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■オープニング本文 (「あれが目標‥‥みたいだな」) 銃をもった6人の若い男達が密林の中で息を潜めている。 6人は近隣の村の腕利きの猟師。先込め式の銃に火薬と弾丸を込めると頷き合う。 視線の先には人の背丈ほどはありそうな灰色の狼。一発や二発の銃弾で仕留められるかどうかは微妙である。 6人は3人ずつに左右に別れ、銃の狙いを狼に定める。 挟み撃ちにするように移動した左翼の一人が手で合図を送る。狼との距離を詰めた右翼の男の一人が頷き、狼の胴体を狙って銃の引き金を引いた。 瞬間、狼は素早く横に飛び上がる。外れた弾丸は空を切ると木の幹に食い込みわずかに煙を上げる。 「くそっ避けられた」 右翼の二人目、三人目が続けて発砲するが、樹木に阻まれて弾丸が届かない。 「これは拙いぞ」 獣の影がこちらを向き、走ってくる。次弾を装填するよりも狼の接近が速い。刹那3人は同じ事を考えた。 (「逃げるぞ! 全力で!」) だが狼の脚力の方が圧倒的に速い。最後尾の一人が狼に押し倒された刹那。 左翼に潜んでいた3人が狙い定めた銃弾を放つ。『パン』と一発、狼の横腹に命中し、さらに二発目、三発目が命中すると狼は悲鳴に似た声を上げる。 「駄目だ! 倒せてない! 今のうちに逃げるんだ!」 『アオーン、アオーン』 仲間が襲われたことを察した狼の仲間達の声がどこからともなく響き山肌でこだましながら近づいてくる。 森全体で貪欲なまでの殺気が膨れ上がりつつあった。 「ジルベリア王国のとある山あいの村の近くの森に問題が発生しました」 細身の婦人は平坦な胸から手を離すと届けられた話を元に依頼の説明を始める。 現地は鉱物資源の豊富な山岳地帯の数多い群峰や山脈に囲まれた峡谷のなかの一つであるという。 峡谷にはたくさんの小さな谷川が流れていて、平坦になっている谷間の一つにその水が集まって湖を形作っている。その湖のほとりが集落が今回の舞台で、周囲には農地なんかも広がっているそうだ。 幸いにもケモノの出現した森のすぐ近くに人家があるわけでは無いので、犠牲者が出たという報告はまだ無い。 村人たちも何もしなかったわけではない。 早速ケモノの討伐隊を結成し、自力で追い払おうと試みたが、森の中をすばやく動く複数のケモノには太刀打ちできず、さらに背中から触手のようなものを生やした大きなケモノの気配に対応の限界を感じ、命からがら逃げ帰ったという。 「このまま放置すればケモノが周囲の森や村へ行動範囲を広げ、近いうちに犠牲者がでてしまうでしょう。現地での対応をお願いできませんか?」 |
■参加者一覧
犬神・彼方(ia0218)
25歳・女・陰
佐久間 一(ia0503)
22歳・男・志
鬼島貫徹(ia0694)
45歳・男・サ
香坂 御影(ia0737)
20歳・男・サ
御剣・蓮(ia0928)
24歳・女・巫
ミル ユーリア(ia1088)
17歳・女・泰
桐(ia1102)
14歳・男・巫
媛村 紗希(ia1217)
16歳・女・志
鬼灯 仄(ia1257)
35歳・男・サ
喜屋武(ia2651)
21歳・男・サ |
■リプレイ本文 ●湖畔の村へ ある晴れた初夏の日。 「ジルベリアか‥‥思ったより早く戻ってきちゃったわね」 村に到着したミル ユーリア(ia1088)は、下り坂の先、湖のほとりに小さく見える集落から白雲の浮かぶ青空へと視線を移す。この空は故郷にも繋がっている。そんな事を思いながら。 「狼は格好良くて好きは好きなんだぁが‥‥やっぱり犬の方がぁ好きだぁねぇ」 「狼に恨みはないが、村人を脅かすものは排除せねばなるまい」 犬神・彼方(ia0218)は、率直な気持ちを漏らす。犬神の姓を受けついだ一人娘として、幼い頃から大人のような生き方をしてきた彼女にとって犬は特別な存在なのだろう。横に居た媛村 紗希(ia1217)は、厳しい表情をみせる。依頼者の望みを果たす事が第一だろう。倒すしか無いと心に決めていた。 「相手が血の通った生き物の分、真っ向勝負が出来るのは、いいっすけど、逆に気の引ける部分もあるっすね」 氏族の名をあげようと開拓者となり、戦いに身を投じてきた喜屋武(ia2651)が頷いた。 「こういう森に接した村で狩りが出来なくなるとか死活問題ですからねー」 村人の日々の営みに思いを巡らして、桐(ia1102)も頷く。村の周りには畑なんかも広がっていて、湖には小舟が帆を広げて浮いている。恐らくは森や湖で採れるものを日々、享受しながら暮らしているのだろう。 「ケモノと人‥‥生存圏が重なり合えば衝突がうまれるは必定」 御剣・蓮(ia0928)が、どちらか片方しか生き残れないという現実的な判断を述べ、一行の表情を見やる。 「狼たちにとって人間は敵と認識されているハズ」 すでに戦いは始まってしまっていると考えていた鬼島貫徹(ia0694)も、排除するしかなかろうと言う。 「まだ被害は出ていないらしいが、このままでは時間の問題か」 「まあ、半端に倒しちまうと後で生き残りが村に報復ってこともあるからなあ。討ち洩らさんようにしとかねえとな」 そうしない為にも、しくじる訳にはゆかないと、香坂 御影(ia0737)は気を引き締め、鬼灯 仄(ia1257)も、群れの意識が強いと言われる狼の行動に思いを巡らせた。開拓者にとっては一回きりの場所であるかもしれない。だが、現地で暮らし続ける者達の為に、脅威を完全に排除する気持ちは大切だろう。 「やるしかない‥‥村に被害だけは出してはいけない」 佐久間 一(ia0503)が下り坂の先、近づいてくる村の中心部に視線を移すと時を示す鐘の音が響く。村はまだ平穏である。 ●交渉 集落の中心部には小さな塔があり、先ほどの鐘はその塔の最上段で鳴らされていた。塔の隣が村の集会所がとなっていた。 一行がそこに向かうと依頼人と狼退治に失敗した猟師達が開拓者達に情報を伝える為に集まっていた。 「早速ですが、討伐隊の皆様がケモノと交戦された場所の地形‥‥戦いに役立ちそうな事を教えて頂けませんか?」 それなりに深い森である。蓮は地図から読み取れるありきたりの情報ではなく、猟師達しか知らないような情報が必要だと思っていた。彼女が重視したのは地形。迷わない事と戦いを有利にするための場所だった。 戦いと狩りは違うのではないかと断った上で、村人は狩りでは獲物が現れそうな沢山のポイントを相手に見つからないように確認する事が大切だと言う。 「そうですねー、毒蛇とか虫とか、この森で気をつけるべき事って何がありますか?」 桐が疑問に思ったのは森の特殊性である。猟師達は水気が多めで蚊が多いことを話す。だが特別な危険がある訳では無さそうである。 「今回は二つの班に分かれて狼の探索を行う」 御影が遭遇した地点まで全員で向かって遭遇できなかった場合は2手に分かれて探索し、狼のケモノを見つけ次第、戦いに当たると説明する。村人達はその説明をうんうんと頷いて聞いている。 「森の中だぁから、何かしら連絡方法が必要だぁな」 素早く連絡を取るには、遠く迄音の響く物が必要である。 「そうですな、考えてみましょう」 「銃声が村にもぉ聞こえたなら、戦闘開始ってぇ事で家の中に避難してもらえるしな」 彼方がだめ押しのように投げかける言葉を背中に6人の猟師達は話し合うと、鉄砲の貸し出しについては、丁重にはっきりと断り、牧童が牛や羊を追うのに使う木製の角笛を2つだけ貸してくれるという。 鉄砲はどこでも簡単に手に入る訳ではなく、猟師にとっても大切な物である。もし、戦いが不備に終われば、狼が村に現れるかも知れない可能性があるのならなおさらの事。身を護るためにも鉄砲は貸す訳には行かないのだろう。 話が終わる頃には陽が暮れていた。 ●森 翌日。 夜があけるとすぐに開拓者の一行は森へ向かう。 村の境界に辿り着くと、朝の仕事の始まりを示す鐘の音が聞こえてきた。 「手早く頼むぞ、先は長いのだからな」 「それでは、急いで落とし穴を作ってしまうか」 紗希の言葉に喜屋武は応え、そんな様子を狼による村へ襲撃を気に掛けていた一が見ている。 間もなく喜屋武は落とし穴の中には尖った杭も入れておくべきだろうと、森の中に入り、強力のスキルを込めて手近な木に斧を振るった。 大きな音が森の静寂を破った。 「狼が居るのは、森のずっと奥ですよね」 遠くまで響く斧を打つ音に、桐とミル、蓮の3人が狼を刺激しないかと心配になる。 「さて、ケモノ相手なら、こういう罠も有効かもしれないな」 狩猟は専門外の開拓者が作った罠に有効性があるかは定かではない。だが、これが彼らの精一杯の対策であった。 「狼のケモノみたいですから鼻がいいかもしれませんねー」 一方、桐は肌に泥を付け、着衣に草を擦り付けている。 完全に気配を消す事は出来ないが、発見を遅らせるための工夫である。 だが、十人のなかの一人の気配だけが消えても、パーティの気配を薄くするという本来の望むべき結果には結びつかない。音を立てない歩き方の工夫についても皆が気をつけなければ同様である。 「ま、俺らを餌に誘き出す方が早いかもしれねえな」 仄は桐の表情の微妙な変化に気づくと、さりげなく言った。 「沢山の足跡、ここで引き返しているみたいですね」 森の中を流れる小川を越えたところで桐が指摘する。 こうした小川の存在が撤退する猟師たちの臭いを消していた事は想像に難くない。 そこで仄が心眼のスキルで意識を集中させると、周囲には生き物の気配を感じる。それは普通の鹿であった。 先ほどまでは午前の光が梢の上を照らしていた。奥に進むにつれて、深い森の枝葉に遮られその光もあまり届かなくなる。 「ここが前回の遭遇地点ですね」 背丈の低い笹のような植物の藪に囲まれた一角がぽっかりと空いており下草の少ない薄暗い空間になっている。 「この場所なら戦うのにちょうどよいかも知れませんね」 そう言うと、蓮は準備してきた布を木切れに結び目印としてその場に立てる。集合地点を決めて置けばスムーズな合流が可能になるだろう。 「‥‥空気が変わった気がしますねー」 村から1時間ほど、それほど距離が離れているわけでも無かったが、こんなにも雰囲気が変わるものかと桐は冷や汗を流す。 「猟師ってわけでもないから、そうそう足取りは追えねえかねえ」 だが、痕跡はすぐに見つかった。折れ曲がりつぶされた藪。樹皮についた真新しい傷痕。 「それじゃ、二班に分かれて行動だねっ」 狼たちにとっても不慣れな場所なのか、それとも別の異常があっての事か。 4m程の体長の狼のボスともなれば痕跡は残ってしまうのかもしれない。ともあれ一方は残された痕跡を頼りに、もう一方は足跡を頼りに二手に別れて歩き始める。 ●弐班 (「結構、大きな傷ですね。ボスの白い狼がぶつかったのでしょうか?」) 桐は大きな足跡を辿るように先に進もうとする。 不自然な痕跡がある以上、どこから狼が現れるか、分からない。 一が心眼を使うと、周囲に生き物の気配があることが分かる。 そこに遠く響いた角笛の音。距離はそんなに離れていない。 「あっちが当たりか」 貫徹が長槍の柄に手を掛けながら呟く。続けて、喜屋武の声が低く響いてきた。 「自分は村に戻ってケモノが現れたことを知らせてくる」 弐班の一行が走り出そうとしたとき、一が唐突に切り出した。 「どうやって、あんた一人で帰るつもりなんだぁ?」 彼方が間髪を入れずにツッコミを返すと、言葉を失う一。 もし、狼が村に向かっていたとしても、一は狼よりも早く着く手段も、迷わずに森を走破する手だても、用意していなかった。責任感と気持ちだけでは、思いを遂げる事はできない。 ●壱班 足跡を辿るように歩き始めて数分、周囲の藪が音を立てるのを聞いた。真っ直ぐに向かってくる灰色の気配。狼に違いない。心眼のスキルを使うと確かに生き物の存在を感じた。数は分かるだけで1。数が正確ではないだろう。 「‥‥おいでなすったかな」 灰色の狼を視認したとき、既に狼は最後尾の蓮に飛びかからんとしていた。 「間に合ったようだな」 ギリギリのタイミング。蓮の側に割り込んできた御影が刀の鞘で牙を受けると、その姿勢から抜き身の一撃を放つ。 これが初手となった。穏やかな曲線を描く刃が振るわれて、狼の脇腹を切り裂く。 瞬間、灰色の狼は呻きに似た声を上げると茂みの中へ飛び込んだ。瞬間、狼の勇ましい叫び声が響く。 「貸しというところかしら?」 すぐに新たな影が前方から現れた。 鈍く重い衝撃。狼の体当たりをもろに受けた喜屋武が唇から血を流す。尚も喜屋武を組み敷き、喉笛を噛み切らんとする狼に喜屋武は斧の刃を噛ませて抵抗する。刹那、仄の放った矢が狼の背中に突き刺さる。 「ヌシだあああああああああああああああ!!」 喜屋武は態勢を立て直すと、別班の仲間たちに知らせるために咆哮のスキルに乗せて叫ぶ。 矢を受けた狼も叫びをあげた。次第に周囲に重低音が響き圧迫するような殺気が満ちてくる。ボスの白い狼が近づいてきているのだろう。 「拙いな、何処からくるかわからん。このままでは危ない」 「流石は狼といったところかしら、速さじゃまけないつもりだったんだけど」 御影がいまのままでは不味いと言うと、ミルが同意気味に言葉を返す。 そうしている間にも、他の狼は一撃を加えると茂みに姿を消す。 おそらく4体の灰色の狼が代わる代わる仕掛けてきている。 茂みのなかでは思うように動けない。動きにくいのは狼も同様の筈であると、喜屋武が手頃な樹木に強力のスキルを込めて斧を振るう。2度叩き込むと木がゆっくりと茂みの中に倒れる。倒木で狼を怯ませる事は出来た。だが、動きを妨げることは出来ない。 「この場所では戦えません。先ほどの場所まで後退しましょう」 そう言いながら蓮は御影の顔に視線を向ける、それは同意をもって受け入れられる。 こうして壱班の5人は目印を頼りに、後退を開始する。蓮の付けていた目印が幸いし、効率の良い移動ができた。 だが、その間にも4匹の灰色の狼は、休む事無く襲いかかってくる。 ●合流 目印の旗のある地点、対面から走ってくる弐班の姿が見えた。 「よし、反撃するよっ」 横から飛びかかって来た灰色の狼にミルが気合を込めた蹴りを加えると、怯んだ狼の隙を見逃さずに、貫徹が地を蹴る。 次の瞬間、羅漢が深々と狼の腹に突き立てられていた。悲鳴が苦痛の咆哮に変わり、間もなく息絶えた。 「待たせたなぁ、ひどいなりだが、見た目ほどやられちゃいないようだぁな」 出方の見えない敵に苦戦したことを彼方はすぐに理解し、前方から走ってくる壱班の最後尾、殿を務めていた喜屋武の傷を癒す。 「‥‥貴様が大将か。フン、流石に風格が滲み出とるわ!」 姿を現した白い狼。貫徹はその姿に感心すると吐き捨てるように言う。 瞬間、白い狼は鋭い目つきで構えると、暗い地面を蹴って一気に距離を詰め、その勢いのまま、体当たりを繰り出す。向かう先は前にいた貫徹。 「何処をみているのだ」 紗希が刀を構えて白い狼の間合いに踏み込む動きを見せる。フェイントのスキルである。だがそれは注意を一瞬だけ引きつけるに留まり、逆に背中の触手が鞭のように振るわれ一をはじき飛ばす。 一行の間に緊張が走る。 残りの灰色の狼は攻撃が当たりさえすれば間もなく片がつくだろう。だが、白い狼の力はまだ読み切れない。 (「くっ、効きますね、やはり」) 灰色の狼の体当たりを避けきれずに蓮が膝を着く。歯噛みする蓮の横を素早く御影が走り珠刀『阿見』を振るうと、二体目の灰色の狼が倒れた。 「真っ向勝負っすね」 貫徹と喜屋武が白色の狼との攻防を繰り広げている。そんな時、白い狼の周囲に現れた式が張り付くような動きを見せると、白い狼の動きが鈍る。 「効いてるみたいだぁな」 「はあっ!」 彼方の呪縛符が効果を現した瞬間、貫徹は一拍の気合を入れて白い狼の横っ腹へ槍でめった突きに突く。 白い狼は堪らずに距離を取ると、咆哮を上げ、残っていた灰色の狼達にむけて、左右に首を動かす仕草を見せる。 それは逃亡を促す合図だった。 攻撃を受けても、治療できる開拓者と、攻撃をかわすことしか出来ない狼。優劣は明らかである。 だが、御影は逃亡を図る灰色の狼の動きを見逃さない。後ろ飛びをしようとした瞬間に薄い刀刃が後脚を捉え切断した。 「逃がしませんよ」 同じく逃げ出そうとした最後の灰色の狼の前に一がたち塞がる。 「食らえっ!」 灰色の狼は突破しようと前足を振りかぶる。 瞬間、ミルの拳が灰色の狼の急所に深々と打ち込まれる。骨法起承拳のスキルである。灰色の狼はビクッと全身を痙攣させると硬直し、動かなくなった。 遂に全ての灰色の狼が倒れ、遂に白い狼を残すのみである。 (「‥‥もう、向かってくるのはおやめなさい‥‥」) 蓮は思う。仲間を失い自らも傷ついている。すでに大勢が決したのは明らかである。 だが、白い狼は一人でも道連れにしようと地を蹴る。 その進路に割り込む御影。すれ違い様、横薙ぎの一閃が白い狼の前足を宙に舞わせた。 「これまでだな」 片足を失い動けなくなった白い狼に手の空いた開拓者達の攻撃‥‥後衛から飛んでくる飛び道具に式、前衛のコンビネーションが殺到し、白い狼は横倒しに膝を着く。 「終わったみたいだぁな」 一行の視線を集めながら、白い狼はよろめきながら3本の脚で立ち上がる。 「まだやるか」 槍を握り直す貫徹の手を蓮が制止する。 「いえ、もう終わってますよ‥‥」 白い狼は立ったまま息絶えていた。 その後、紗希が喜屋武の掘った落とし穴の片付けを手伝っていると、番いの小鳥が何処からともなく飛んできて。近くの枝で鳴いた。 「これで村は平和になった筈だよね」 一が空を見上げて呟いた。 |