至愚の輩
マスター名:想夢 公司
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 7人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/12/05 17:26



■オープニング本文

その日、開拓者ギルド受付の青年利諒は、ぶらりと馴染みの御茶屋さんへと向かう途中に、ご近所の子供達にひっ掴まっていました。
「りりょーにーちゃん! てーへんだぁ!」
「いや、うん、えぇと‥‥どしたの、血相変えて」
「りりょーのあんちゃん! オイラ達、聞いちゃったんだよっ!」
 幾度か繰り返し、どうしたのかを聞いて見る利諒ですが、ぴょこぴょこ跳ねて騒ぐばかりで、何が言いたいのかさっぱり要領を得ない子供達にちょっと当惑する利諒は、取り敢えず落つかせようと子供達と一緒に馴染みの御茶屋さんに入ることに。
「で、どしたの? お茶飲んで、少し落ち着きました?」
「オイラ達、ダンゴも欲しい!」
「団子喰ったら思い出す!」
「忘れたの!?」
 すっかりと何だか集られているような様子ではありますが、混乱した頭で、御茶を飲んで落ち着いたら落ち着きすぎてしまった模様、今度は何が大変なのかとやたら気になって落ち着かない利諒がそわそわし始めます。
「あ、そだ、思い出した!」
「そうだよ、利諒の兄さん、大変だった、なんか、やばそうな奴らが、仕返しをするとか何とか、良くわかんないけれど、女の人を狙うとか言ってたんだ!」
「女の人をって、特定の人を狙う? それとも、無差別に女性を狙うんですか?」
「むさべつにねらうなんてひどい発想するな、りりょーのあんちゃん」
「‥‥酷い‥‥」
 状況を聞こうとしているのに人でなし呼ばわりされてしゅんと落ち込む利諒ですが、気を取り直して子供達の話を聞くと。
 どうやら、子供達曰く『やばそうな奴ら』と言うのが、狙っていた女性を見つけたとかいう話をしていて、それを聞いてしまった、とのことのようで。
 子供達の話を総合すると、良く聞こえなかったらしく、その女性が恨みを買った時期は分からないそうですが、どうやら女性にちょっかいを掛けようとした男達が、その女性に返り討ちにあったとか。
「で、同じ思いをした男達数人が集まって、襲撃を掛けようと‥‥で、何だか普段どこに居るのか分からなかったのに、武天の街道沿いの旅籠に少し逗留するらしいと分かって、古寺に集結していたところ、その話を君達が床下で遊んでて聞いた、と‥‥」
「そうなんだよ!」
「そのひとたすけないと!」
「あ、あぁそうだねぇ‥‥何でその人達もわざわざ神楽で相談してるんでしょう‥‥」
「そうそう、これこれこういう感じの女性らしくてね‥‥」
 子供達の話を聞いていて、表情が変わる利諒。
「あれ、えぇと、それって、穂澄ちゃんが持ってる得物に似てるというか、その紋って、穂澄ちゃんちのって言うか、いや、特徴的に穂澄ちゃんな気がするって言うか‥‥」
 そういえば、お忍びで何か探索がどうこう言っていた気が、と小さく呟くと、利諒は急いで依頼書に概要を書き付けるのでした。


■参加者一覧
音有・兵真(ia0221
21歳・男・泰
羅喉丸(ia0347
22歳・男・泰
葛切 カズラ(ia0725
26歳・女・陰
滝月 玲(ia1409
19歳・男・シ
滋藤 柾鷹(ia9130
27歳・男・サ
嵐山 虎彦(ib0213
34歳・男・サ
リーゼロッテ・ヴェルト(ib5386
14歳・女・陰


■リプレイ本文

●古寺の主達
「おう、ちびっ子どもよ、悪者の企みを見抜くなんて、たいした働きだな!」
「小さい英雄達に感謝せねばならんな……よくぞ知らせてくれた。ありがとうな」
「え、えへへ……」
 嵐山 虎彦(ib0213)がわしわしと子供達の頭を撫でれば、滋藤 柾鷹(ia9130)も笑みを浮かべてそう言い、褒められた子供達はてれてれとどこか嬉しそうなはにかんだような笑みを浮かべます。
 一同は、兎に角詳しい状況と伊住穂澄の特徴などの確認に、利諒の元へやって来ており、子供達も利諒に呼ばれて顔合わせとなって居て。
「逆恨みの時点でたいがいだというのに、数を頼んで一人を襲うとは、性根が腐っているな」
「ふぅん……前に痛い目にあわされた仕返しかぁ。やれやれ。逆恨みってやーねぇ」
 羅喉丸(ia0347)は男達の話に僅かに眉を顰めると、リーゼロッテ・ヴェルト(ib5386)は呆れたような溜息を漏らし、考える様子を見せるのは 音有・兵真(ia0221)です。
「意趣返しに大勢集めてか……」
「この手の輩は懲らしめられても学習しないんだな」
 状況などを確認しながら滝月 玲(ia1409)も肩を竦めれば、葛切 カズラ(ia0725)もふぅと息を吐くと口を開いて。微かに口元に笑みを浮かべて。
「なんというかお約束な展開を守る連中ね〜〜……でも、そうとなればこちらもやる事は1つ」
「常に古寺にいるというわけではないだろうが、ある程度拠点のような使い方はしているのかもな」
「ならその場所は旨く利用できるだろう。あの子らの折角の知らせを無駄にはせん」
 音有が言えば、柾鷹も頷くと。
「二度と巫山戯たまねが出来ねぇように、きっついお灸を据えてやらにゃあな」
 にんまりと笑みを浮かべて嵐山は言うのでした。
 半刻程後、子供達が少し離れたところまで案内して場所を教えると、危険だからと言う言葉に素直に頷いて帰っていき、カズラと音有、それに嵐山はそれぞれ別れて遠目から件の古寺を調べ、改めて合流していて。
「先程見かけたが、それらしい男があの寺に入っていったようだな」
「あれは、まだあそこを使うと居ると考えて良いのかしら? ……何人か人がいる様子は窺えたのだけれど」
「その様だな。まぁ、全員が集まってるって訳でもねぇようだ、俺はこの周辺で中にいる奴らに関わりそうな辺りをちょいとぶらっと調べてくるぜ」
 にと笑うと編み笠を深く被って通りの方へと足を向ける嵐山を見送ると、カズラは少し考えてから口を開いて。
 確認してみましょうと小さく呟いたカズラが符を取り出せば、人気の無い物陰であるとは言え念には念をと、周囲に注意深く目を走らせる音有。
 カズラの手から放たれた符は、くるりと小さく回ると鴉を形取り、するりと荒れ寺の屋根と壁の隙間から滑り込んでいって、見れば中には4人程男がいて。
「で、女は確かに……」
 微かに短い時間ではあるものの耳にしたのは確かに、一人の女を狙っていると言うことのようで。
「そうね、中にいるのは子供達が言っていた奴らみたいだわ」
 途中で合流する予定の者達もいるみたい、そうカズラが伝えるのに頷くと、きちんと張り付いて目を離さないようにしないとと言ってから、音有は小さく呟きます。
「あんなに出入りにこそこそしてんのに、全く身を隠せてねぇ辺りは……」
 口の中で小さく笑う嵐山は、古寺から通りに出た人通りの多い辺りをぶらりと徘徊していて。
「だが、そろそろ動き出しそうだな」
 見ていれば草鞋と保存食になりそうなものをちびちびと買っていく様子を見て呟くと、男を追って古寺の辺りへと戻っていき、音有達と合流して。
「挟み撃ちに出来そうだな……」
 3人は状況を改めて確認すると、気付かれないようになどと相談をし状況を整理し打ち合わせし直すと、改めて古寺の男達へと張り付くのでした。

●狙われた穂澄
「間に合ってよかった、先んじることができたか」
「……私に何か御用でしょうか?」
 宿でこんな人をと訪ねれば引き合わされるのに微かに笑みを浮かべて言う羅喉丸、穂澄は目を瞬かせてそう尋ね。
 穂澄は利諒の言っていた辺りから調べていくと直ぐに滞在しているところが分かり早くに合流でき、少し不思議そうな表情のままでいるも、柾鷹は利諒から受け取った書状を差し出して口を開きます。
「お初にお目にかかる穂澄殿。貴殿を狙う徒党有りと知らせがあり報告と護衛に参上した次第。しばしお供仕る」
「私を狙う者、ですか」
 表情を引き締め書状を受け取ると各人を宿に上がるように薦めてから書状を開いて目を通す穂澄は、内容を読んで今回の自身の用とは違うところでのことと理解してほっとしたように笑みを浮かべて。
「利諒兄さんからの書状は確かに拝見しました」
 そう言って微かに笑みを浮かべるとわざわざすみません、そう言って頭を下げる穂澄に、にっと笑ってから、気にしなくて良いよと滝月が笑うと。
「あんまり護衛の数がいたんじゃあ敵さんも日を改めるかもしれないし、俺は外で張ってるよ」
「ああ、こちらは任せて置いてくれ」
 滝月にそう応える柾鷹。
「あなたも大変ねぇ」
「まさかこんな事態になるとは露とも思わず‥‥」
 リーゼロッテの同情の言葉に小さく頷いて溜息を吐いた穂澄は、確かに数で来られると、1人で危険なところでした、と小さく呟いて。
「ところで、急に体調を崩した配下殿の具合は?」
「急な事でしたので途中の宿に任せてきましたが、命に別状は無いと……あぁ、毒物などではないようです」
 普通に答えかけてから尋ねられた意図に気が付いて小さく首を振ると、柾鷹も裏から何かされているわけではないのに、想定した悪い事態が一つ消えたとほっとして。
「まだこの辺りで用があるなら、俺たちが同行するので言って貰えたら」
「はい、申し訳御座いませんが、宜しくお願いします」
 そう言って改めて頭を下げると穂澄は笑みを浮かべるのでした。

●至愚の輩
「動いたか……」
 編み笠の向こう側から小さく呟く声、夜中にうぞうぞと寺より抜け出す陰を認めて呟いた嵐山は、昼間の家に幾人かが同じ行動を取り旅支度を調えているのを確認しており。
「なんつーか……手際が悪いってぇか」
「手際が良くても困るんじゃ……」
 男達が動き出したのを確認してそっと後を尾けていると、合流した音有にそう言われて、其れもそうだと笠の中で忍び笑いを漏らして。
「それで、あの男達が目的の場所に着くのは、いつ頃かしら」
「恐らくは夜明け前には……明け方か」
 大凡聞いていた距離から導き出して言う音有が言えば、カズラは頷くと。
「着いて直ぐに襲撃とは思えない様子だけれど……警戒はしておかないと」
 カズラの言うとおり、明け方頃、大凡穂澄の良そうな宿の手前の林に男達は入っていき、体制を整えたり襲撃前の休憩を林の中で行っているようで。
「少しの間、ここで時間を取るみたいだな」
 男達と距離は保っている者の、目を離さずにいた音有が小さく言って、宿の付近と言うこともあり、そっと宿へと近付くと、周囲を確認思念の為投げ文で情報を部屋まで入れると男達への張り込みに戻ります。
 男達が再び動き出したのは、昼も過ぎた頃、腹拵えと火を囲んで適当に喰い酒を飲んだ後で、良い心持ちなのでしょう、自分たちだけで盛り上がってきているようでがらも悪くまた少々騒がしく。
「飴ちょうだい?」
「あぁ、これをあげるから、あっちの安全なところで遊んでな?」
 飴屋を宿の直ぐ側でやって周囲を伺っていた滝月は、何やら視界に風体の宜しくない男達が数人集まっているのに、それとなく子供達を安全な方へと誘導してから、男達にちらりと目を向けます。
「……あの一団ですね」
 宿の二階から目を向けた穂澄は、一瞬迷う様子を見せるも、自身の得物を手に立ち上がって。
「守る側からすればやりにくいかも知れません、ですが、宿の中で他の方々を危ない目に合わせたくはありません」
「元より」
「穂澄さんには近付かせない。勿論、この宿にも」
 僅かに口元に笑みを浮かべて頷く柾鷹、羅喉丸も力強く頷くとリーゼロッテはやれやれと窓の向こうの男達の一団を呆れ果てた様子でちらりと一別し、4人は下に降りて宿の表より出て宿を背にするようにして待ち構えます。
「出て来るたぁ良い度胸じゃねぇか」
 男の一人がそこまで言うも、穂澄を守るように出てきた柾鷹と羅喉丸にぎょっとした表情で足を止めて。
「穂澄殿のお手を煩わせるまでもない、代わりにお相手仕ろう」
 穂澄達の前に立ちはだかる柾鷹、すっと穂澄の側に控えて羅喉丸が油断無く男達へと目を向ければ、通りの一方を押さえるとでも言うかのように滝月が立ち。
「なっ、何だ、手前ぇら……」
「おう、ここまでやって、逃げるってなぁ無しだぜ?」
「よう、纏めて行こうか」
 そして、男達の背後を嵐山と音有で塞げば、音有の八尺棍がしなり一人の男を叩き伏せて。
 魔剣を男達に突きつけるように向けたリーゼロッテ、魔剣より放たれるのは視界を奪う吹雪、男達が何事だと騒ぐも固まって居た為半数がその範囲におり巻き込まれて。
「こ、この……」
「手前の相手はこの俺だ!」
 嵐山の咆哮に意識を取られれば、喧嘩煙管が唸り豪快に男を吹き飛ばして。
「手前ぇら、こんなことして、ただで済むと……」
「元々不埒な真似をしたのはそちらであろう?」
 見逃されているうちに改心して居れば、小さく息を吐くと柾鷹は斬り掛かる男の刀を受け流して峰でピシャリと一閃、気を失えれば良かったものの、痛みで崩れ落ち悶絶する男。
「ひ、ひぃっ、なんだこれはっ!?」
 急に眼前に現れた黒い物体に対処できる術もなく、思わず飛び退って。
「生きてさえ居れば何処だって天国になるという名言が有るじゃない?」
 事が事なだけに冷たい笑みを浮かべてカズラが言うと、その手より繰り出される符が男を切り裂いて。
「つまり殺さなければ良いって事よね」
「宿の中にいるうちに押し込んでおけば……」
「この宿を襲うつもりだったのは、いざというときに盾が居るから……」
 一人の男の言葉に、滝月の目の色が変わって。
 穂澄が思った以上にやるようならば宿の人間を盾にして、そういう意図が透けて見え、一瞬にして懐へと踏み込むと渾身の一撃を的確に急所へと撃ち抜く滝月。
「お前達のような輩に加減なぞするものか!」
 怒りと侮蔑を滲ませて、滝月はそう言って男を睨め付けるのでした。
「もう、眠っときなさいよ」
 そう言ってそばに寄ろうとした男へとアムリープで眠らせて落とせば、にっこり笑うリーゼロッテ。
「叩き伏せて気絶させないだけ優しいわね、私って♪」
 その前に吹雪を叩き付けたことは優しい範疇のようですが、それはそれ。
「さて、今入れたのはたったの一撃だぜ? 何寝たふりしてんだ、わかってんだぞ? ……死んでねぇよな?」
 ちぃと撫でただけで死なれちゃ寝覚めが悪い、嵐山がその大きな煙管をくるくる回しながら笑うも、ふと真顔で死んでないか確認してみたり。
「逆恨みも甚だしいな、最も数に頼んでこの有様ではな」
 消して寄り集まった男達が極端に弱かったというわけではありませんが、彼等の中では穂澄一人か、せいぜい供が一人で考えて居た為か、ある意味圧倒的であり、音有はそう言って呟くと。
「音有だ、今回は災難だったな」
 ふと、穂澄との顔合わせが初めてであることを思い出した音有が笑みを浮かべて名乗ると、叩き伏せた男を見下ろしてから再び穂澄へと声を掛け。
「で、こいつら役人へ引き渡せばいいか?」
「ええ。責任を持って処罰させて頂きます」
「くぅっ、こうなりゃあの女だけでも……」
「残念だったな、泰拳士の拳は空を切り裂く」
 一瞬穂澄までの道が空いた、そう思った男の一人が斬り付けようと深く踏み込んで……その分の反動が更に上乗せされたかのように、ふっと身体が浮き上がったかと思えば吹き飛んで。
「穂澄さんへの道を、開けるわけ無いだろう?」
 よろよろと起き上がろうとした男を押さえつけると、羅喉丸は男を見据えるのでした。

●お駄賃を貰って
「おいらたち、何かきれーなおねーちゃんにお駄賃貰った!」
「ありがとうねーってなでてもらった!」
 わやわやと群がる子供達に、笑みを浮かべて頷くと柾鷹はぽんぽんと撫でてやって。
「無事に済んだは手柄だと、慌ただしくもあったようだが、礼を言いたかったらしいな」
 子供達の様子に笑みを浮かべてそういった柾鷹は、しかしあのような輩を同じ男とは思いたくないと溜息をつけば、嵐山は子供達に挙げる団子の包みを渡しつつ呵々大笑。
「男ン中にも馬鹿もいりゃ阿呆も居ると。ちぃとそれがどっちに向いているかの違いなんだがなぁ?」
 剣術馬鹿とか、ただの馬鹿とか色々居るだろ? そんな風に笑う嵐山に、ちょっぴり釈然としない様子で首を傾げる柾鷹ですが、あぁ確かに、と羅喉丸は笑って。
「性別関係なく、個々人の問題だからな」
「はい、御茶が入りましたよ。しかし、本当に話を聞いた時にはどうなることかと思いました」
 言って各人にお盆に載せた御茶などを振る舞う利諒は、何やら笑っている様子のその場にきょとんとした顔で居ると緩く溜息をついて。
「穂澄ちゃん、なんか、宿の人達に迷惑掛けるところだったとちょっとしょんぼりしてましたけど……」
「まぁ今回のは仕方ないわよ。逆恨みだもの。私でもちょっかい出されたら潰すし、それで勝手に逆恨みされてもねぇ?」
「まぁ、そうですよね」
「所詮相手が小さい男ねーとしか言えないわ。宿に迷惑を掛ける、なんて所まで、その時に気付くもんじゃないでしょ?」
「そうですね、今度顔合わせたら伝えておきます」
 少しは気が楽になるんじゃないかなーと頷いてリーゼロッテの言葉に同意を示す利諒。
「あまりに今回の男達が雑魚過ぎて、ちょっとがっかりだったわ」
「やり口が、凄く腹立った」
 ほうと溜息をつくカズラとは対象的に、宿の人間を盾にしようとしたことがまだ腹立たしかったのか言う滝月ですが、何とか気持ちを切り換えようとしている模様。
「これだけのことをしでかしたんだから、嫌というぐらい思い知らされるんだろうから……これで、今後あの男達からの被害分ぐらいは減ったと考えれば少しは気も晴れるだろ?」
 そう言うと音有はのんびりと出された御茶を飲みながら小さく笑うのでした。