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■オープニング本文 開拓者ギルドを訪れていた穂邑(iz0002)は、掲示板に張り出されているたくさんの依頼書の一枚一枚に目を通しながら、自分でも役立てそうな内容のものを確認していた。 「んー……これなんてどうでしょうか」 いろいろ見た末に彼女が手に取ったのは、神楽の都から北へ二〇キロほど向かった先にある村の長が依頼主の仕事。 その村に向かうまでには、途中に幅五メートルほどの川を渡らねばならず、常ならば頑丈な橋が掛かっているのだが、その橋にアヤカシが居着いてしまった為に行き来が出来なくなってしまったので、これを倒して欲しいという内容だった。 男に裏切られて身を投げた女の怨念がアヤカシ化したらしく、彼女を裏切った男はとうに殺されてしまっており、その後、橋を渡ろうとする人々を無差別に襲っている。詳細は書かれていないが、どうやらその橋が、壊れた恋人達の思い出の場所だったようだ。 「なんだか可哀相な気もしますが……生きている人達が困っているなら、放ってはおけないのです」 穂邑の表情は僅かに沈んでいたが、少しでも力になれるのならと意を決する。 そうして受付の所に向かおうとした彼女は、不意に何かに引っ張られて振り返った。 「? どうかしたのですか?」 着物の袖をぐいと引っ張っていたのは一〇歳くらいの男の子だ。 そういえばさっきからずっと掲示板の傍に座り込んでいたなと気付く。 「誰かを待っているのですか?」 それとも迷子だろうか……そう聞こうとするより早く、男の子は口を開く。 同時に少年は今にも泣き出しそうな顔になり。 「おねえちゃん……そのいらい、ひきうけてくれるの……?」 「え?」 「おれ、おかあちゃんに会える……?」 「おかあ……さん?」 とうとう涙を流して泣き始める男の子。 時間を掛けて話を聞いてみれば、村の長が依頼を出すために船で川を渡った際、悪戯心でそれに隠れて乗り込んできたのだと言う。そして、村長が村へ帰るのには同乗出来なかった。 結果として、少年は神楽の都に置いて行かれてしまい、村に帰れなくなってしまったのである。 「おかあちゃんに会いたいよぉぉっ」 「あわわわっ、な、泣かないで下さいっ、きっと会わせてあげられますからっ」 穂邑は必死で男の子を慰めながら、少しでも早く依頼を受ける開拓者が揃い、この子を村に帰してあげられますようにと祈るのだった。 |
■参加者一覧
柚乃(ia0638)
17歳・女・巫
鳳・陽媛(ia0920)
18歳・女・吟
ミレーヌ・ラ・トゥール(ib6000)
13歳・女・騎
ヘイズ(ib6536)
20歳・男・陰
呂宇子(ib9059)
18歳・女・陰
御簾丸 鎬葵(ib9142)
18歳・女・志
エリアエル・サンドラ(ib9144)
11歳・女・陰
佐長 火弦(ib9439)
17歳・女・サ |
■リプレイ本文 ● 待ち合わせの場所に集まっていた開拓者達の中には、今回の依頼が開拓者になって初めての者もいれば、共にアヤカシ討伐に赴く仲間が初めて顔を合わせる相手ばかりだという事に緊張している者もいたし、友人と一緒の依頼を受けられた事を喜んでいる者もいた。 穂邑に手を引かれて待ち合わせ場所に合流した件の少年に最初に歩み寄ったのは顔馴染みのヘイズ(ib6536)や鳳・陽媛(ia0920)。 「しばらく見ない内におっきなお子さんのママになっちゃって?」 「えぇっ!?」 「ははっ、冗談さ」 「穂邑さんは可愛いのです♪」 ヘイズの冗談で顔を真っ赤にする穂邑をぎゅっと抱きしめた陽媛は、続いて傍の男の子にも。 「初めましてですね。私は陽媛って言うんですよ。あなたのお名前は?」 「お、おれっ、げんた(元太)……っ」 「元太か」 ヘイズは少年の頭にぽんと手を乗せ、穂邑から彼の身の上を聞くと面白そうに笑った。 対して呆れ顔なのはミレーヌ・ラ・トゥール(ib6000)が呆れ顔。 「自業自得じゃないか、まったく……しょうが無い奴だな」 言い方はきついが、此処に居るという事が彼女の本心。助けを求める者に手を差し伸べるのは騎士の務めだ。 元太は穂邑に宥められながら他の面々にも挨拶。 「しっかりするのじゃ、男の子ならの」 「だーいじょうぶだって。私らが会わせてあげるから」 エリアエル・サンドラ(ib9144)、呂宇子(ib9059)が励ますと、少年は腕で涙を拭って大きく頷く。 「よろしくおねがいしますっ」 それでも目はうるうるで、柚乃(ia0638)がおにぎりを差し出すと丸く見開かれた瞳からは今にも大粒の涙が零れ落ちそうだった。 柚乃は言う。 「一人都ではぐれて、お腹が空いてるんじゃないかなって……」 ギルドの台所を借りて作って来たばかりのおにぎりは、まだほかほかと暖かい。促されるまま両手でおにぎりを持った少年は、結局また泣き出した。 「おで……っ、おで……!」 鼻水まで垂らす少年の涙を、陽媛が優しい笑顔で拭いてやるのを見ながら、御簾丸 鎬葵(ib9142)も手拭を差し出した。 「男子たるもの、簡単に涙を見せるものではなく、己の為でなく人の為に泣けるようになってこそ一人前かと」 「うぐっ、ぐぐっ」 幼いながらも自分の言葉を理解しようとする姿に、その頭を優しく撫でる。 親と離れる寂しさは鎬葵にも判るし、その寂しさを我慢しようと努力する姿は微笑ましかったからだ。 「すぐお母様にも会えますよ……私達に任せて」 「ん。頼りになる者ばかりじゃ、安心するが良い」 エリアエルも笑顔で請負う。 元太がもう一度大きく頷くのを確認してから、開拓者達は件の橋を目指して出発した。 ● 橋に向かう開拓者達は、元太が驚くくらいほのぼのとしていた。特に先頭の女子三人。柚子と、穂邑と、呂宇子だ。 「……穂邑ちゃんと一緒にアヤカシ退治、は初めて……かな?」 「かもですねっ。私自身、戦う事はあまり得意じゃないので……っ」 「私は開拓者になってからこっち、純粋なアヤカシ退治依頼を受けるのが初めてだわ」 「開拓者には最近なられたのです?」 「んー、って言うか、天儀だと結構頻繁にアヤカシって出て来るみたいだけど、陽州じゃあ、まず有り得ない事だから」 「そうなのですかっ?」 修羅一族とは浅からぬ縁がある穂邑だが、陽州に赴いたことは一度もないため未知の大陸の話を聞ける事がとても楽しそうだ。そんな彼女の様子を一歩後ろから微笑ましく見守りつつ、後方の元太の様子も気遣っているのが陽媛とヘイズ。 その元太は鎬葵から麦芽水飴を貰って目を輝かせている。 「おまつりでいっつも良いなって思ってたんだ!」 「そうか」 少年の寂しい気持ちを紛らわそうという思いが通じて、鎬葵の表情も穏やかだった。……が。 「どうしました」 「な、なにがじゃ?」 鎬葵に声を掛けられて肩を震わせたエリアエルは、しかし少年の持つ水飴から視線が離れない。 「……欲しいのですか?」 「た、確かに気にはなるが……」 「いる?」 「うっ」 元太に差し出された水飴に心揺れるエリアエルは「……では少しだけ頂くのじゃ」とそれを口にし、とても幸せそうな笑顔を浮かべ、一部始終を少し離れたところから見守っていたミレーヌは、荷の中のワッフルセットをそっと手で隠すような動作をして見せるのだった。 これからアヤカシ退治に向かうとは言え、ギルドに届いていた情報によればそれほど危険を感じない相手。それでなくとも柚乃や陽媛、ミレーヌと前衛後衛共に歴戦の開拓者が揃っているのだから、そう経験を積んでいない者達も不必要な緊張はせずに済んでいた。 それは、呂宇子と同じく今回が初めての依頼となる佐長 火弦(ib9439)も同様だったが、唯一つ異なるのは、少年と会ってから此方、彼女はずっと一人で一番後ろを歩き続けている事。 仲間を避けているわけではなさそうだが、決して前に出て来ないのだ。 そんな彼女をどう思ったのか。 水飴でエリアエルとも楽しげに会話出来るようになった元太は、火弦にも分けようとして傍に近付く。 と、火弦は距離を取るように、前を向いたまま後ろに三歩。 「……」 元太が近付く。 「……」 火弦が下がる。 「……」 元太がもう一度近付く。 「……」 火弦は更に下がる。 近付き、下がり、また距離を詰め。 そうしてどんどん遠ざかって行く二人に、ミレーヌは足を止めた後、呆れた声を出す。 「何をしているんだ。はぐれるぞ」 「……どうしたの?」 ミレーヌの声に、先頭にいた柚乃達も気付いて戻って来る。 「どうしました?」と陽媛にも聞かれて、元太は戸惑った表情。 「おれ……あのおねえちゃんにきらわれてる……?」 「え?」 「ち、違います!」 それには火弦が慌てて否定。ならばどうしてという視線を全員から向けられて、躊躇いがちにそっと自分の後頭部に触れた。 「実は……角、が……」 「つの?」 「ああ、火弦の角は後ろにあるのね」 「つの??」 同じ修羅である呂宇子の指摘に、火弦は静かに頷いた。母親と離れた寂しさから周りがよく見えていなかった少年は角と言われてもピンとは来なかったようだが、 「これよ、これ」と呂宇子が自分の頭部の立派な角を指差した事で、ようやく気付く。 「……って、ねえちゃんにつの!? ねえちゃんにもつのあるの!? しかもねえちゃんはみみがながい!!」 呂宇子と火弦、そしてエリアエルの特徴にも気付いて大騒ぎする元太。 「我はエルフじゃからな」 「開拓者にはいろんな種族がいるんだぜ?」 少年の新鮮な反応に、ヘイズは楽しげに笑いながら言い、穂邑も。 「せっかくですから元太さんも私と一緒に修羅の皆さんの事を知ってみませんか?」 「しりたいしりたい! すっげー! つのかっけぇー!」 「よぉし、じゃあこっち来い」 「うんっ!」 ヘイズに手を引かれて少年が歩き出すと、一行は再び先に進み始める。 そうして安堵の表情を浮かべている火弦に、柚乃は話し掛けた。 「……あの子を驚かせないか、心配していた……んだね」 「優しいのだな」 鎬葵にもそう言われ、火弦は安堵すると共にはにかむような、そんな柔らかな笑顔を浮かべるのだった。 ● 目的地が近付き、開拓者達は周辺に人の気配が無いかを探るようになっていた。万が一にも無関係な一般人がアヤカシとの戦闘に巻き込まれる事があってはならないから。 「それにしても、深き思いが生んだアヤカシ、ですか……」 鎬葵の呟きに呂宇子は短い息を吐く。 「裏を返せばそれだけ相手への想いが強かったんでしょうけど……いま生きている人間を脅かして良い理由には、ならないわね」 「……想いを踏み躙られるとはとても辛くて苦しくて……」 柚乃は言う。 恨みの内に秘められるのは深い悲しみ。 行き場の無い思い。 「私は、……救いたいの……」 「空気が変わる」 柚乃の言葉に呼応するように生じた変化を、ミレーヌは鋭く指摘した。 件の橋はもう目の前。 幸いにも周囲に人影が無いのは確認済み。 「後は橋の向こうからひょっこり人が現れない事を祈ろうか?」 本当であればアヤカシとの戦闘の前に元太も母親の元へ送り届けてやりたいが、家が橋の向こうではそれも難しい。 そんなヘイズの呟きより早く柚乃の体が淡い光を帯びて橋を中心とした瘴索結界を生成、同時に陽媛、穂邑、二人の巫女が地面に円を描くような足捌きで軽やかに舞う。 神楽舞「速」と「攻」。 対象は火弦と、鎬葵。 次いでミレーヌ。 「いる……橋の中央より向こう……向かって左側……」 柚乃が示した場所に、徐々に集まりつつある瘴気が成す形――恨み姫。 「んじゃあ行って来るかあ! 怪我をしたら出来るだけ優しく治療してくれよなぁ?」 元太を穂邑に任せ、軽口を残して戦線に立つヘイズ、呂宇子、そしてエリアエルという三人の陰陽師が先手必勝とばかりに放つ『式』。 「え、あら、ウミヘビ……?」 人形の符が恨み姫を呪縛すべく飛んでいく中に、まるで海中を漂うウミヘビが一匹。それに気付いた陽媛に、 「故郷が海に近いのよ」と悪戯っぽく笑ったのは呂宇子だ。彼女の遊び心は戦闘に直面して緊張していた元太の心をも和らげる。 「かいたくしゃってすごいだけじゃないね!」 「はい♪ だから、信じてくださいね」 陽媛の笑顔での言葉を、仲間は今まさに形にしようとしていた。 「はぁぁぁぁっ!!」 橋を駆け抜け、跳躍したミレーヌは、仲間の呪縛符によって動きを封じられた敵に振り翳した十字剣を叩きつけた。 「!」 表情一つ変えない恨み姫に攻撃が効いていないのかと疑うが、違う。 「痛覚がないのか……!」 痛みを感じない。 故に恨み姫は突如として叫んだ。 ――…… !!!! 「くっ……!?」 精神を侵さんとする呪いの声に思わず膝を付いたミレーヌに伸びる瘴気の腕。しかしその直前に腕を霧散させたのは鎬葵が放った矢だった。 「させはしません」 凛と言い放つ鎬葵の言葉を刃に乗せて、火弦の薙刀が弧を描く。 「貴女の相手は私が……!」 切っ先は確かに恨み姫を捕えるが、やはり痛みを感じないアヤカシは得物を振り抜いた直後に生じる隙を狙うように呪いの声を再び放って来た。 「っ……!」 言葉もなく崩れ落ちる火弦に伸びる腕を止めたのはウミヘビ型の式。更にはミレーヌ。 「痛みがなくとも攻撃が効いているなら数打つのみ!」 立ち直ったミレーヌが再び斬り掛かり、やはりまた呪声を受けるかと思いきや今度はエリアエルの呪縛符が恨み姫の動きを封じ、其処に射られる鎬葵の矢。 「誰かを傷つける事は己が身をも傷つけると同じ事。このまま醜く歪んでゆくのを止めてやるのがせめてもの情け。その闇に捕われた魂、いま解き放ってやろうぞ」 「こちらの都合で排除するのよ。遠慮なく掛かっていらっしゃいな!」 エリアエル、呂宇子、そしてヘイズ。 直接攻撃を仕掛ける三人を呪縛符で援護する陰陽師達。その連携には一瞬の隙すら存在しなかった。 開拓者の攻撃を受け続け、確かに弱りつつあった恨み姫。 橋の向こうに人影を見たのはその時だった。 そしてその人影が『誰』なのか真っ先に気付いたのは、元太――。 「かあちゃんっ!!」 「!?」 開拓者達がハッとした時には、既に走り出していた元太。彼を守っていたはずの穂邑は完全に虚を突かれたのだ。 「止まれ元太!!」 「元太君っ!」 ヘイズ、陽媛が声を張り上げるが無意味。 いま正にアヤカシと開拓者が戦う橋を、少年は目の前に現れた母親に抱き着きたいという一心で渡ろうとする。 慌てたのは開拓者ばかりではなく、何も知らずに現れた母親だ。 橋にアヤカシが出る事は彼女も知っていただろう。だが、もしも川の向こうに息子がいるのなら其処まで来ているかもしれない……そんな希望を胸に抱きながら子供を探して河縁まで赴いて来たに違いないのに、そんな自分の行動が子供を危険の中に飛び込ませようとしている。 「元太止まりなさい!! 来てはダメ!!」 青い顔で叫んでも、ようやく母親を見付けた子供が止まるはずもなく。 「これだから子供なんて……っ」 ミレーヌが再び剣を構えて駆け、火弦が元太の腕を取る。 「!」 同時に伸びて来たアヤカシの腕が元太の逆腕を取り――起きた爆発。 「!!」 自爆。 橋の上に撒き起きる爆風から転がり出て来た元太は火弦にしっかりと抱え込まれており、見た目には無傷。 後にはミレーヌの苛立ち満載の咳き込む声が聞こえて来る。 「……ごめんな。でも此処はアンタの居る処じゃないんだよ」 消えゆく瘴気に語り掛けたヘイズ。 後には静かな風が吹き抜けた。 ● 平穏の戻った川縁で、まず高らかに響いたのは元太が母親に頬を引っ叩かれる音。 それから「心配させて!」という怒鳴り声と、……無事で良かったと言う、涙声。ぎゅっと力強く抱き締められれば、それだけで母親の気持ちは元太に伝わったのだろう。 泣きながら、何度も何度も謝る少年に、色々と思うところのあった開拓者達もほっと胸を撫で下ろすのだった。 その後、親子と別れた開拓者達は、しかししばらくの間は件の橋に留まっていた。 理由は二つ。 一つは自分達の戦闘で人々の大事な生活路である橋が壊れていないかを確認するため。そしてもう一つは、アヤカシと化してしまった哀れな女の死を悼むためだ。 献花し、黙祷を捧げ、ヘイズをはじめ楽器を持参していた面々が鎮魂の曲を奏でる。 「ここは彼女にとって、大切な思い出の場所……なのですよね? もしかしたら、彼を待っていたのかな……ずっと……」 琵琶の弦を弾きながら呟く柚乃に、応える者は無い。 橋の袂に置かれた花輪。 誰もが同じ事を思い、誰もがその魂の安らかな眠りを祈っていた――……。 「まったく、無駄に体力を消耗したじゃないか」 負傷者も巫女の回復術で無傷になっての帰り道。 ミレーヌが糖分補給の為に取り出したのはワッフルセット。甘い甘い菓子を手に取って口に運ぼうとした、正にその時だ。 じー……っと感じる、エリアエルの視線。 「な、なんだ……?」 思わず箱を隠すように抱いて後ずさるミレーヌだったが、それでも箱から離れない相手の視線に、次第に居た堪れなくなってきた。 「……っ」 しばしの無言の攻防の末、負けたのは、ミレーヌ。 「良いか、一つだけだからな! ぜったいだぞ!」 「うむ、食べてよいのかぇ? ミレーヌは優しい子なのじゃ」 「子!? おまえのほうがどう見ても年下……一個って言っただろー!?」 「うむ、美味い!」 「コラァーーッ!!」 年少二人の遣り取りを、微笑ましく見守る年長者達。 「神楽に戻ったら、みんなで甘味を食べに行きませんか?」 「賛成です!」 「楽しそうですね♪」 柚乃の提案に笑顔で応じる巫女二人。 ヘイズも、鎬葵も、火弦も、呂宇子も、依頼を終えて、こうして笑いながら帰路に着ける事を心から喜ばしく思うのだった。 |