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■オープニング本文 そこは、石鏡にあってはさして珍しい訳ではないとある神社だった。 石鏡では、大抵の村や町では大なり小なり、神社を構えているものだ。その多くは好意的に受け止められているようだが、中には勿論(?)そうではない神社も存在する訳で。 「助けて下さい」 思い詰めたような眼差しで開拓者ギルドのカウンターに座った、真面目そうにピッと背筋の伸びた男から出た言葉に、コクリ、と受付嬢の風羽(かざは)は小首を傾げた。簪がシャラン、と揺れる。 受付用紙を取り出して広げ、筆に墨を含ませて「どうぞ」と促した風羽に、頷いた男はだが、しばし言い淀んだ。口を開いては閉じ、また開き。 「つまり、その‥‥うちの神社が、経営難でして」 「‥‥‥はい?」 出てきた思いも寄らない言葉に、風羽は反対側にコクリと小首を傾げ、問い返した。ここは開拓者ギルドであって、悩み事相談所ではない。 彼女の反応にますます眉根を寄せ、思い詰めた表情になった男が、ポツリ、ポツリと語り出した事には。 「‥‥巫女の居つかない神社、ですか?」 「ええ、まぁ‥‥と言ってもアヤカシなどが出ると言う訳ではなく、ただ単純に、うちの神社は結構辺鄙な村にありまして、不便さを嫌った巫女がすぐに逃げ帰ってしまっていた、らしいのですが」 男、ミカナギが先頃新たに巫女となった神社は、中央からはかなり外れた、行商人ですら滅多に近寄らないような山の中にある。そこに至るまでの道は、街道とは名ばかりの獣道。村自体はそこまで小さくはないのだが、そんな環境では村の若者は町へ出たがる一方で。 当然、そこに派遣されてくる巫女も、最初は頑張っている者も居た様だが、揃って音をあげて逃げ帰った。酷いのになると村の若者や娘と良い仲になり、手に手を取って駆け落ちした者まで居たらしい。 そうなると村人の神社への信頼も消し飛んだ。神社は中央から僅かな手当てもあるが基本は独立採算制、つまり村人などからのお賽銭や寄付やらで賄うのだが、そんな神社に誰がお賽銭なり、寄付なりをしようと思うだろう? 必然として、神社は経営難に陥り、ますます巫女は居つかなくなり。 「そんな状況なので、私もいずれは――と思われている、のですよね。おかげさまで社殿の補修にも手が回らず、あちこち床が抜けるやら屋根が飛ぶやら」 「はぁ‥‥もういっそ、諦めちゃうとかは駄目なんですか?」 「いいえッ。これは何としてもやり遂げて見せよという試練に違いないのです‥‥ッ」 何の試練だ、とは勿論、風羽は突っ込まなかった。グッ、と拳を握ってどこか違う世界を見ているミカナギを眺める――ちなみにミカナギは男性の巫女なので、村の若い娘は手をつけられちゃいかんと神社に近付かないように言われているらしい。酷い話である。 思い詰めた表情で深く、深く溜息を吐くミカナギ。無意識に胃の辺りをさすっているのが、何かリアルで泣ける。 風羽は同情的にミカナギを見た。だがこの状況で、一体どうすれば良いと言うのだろう? しばし、彼女は筆をくるくる回して考えた。だが妙案が思い浮かぶはずもなく。 「‥‥判りました。取り敢えず、開拓者に何とかして貰いましょう」 「何とかなりますか!?」 「何とかして貰いましょうッ」 パッと顔を明るくしたミカナギに、強い口調で重ねて風羽は言い切った。考え過ぎて頭が混乱してきたから、取り敢えず依頼を出して開拓者を集めようとかは、勿論考えていない。 そうしてその、神社復興依頼(?)は開拓者ギルドに並ぶ事になったのである。 |
■参加者一覧
鷹来 雪(ia0736)
21歳・女・巫
玉櫛・静音(ia0872)
20歳・女・陰
深山 千草(ia0889)
28歳・女・志
出水 真由良(ia0990)
24歳・女・陰
巴 渓(ia1334)
25歳・女・泰
のばら(ia1380)
13歳・女・サ
皇 りょう(ia1673)
24歳・女・志
朱音(ia2875)
14歳・女・巫 |
■リプレイ本文 その村は山の奥にある。村へと続く細い山道は、勢い良く伸びる枝葉と下草に覆われた中にぽっかり道らしき空間が空いている、という程度のもの。その先に村があると知っているか、ふいと気まぐれの虫が動かなければ、辿ってみようとは思うまい。 なるほど、と巴 渓(ia1334)はその山を見上げた。依頼を受けた開拓者ですらそう思うのだから、通りすがりの旅人など尚更だろう。 「これじゃ客も来ねぇな。やっぱり環境から見直さなきゃなぁ‥‥」 「ほんとだね‥‥」 のばら(ia1380)が村の様子を思い返し、普段ほけほけした彼女らしからぬ溜息と共に肩を落とす。実は開拓者達が村を訪れた時、すでに村人との間に一騒ぎがあったのだ。 依頼を受けて集まった開拓者が顔を合わせてみれば偶然にも全員が女性だった。故に、村人から『いずれ村娘に手を出すのでは』と疑われている依頼人にこれ以上あらぬ疑いが掛かってはいけない、と半数が別行動で、偶然訪れた旅人を装って村に入る事にした、のだがしかし。 前述の通り、村へと続くのは滅多に人も通らぬ山道が一本きり。そんな村に、4人もの開拓者が『偶然』『神社の噂を聞いて』やって来たという事実を、村人はこう受け止めた。 つまり、ついに我慢出来なくなったミカナギが女開拓者達を騙して遊び相手なり、囲いものにする為に呼び寄せたのに違いない、と。 お陰で、最初に『旅の途中に立ち寄り参拝などしたいのですが』と訪れた玉櫛・静音(ia0872)はまだしも、次に『神社の逸話や縁を辿って』来たと言う出水 真由良(ia0990)や『霊験あらたかな神社があると聞いた』皇 りょう(ia1673)が到着し、ついに『面白そうな神社があるから寄った』朱音(ia2875)の登場に、村人達のミカナギへの不審はピークに達した。 開拓者達にこそ 「この村にあるのは『人取り神社』って言う、タチの悪い巫女が住み着いている社だから帰った方が良い」 「今なら巫女も居ないし」 「裏山を越えて逃げるルートを教えてやるから」 「そうだぜ、ねーちゃん達、人取り神社に近付いたら巫女に取られて攫われちまうっておとう達が言ってたぜ!」 と好意的(?)に接してくれたが、その裏にミカナギへの不信がある事は疑うまでもない。子供まで口を揃えて言うのだから徹底している。 まぁ普通、めったに隊商も来ないような村に、非常に評判の宜しくない神社を尋ねて妙齢の女性が立て続けにやって来れば、裏があるのじゃないかと疑う訳で。下手に『巫女様なんですからそんなに酷い人が居ると思えませんけれど』と庇う言葉を口にすれば、ミカナギ以前の代々の巫女の悪行を寄ってたかって教えてくれた。 やがて、帰って来たミカナギに遠慮なく氷点下の視線を向け、やって来た残る4人の開拓者達にもこの男はスキモノだから帰った方が良いと本人を目の前にして言い出すに至り、ついに耐えられなくなったりょうが、自分達は神社の補修の為に雇われた開拓者であり、先に理由を偽って訪れたのはミカナギの居ない所で実際の神社の様子を確かめたかったからだ、とぶちまけた。それでようやく村人は、なら最初からそう言ってくれれば、とブツブツ言いながらも、開拓者達がミカナギの愛人などではない事に、一先ずの理解を示してくれたのである。 依頼達成の上で、時には嘘を吐く事も必要だ。だが場合によっては、事を円滑に進めようと吐いた嘘が余計に事態をややこしくすることも、ある。 その事を思い出し、ちょっとウンザリした表情になったのばらと渓は――いや、本当、結構怖い雰囲気だった――獣道を見上げ、気合を入れる。 「うっしゃ、まずは下草をどうにかしないとな!」 「力仕事は得意なのです♪」 村人から借り受けた鎌を手に、グッ、と力拳を作って獣道に挑む2人。しかし、常人を遥かに上回る胆力を持ってしてもなお、村まで草を刈り切るのはかなり大変そうだった。 ◆ いっそ廃屋と言った方が良いんじゃないかと思えるボロボロの神社の中で、白野威 雪(ia0736)はミカナギと向き合っていた。 「ではミカナギ様はやはり、村の皆様に受け入れられる神社を‥‥と」 「はい。経営難も非常に頭の痛い問題ですが、総てはうちの神社が村人に見放されたが為。ならばまずは村人の心を取り戻すのが寛容か、と」 だが、先ほど渓にも聞かれたのだが、具体的にどうするか、という所まで考えが及ばない。というかそこが判っていれば、そもギルドに依頼を出していない。 そうですか、と雪は頷いた。す、と静かに立ち上がり、傍らの木槌を手に取る。 「それでは、まずは出来る事から致しましょう。まずはこちらのお社を何とかしなければなりませんね」 「掃除だけは欠かさぬようにしているのですが」 そう肩を落としたミカナギが言うだけあって、確かに社殿は勿論、境内にも塵一つ落ちていない。雑草もきちんと抜いて草木の手入れも怠っていないのが、一見して良くわかる。 が、如何せん、ボロイのだ。屋根板も飛んであちこち雨漏りの跡があり、廊下も、つい先ほどもうっかり腐っている所を踏み抜いた仲間を神風恩寵で回復した。 むしろ新しく建て直した方が良さそうだが、金銭的にも時間的にもそんな余裕はない。ならば出来得る限り、社殿を直しまくるしかない。 道具は村人に頼めば貸してくれた。神社と巫女に対する心象がこの上なく悪いだけで、基本的に村人達は親切だ。逆に言えば、気の良い村人が悪し様に言う位、これまでの巫女が酷かったのだろう。 それは村人から話を聞いて回った深山 千草(ia0889)と真由良にも感じられた。社殿の修繕の合間に、ミカナギと共に村に出て何か困っている事はないか尋ねた彼女達を、追い返しこそしなかったが、神社に助けて貰う事など何もない、巫女は信用できない、ときっぱり首を振る。それも全員が、だ。 真由良が控えめに、そっと訴えてみる。 「こちらの神社は、昔、この辺りで良く起きていた山火事を防ぐ為に、火の精霊様をお祀りしたのが最初と伺いましたが‥‥」 「ああ、そうさ。村のモンだって精霊に敬意は払ってるがな、それとこれとは別だ」 「なぁアンタ、アンタもどうせこんな村、嫌だろ? 巫女なんざ居なくとも、お社の精霊様は俺らがちゃぁんと面倒見てやるからよ」 つまり、遠まわしに『出て行け』と言う言葉に、流石に千草と真由良は絶句してミカナギの顔色を伺った。そのミカナギも、顔を蒼くして唇を噛み締めている。 どうせいずれは出て行く相手と、ミカナギは最初からレッテルを貼られているのだ。ギュッと、拳を握って俯いた男に、千草は穏やかな表情で問いかける。 「それでも‥‥辛くても頑張ろうとなさってらっしゃるのよね?」 逃げ出すのではなく、立ち向かおうと。その言葉に、コクリ、と頷くミカナギ。のばらも言っていたが――彼はこの村で、この神社でやっていく為に、開拓者の知恵を借りようとしたのだ。 その不器用なまでの真っ直ぐな態度に、そう、と千草は目を細める。 「では諦めず、頑張るしかないのね。そうしたお気持ちは、口に出さずとも、伝わるもの」 誤解はいつか、解けるはずだと。その為にもミカナギ自身が向き合わなければ、と告げる千草に頷いて、キュッ、と前を向いたミカナギは村人全員に声をかけ続けた。最後まで、逃げ出しはしなかった。 その姿に、真由良は思う。 (一人神社の為に尽くす姿、事実として尊敬の念、抱きますから) だからその成果が上がれば良いと、心から願った。 ◆ 朱音の計画は、ある意味非常に判りやすかった。 「人心掌握の基本は物欲! そして親を落とすにはまず子供よ! って訳でお菓子は必要経費ってことでおにーちゃんが払っておいてね♪」 あっけらかんと憎めない顔で買ってきたお菓子の山を指差されても、ない袖は振れない。何しろ開拓者への報酬もギリギリ頑張った位(でも少な目)の、経営難の神社である。 何とか半額だけ持つという所で話は落ち着いて(後でその話を聞いた千草が真剣にミカナギの食生活を心配した)、意気揚々とお菓子の山を抱えた朱音は、狙い通り子供心をグッと掴む事に成功していた。甘いモンは誰もの心をくすぐるものだ。この村は隊商が滅多に来ないので尚更。 お菓子効果と、鬼ごっこにかくれんぼ、歌留多、おはじき、その他諸々、あらゆる遊びで実力を見せ付けて、朱音はたちまち子供達のガキ大将に君臨した。遊びが強い事も、ガキ大将の必須スキルだ。 「よぉっし、じゃあ次はみんな大好き、開拓者ごっこをします。依頼は神社に巣食う悪の巫女を‥‥」 「こら、朱音! それはさすがに洒落にならないから止めておけ」 「‥‥ったぁ‥‥」 次はどんな遊びをするんだと、ワクワクした目で見上げてくる子供達の前で胸張り宣言しかけた朱音の頭を、偶然通りがかったりょうがちょっと強めに小突いて止めた。手加減はしたのだが案外痛かったらしく、ちょっと涙目で振り返った朱音に、見てみろ、とそっと子供達を指差す。 それに、子供達のやる気に満ちた顔を見た朱音は、なるほど、と苦いものを飲み込んだ。洒落じゃなく、村の人間にとって神社に巣食うのは『悪の巫女』なのである。それは子供達の中にも、否、子供達の方がより純粋にミカナギ=悪だと疑っていない。 そこに、遊びとは言え突撃命令を出せば、どうなるか。開拓者がミカナギをやっつけても良いと言ったと、朱音の言葉を大義名分に、遠慮や加減など知らずミカナギを攻撃し始めるだろう。 ミカナギも巻き込んで子供達と触れ合いを、という考えは良かったのだが――いささか、実行するには時期が早すぎるようだ。 「んー、仕方ないな。じゃあ依頼は変更、このお姉さんと一緒に神社で修理のお手伝い! 材料をたくさん運べたらお菓子をあげる!」 「の、のばら達の草刈も手伝って欲しいのですが‥‥ッ」 ふらふらふら〜、と街道から続く一本道を上がってきたのばらが、ぺたん、としりもちをついて座り込んだ。ひょい、と山道を覗き込むと汗だくの渓も黙々と草刈中。4分の3ほどは終わっているようだが――開拓者の体力を持ってしてまだ終わらない事実に驚嘆すればいいのか、すでに結構な山道の半分以上の下草を刈り取った開拓者の体力に驚嘆すれば良いのか。 子供達はちょっと顔を見合わせると、パタパタ草刈に走っていった。神社に近寄るのはちょっと‥‥らしい。 りょうが、深い溜息。神社の修繕はすぐに終わるようなものではなく、一息入れようと村まで降りてきた彼女もまた、村人達に『何もされなかったか』『今のうちに逃げれば』と進言され、些かウンザリしていた。 子供達と一緒に駆けていった朱音を見送り、汗だくで肩で息をするのばらに声をかける。 「そちらはどうだ?」 「あとちょっと、ですけど、これが結構厳しいのです‥‥はぁ」 でも頑張りますよッ! と華奢ななりに似合わぬ力こぶしをぐっと握り、自らに気合を入れるのばら。渓と2人、黙々とした草刈を続けていた時も、村人達は彼女達に対しては『悪いね、ご苦労さん』と労いの言葉をかけてくれた。気は、とても良いのだ。 彼らが厳しいのはただ、ミカナギに対してだけ。そしてそれは、ミカナギ自身を見ている訳ではなく、今までの巫女達の積み重ねゆえ。 だから。 「ミカナギさんは違うって、皆に判って貰えたら良いですね」 そのためにももう一頑張りですッ! と子供達と朱音がきゃいきゃい賑やかに草刈を始めている山道に戻っていく背中は、とても頼もしかった。 ◆ 「大分、形が整ってまいりましたね」 手にした木槌はそのままに、ふぅ、と静音は少し離れた場所から社殿を見渡した。何しろ元が元なので、屋根や廊下に開いた穴を板切れで塞ぐだけでは不恰好な事この上ない。と言って実用性に欠けても困るので、その辺りの配分が微妙だった。 塞いだ穴の周辺を薄い板で覆うとか、或いは思い切ってその部分を切り落としてしまって新たな材木を入れるとか。 日頃ミカナギが欠かさず掃除をして居るお陰で目立った汚れなどはないが、こうしてあちこち補修していれば、普段は目の届かない梁の上のゴミとか、作業中に出た木屑もポロポロ落ちている。いちいち掃除するとキリがないので、掃き清めるのは最後だ。 この神社に、ご神体のようなものはないらしい。ただ社殿に奉られる精霊に巫女は日々仕え、村を守護してくれるよう祈る。それに感謝の気持ちを込めて村人が寄付なり、お布施なりをしていく、と言うのが本来のスタイル。 境内の外れの方には、小さな畑が作られていた。千草の、少しでも食費を切り詰める為に食料を自分で作ってみては、という提案に寄るものだ。問題はミカナギがあまり畑仕事に詳しくない事だが、体力だけはある様なので大丈夫だろう、多分。やり方、教えていくし。 来客の相手をしていた雪が戻ってきて、静音の横に並んだ。 「些か、厳しい事を言われてしまいました」 「‥‥でも、言って下さるならまだ、望みはありますね」 『人取り神社』が騒がしいというので、ミカナギが他の開拓者と共に出かけた所を見計らってやって来た村の老人が言ったのは一つ。ただ神社に居るだけの巫女など、彼らは望んで居ない。といっていずれ出て行く巫女も要らないのだ、と。 静音の言う通り、言ってくれるなら対処は出来る。一番怖いのは、何も言われない事だ。文句かもしれない、でも言ってくれると言う事はまだ気持ちが神社から離れ切っては居ないと言う事。ミカナギは違うかもと、少しでも思ってくれているかもしれない、と言う事。 それには開拓者の存在も大きいようだ。依頼とは言え、8人もの人間が神社の為に身を粉にして一生懸命働く姿と、初めて村にやってきて会話しようとしたミカナギ。もしかしたらと、その光景が何かを訴えかけたらしい。 とは言え、継続は力なり。開拓者達が居なくなったらそれで終わり、では意味がない。後はミカナギが頑張り続けられるかどうかだが、静音や雪の目から見る限り、それは心配ないだろう。 だから後は、出来るだけの事を。 「そろそろ休憩でしょう? お茶と、握り飯をたくさん作っておきましたから」 「ありがとうございます。じゃあ皆さんも呼んできましょうか」 雪の言葉に微笑んで、静音は手にした木槌を置き、村へ向かった。途中、すれ違った村人にはにこやかに会釈して、また神社へもお越し下さいませね、と微笑む。 そうして、見つけた仲間達に休憩の声をかけると、誰もの顔に嬉しそうな笑顔が浮かんだ。 ◆ 社殿を修復し、村までの道を整え、幾つかの影響を村人やミカナギに残して、開拓者達は帰っていった。後は、ミカナギ次第である。 |