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■オープニング本文 ●酒を飲むから飲まれるんだ 武天は此隅、美味い酒と女将の豪快な料理で愛されている酒場、『採掘野郎亭』。 女将は何度目になるかわからない溜め息をついた。 「へいおかみー、さーけ! さーけ! さーけ!」 この酔っ払いは、もう何日いるかわからない。妻と子どもが引っ張っても戻らない。 「へへへ姉ちゃんいい尻しとるのう」 「きゃっ!」 スケベ爺さんはお手伝いの女の子の尻を触るのに忙しい。たった一人の従業員なんだから、やめられては困るんだけど。 「あったく、なーんであんた達ってばこんなに酒に弱いのかなぁ。それじゃ、この金はいただくよ!」 次から次へと自慢の酒飲みを撃沈させるうわばみ姐さん。おいこら、いったいいくら飲んでるんだい。 普段は鉱山や織物工房で働いている男女、計十人。 少なくとも正月からは、ずっとこの酒場で飲んでいる。 もう一度、溜め息。そして意を決して酔っ払いどもに近づく。 「ちょっとお前さん達! 正月休みはもう終わり! さっさと仕事に戻らんかい!」 自慢の大声で怒鳴りつける。 けれど沈黙は、一瞬。 「おかみーいいからさけくれやー」 「いてて姉ちゃんお盆で叩かないでくれやちょっと触っただけいたた!」 「あたしよりも酒が飲める奴はいないかー!」 誰も聞いちゃいなかった。 そろそろ職場や家庭からも抗議が来ているが、力自慢の男もいるし、女将とお手伝いさんだけじゃどうにもならないのだ。 女将は頭を抱え、また溜め息。 「誰か、この酔っ払いどもをなんとかしておくれよう……!」 ●酔っ払い達を追い出して! 武天での依頼の帰りに開拓者ギルドで偶然顔を合わせ、意気投合していた開拓者達に、「ちょっとした依頼なんですが」と声をかけたのはギルドの受付係。 その隣では、酒場の給仕らしい少女が、すがるように頭を下げている。 「この町にある酒場『採掘野郎亭』に居座った酔っ払い達を、なんとかしてほしいんです」 そう説明する受付係の隣で、「お願いします!」と開拓者達を見つめる少女。 聞けば採掘野郎亭のただ一人のお手伝いさんで、女将の困り具合を見かねて開拓者ギルドに駆け込んだそうだ。 少女の額には、まだ汗が輝いている。 酔っ払いに酷い怪我人や死人が出なくて、店に損害が出なければ手段は問わない。 新年の初仕事にでもどうか、困っているらしいと頼まれて。 神楽に帰る前にとそれを引き受けた開拓者達は、採掘野郎亭へと向かうのだった。 |
■参加者一覧
無月 幻十郎(ia0102)
26歳・男・サ
犬神・彼方(ia0218)
25歳・女・陰
葛城 深墨(ia0422)
21歳・男・陰
阿留那(ia1082)
18歳・女・志
天野 瑞玻(ia5356)
17歳・女・砲
モハメド・アルハムディ(ib1210)
18歳・男・吟
緋姫(ib4327)
25歳・女・シ
藤吉 湊(ib4741)
16歳・女・弓
シーリー・コート(ib5626)
18歳・女・砲
Kyrie(ib5916)
23歳・男・陰 |
■リプレイ本文 「酒はぁいいもんだ、美味いし良い気分になれぇる」 犬神・彼方(ia0218)が愉快そうに呟けば、仲間達の幾人もが頷いた。 もっともシーリー・コート(ib5626)は、「私は旦那様に禁酒を言い渡されていたのでお酒にはあまり縁がないでありますが」と首を傾げたが。 「だが、それぇで迷惑かけるよぉなら酒のみとしてぇは失格だぁね」 その言葉に阿留那(ia1082)が頷いて。 「酒は飲むものではなく、楽しむもの。そう心得れば、こうも溺れることはないでしょうに」 「お酒は飲んでも呑まれるな。常識よね」 緋姫(ib4327)がそう賛同する。 「アーニー、私の氏族では酒類は禁忌。そのような酒を以て迷惑を掛けるはハラーム、禁忌の極みです」 モハメド・アルハムディ(ib1210)は、祈るように目を細める。 「女将さんもさぞ困っているでしょうね。私でお役に立てることがあればいいのですが」 派手な姿ではあるが、丁寧な口調のKyrie(ib5916)の言葉に、給仕の少女がぺこりと頭を下げる。 「どうかよろしくお願いします!」 「任せろ」と笑いかけ、葛城 深墨(ia0422)は酒場の扉を勢いよく開ける。 「うわ、楽しそうだな……俺も混ざりてぇ」 それが、第一声だった。 「おっ、ねぇちゃんおかえり〜。ん、誰だそいつら」 「まったくねぇ最近の若者は……」 混沌とした状態の酒場で、幾人かだけが顔を上げる。 「なんやろね、これ」 藤吉 湊(ib4741) は、呆れて呟いた。 「また随分と迷惑な酔っ払い客が多数いるのでありますね」 シーリーがそう呟いて、腰の銃に手を伸ばす。弾は抜いた。 「っと、でも仕事はちゃんとしないと」 深墨がはっと我に返る。 「全く、正月早々から飲んだくれなんて……仕方ないわねぇ」 天野 瑞玻(ia5356)が、弾を抜いた銃を手にくす、と笑みを浮かべて。 「酒は飲んでも飲まれるなと言うし、さて、追い出しますか♪」 無月 幻十郎(ia0102)が頷いて。 「いつまでも酒場に入り浸ってる愛すべき酒呑みたちに、一旦お引取り願おう」 「酒持ってこーい!」 さぁ、酔っ払い達を相手に、戦いの始まりだ! 「よぉ。ここぉ、空いてるかぁい?」 「おぉ〜? 兄ちゃんも酒飲みかい?」 おっさんが快く椅子を引くのに、にっこり笑って彼方は腰掛けた。 「最近調子はどうだぁい?」 「いやぁ、それがみんなツケを払ってくれなくてなぁ」 「そりゃぁ大変だぁ」 おっさんと飲みながら、次第に話題は家族の方へ。 「どうだぁ? 家族がぁ待ってるんじゃねぇのかぁい?」 「うーむ……大晦日に収入がなくてねぇ……ろくに新しい衣装も作ってやれなくて」 「だからこの人ってば、今もツケで飲んでるんだよ!」 女将の鋭い声が飛んでくる。 「まったく、情けないわね。ここで飲んでるだけじゃ、ツケだって回収できないし何も始まらないわよ?」 いつの間にか、瑞玻が隣で話を聞いていた。 「だけど今更家に帰ってもかあちゃん、怒ってるだろうし……子どもだって……」 しょぼくれるおっさんに、「愚痴も良いけど現実も見なさいな」と瑞玻が諭す。 「だがなぁ……」 「あぁもう!」 苛立った様子で、瑞玻は腰に手を伸ばす。銃を抜けば、ふふふ、と我知らず笑みがこぼれた。 「撃たれたくなかったら出ていきなさい」 けれど銃口を見ても、おっさんは笑みを浮かべるばかり。 「ははは〜かあちゃんもお前さんにそっくりな気の強い女だなぁ」 「え、ちょ、ちょっと……」 そんな瑞玻とおっさんのやり取りを聞き、彼方は頷く。 「ま、子供はぁすぐ大きくなって旅立つし、嫁ぇは日に日に老いていく。家族とぉ過ごす時間ってぇのは案外貴重なぁもんだぁぜ?」 「そうかぁ……」 ふぅ、とおっさんはため息をついて。 「まだ、間に合うと思うかい?」 「あぁ!」 彼方が大きく頷けば、おっさんは立ち上がった。 「それじゃ、俺は帰るよ。女将さん、悪いけどここはツケで」 帰っていくおっさんを、彼方は笑顔で、瑞玻はちょっと憮然とした顔で見送った。 お尻を触られた瞬間、ばっとシーリーは振り向いた。 「そういった行為は業務内容に含まれてございません。素直に歓楽街の花売りをご利用することをお勧めします」 シーリーはすっと腰から銃を抜いた。突きつける。 「色仕掛けするんやなかったんやろか」 思わずその光景に呆然としながら、湊がテーブルの上の割れ物をよける。 「おおっと!」 爺さんは体を反らせ目を丸くして銃を見る。割れ物をよけたのはいい判断である。 「夜のお仕事は侍女の業務に含まれてません。そういう勘違いは困るであります」 にっこりと凄まれて。 「わかった、わかったよぉ……でも最後にちょっとだけ……」 引き金に指がかかる。 「ひ、ひぃ!」 爺さんは慌てて代金を置き、逃げて行った。 「えぇい、もう一杯!」 「はい、いきましょう」 杯を重ねる姐さんに、阿留那はにっこり笑って応戦。 二人の喉がぐびぐびと動く。 「ぷはぁっ!」 「ふぅ」 姐さんは目元を真っ赤にして杯を投げ捨てる。対して阿留那は涼しい顔。 「もう限界だよぉ……アンタ、強いねぇ」 感心した様子の姐さんに、阿留那はにっこり微笑んでウコンを差し出す。 「どうやったらそんなに強くなれるんだい……?」 「酒に強くなりたければ、毎日一献だけ飲むことです」 「たったの一献?」 「ええ。大量に飲むのではなく、少しずつ、酒を体に飼い慣らすのです」 でたらめである。 「本当かい?」 「はい」 けれど阿留那の笑顔はそれを悟らせない。 「今日はそろそろお帰りなさいな」 「はぁい……」 勝った阿留那の言葉に、姐さんは素直に従って。 「今度からアンタの方を姐さんって呼ばせとくれよ〜」 姐さんの言葉に、阿留那は困ったように頬っぺたをかいた。 「全く、年も過ぎて随分なんやからええ加減してほしいもんやわ」 ぶつくさ言いながら、周りのテーブルを片付ける。 「おぉ〜、お前さんが挑戦者か?」 「あぁ。お手合わせお願いするぞ」 幻十郎が頭を下げれば、力自慢のおっさんは嬉しそうに立ち上がる。 「はっけよい、のこった!」 幻十郎が自ら音頭を取って、がっぷりと二人は四つに組み合う。 酔っ払っているとはいえ、おっさんの力は大したものだ。 「流石は豪腕、しかし俺とて負けてられんよ……っと!」 力をいなし、幻十郎はぐいと足を引っ掛けて投げ飛ばす。 「うおっ!」 おっさんはどかりと尻餅をついて。 「うおお! 俺を吹っ飛ばすとは大したもんだ!」 立ち上がり、嬉しそうに幻十郎の肩をパンパン叩く。 「そろそろ酒もやめとかないと、せっかくの腕が泣くぞ」 「おうよ!」 おっさんは代金をどかんと置いて、「酔っ払ってない時に勝負してぇな!」と言い残して帰って行った。 ちびちびと酒を飲む娘から、モハメドとKyrieは事情を聴きだす。 「染み抜きを開発者ギルドに依頼してはどうでしょう。お金が必要でしたら、人助けはサダカ、喜捨です。アーニー、私がお金を出しても構いません」 モハメドの申し出に、それは申し訳ないと娘は困った顔。 けれどそこにKyrieが、経験から来るいい染抜き方法を教えて。 「ありがとうございます! あ、あの……」 Kyrieに礼を言った娘が、モハメドへと向き直る。 「この方法で染抜きができなかったら、お願いしても、いいですか?」 「ナァム、もちろんですよ」 にっこり笑ったモハメドとKyrieに励まされて、娘は去っていく。 数十分の後。 「染みが落ちました! ありがとうございます!」 喜んで顔を覗かせる娘に、モハメドとKyrieは満面の笑みで祝福を送った。 「嫌なことは飲んで忘れましょう!」 「ありがとうございます!」 深墨に注がれた酒を、青年は一気に飲み干す。 「長年付き合ってきたぁ彼女に振られたか……そりゃぁ辛いな」 「僕の何が悪かったんでしょう……」 彼方に背中を叩かれて、青年は涙を拭う。 「こぉいうのは我慢してぇもまたぶり返すからぁな、思いっきり泣けぇばいいさ」 「うわああん!!」 彼方が背中をさすってやる。深墨が酒を注ぐ回数を減らし、話を聞く。 「僕じゃ働きもないしって……彼女が」 「そりゃぁ辛かったなぁ」 深墨がうんうんと頷く。 「どんな奴でも、愛する奴に別れられぇるのが辛くないってぇのなんかいないさね」 彼方が言ってから、だがと続けて。 「それぇばっかり見つめちゃぁいけねぇ。それぇを乗り越えて、振ったやつがぁ後悔しちまうような程良い男になるんだぁよ」 「なれるかなぁ……」 「なれるさ。そうすれば、新しい出会いだって必ずあるぜ」 深墨が肩を叩けば、涙を拭って青年は頷いた。 「それにはまず、飲んだくれぇるのをやめないと、な?」 「今日は帰んな。で、顔洗って眠って再出発だ!」 「はいっ!」 青年は、深々と頭を下げる。 そして、前向きな足取りで去って行った。 「お金無くなってから仕事探して、それで無ければ花売りにでもなるしかないでありますよ」 「それならそれでいいって感じぃ?」 お嬢さんは肘をつき、シーリーの言葉に応える。 アタシ可愛いし? と言い放つ彼女に、悪びれた様子はない。 「うーん……自分の好きな事を仕事にすればいいのではないでしょうか」 「好きな事お?」 首を傾げるお嬢さんを、Kyrieはそう説得する。 「勿論、大変な努力が要りますし、強い意志も必要です。しかし嫌な仕事と酒場の往復では、何も変わりません。酒は貴女を鍛えるわけでも、叡智を授けるわけでもありませんから」 お嬢さんが、ふんふんと頷く。 「私もお家がなくなって暇を出されて……もし士体持ちでなければ開拓者にはなれなかったでありますから、最悪は花でも売ることになってたであります」 シーリーが懸命に言うのに、Kyrieが頷いて。 「私は吟遊詩人ですが、歌を気に入って貰えず、演奏を止められたり追い返されたりすることも当然あります。ですが、自分が好きで選んだ道です。後悔はありません」 そう語るKyrieに、お嬢さんがニコリと笑った。 「やっぱり、大変なんじゃーん。アタシは楽できる今の方がいいなぁ」 どうしようかこのお嬢さん。シーリーとKyrieは顔を見合わせる。 「仕方ありませんね」 Kyrieが席を立ち、こっそり奥へと入るのだった。 「おや、あなた方も酒ですか。何かいい言葉はありませんかねぇ」 振り向いた詩人に、緋姫はにっこりと微笑みかける。 「告白用の詩って事ね。是非、聞いてみたいわ」 女の子目線で批評してあげましょうと言う緋姫に、詩人は壁に書いた詩を朗々と読み上げる。 「ふむ……」 真っ当に批判してから、「ただ、壁に書くのは問題だわ。告白以前の問題よ」と言い聞かせる。 「すみません、つい……」 頭をかいて酒をあおる詩人の前に、進み出るのはモハメド。 「氏族には愛を語る詩が多くあり、その内容は、大抵は激しく相手を求めるものです。あなたの告白する相手がどのような人物かは判りませんが、酒などを飲まずともアーニー、私の氏族に伝わるような、情熱的な愛を歌うことができるのです。むしろ酒に溺れる者を愛してくれる者などいません」 「そ、そうかな」 詩人はとりあえず杯を置く。 「良い? どんな素敵な詩でも人の中身が伴ってなきゃ、全然意味ないわ。詩に釣り合う素敵な男性にならなきゃ」 私もいつかは誰かに贈ってもらいたいわ、と思わず緋姫は呟いて。 「べ、別に特定の誰かなんて思い浮かべて無いわよっ?」 「本当ですか?」 ニヤニヤする詩人に、緋姫は鋭い視線を送る。 「彼女と結ばれたなら、今よりもっと素敵な詩が書けるようになるわ。それなら、今この時思い浮かんだ詩で十分だと、そう思わない?」 「そうですねぇ……」 すみませんでした、と詩人は頭を下げて、雑巾を取りに行く。 そして壁に書いた詩を紙に書きとり、綺麗に拭き始めるのだった。 「それにしてもあの旦那、家ではゴロゴロしてるし、家事を手伝ってもくれないし!」 「気持ちはすっごく分かるわ。うちにも勝手な弟がいるし、兄様だって少し目を離せばフラフラするし……本当、嫌になるわよね!」 おばちゃんと緋姫は、愚痴を言い合いながら意気投合していた。 深墨が二人に圧倒されながら、話を聞く。 「休日にいきなり出かけようとかねぇ、こっちは休みたいのに」 しばし話を聞いて、二人の話が止まってからふと尋ねて。 「けど旦那さん、なんかいいところもあるんじゃないですかい?」 「そうそう。若い頃はそんなところも魅力に感じたのではなくて?」 緋姫も言葉を添えれば、おばちゃんは夢見る乙女の瞳になった。 「ちょっとした土産物の見る目はいいし、それに逢い引きの場所選びも得意だし……」 どうやら旦那さんに抱いているのは、文句だけではないらしい。 「まあ、ゴロゴロされるのは流石に困るから、ガツンと言う必要もありそうですけどねぇ」 深墨がそう言えば、「そうだねぇ」とおばちゃんは頷いて。 「それじゃ、アタシは帰るとするよ」 よっこいしょ、と立ち上がった。 「最近の若い者はねぇ……」 「たしかに、その通りだ。あぁわかるわかるぜ、おっちゃん」 頷く幻十郎の杯に、おっちゃんは酒を注ぐ。 「ですが、若い人達もきっと……」 「それだよ! いいか、年上の人の言葉ははいはいって聞くもんだ!」 おっちゃんに返されて、また大人しくなる阿留那。 いい気分でお説教させ、帰ってもらう作戦なのである。 「そう、だからお前らはちゃんと働いて……」 忍耐。 「ちゃんと家にも金を入れないと……」 忍耐。 やがて、すっきりした顔でおっちゃんは立ち上がった。 「はぁ、いいかお前ら、ちゃんとした人生送るんだぞ」 「「はい!」」 解放された二人は、ほっと息をついた。 白い髭をたくわえた男が、静かに表れる。 ……付け髭を付けたKyrieである。 彼が歌うのは、大酒飲みの歌。 人生に立ち向かうことなく酒に逃げ続け、孤独な死を迎える物語。 陰鬱なその歌にお嬢さんの目が向いたところで、Kyrieは咳き込む。吐き出したのは、大量の赤い――血糊。 「皆の衆、わしの様にはなるな!」 驚くお嬢さんの前で、Kyrieは絶叫し、倒れた。 すっかり酒を飲む気をなくした者達に、瑞玻が酔い醒ましを渡して風呂屋へと案内する。 そして。 「さて……私達は飲み直しましょうか♪」 ちゃっかり注文する瑞玻。 Kyrieもいつの間にか、甘酒を頼んでいる。 「これだけクセのあるお客があしげに通うってのは、この店も女将さんも愛されてるねぇ」 感心する幻十郎に「ありがとうよ!」と笑みを浮かべ、女将は料理の皿を開拓者達の元へと運ぶ。 「あんなに色々な人が集まって延々と飲んでいくなんて、それだけ良いお店ってことですよね」 深墨ににっこりと笑って、阿留那の元に注文の料理を持って行く女将。 「おぉ、豪快かつ、美味とは皆が入り浸るのも頷けるねぇ」 女将の料理に、開拓者達は舌鼓を打って。 思わぬ臨時収入も手に入れ、ほくほくと帰って行くのだった。 |