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■オープニング本文 神楽の都の桜は散ってしまった。 花冷えの肌を震わせる寒い日も時折あるが、着実に温かくなってきている。 それでも神楽の都の開拓者ギルドは相変わらず忙しい。 受付員の北花真魚は忙しさで目が回りそうだった。でも、一時の休憩は大事。勿論甘味も。 「あ、もうない」 いつも甘味を入れている箱の中に保存できる甘味がなくなっていた。 飴の一粒もなく、真魚はおやつなしにしょんぼりしていると、先輩受付員より名前を呼ばれた。 真魚が先輩の方に行くと、先輩と一緒にいる人物に目を見張る。 「天南さん!」 「真魚ちゃんこんにちは」 ひらひら手を振るのは武天に本店を持つ呉服問屋三京屋の店主、天南だ。 旅姿であるのだから、今、神楽の都に着いたのだろう。 「ご無沙汰してます。どうしたのですか、これから朱藩ですか?」 首を傾げる真魚に天南は頷く。 「ちょっと、ここで実験をしてみたくって」 「実験?」 鸚鵡返しよろしく真魚が首を傾げると、天南が個室を貸してと言った。 幸い個室が空いており、そこに天南と真魚が入ると、天南が背負って来ただろう葛籠の蓋を開けた。 取り出せば、全て色鮮やかな着物の数々。 「赤に黄色に青に緑に橙に紫‥‥綺麗な刺繍ですね!」 ぱっと顔を明るくさせる真魚に天南は嬉しそうに微笑む。 「そう言ってくれて嬉しいわ」 「でも、これ、形が斬新ですね。神楽の都ではよく見ますが。それに随分厚いし、これじゃ一般の娘さんには重いと思いますよ」 真魚が思ったのは着物の形状。丈が短いのだ。 それに随分布地が厚い。まるで強化服のようだ。 「そうそう、これを開拓者の皆に着てもらおうと思ってね」 「へ?」 きょとんとする真魚に天南が頷いて趣旨を説明する。 ここ近年、開拓者の存在も明確かつ、身近な存在となりつつある。どうしてか、開拓者は見目麗しい者が多い。 着物は生活には必需品ではあるが、美しく着飾る為にだってある。 開拓者はアヤカシと激しい戦闘を強いられることだってあり、天南としては、戦っている時だって可愛い姿でいたい開拓者がいると踏んでいる。 そこに需要がある事を知った天南‥‥三京屋は密やかに準備をしていた。 まぁ、まだまだ試作段階ではあるが。 「確かに、可愛い着物って大事ですよね」 ふむと頷く真魚に「でしょでしょ♪」と天南がノる。 「それで、真魚ちゃんにはいい感じのゆるーいアヤカシ退治依頼で実践で使ってほしいなって」 「‥‥ゆるーいアヤカシ退治は多々いますが、不謹慎じゃないですか?」 じとりと真魚が可愛らしく天南を睨みつける。 「そこはなんとか、なんとか。ね!」 天南のおねだりに負けた真魚は依頼書に筆を走らせた。 近隣の村で「暇になった時にでもいいからアヤカシを倒しに来てくれ」という暢気な依頼を昨日受けたばかりなので、開拓者を募ってみようと思った。 年下でも天南は両親の「上司」にあたるのだ。 |
■参加者一覧
北條 黯羽(ia0072)
25歳・女・陰
珠々(ia5322)
10歳・女・シ
フレス(ib6696)
11歳・女・ジ
ヴェール(ib6720)
16歳・女・巫
エリアエル・サンドラ(ib9144)
11歳・女・陰
楠木(ib9224)
22歳・女・シ |
■リプレイ本文 天儀に来たばかりのエリアエル・サンドラ(ib9144)は少しだけ不安そうな表情を見せつつ、受付の真魚の方へと声をかけた。 「依頼は初めてゆえ、分からぬ事ばかりで難儀する事もあるが、頑張ってこなすつもりじゃ」 愛らしさと雅やかさを入り混じったエリアエルの言葉に天南が宜しくねと明るく声をかける。 「任務了解しました」 静かに何か間違った事を呟いているのは珠々(ia5322)。 「とっても楽しそうな依頼なんだよ♪」 対照的に楽しそうなのはフレス(ib6696)だ。 「あら、お久しぶりね。永和の祝言に来てくれた開拓者さんね」 にこやかに天南がフレスに声をかける。 「可愛い着物を着てアヤカシ退治‥‥素敵ね‥‥」 うっとりしているのは楠木(ib9224)。 「あ、あの! チトゥヴェルークです! よろしくお願いしまひゅ‥‥」 勢い込んで声をかけたのはいいが、かんでしまってしょんぼりしているのはヴェール(ib6720)。 「まぁまぁ、気を負わずにのんびりとね」 片目を瞑って天南がヴェールに声をかけると、犬耳を下げて彼女は頷く。 「真魚ちゃん、あともう一人来るって聞いたけど」 ヴェールを宥めつつ、天南が真魚に声をかける。 「ええ、と‥‥」 きょろきょろと周囲を見回す真魚が見つけると、北條黯羽(ia0072)はぎょっとしつつ、真魚の方に向かう。 「今回は宜しく‥‥」 いつもは臆する事無く玲瓏とした様子の中に余裕を見せる黯羽とは思えない不審ぶり。 「あら、あの時の! どうしたの? そんなにきょろきょろして。ここは個室だから大丈夫よ?」 「いや、一家に見つかると‥‥その‥‥」 不審者ぶりは一家の皆に見つかった時の照れが先走っているのだろう事が分かった天南はくすくす笑う。 「旦那に見つかっても別人として惚れられるのもまたお約束なのじゃ」 「それは助言でもフォローでもないぞ!?」 エリアエルの発言に黯羽も即座にツッコミを入れる。 「六人の美少女戦士が集まったわ! 着替えよ着替え!」 天南が叫ぶと、真魚が奥に並べられた帯や小物の数々を見せる。 ● 色は恙無く決まっていったが、ここで問題が発生したのは神威人のフレス、ヴェールだ。 「しっぽは‥‥」 不安げにヴェールが言うと、天南はあっさりとその場で着物の繋ぎ目からしっぽ用の穴を作り出す。 「天儀には修羅もいるからね。まだまだ改良の余地があるから色々と対応できるようにしなきゃ」 どうぞと、天南が二人に着物を渡す。 「きゃぁー! 北條さん、素敵ーー!」 天南の好きなようにとあっさり了解してくれた黯羽には天南が選んだ帯や小物を真魚が着付けていく。 「先輩戦士だから、甘さはちょっと控えめにね」 天南が選んだのはジルベリアのレースを青紫に染めて半襟に貼り付ける。他の戦士達の半襟はそれぞれの着物地より薄めの色でひだ畳んだレースを立てて統一感を出している。 着物は丈は少し短めでその分、裾の黒いレースの柄も大胆に見せ、レースから透ける太股がかいま見れる仕様。帯はあえて淡い赤紫色の天の川を意匠した銀糸刺繍で、ここにも差をつけるように結び目は後ろではなく、あえて左側にレースをあしらって結び目のリボンを豪華にする。付け袖は黒のベロアのリボンで止めて袖口も同じ黒のレースで合わせる。 足元はこげ茶の細身ブーツでシンプルに纏める。 背が高くてもカッコ可愛いの路線だってあるのだ。 一家には秘密の美少女開拓者なので、髪も一度結ってクセづけて髪をおろして、横髪を掬い上げて椿の櫛で止めて艶やかさを出す。印象を変えて普段のどこか気だるげな静凛さを打ち消した後輩開拓者に道を示す豪奢な先輩美少女開拓者とする。 自分で着付けた真魚が黯羽の美しさにギルド受付嬢の大人しさをかなぐり捨てて興奮なう。 「誉められると、やはり嬉しいもんさね‥‥」 こほんと、咳払いをしつつ、黯羽が横目で真魚を見やる。 楠木は天南と衣装の選定。 「武器は傘ね、風流で素敵」 「うふふ、ありがとーっ」 楽しそうに笑う天南に楠木も嬉しそうに笑う。 緑地に梅という大人っぽい着物であるが、春の先駆けの花を連想させるので、冬の寒さを吹き飛ばすような可愛らしさの中に活発さを持たせてみようと天南が小物を選び始める。 帯は黄色に雪の結晶柄。 着物の裾は五人統一で白いレースをちらっと見せる事にした。半襟は一段階淡い緑のレースの縁を立てている。楠木は中にパニエで膨らませ、ジルベリア風着物とさせる。 「靴は踵があるものがいいな」 一つだけ注文をした楠木に天南が「是非!」と出してきたブーツはぽっくりのように爪先が厚底で踵のある白いブーツ。 決めポーズの時の振り付け動作に天南が熱弁を振るう。 頭は艶やかな直毛の髪を纏めるのが忍びなく、薄紅色の組紐に梅の飾りをつけてカチューシャのように髪に飾る。 黯羽の選定を終えた真魚はヴェールの帯や小物選びに参加。 「その頭の布飾り、折角ですから生かしませんか?」 真魚の言葉にヴェールは「お任せします」とはにかんで頷いた。 了承を得た真魚は一度部屋を出て、戻ってきた。ヴェールと同じ布飾りを持ってきて、その場で小さな菊の造花を縁に縫い付けていく。 「わ、可愛い」 「レースばかりですと目が疲れますからね」 苦笑する真魚にヴェールは興味津々にその手つきを目で追う。 帯は橙色の紅葉柄という大胆な色味で秋空と紅葉に菊というテーマらしい。 足元は舞手という事もあり、踵低めの履き口が緩いショートブーツを選んだ。 髪型はいつも通り、三つ編みを横に流しているが、結び目に菊の飾りもつけておく。 「キャラバンの皆にも見せたい‥‥」 離れた仲間を思い、ちょっとしんみりするヴェール。 悶絶しているのは珠々だ。 「どうしたの?」 ひょこっと、楠木が声をかける。 「いや、付け袖が‥‥」 俊敏さを生かした装いでいこうと決めた珠々に出てきたのは付け袖の存在。 同じシノビが故に珠々が困っている事も理解できる。 「肩の袖口に袖と同じレースを持ってきたら?」 「うう、そうですね‥‥」 仕方なく、珠々は付け袖を諦めて上腕から手首に掛けて布を巻き、藤色のリボンで止める事にした。足も脚袢代わりにおそろいをつける。 着物の裾はメンバーの中で一番短く、その分、短い袴で機動力を上げる。 横髪はいつも青の組紐で結わえているが、今回は藤色のレースリボンに金の三日月の飾りをつける。 帯は淡い赤紫色で。 「これで‥‥いきます!」 ぐっと、珠々が拳を握った。 のんびり構えているのはエリアエル。着物は着慣れたが、珍しい小物を眺めるのが楽しいようで、早く質問したくて少しだけそわそわしはじめていた。 「エリアエルちゃん、どんなものにするか決めた?」 真魚が声をかけると、エリアエルは「この花はどんな花なのじゃ?」と尋ねてきた。話がそれてきたが、真魚はくすくす微笑みつつ答える。 「橙に牡丹柄ね。エリアエルちゃんの銀髪が映えそうね。帯は明るい臙脂で」 ふと、視界に入った黒に星刺繍の金と銀の帯。 「夜空なのじゃ」 ほわーっと、眺めるエリアエル。その横では真魚が牡丹の飾りを出している。 「星にかわ‥‥」 「それは危険よ、エリアエルちゃん!」 色々と情報通なエリアエルに真魚が即座に止めた。ギルド受付嬢の誇りに掛けて。 褐色の肌に赤地に桜柄の着物はよく映える。 くるっと、フレスが鏡の前で回転してにぱっと笑う。袖なしで活発にいくようだ。 わくわくしつつ、フレスが色々と確認している。 鏡の反射で見えたのは着替え済みの珠々の姿。 「珠姉さまはよく似合っているんだよ」 ぱっと、フレスの表情が明るくなると、珠々がビキッと、動きが怪しくなる。 いつも妹位置が抜けきらないのか、まだまだ呼びなれていない模様。 「お洒落もいい感じに勉強できてるんだから、慕われる事も勉強しなさいな」 天南が苦笑すると、珠々は「だって、だって‥‥」とおろおろする。 そんな様子にイマイチ理解できないフレスは鏡越しで首を傾げるばかり。 美少女開拓者六人が揃った。 現場の村は本当に長閑な村。 村の人達もとても優しくて開拓者達に笑顔で声をかけてきてくれた。 「きれいな娘さん達じゃなぁ」 「気をつけておくれよ」 そんな気遣いを頂きながら開拓者達は問題の現場へと向かう。 村の奥の荒れ地に咲いた迷惑な大きい鈴蘭。 エリアエルはどこか寂しげに鈴蘭を見上げた。 「どうかされましたか?」 ヴェールが話しかけると、エリアエルは少し困ったようだが、簡潔に母上が愛用していた鈴の髪飾りを思い出したとだけ伝えた。 「それなら尚更元気出して倒さなくっちゃ!」 明るく声をかけるのは楠木だ。 「お母様の髪飾りを思い出す姿をしてるんだから、やっつけなくっちゃね」 「その通りです」 頷くのは珠々だ。 「開拓者は笑顔が大事なんだよ!」 フレスの最後の押しにエリアエルがぐっと頷く。 「母上の為にも倒すのじゃ‥‥!」 心を決めるエリアエルは一歩踏み進んだ。 物陰で待機している黯羽がシニカルに微笑んだ。 鈴蘭アヤカシの射程距離外に立った五人。 まずフレスが一歩踏み出した! くるりとターンをしてしなやかに手を振りあげてポーズをきめる。 「闇の中正義と共に舞う桜のフレス‥‥なんだよ」 次はヴェールがフレスの隣に立つ。 「誰かの心の闇を晴らせる為、青空に輝く一輪の花‥‥菊のチトゥヴェルーク!」 噛みかけた所はなんとか沈黙という間を取って調整し、ポーズを決める。 メンバーの言葉に気持ちを取り戻し、力強く踏み出したのはエリアエル。 「陽の光に導かれ、咲き誇りし一輪の華。闇を払う力とならん! 牡丹のエリアエル!」 凛々しくポーズを決めるエリアエルに微笑んで楠木が一歩前に出て、傘を広げる。 ターンを決めて傘の柄を傾ける。 「闇の中、きらりん光る誰かの涙‥‥それを受け止める為に咲く梅の花! 梅の楠木!」 ラストは珠々だ。 「悪が蔓延る夜闇に差し込む繊月。藤の珠々!」 「美少女開拓者、見参!!」 五人の声が合わさると、珠々が火遁を発動させ、開拓者の背後に爆発を走らせた! 五人の後ろから思いっきり歓声が沸き上がる。 何事かと思えば、安全と思われるような所に村人達がいるではないか。 しかも、ゴザとか敷いて観戦モード。お母さん達が握っただろうおにぎりとかおかずとか摘みながら。 「美少女開拓者! 村の皆の為にアヤカシをやっつけるのよ!」 司会進行よろしく天南が声をかける。 「な、何で観戦してるのですかーー!」 おろおろしているヴェールだが、楠木は臆することなく一歩進む。 「覚悟しなさいアヤカシ! 私達の力は無限大! いざ参る!」 傘をアヤカシに向けて楠木が宣言する。村人達も「そうだそうだ!」「ねーちゃん、かっこいー!」等とかけ声を上げる。 先手必勝とばかりに走り出したのは珠々だ。 早駆で早さを出して更に盆針術で素早さを上げる。 「ひっさつ、きくろねこあたーっく!」 色々と勉強してもネーミングセンスだけはまだまだらしい。 六つの花の内、一つ撃破した。 「これからなんだよ!」 駆けだしたのはフレスだ。ジプシーの分、少々動きが鈍り、目標を捕捉したアヤカシが種爆弾を吐き出す。フレスはカッティングとシナグ・カルペーを発動させて爆弾連撃を舞いながら回避していく。 飛び上がったフレスが二刀を振り上げた刹那、隣の花がフレスに種爆弾を吹き出そうと動かしはじめた。 フレスが狙った花は切り落とされる。 「危ない! プラムローリングファイヤー」 シノビの楠木が飛び上がり、フレスを狙う花に火遁を走らせる。 「楠木ねーさま、ありがとなんだよ!」 フレスが振り向くと、楠木が「どういたしまして」と片目をつむる。 「皆さん、素敵です‥‥」 仲間の活躍にうっとりするヴェールだが、即座に表情をきりっとさせる。 「私も‥‥」 ヴェールも負けじと舞い、力の歪みを発動させると、花が淡く輝き、花の付け根を捻り落とした。 色んな意味で初出撃のエリアエルはあと二つとなった花の一つを標的として狙い定める。 花達は仲間が倒されていき、少し焦っているようでもあり、種爆弾は速度と回数を増している。 「くっ‥‥」 顔を顰めて回避をしているが、エリアエルに種爆弾が集中砲火となってしまっている! 回避し続けたが、足が縺れ、種爆弾がエリアエルに直撃した! 「えりりんが! グリーンスキップ・マーチ!」 楠木が早駆で傷ついたエリアエルを助け出し、併走した珠々がエリアエルを更に襲う種爆弾を花をめがけて蹴り上げた! 「なっ!」 声を上げたフレスが見たのは種爆弾を直撃したのにもかかわらずに無事な花アヤカシ。どうやら、自身の攻撃は効かないようだ。 「なんてこと‥‥」 呆然とするヴェール。 「わ、我等だけではだめなのか‥‥」 やけくそになったのか、花が間引きされて強さが増したのか、アヤカシの威力が強まっている! フレスに攻撃が向かい、誰もが駆け出そうと気を向けた瞬間‥‥ ぱちんっ! 軽快に一つ指が鳴ると、フレスを襲う種爆弾が鋭い風の刃に切り裂かれた! 「甘いぞ! そんな攻撃ではアヤカシは倒しきれん!」 木の上から黯羽が声をかけた。 「おおーっと! 新たな美少女開拓者が現われた! 何者だーー!」 天南が実況を交えると、黯羽はふっと、胸を張る。 「闇を切り裂く第六の戦士、牡丹の黯羽だ!」 豪奢かつ、他の開拓者とは一線を画す艶っぽさに男性陣(観客)が興奮。 木から降りた黯羽は開拓者達に向き直る。 「バラバラな攻撃だけでは倒しきれん。力を合わせれば必ず倒せるさね。チトゥヴェルーク」 「はい!」 黯羽の声にヴェールがエリアエルに神風恩寵を発動させる。傷が治ったが、少し砂埃がついているので、フレスと珠々が着物の砂埃を払う。 「ありがとうなのじゃ‥‥」 エリアエルが言うと、楠木が指をアヤカシに向ける。 「皆で倒しましょう!」 楠木の言葉に全員が頷く。 まずはヴェールが神楽舞・攻を舞う。凛々しい舞は心を鼓舞させる。 エリアエルが呪縛符でアヤカシの茎を固定させる。 「皆、いくぞ!」 血の契約の上に混沌の使い魔を重ねがけした黯羽が声をかける。 楠木と珠々、フレスが駆け出した。 続けて黯羽とエリアエルが斬撃符を発動させ、両脇からそれぞれの花を狙い、ヴェールが力の歪みで攻撃。 接近組は踵落とし、爪引っかき、ナイフステップでの二刀攻撃。 「ダイアモンドダストシャワー!!」 皆の攻撃がタイミングよく決まり、アヤカシはぐったり倒れた。珠々は再び、火遁を走らせて爆発をさせる。 最後は爆発お約束! 「悪は滅びるものなんだよ!」 六人が村人達へポーズを決めると、村人達から歓声わく。 気落ちしていたおじいちゃんも元気になるくらい。 「見事だったわ‥‥これからよ‥‥」 開拓者達を見守る天南は一歩進めた事を確信した。 |