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■オープニング本文 「ふう……」 金髪さんことジークリード・アモンは、作業の手を止めて眼前に広がる茶畑を見渡した。 石鏡辺境のこの村は、標高も高く人の訪れも滅多に無いような秘境ともいえる場所にあった。そこでは昔から茶葉の栽培がなされており、香味豊かな茶として好事家の間では名が通っている。 そんな場所を知ってしまったら素通りできるはずはなく、ジークリードは長老に頼み込んでしばらくここで働かせてもらうことになったのだ。 「ここの茶葉で紅茶を作ったらどんなに美味しいだろう」 そして、ジルベリアにいる親友にも味わってもらいたい……。 ――だから。 彼は、茶畑の仕事が一段落したらこの村の茶を持ってジルベリアへ戻ることに決めたのだ。 作業を終え、村へ戻ると一頭の駿龍が木陰に座っていた。 開拓者が来ているのだろうかと思いつつ、前方から小さな包みを持って歩いてきた長身の男を見て、ジークリードは『あっ』と声をあげた。 「あなたはいつかの!」 「あれ。また会ったな、金髪の兄さん」 男――開拓者は軽い調子で手をあげた。 「へえ、それでこんなとこにいたのかい。『茶道楽』の縁かな」 そう言って笑う開拓者は、『夕嵐(ゆうらん)』と名乗り、年に二、三回はここへ茶を買いに来るのだそうだ。 「故郷へ帰る前にお会いできて良かった。お名前さえ知りませんでしたから」 ジークリードの言葉に、夕嵐は、そういえばそうだったと笑う。 そこへ、ぜえぜえと息を切らして駆けて来た村の男が声を上げた。 「おーい、ちょっと来てくれ! 茶葉が変なんだ!」 家々から人が出てくると、男はもう一度、茶葉が変だと言った。 顔を見合わせたジークリードと夕嵐が男に尋ねる。 「どんな風に変なんだい?」 「どうって……色も大きさも形も……」 村の男はどう説明していいのか、もどかしそうに言った。 「と、とにかく来てくれ!」 行ってみると、一区画だけ茶葉の色が紫かかっており、他のものより大きく葉の形もとげとげしく変貌している。 「……これは……」 ジークリードは葉をつまんで観察し、土を触ってみる。 「土が死んでます……あっ、土に触らないで!!」 ジークリードは土を触った指がなんとなくチリチリして、慌てて水筒の水で洗い流した。 手を出そうとした村人が慌てて引っ込めるが、数人は触ってしまったらしい。 「……なんか、変な感じがするな」 そんなことを言いながら水筒の水で手についた土を洗い流す。 「うわ! いま土が動いたぞ!」 別の者が声をあげ、飛び跳ねるように後退した。 「……いかん。腐毒土じゃ……」 長老が絶望したように言った。 「……なんですか、フドクツチって……?」 首を傾げたジークリードに長老が村に伝わる禍を話して聞かせた。 百年ほど前、まだ村がここよりも奥地にあった頃、茶畑の茶全部が紫かかったものに変化し、土がやられたことがあった。 これを茶にしていいものかどうかを試したところ――口にした者数名すべてが、まるで木乃伊のようになって死んだというのだ。 村人はこれを茶の不治の病、魔物の呪いとして茶畑を燃やし、その地を捨てて現在の場所に移り住んだのだという。 「ここももう終わりかもしれんの……」 「そんな……! 何か方法は無いのですか?!」 「わからん……じゃが、方法を探しておる間に、この畑はやられてしまうじゃろう……」 うなだれる長老を、ジークリードは愕然としたように見つめる。 「……いや、諦めるのはまだ早い。見てみな」 夕嵐は手にしていた懐中時計を見せてやる――七色の宝珠が中心に嵌め込まれ、針が四本もある。 「これは精霊力と瘴気を計測できるんだが……こちらとこちら……針が動いたのがわかるか?」 「……あ、ほんとだ」 ジークリードがまじまじと懐中時計を見つめる。 「これは不治の病でも呪いでもない……まあ、ある意味呪いの類ではあるかもしれないけどな。……こいつはアヤカシだ」 夕嵐の言葉に、村人たちは呆然として彼を見つめた。 「ギルドへ戻って似たような症例がないか調べてみないとわからないが、多分、粘泥(スライム)の亜種かその類だろうと思う。……瘴気にやられちまった茶は、もう焼くしかないだろうが、健全な茶の木はできる限り他所へ移した方がいい――アヤカシの討伐が終わるまではね」 また、夕嵐は、年々魔の森が拡大していることに触れ、食い止められるなら食い止めたいとも言った。 「それに、こんな美味い茶がアヤカシごときに潰されるなんざ、俺としちゃあ黙っていられないね」 そう言ってにやりと笑った彼に、ジークリードは激しく同意した。 夕嵐は汚染された茶畑を大きく囲むように空間を作り、抜いた茶の木をどこかへ移動させて瘴気汚染を少しでも広げないようにと言い置いて、ギルドへ発って行った。 |
■参加者一覧
水月(ia2566)
10歳・女・吟
アルーシュ・リトナ(ib0119)
19歳・女・吟
リディエール(ib0241)
19歳・女・魔
杉野 九寿重(ib3226)
16歳・女・志
月・芙舞(ib6885)
32歳・女・巫
天野 灯瑠女(ib9678)
26歳・女・陰 |
■リプレイ本文 ● 居並んだ美女たちを前に、村人はぽかんと口をあけて見惚れていた。 「ひえー……天女様たちが怪物をやっつけてくれるのかい!」 「ありがてえ……」 言いながら手を合わせて拝む者までいる。 長老から詳しい話を聞いた後、リディエール(ib0241)が思案するように呟いた。 「植物を汚染して、そこから人を襲うアヤカシ……ですか。確かに魔の森の木々も汚染されていますけれど、人が口にするものに憑くとは、アヤカシが知恵をつけたというべきか……他の作物にも被害が広がる前に倒しておきたいですね」 「お茶って、元々は薬だったのよね。良い御茶の産地をこんな形で駄目にされるのは見過ごせないもの。あたいも手伝わせて貰うわ」 薬師としても活動している月・芙舞(ib6885)が艶っぽく微笑み、村人に頷いてみせる。 (美味しいお茶を穢した罪は重いわ。茶葉を育てる者達を、その苦労を、踏みにじった罪はもっと重い) 天野灯瑠女(ib9678)は乏しい表情の下で静かな怒りを抱いていた。 「良かった、開拓者の方が来て下さったんですね!? ……あ。灯瑠女さん、リディエールさん」 そこへ駆けて来たジークリードが既知を見つけ、嬉しそうに声をあげる。 「お久しぶりですね」 リディエールは微笑を返し、 「あ、紅茶の人。久しぶり。紅茶、用意しておいてね」 ――ただ飲むだけじゃないわ。自然と、育てた苦労に感謝して飲むのよ 続く呟きは表に出さず、灯瑠女が相変わらずの淡々とした声音で言うと、ジークリードはにっこり笑って頷いた。 長老と数人の村人が開拓者たちを茶畑に案内する。 「美しい一面の緑……今年の新茶は摘めましたか? お茶は同じ品種の木でも土や気候が変われば味も変わってしまうと聞きます」 アルーシュ・リトナ(ib0119)が茶畑を見遥かして長老に声を掛けると、老人は皺深い相貌を崩して何度も頷いた。 「ええ、よう御存じですのう……ここの茶は山の高い場所にありますから、低地の茶より甘みが強いですのう」 高山故に霧が多く日光をほどよく遮ってくれ、土壌も豊かであり気温差の激しさも手伝って質の良い茶葉が育つのだ。 幸い新茶の収穫は終えてはいたが、今回のアヤカシの影響が他の茶葉にどのように現れてくるかは今のところ判らない…… 「じゃが……たとえ今年が駄目でも、毎日世話をしていれば土も茶もちゃあんと応えてくれますからの。……原因を突き止めてくれた夕嵐さんにもじゃが、こうして来て下さったあんたがたには、ほんに感謝しとります」 長老はそう言うと、目を細めて笑った。 「……図々しいですけど、速やかに上手くいったら、此方のお茶を一杯いただいても宜しいですか?」 小さく笑いながら尋ねたアルーシュに長老は『もちろんです』と頷き、彼女は笑みを深くした。 「頑張りますね」 「どうぞよろしくお願いいたします」 長老は深々と頭を下げたのだった。 青々と広がる畑の隅がくすんで見えた――そこが【腐毒土】に汚染された場所だ。 変色した茶葉を見、水月(ia2566)は小さな手を握りしめる。 (村の人たちが大事に大事に育てているお茶に何てことするですかっ! 美味しい食事やおやつに欠かせないお茶を穢すとは、わたしに対する冒涜と受け取ったの――成敗してくれるです!) 「逃がさない……の」 珍しく怒り心頭の彼女は決意を込めて呟く。 「見た目は豊かな茶畑なのですが……」 杉野九寿重(ib3226)が呟きながら屈みこんで土を見つめ、 (このままですと危険なのは明らか……見つけ出した存在を直ちに殲滅する事により、この地における安寧を導くように……) 「きっと、やり遂げてみせますね」 静かに立ち上がると村人たちに微笑んだ。 ● 「汚染された土は、直接肌に触れなければ大丈夫かと思いますが、履物にも影響があったりするでしょうか……」 リディエールの懸念は当然だったろう。 芙舞はブーツの上から荒縄を巻いて毒の浸透を遅らせる処置を施し、苦無の通し穴に色鮮やかな紐をつける――これは目印のためだ。そして治療役として医薬品の確認も怠らない。 彼女に倣い、他の面々も履物の上から荒縄を巻きつけた。 アルーシュの提案で汚染区域を中心とした区画分けが行われ、赤・青・白の色布に番号をつけ、棒に結んで区画ごとに目印とした。 九寿重は『心眼』と視認も合わせ、青から白の区画へと移動しながらアヤカシの気配を探る。 芙舞が汚染区画を中心に『瘴索結界「念」』を発動させ、リディエールは『ムスタシュイル』で索敵を開始した。 いずれも、汚染された区画は一様に強い瘴気を放ってはいるが、動く気配は無く場所の確定が難しい。 アルーシュが『超越聴覚』を発動させて微かな音も逃すまいと、しばし目を閉じる。 空けられた足場の外にある茶の木を確認していた灯瑠女が、【赤の一】の印の場所で紫色がかった葉を発見した。 「……これも、瘴気にやられてる」 彼女の呟きをアルーシュが聞き取り、散っていた仲間に知らせる。 【腐毒土】は汚染区域から一丈ほど移動していたようだ。 これ以上汚染を広げるわけにはいかない。 不死鳥の羽根を握りしめた水月が素早く駆け付け、いつなりと『浄炎』を放てるように身構える。 「『火炎獣』でばふーっと焼き払っちゃうのも考えたのですけど、万一、飛び火しちゃったらいけないですから……」 というわけで、人間とアヤカシにしか影響を及ぼさない『浄炎』を選んだのであるが、それは賢明な判断だった。 その間、灯瑠女は土竜型の『人魂』を放って地中を探る。二匹目の『人魂』がある地点まで進んだ時、何かに突き当たるようにして消滅した。 「……っ! いたわ」 灯瑠女が指差す場所へ、芙舞がすかさず苦無を放つ。 土を抉るようにそれが突き立った途端、地面が波打つように動き、瘴気に侵された茶の木がぐらぐら揺れる。鮮やかな紐がついた苦無がぼとりと落ちた。 アルーシュは地中でジュクジュクという音が移動するのを捉え、咄嗟に叫んだ。 「アヤカシを戻してください!」 次いで、歌声で仲間たちの知覚と抵抗を上昇させる。 リディエールは腐毒土を汚染区画へ押し戻すように『ホーリーアロー』を撃ちこんだ。 さらに灯瑠女が『砕魂符』を放って追撃しつつ、声に苛立ちを滲ませて呟く。 「……土の中、面倒だわ。土だけを吹き飛ばせればいいけど、そうもいかない。もどかしい……」 彼女たちの知覚攻撃は【腐毒土】に強烈な衝撃となったのか、うねるように地を盛り上げ、その不気味な姿を現した。そして自身を地に叩きつけるようにして土くれを跳ね飛ばす。 無数の礫のように飛んできたそれは、咄嗟に袖で顔を庇った灯瑠女の繊手を黒く汚した。 九寿重もまた毒土を被りながら駆け寄り、野太刀に赤い光を纏わせてアヤカシに一刀を浴びせる。だが、燐光とともにアヤカシの断片を斬り飛ばしたものの、それは地に落ちてするすると本体に合体してしまった。 水月は治療を芙舞に任せ、手にした不死鳥の羽根を持って舞う――羽根から炎が生まれ、風に乗せるように『浄炎』を放つ。 炎は【腐毒土】を包み込むように燃え上がった。 のたうちまわり、地中へ逃れようとするアヤカシにリディエールが再び聖なる矢を放ち、汚染区画へと押しやる。 芙舞が灯瑠女と九寿重に『解毒』を施し、二人は口々に礼を言うとすぐさまアヤカシに向き直った。 灯瑠女の手から『眼突鴉』が羽ばたき、地中へ戻ろうとするアヤカシを鋭い嘴で突いて妨害する。距離を詰めた彼女は更に『砕魂符』を放った。 【腐毒土】の動きが一瞬制止し、ぐずぐずと崩れ落ち始める。 口中で呪文を唱えるリディエールの掌に氷の刃が出現し――それは真っ直ぐアヤカシへと飛び、深々と突き立った。 その瞬間、氷が炸裂した。 【腐毒土】の軟体に、まるで石ででもあるかのようにピシピシと亀裂が走っていく。 九寿重は再び『紅蓮紅葉』を発動させ、野太刀を振りかぶった。 ――きっとやり遂げてみせますね その言葉通り、緋色の刀身が紅い燐光を散らして振り下ろされる。 ざん! 紫の瘴気と化したアヤカシは、冴え冴えとした氷の破片と赤い燐光とともに弾け飛び、霧散した。 ● 開拓者たちと村人総出で、アヤカシが潜んでいないか念入りに確認して回ったが、幸いにして他に異常はないようだった。 瘴気汚染された茶の木を引き抜き一箇所にまとめると、リディエールはヴォトカを撒いて松明で火をつけた。 「ここだけで済んで良かったですけれど……」 そう呟いて、燃えゆく木にそっと手をあわせる。 そして、ほっと一息ついた水月は、さっきまでの自分の興奮状態に恥ずかしさを覚えたのか、しばらく頬を赤らめていた。 しばらく休憩したあと、アルーシュと水月は地を清める為に『精霊の聖歌』を謡うことにした。 彼女たちの練力を補助するためにリディエールと灯瑠女は持っていた節分豆を提供する。 「もうこんな事が起きないようにと願って」 水月が言えば、アルーシュも頷き、村人たちへ微笑んだ。 「時間のかかる術ですが、聞いて少しでも落ち着くような歌い方を心がけます」 『精霊の聖歌』―― 一刻半(三時間)もの間、この術を行う者は意識の無い状態で歌い、あるいは演奏し続ける。術者の練力消費が激しいが、広範囲にわたって瘴気を祓うことができる術だった。 救えなかった茶葉への悲しみと、難を逃れた茶葉が元気に育っていくように―― (美味しいお茶の先には、皆の笑顔な光景が見えるの……) 水月は掘り返された土と、その向こうに広がる碧い茶畑を見渡す。 この地に再び緑の風を 芳しき恵みの新緑を―― アルーシュもまた静かに祈る。そして、傍らの少女に声をかけた。 「水月さん、よろしくお願いしますね」 「よろしくです」 アルーシュと水月は頷きあい、ゆったりと謡いはじめた…… 「ありがたいことじゃ……」 アルーシュと水月の『歌』があたりへ染み渡っていくようにひろがり、長老は静かに手を合わせる。村人たちはてんでに座りながら聞き入っていた。 仲間が謡う姿を眺めていた灯瑠女はジークリードをつついた。 「……紅茶、淹れ方を教えて。貴方の紅茶は嫌いじゃないから。従者に淹れてもらう為に必要だわ。……それに、ここのお茶、私知らない。美味しいお茶なら、飲ませて」 ジークリードはにっこり笑って頷き、 「はい。では村に戻ったらお教えします。……ここのお茶も美味しいですよ。…………ここの茶葉で美味しい紅茶にするには、製造工程を少し研究しないといけませんね……」 後半は独り言のように呟いた。 開拓者たちは長老の家へ招かれ、新茶が振る舞われた。 薄い透明の緑茶は甘みが強い中にほろ苦さもあり、喉越しは軽い。飲んだ後、ふくよかな香りが口中に広がる。 九寿重、芙舞も茶菓子の干し果物をつまみつつほっと一息つき、水月はこのお茶に合いそうな和菓子の考案でもしているようだった。 「こうしてお茶がご縁を繋いでくれるのは嬉しいことです。……新茶の時期はそろそろ終わりですけれど、来年も、良いお茶が育ちますように……」 リディエールはお茶を味わいながら嬉しそうに呟き、そして祈る――自分で茶葉をブレンドするなど、彼女も相当なお茶好きなのだ。 「紅茶と緑茶とでは美味しい淹れ方が違うそうですね。是非聞きたいものです……同郷の方が働いてまで手にしたいお茶ですものね」 アルーシュは微笑みながら、ジークリードへ目を遣った。 「……はい、では熱湯を注いでください」 そのジークリードは灯瑠女に紅茶の淹れ方を教えている――彼曰く、紅茶ポットは丸い形が好ましい。また、ポットはあたためておき、茶葉と熱湯を注いで百八十〜二百四十を数える。その間ポットが冷めないように綿入りの布で覆う。その熱い湯の中で茶葉が上下に運動するのだ。 「だから、ポットは丸い方がよいのです。この茶葉の上下運動が美味しくなる秘密なのですよ」 ジークリードの言葉に、灯瑠女は小首を傾げる。 「丸いポットじゃないときはどうするの?」 「そのときは仕方ないので、ゆっくりとポットを上下させます」 紅茶は熱湯が大切です――と彼は言った。 「そうですのう……。金髪さんのお茶は熱湯。わしらの緑茶はぬるま湯で旨くなりますのう」 長老はにこにこ笑いながらそう言う。二煎目、三煎目と湯の温度を変えるのも美味しく飲むコツだとか。 ただ、同じ茶葉でも半発酵させた茶は熱湯を使うようだ。 「……不思議な縁じゃが……。金髪さんがわしらの茶葉で紅茶を作ってくれるのも、これからの楽しみですのう……」 長老は目を細めて、庭の向こうに見える茶畑を見つめた。 後日。 夕嵐は茶畑のアヤカシが討伐されたことを喜び、ギルド職員に今回の依頼を完了してくれた彼女たちへ礼を言付け、次の依頼へと発った。 そして、ジークリードは村の工房の一画を借り、試作を重ねて数か月後、出来上がった紅茶を持って親友のいるジルベリアへと帰っていった。 勿論、彼らとの再会を約束して―― |