふ」 もふら達がもふもふと話を始めた。ご褒美ってなにもふか。おいしいもふか。もふら達の一部は呼びかけただけで開拓者達の方に集まってきた。が、絵梨乃は芋羊羹を渡そうとしない。むしろぱくりと自分で一口かじった。 「もっ! 一人で食べるなんてずるいもふ!!」 絵梨乃はニヤリと笑う。 「ええ? そんなどろどろじゃ、お菓子はあげられないなぁ」 川に行って綺麗にしてこい、と付け加え、「はやくしないと食べてしまうぞ」と芋羊羹をふりふりした。それを聞いていたペケが、がばりと立ち上がった。どのもふらよりもどろどろになっている。 「まずいですよ! このままじゃ、おやつ抜きになっちゃいます」 周囲のもふら達とぼそぼそと何か相談しはじめた。 「それもそうもふね」 「おやつが食べられないのは嫌もふ!」 もふら達の反応は上々だ。ペケは絵梨乃にウィンクした。 (ありがと!) 絵梨乃もそれにウィンクで返す。 「では、ここは一つ言うことを聞いたフリをするってことで!」 ペケがそう締めくくり、もふらの団体が動き始めた。 「それじゃあこっちもふよ〜☆」 もふ櫻が畦に上って、先頭を切って川へ向かい始めた。ペケともふら達もそれに続く。 「見るでふ。みなも動いたほうがよいでふよ」 それでも田んぼが楽しいらしく、なかなか動こうとしないもふら達にパウロが説得を試みていた。 「さあ行くでふ!」 田んぼの中から立ち上がり、パウロも川へ向かう集団に加わっていく。それにつられて動くもふらもいた。 「お?」 もふらの多数が移動を終えようというとき、ちょうどニノンと蒼が合流した。エルディンの声が聞こえる。 「米はお百姓さんが八十八の苦労を重ねて作るものですよ」 やさしい口調だが、言葉の端々に鋭さが見える。 「お前達、いい加減にしないか」 三春が腕組みをして畦に立っていた。エルディンもその隣にいる。田んぼの真ん中に、2m級のもふらとその取り巻きが、ごろごろと眠そうにしていた。手伝ってくれるもふらと一緒に田んぼを直しながら、春金と桐が心配そうにその様子をうかがっている。 「ああー、悪い子おすなぁ。ん?」 蒼が眉根を上げる。ニノンが風呂敷包みを茂みに隠していた。 「皆の者! 田んぼが終わったら昼飯じゃぞ! 泥んこもふらなど放っておいて、川で握り飯を食おうではないか!!」 鱈子に鮭に、昆布の佃煮‥‥あーあ、これはすぐになくなってしまうじゃろうなぁと、ニノンは握り飯の数を指折り数える。巨大もふらのまゆが動いた。しかし、まだ眠たそうにしている。 「悪い子ぉにはお仕置きが必要やわ〜♪」 蒼がどこか楽しげに巨大もふらに近づいていく。 「もふ?」 気がつけば、巨大もふらは開拓者たちに囲まれていた。取り巻き達が「そろそろ動いたほうがよさそうもふ」といった表情で巨大もふらを見上げている。 「――もっ!!」 そのとき、それまでピクリとも動かなかった巨大もふらが飛び上がった。 「あ‥‥」 【氷霊結】で作った氷を手に、桐が驚いた顔をしている。こんなに敏感に反応するなんて。それを見た蒼が黒く微笑んだ。 「ここは大切なお米さん育てはる場所やぇ? その場ぁを‥‥」 手近な水溜りの水を氷に変えていく。巨大もふらは震え上がった。 「きちんと直さなあきまへんぇ?」 蒼は笑顔である。努めて。その笑顔からぞくぞくと寒気を感じた巨大もふらは、ついに立ち上がった。 その後、一部もふらと少年二人にニノンの雷が落ちた。リアが心配そうにその様子を伺っている。 「田圃を荒らすは食べ物を粗末にすることと同じ。あとで田圃の持ち主に謝ってくるがよい!」 ニノンの言葉には見た目の数倍迫力があった。 (ありがたいな。私から言おうと思っていたけど、かえっていい薬になったみたい。少年達にもいい勉強かな。あとでお礼を言わなくちゃ) と、三春はひそかにそんなことを思っていたという。 それ以降はすっきり頭を切り替えて、ニノン達開拓者は一気に田んぼの整地を終わらせた。いよいよお昼だ。開拓者達は、川へ向かう。 ●川もふ! 「いい眺めだ」 いま絵梨乃は大きめのもふらにまたがり、川辺の岩の上にいる。小脇に泥だらけのもふらが一匹。眼下では、同じく泥だらけのもふらを開拓者達が洗っていた。 「おまいさん暴れすぎじゃ! あはははっ!!」 春金が跳びまわるもふらを一生懸命捕まえようとしている。その隣で、桐も「もう、こんなに汚れて〜」ともふらの泥を落としていた。 「へえ! けっこうお野菜が好きなもふら様がおおいのですね☆」 瑞姫はもふらにいろいろ尋ねながら、泥を落としている。その傍らでは、既にふかふかもふもふのもふ櫻が、お酒を飲んでまったりしていた。 「うん、いい眺めだ。うん」 絵梨乃はうんうんとうなずいた。若い娘が川でお洗濯‥‥しかも暖かいので、みな薄着になっている。胸がときめく。だが、なんとなく絵梨乃は物足りなかった。 蒼は焚き火の管理につきっきりだし、ニノンは陽射しがっちりガードでおとなしい。リアは手ぬぐいでもふらをごしごししており、滑らかなもふらの毛に感動している。どうも足りない。攻めっ気が足りない。 大人の事情で書くとまずい状態になっているペケを除いて。 「大きい桃、発見もふ!」 モフペッティの声が聞こえてくる。大きい桃は慌てて両手をばたばたさせて、水の中に沈んだ。 「いくぞ、あらぶるたかのぽーず!!」 高らかな叫びとともにもふらの背中で【荒鷹陣】を決めると、絵梨乃はもふらごと川へと飛び込んだ。 「ん? おおおお、うわあああ!!」 大きくうねった波が、おとなしくもふらを洗っていたエルディンを襲った。ずぶぬれである。 「なにをしてますぇ?」 ぶちゅうと人工呼吸ウェルカムモードになっていたエルディンに、蒼が声をかけた。エルディンはいつのまにか、焚き火のそばで横になっていた。パウロが連れてきてくれたのだろう。蒼の膝の上でおとなしくしていた。 ニノンの声が聞こえてくる。ニノンは少年達と水きりをして遊んでいた。 「なんだ、風の盗賊団たる者、これくらい朝飯前じゃろう?」 「まけるわけないだろ、おれが!」 赤鬼のお面を取り戻した洋輔が、元気よく石を投げる。石は一回跳ねただけで、すぐ川に沈んだ。 「くそー!」 洋輔を見て、太平がニコニコしている。 「ボクを置いて楽しそうにするの禁止!!」 そこに絵梨乃が襲来した。絵梨乃は本気で逃げるニノンを捕まえ損ねて、手近な洋輔を抱えあげる。下着姿の絵梨乃に抱えられて、洋輔は顔が真っ赤だ。 「うわっ! ちょっと!!」 何も言わせず水の中へ。 「にいちゃ‥‥ごふっ」 太平も水の中へ。 「あ‥‥わ、わしも?」 もふらを洗っていた春金をお姫様抱っこし、にっこりと絵梨乃は微笑むと「もちろん」と言って春金と一緒に川の中央に飛び込んだ。 「いやー、あったまってぽわぽわやぁ」 しゃくしゃくとパウロに櫛を通しながら、蒼はうれしそうにほほを赤らめていた。 「ここ、いいかな?」 三春が焚き火にやってきた。 「あ、えええ! どうぞ」 エルディンがびしっと背筋を伸ばす。 「あ、エルディンはんと三春はんは、ちょっとここにおってください」 櫛を通し終わったパウロがぴょんと蒼の膝から飛び降りる。川辺では、巨大もふらがまさに太陽に照らされて、ぽかぽかふわふわになっていた。 「う、うちも参加しますぇ!!!」 蒼は焚き火を二人に任せると、ダッシュでもふらに飛びついた。 「うわあぁああ!」 蒼は感動した。やわくてほわほわ、あったかである。 「すごくもふもふしてるんですねっ」 リアが巨大もふらに抱きついて目をきらきらさせている。巨大もふらがゆっくり座った。上に乗れということだろう。 「い、いいんですかっ?」 リアの言葉に、巨大もふらがこくこくとうなずく。 「じゃあ、お言葉に甘えて‥‥」 リアが背中に乗ると、「う、うちも!」と、蒼が飛び乗る。我慢できなかった様子のニノンも相乗りだ。 「いいなぁ」 と、もふらの腕あたりに抱きついていた桐に、巨大もふらは目配せした。 「い、いいんですねつ!」 四人を乗せて、ぐぐぐぐ‥‥と巨大もふらは起き上がった。 「「「「きゃ〜〜〜っ」」」」 黄色い歓声がわく。 「注目!!」 モフペッティの声が響いた。川辺の岩の上で、ペケと一緒に変なポーズをしている。 「必殺! 超精霊! チェルノブモフ・アタァァァァァァック!!」 ペケとモフペッティの絶妙なコンビネーションが織り成す超精霊の技が、いま放たれた。いわゆる、ダイブ。二人(?)はそのまま着水した。ぷかりとペケの褌が水面に浮かび、流れていく。今日2度目。 「あ‥‥」 「に、にいちゃん見すぎだよ!」 「あ‥‥うん‥‥」 絵梨乃に川へ投げられていた兄弟が、顔を真っ赤にしてうつむいた。 「これからは、あんまりいたずらをしたらいかんのじゃ」 別れ際。 春金から金魚をもらった兄弟は開拓者達に深々と頭を下げ、仲良くなったもふらに憎まれ口をきき、三春と高畑に手を振って、村へと帰っていった。 「本当にありがとう」 三春のお礼を受け、開拓者達はにこやかに宿に戻った。 それからしばらくして。 再び現れた風の盗賊団に、小さな仲間が増えていたとかいなかったとか。 了 |