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■オープニング本文 その日、偉く困惑した様子の東郷実将に至急と呼び出されて、受付の青年・利諒が慌てて駆けつけたのは、どんよりと曇った、あるじっとりとした朝のことでした。 「偉く参った事態になってなぁ‥‥」 そういう実将は明らかに困惑した様子で、二枚の絵図面を前に難しい表情をしていました。 「えぇと、その、どうかされたのですか?」 「あぁ、来てくれたか、いや、まぁ‥‥」 「あれ? ここって、海弦山の岬にある砦ですよね。と、‥‥こちらは?」 「勝弦山‥‥似たような地名ってなぁあるモンだろう? で、だ‥‥実は、穂澄が話したかもしれねぇが、海弦山の砦を使って、訓練をする予定だったのよ」 「あぁ、確か庄堂さんがそのお話は受けていましたねぇ。でも、こちらの勝弦山の方は?」 「それなんだが、本物の盗賊が流れて来ちまったみてぇでなぁ」 「ちょ、それって大変なことなんじゃ‥‥え、えぇと、その盗賊の、殲滅とかでしょうか?」 そう訪ねる利諒に、どこか微妙な表情を浮かべている実将、思わず怪訝そうな表情になり首を傾げつつ、改めて利諒はおそるおそる口を開きます。 「その、何か‥‥あったんですか‥‥?」 「それが、その‥‥一応、人質が、いるっぽいんだが、その、なぁ‥‥」 偉く歯切れの悪い実将、人質と聞いて泡を食った利諒も、その様子に困惑気味のようで。 「えぇと‥‥人質いたら、大変なことだと思うんですが‥‥救出しないといけないんじゃ?」 「それなんだが‥‥叔父上なんだよ、その人質ってのは」 「‥‥‥‥は?」 詳しいいきさつを聞いてみれば、どうやら訓練は毎年のように行っていたものの、近頃の状況も鑑みて、開拓者を雇い少々大規模に訓練を行おうと言うことになったそうで。 そして、元々訓練など自身が代理をしていたときから楽しんで居た様子の、実将の叔父である伊住宗右衛門が、久々にと少々張り切り参加したいとなったようなのですが‥‥。 「そ、そこで本物と遭遇してしまったのですか‥‥で、訓練だと思い込んでいて‥‥」 「賊共が人質に取ろうとしたところを、自分の役割は人質役という趣向かと思ったようでなぁ‥‥どうにも、内部との連絡手段もないし、叔父上にけがをさせるわけにもいかん、賊は流れで叔父上を人質に取った様子なのでまた何とも‥‥」 頭が痛い様子で溜息をつく実将に、利諒も依頼書に目を落としつつ深く溜息をつくのでした。 |
■参加者一覧
三笠 三四郎(ia0163)
20歳・男・サ
鷲尾天斗(ia0371)
25歳・男・砂
紬 柳斎(ia1231)
27歳・女・サ
弖志峰 直羽(ia1884)
23歳・男・巫
九竜・鋼介(ia2192)
25歳・男・サ
御神村 茉織(ia5355)
26歳・男・シ
紅 舞華(ia9612)
24歳・女・シ
黒鷹(ib0243)
28歳・男・魔 |
■リプレイ本文 ●盗賊への傾向と対策 「東郷の旦那の叔父貴様、何つーか、やっぱり旦那の血縁なんだなぁと‥‥」 「宗右衛門様‥‥お茶目というべきなのかなんというべきなのか」 御神村 茉織(ia5355)がしみじみと言えば、宗右衛門翁をよく知っている紬 柳斎(ia1231)も、ちょっと困った表情でそう言って。 ここは件の砦ほど近く、宗右衛門翁が誘拐された現場の宿で。 「連絡の行き違いが、えらい事になったもんだな。‥‥でも、宗右衛門さん、今頃人質として迫真の演技とかしてんのかな」 心配げに呟いた弖志峰 直羽(ia1884)ですが、ふと思い浮かんだことを思わずぼそっと呟けば、知っている人間からすればあり得ることのようで何ともいえない表情を浮かべていて。 「ってか、ぶっちゃけ、マジでメンドクセェな。オイ」 何ともいえない状況で頭を掻くも、思わず微妙に笑いが混じってしまう鷲尾天斗(ia0371)、曰く。 「行き違いって怖いで済むのか、コレは!?」 「‥‥やれやれ、訓練と本物の区別がつかんとは」 「本物と勘違いされる様な訓練は段取り悪すぎます。これは、今後の反省材料でしょうね‥‥」 「ま、そう言うな、段取りをつける前に事が起きちまったんだからよ」 鷲尾の言葉に溜息をつく黒鷹(ib0243)、三笠 三四郎(ia0163)も同意すれば、微苦笑気味に言う東郷実将。 「宗右衛門殿も、人質役ならあまり無理せぬとは思うが‥‥」 「人質の身柄が最優先、は兎も角として‥‥」 紅 舞華(ia9612)が心配げに言えば、九竜・鋼介(ia2192)が確認の為に口を開きます。 「とりあえず‥‥陽動には咆哮を使う方向で良いかねぇ? ‥‥なんてな」 「‥‥」 「さ、兎も角、砦自体の大凡の構造が分かっているだけでも救いか‥‥人質を置くとしたら、どこに置くか」 九竜の言葉をさらりと流して言う黒鷹は、絵図面を前に暫し考え込んでいるようで。 「この絵図面は、いつ‥‥というより、どれ程正確なのか‥‥」 「色々あってな、少なくとも、二年前までは、その絵図面で正確だ、大きく変わるとかぁ、ねぇと思うがな」 「あるとすれば、立てこもった盗賊どもが罠を仕掛けたのならそれ位ということだな」 黒鷹が尋ねれば答える実将、その言葉に少し考えると舞華が言って。 「それで、お訊ねしたいのですが‥‥」 三笠に声をかけられて思わずびくっとするのは、先程から控えていた宿で働いている女性。 そんなに堅くならなくてもと微苦笑してから女性に尋ねれば、火薬の匂いなどはわからないとのことですが、異国の男女は持っていた物などの特徴から魔術師ではないかと思えることがわかります。 「んー‥‥細身の最後の一人があまり予測が付かないですけど‥‥」 「十中八九、御同業かと思うんだよなぁ」 「忍びとなると、少々厄介な気がすんな」 「罠を仕掛けられたら少々面倒だ。探りに行って気が付かれる可能性も高い」 「それを言ったら陰陽師も同じじゃないかなー。いや、罠とかの率は下がるけどさ」 絵図面を前に色々な事態を想定しながら話を進めて行くも、調べてみないことにはわからない部分でもあり。 「ただまぁ、どちらにしろ不用意に近付く訳にもいかねぇからな‥‥相手の構成がある程度予測できるにしてもよ」 「やはり、偵察に行って貰うのは必須のようだな」 「てぇことだなぁと」 自身の言葉に柳斎が頷いて言うのに、頭に軽く手を当てると御神村は深く溜息を付くのでした。 ●陽動と潜入 「‥‥周囲を確認した‥‥簡易的ではあるにしろ、周囲に罠が幾つか‥‥解除しておいたが」 「最後の一人は、やはり忍びみてぇだ」 砦の側、慎重に偵察してきた御神村と舞華の二人の報告を確認すると、その要点を絵図面と照らし併せて顔を見合わせる一同。 「じゃ、救助が出来たら合図ってことで」 「二人とも十分気を付けて」 少々心配そうに言う弖志峰、御神村と舞華は頷くと出ていき、一拍おくと立ち上がる一同。 「さァて、行くかな」 得物を手ににやりと笑う鷲尾と対照的に黒鷹は少々面倒そうに肩を竦めており、柳斎と九竜はお互いに咆哮などの確認をしていて。 「遮蔽がどこまで有効かはわかりませんが‥‥」 「確かに砦攻めで言えばそうだけど、今回の場合は仕掛ける機会を選べるだけこちらの方が多少ましだね」 相手が砦を熟知しているわけでもないだろうし、三笠の言葉に弖志峰はそう付け足しながら言うと、人数はともかくと言って頷く三笠。 「ま、爺さんが助け出されるまでは、加減しないとね」 そう僅かに肩を竦めると、黒鷹は杖を手にゆっくりと立ち上がるのでした。 「さてと‥‥宗右衛門様ぁどこにいるもんかね」 小さく口の中で呟く御神村、恐らくどの辺りにいるかという当たりはつけてきているものの、まず人質の姿を確認しなければと砦内に侵入すれば。 「捕り手への警戒は強いようだが‥‥」 「存外、砦内への注意は薄いようだな」 舞華と御神村が見たところ、男たち三人の注意は砦の外へ向いているようで。 「成り行きで人質を取ってしまい、逃げて立て籠もってしまったのだからな。ジルベリアの男女はどうやら口論中のようだ」 「人質の見張りは、最後の一人ってぇことか‥‥?」 通りと面している側に男たちが居るのはともかくとして、賊たちは突破口を開いて逃げるしか先はないためそれなりに追い詰められてはいるようで。 幾度も確認した砦内部と照らし合わせながら、御神村と舞華はさらに奥へ、警戒しながら進んでいくのでした。 「さァ、お待ちかねのパーティーだ! 楽しませてくれよなァ、アア!!」 距離をじりじりと詰め砦に近づくと、声を上げ一気に突っ込んでいく鷲尾、周囲を警戒しながらで居た様子の男たちがそれに気が付き。 「ちぃっ、捕り手か、爺連れてこいっ!」 「開拓者崩れか‥‥どういう事情かは知らんが盗賊は盗賊だ。覚悟しな!」 咄嗟に宗右衛門を人質にと思ってか声を上げるも、九竜の咆哮に戻りかけた男たちや奥にいた男女も表へと意識を取られたようで。 「後一人の姿が見えないようだけど‥‥」 僅かに眉を寄せて呟く弖志峰、少なくとも伺っている周囲に後一人の男の気配が感じられる様子はないようで。 「こうなりゃお前らぶち倒して抜けりゃいいことよっ!」 言って男達は咆哮に引き寄せられるかのようにじりじりと近づいてきて。 「一人が咆哮でも引っかかってこないとなると、厄介だな」 面倒だとばかりに溜息をつく黒鷹、元から陽動として引き寄せるのが主であったのは確かであるものの、訓練と信じ込んでいて現状無抵抗な人質が居るとあって、合図が来るまでと猛然と斬りかかる男達を柳斎は半ば体で受けるような形で。 「くっ、硬ぇ女だなっ」 もっとも、身につけている装備の守りだけでも相当な上に不動で受け止めている柳斎の身体に刃が触れることなど無いのではありますが。 「刀が駄目なら‥‥っ」 「のたうち苦しめっ」 少し下がった位置にいた女が繰り出す雷、そして魔術師の男の手には不気味な色彩の矢が。 その紫の矢が弖志峰の張った加護結界によって阻まれ、撃たれた鷲尾がにやにやと笑い返すのに、なんだかちょっと、魔術師男の逆鱗に触れたようで。 「くっ、なんだこの野郎っ! 今度こそっ!」 「はっはっはー、って、結界一回だけ? あ、え? マジィー?」 「き―――っ! 死ね―――!?」 「‥‥あ、それ俺に効かねぇや、悪ぃ悪ぃ」 へらへら笑って言う鷲尾、毒の矢は鷲尾の守りを破って影響を与えることはできないようで、驚愕する魔術師男。 「あ、あんなムカツク奴に‥‥」 「ムカツクは余計だ」 あくまでへらりと笑う鷲尾に、怒りと恐怖と混乱がない交ぜになった表情を向ける魔術師男、側にいた男が斬りかかってくるのもいなして鷲尾はにぃと口の端を持ち上げて笑います。 「くっ、ちょこまかと‥‥」 もう一人の男が相手をしているのは九竜、盾や十手を使い翻弄するのに、懐に入って鍔迫ろうとしている様子の相手の男は焦れてきているようで、徐々に砦から前に出始めていて。 「中の様子がわかるなら、そのまま叩き伏せても構わないのだが‥‥」 口の中でだけ小さく呟くと、九竜の後ろに控えていた三笠が、魔術師女が振り返るのに、すかさず咆哮で注意を向けさせて。 砦の守りとしていた賊達は徐々に守りやすい位置より前に前にと誘き寄せられていくのでした。 ●人質奪還? 同じ頃、宗右衛門翁はぽつんと、いくつか部屋を隔てた奥にある一室で、椅子に括り付けられた状態で、ぽつんと座っていました。 「ふぅむ‥‥人質を放っておくとは、盗賊としては減点じゃの。いや、しかし人質が縄を引き千切ってこの場を離れるのも‥‥」 ぶつぶつと呟きつつ言う宗右衛門、訓練は捕り手の方だしと考えて居るようですが、そこに辿り着いた御神村と舞華。 「御隠居、お迎えに上がりやした」 「宗右衛門様、ご無事ですか」 「お? おや、捕り手の訓練にも参加しておったのか」 心配する様子の舞華の言葉に笑みを浮かべて言う宗右衛門翁、御神村も目を瞬かせると、縄を切ってから微苦笑を浮かべて口を開きます。 「あーその、これは訓練じゃねぇんすよ? 本物の盗賊なんす、あれは」 「‥‥なんと。道理で、手際も悪かった訳じゃ。手間をかけてすまなんだ」 そう言うと縛られていた手首を軽くさすり首に手を当てて軽く動かす宗右衛門翁に、手荷物を取り戻すまでの間にでも、と仕込み杖を差し出す舞華。 「さってと‥‥さっさと帰りやすか」 そう言って、御神村が脱出のための経路を確認始めると、舞華は合図の笛を吹いて知らせるのでした。 「っと、さーってと、ちィっと、おいたが過ぎたみてえだなァ。そろそろ人生ラストオーダーって所だ」 「参る!」 聞こえてきた笛を合図に、陽動として加減しつつ受け流していた鷲尾がにたりと笑みを浮かべてそう言うが早いか、不動で耐えていた柳斎が一気に駆け寄り横一線一番前へと踏み込んでいた男に斬り付けて。 「こっ、この‥‥っ! ぐああっ!!」 半ば半狂乱になりながら毒の矢を鷲尾に向かって撃ち込んだ男魔術師に打ち込まれるのは黒鷹のサンダー。 「悪いね、俺の辞書には加減って言葉が載ってないらしい」 加減するのも結構面倒なんだよなと、これまた面倒そうに見る眼帯のない方の黒鷹の目は感情らしいものは映っておらず。 「な、向こうにも魔術師が居るのっ!?」 「‥‥うーん、ちょっと流石に治す前にそっちを止めないときりがないなぁ」 「さてと、大人しくするんだな」 逆上して黒鷹を見た魔術師の女ですが、陽動の間回復をつとめていた弖志峰が力の歪みを使い妨害すれば、鷲尾と三笠が柳斎の相手以外の男へと向かう間を抜けて、九竜が刀を突きつけて取り押さえ。 「志体持ち相手とはいってもやり過ぎには注意ですからね‥‥」 三叉戟で男をいなしつつ呟く三笠、しかるべき形で盗賊を突き出さないという意味合いで呟いた言葉を、男は侮辱と取ってか猛然と打ち込んできていて。 「っ、無駄な抵抗は‥‥」 言いつつ踏み込むと、いつの間にやら持ち手をくるりと回した三笠、石突きでではあるものの全力で突き出された一撃に、男は壁に叩き付けられぐたりと崩れ落ちます。 「シャァァァ!」 そしてこちらはもう一人の男を引き受けた鷲尾、どこか愉悦の混じった笑いを浮かべると 「アハハハ! もっとだ! もっと愉しませてくれよなァ!」 言いつつも目は相手の力量をはかるように僅かに細められ、と。 「ナンだよォ、もー逝っちまったのか? くっだらねェなァ」 見切ったか、少々残念そうな色を滲ませ呟くと、鷲尾は一刀のもとに男を切り伏せるのでした。 「ちぃいっ!! このアマぁっ!!」 「この程度を受けるのが精一杯とは‥‥」 激高する男、対する柳斎は更に一歩踏み込み男が必死で刀を押し戻そうとするのに合わせて、ごく自然に体から刀を逸らし様すり抜け籠手をした手で軽くとんと押せば、無様に転倒する男。 男が藻掻きつつ起き上がり、血走った目で柳斎へと突進するも、柳斎の刃の切っ先に一瞬気を取られた次の瞬間、とさりと崩れ落ちて。 全て終わったかに見えたそのとき、砦の脇より、転がり出るかのように飛び出した人影が、走り出そうとするのに気が付いた黒鷹、ちらりと見たところ潜入している二人や老人の様子でもないと見るやサンダーを打ち込んで。 「っと、取り逃がすところだったぜ」 悶絶する男に後から出てきて取り押さえるのは御神村、宗右衛門翁をつれて脱出の折に、砦より逃走路を調べて戻って来たシノビがそれに気が付き逃れようとするも、舞華と御神村に気が付かれ逃げるも、飛び出したのに気が付いた黒鷹の雷に打たれたようで。 「宗右衛門様、ご無事で何よりです。お見事な人質ぶりでございました」 御神村が男を押さえている間に、全員を捕らえた後の盗賊達の荷から見つけてきた宗右衛門翁の刀や荷を舞華が渡すと、にと笑って頷き受け取る宗右衛門。 盗賊達はその様子を、目を瞬かせてみているのでした。 ●大惨事の結末は 「いやはや、久々にこういった事に加わると思って、つい張り切ってしまっての」 「や、早とちりにしても限度があろうにと」 はっはと笑う宗右衛門翁に言う九竜、柳斎はふぅと一つ溜息をついて口を開きます。 「宗右衛門様ももう少し危機管理というものをですね‥‥無事にすんだからもうよいのですが」 「そうじゃの、つい、参加すると言うことがあったため気にせず加わってしまった。心配かけすまなんだ」 頷くとそう答える宗右衛門翁、その様子に笑うと、そういえば、と口を開くのは弖志峰です。 「実際の訓練の方は、結構凄いことになっていたみたいだね」 火炎瓶を飛び交ったり派手な訓練になったらしいと耳にした話をしていて。 「今頃報告が届いて、無事なことも伝わっている頃でしょうね」 三笠はなんにせよ上手く事が運んで良かったです、と言って。 実将の元へは舞華と御神村が急ぎ連絡に行っていて、賊達は待機していた実将の部下へと引き渡されて。 「全く、世話の焼けるジィさんだぜ」 へらへら笑って言う鷲尾、陽動側が救助側の方に合わせて、攻め入るのを待機していた時点で、囲まれたと理解した細身の男が動いたようで。 「爺さんの監視を細身の男が『脳筋ども見ておけ』って言って逃走経路を探しに離れていたから、側にいなかった訳か」 なぜ細身の男が関係ないところから転がり出てきたのかと問えば返ってきた答えに少々呆れた様子の黒鷹。 「しかし今回は一体誰が一番不幸だったのやら。老いて益々盛んともよく言うが、盛んなのも善し悪しであるなぁ‥‥」 微苦笑気味に言った柳斎は、それでも無事を確認して、安心したように笑みを浮かべるのでした。 |