闇を引き裂く声
マスター名:有天
シナリオ形態: ショート
無料
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2009/07/16 14:19



■オープニング本文

 里の喧騒から少し離れた山道に作られた階段を鳥の声を聞きながら上がって行く。
 階段の両脇には、奉納された赤い旗が並んでいる。

 気温は低いが、湿度の高いこんな曇りに登るには少々キツい階段であるが、少年(ヨシキチ)の目的は階段を上がる途中にある脇道から少し入った所にある小さな小屋である。

(「先生、いるかな‥‥?」)

 階段を上がりきった所にある神社の神主が、元々急な来客を泊める為に作った簡素なものであるが、今は一人の男が住んでいた。

 ある時ふらりと里にやってきた男は、その家に住み着いた男である。
 神主の雑用を手伝ったりしていたが、茫々と伸びた髭にさんばら髪。熊のように大きな男の風体に里人達は大層怖がっていた。
 だが、ある時里を襲った野盗を素手で叩きのめした事で男を見る目が変わった。
 今では里の子供らを集めて寺子屋の真似事等をしている為に「先生」と呼ばれ、慕われるようになり、少年もその寺子屋に通っていた。

 ヨシキチは小屋の裏にある畑の手伝いをするつもりだった──。

 ──ザァ‥‥
 先程まで鳴いていていた鳥の声が何時の間にか止み、変わりに生暖かい風が急に吹いた。

 ギェエエエエエーーーーッ!
 聞く者が不安になるような鴉の声が一声鳴いた。


 少年の頭を掠めて黒い影が飛んだ。

 ──ポタっ‥‥
 少年の足に生暖かいモノが落ちた。

 ポタ、ポタ、ポタ‥‥
(「──?」)
 自分の足を染めていく赤い点を不思議そうに見つめる少年の視界が、グラリと揺れた。

 ***

「た、大変だーっ! ヨシキチが殺されたー!!」
 少年の帰りを心配していた母親が、里人の言葉に失神した。
「犯人は誰だ! 野盗か?」
「違う、人じゃねぇ。アヤカシだ!」
 街道を抜け、里へ帰る途中の里人2人が山道の下で血だらけで倒れる少年を見つけたのだという。

 知らせを告げた里人を追うように戸板に乗せられた少年の遺体が到着する。
「こ、こいつは‥‥『眼突鴉』の仕業か?」
 鋭い爪に引き裂かれ、何かに突っつかれた痛ましい遺体には眼球がなかった。

「おい、先生と神主さんはどうした? 無事か?」
「判かんねぇ。俺達が階段を上がろうとしたら眼突鴉が襲ってきた。ヨシキチを担いで逃げるのが精一杯で‥‥」
 顔中を包帯だらけの男達が言う。
「俺達は、傘を目深に被っておったから何とかなったが‥‥」
 少なくとも5羽の眼突鴉がいたと言う。


 ──斯くして開拓者ギルドに急の依頼が舞い込んだ。


■参加者一覧
朝比奈 空(ia0086
21歳・女・魔
無月 幻十郎(ia0102
26歳・男・サ
西行人(ia0111
37歳・男・陰
俳沢折々(ia0401
18歳・女・陰
鴉(ia0850
19歳・男・陰
虚空(ia0945
15歳・男・志
風雲・空太(ia1036
19歳・男・サ
天目 飛鳥(ia1211
24歳・男・サ


■リプレイ本文

 ──依頼人である村長の家に寄った開拓者達。
 村で見慣れぬ開拓者達を見ようと村人達が押し寄せていた。
「ひゃっひゃ、我輩は西行人(ia0111)ですね〜」
「ん〜久しぶりの仕事だから、腕がなるな〜♪」
 鴉(ia0850)の『久しぶり』の言葉と陰陽師や式、アヤカシになじみがない村人達が心配そうに視線を送る。
「ふふ。私達に任せておけばだいじょーぶ!」
 そんな村人達を尻目に俳沢折々(ia0401)が自信たっぷりである。

「いつの世も犠牲になるのは弱い者から‥‥‥‥か。戦う術を知らぬ者達まで見境無しに襲うとは、見過ごしには出来ぬな」と天目 飛鳥(ia1211)の言葉に、
「気になるのは、老神主と先生だな。先生は素手で野党を倒すほどの力の持ち主。むざむざと子供が殺されるのを黙って見ているとは思えねぇ」
 負傷して動けないのではないか? と二人の身を案じる無月 幻十郎(ia0102)。
「お二人が怪我をされているのであれば‥私が直しましょう」と神風恩寵の使い手でもある朝比奈 空(ia0086)が答える。
「我輩も治癒符が使えますからねぇ〜。負傷者はバッチリですよ〜」と西行人がどこか偉そうに言えば、
「私も治癒符は使えるよ。無事ならばそれで良い。もし一刻を争うような状態だったときが怖いよ。たとえ無駄足になろうとも人命優先しない作戦は『つまらない』よ」
「もちろんアヤカシどもを見逃すつもりは無いが、倒すのは後からでも出来る事」
 そう折々と飛鳥の言葉に皆が頷く。
「‥‥急いだ方がいいよね、可能な限り皆で急行」と虚空(ia0945)。
「老神主と先生の保護優先で決まりですね」
 二人の捜索を効率よく行う為に4人ずつに班分けをする。
「それじゃ、皆よろしくだぞっと♪」


 寺子屋班
  空太
  虚空
  折々
  西行人

 神社
  幻十郎
  飛鳥
  空
  鴉


 村人達の証言から眼突鴉は人の頭や目を狙って襲ってくる事を再確認した開拓者達。
「ぐぬぬぬ、眼突鴉とはまた奇怪な」と風雲・空太(ia1036)。
「何度聞いても目を突いてくる鴉なんて、想像するだけでゾッとする」
 スプラッターな事を色々想像してしまったのか「おおおお」と謎の声を発し思わず目を覆う折々、なにやら顔色が悪い。
「この風雲。強き武士になる為にも、眼だけは守護します!」

 では実際、空の敵をどうするか。という相談になる。
 防御力の高いサムライと志士が壁になり、空への攻撃は陰陽師と巫女を主体に、サムライと志士は接近したところや落ちてきたところを狙って攻撃するのがよいだろう。と虚空が言う。
「兎に角数を減らす・相手の滑空力を削ぐのが優先かな」

「事前の索敵は耳頼り、‥‥どっちにしても、羽音たてて向こうから近付いてくるのだから」
「影を見るのも手だぞ」
「地面か‥地面にヨシキチが襲われた付近以外で血の跡があれば先生や神主さんの血って事になる」
 幸いにも本日は晴れである。皆で地面に注意しながら進もうということになった。

「あと‥眼突鴉が目や頭を狙うなら笠は必要かな?」
 俺は持参の深編笠がある。と虚空。
「う‥俺は、ない」
「薄布で目隠しという手もあるぞ?」
 だが頭は守れまいという事で丈夫な笠を「笠がない者の分+2つ(老神主と先生分)」を村人達にリクエストするが──。

「すみません。こんなものしかないのですが‥」
 村人達が持ってきたのは自分たちが田植えに使う日避け(普通の)編み笠であった。
「貧しそうな村ですからしょうがないですかねぇ〜」
 貧乏は罪ですよ〜。と西行人が苦笑いした。

「そういえば死んだ子供‥‥ヨシキチはきちんと弔ってやっているのでしょうか?」
 ふと、死んだ子供の亡き骸は、この騒ぎでどうなったのだろうか?
 と、空太が心配する。
 村長によれば、今の所、眼突鴉が現れているのは神社付近だけで墓場のある村はずれには殆ど出ていないという。
 本来ならば家族との別れをゆっくりと行い、その後、葬式なのだか、余りにも惨たらしい亡き骸なので早々に埋葬したという。
「そうですか。ヨシキチの母親もさぞ傷ついているでしょうね‥‥」
 眼突鴉を退治した後、ヨシキチの母親にお悔やみと励ましの言葉をかけてやりたいと思う空太であった。


●石段にて
 階段の両端を神社班、寺子屋班。
 それぞれが目が襲われ難いよう視線を上げず、地に映る影や音に注意し乍ら駆け上がっていく。目立たぬよう、敵からの攻撃を避けやすいように階段の脇を、旗側に陰陽師と巫女、中央側を志士、サムライが固めている。
「‥‥皆、注意しろ。まだ周辺の林とかに潜んでるかも知れないし」

『ギィエエーーーーーッ!』

 甲高く不吉な鴉の声と羽ばたきが、階段を駆け上がる開拓者達の耳を突く。
「‥‥敵さんのお出ましだぞっと‥‥♪」
 不要な戦闘を避けたかった一同であったが、敵は目の良い鴉型である。
 深編笠をずらして空を見上げる空。
「どうやら見つかってしまったようですね‥‥あまりのんびりしている暇は無いですし、早めに済ませてしまいたいものですが‥‥そうもいかない様ですね」
 符を構える空と折々。

 だが、眼突鴉らは陽の光にキラリと反射する西行人の眼鏡が気になるようでカァカァと声をあげながら西行人に向かっていく。
「め、眼鏡は『開拓者』の特権とはいえ、結構高価なのですよ〜!」
 それを必死に避ける西行人。
「この身体がズタボロになろうとも、耐えて耐えて、最後に一撃を一撃を叩き込む。これぞ正に格好良い漢と言うもの! 鴉どもを蹴散らしてみせましょうぞ」
 と太刀に手をかける空太。
「いや、待て。階段では足場が悪い。当たるものも当たらんぞ」
「だが──」
 どこか戦うに相応しい場所がないかと周囲を見回す虚空。
「皆、旗の間に。アヤカシの大きさからして壁の如く使う事が出来そうだ」

 奉納旗を障害物すれば敵の死角を補い、動きを制限し、多方位からの攻撃さえ防げるだろうという開拓者達の判断は正しかった。
 バタバタと風にはためく奉納旗(祈願旗)にアヤカシといえども鴉の体を持つ眼突鴉。
 鋭い嘴で旗を貫くが、目先でバサリと一瞬、旗がはためけば流石に動きを止める。

 4、5枚の旗を破いた所で思うように開拓者を襲えぬ。と怨嗟を上げ、ギャアギャアと騒ぎながら空高く舞い上がり、開拓者達の隙を伺う事にしたようだ。

 今はグルグルと階段の上を飛んでいる──。

「このまま諦めてくれるって事は‥‥ないですよね」
「敵はどうやら『本物のカラス』と同じ程度の知能、下等なアヤカシのようですからね〜。『何をやっても駄目』と体で教え込まないと駄目でしょうね〜」
 ひゃっひゃっ、と笑う西行人。
「眼突鴉は下等なアヤカシなのか?」
 眼を狙って襲ってくるという恐ろしい攻撃を繰り出してくるアヤカシは、きっと上級のアヤカシに違いない。と思っていた折々が驚きの声を上げる。
「あ、いや。勿論、私はとっくに気がついていたよ」
 うんうん、と頷く。

 兎も角、先を急ごうと旗の陰に隠れるように上へと上がっていく。


●寺子屋にて
「これが、わき道か‥」
 村人から教えてもらっていなければうっかり見落としそうな半間程の道が石段の脇に作られている。
「細いな。まあ、眼突鴉が襲ってこなさそうで便利だっていえば、まあ、便利だよね。うん」
 両脇には背の高い木が生え、踏み固められただけの小さなあぜ道である。
「うん、それじゃあ私達は寺子屋の方を見てくるよ。そっちも気をつけるべし!」
 それでも木々の脇から何かが飛び出してくるのではないか?
 植え込みの下に先生が倒れていないかと注意して進む。
 だが、あぜ道には争った形跡はなく、先生も倒れてはいなかった。

 迷うことなくすぐに4人は先生が住んでいる寺子屋にたどり着いた──。

 見晴らしのよい丘の中腹に村を見下ろす形で立てられている寺子屋は固く雨戸が閉められていた。
 眼突鴉に気がつかれる可能性が高いが構わず、戸を叩く。

 ──ドンドン!
「先生、いますか?!」
 何度か戸を叩くが返事がない。
「中で倒れているのかな?」
「可能性は、なくはないな」
 空を見ればギャアギャアと眼突鴉が集まり始めている。
 戸が開くことを幸いに中に入る一行。

 だが──
「中には誰もいないね」
 外はどうだ? と空太が尋ねる。
「裏の畑にもいない」
「こっちもだ。特に襲われた様子もない」
 心眼を使い、周囲を調べていた虚空が答える。
 狭い乍らも手入れされた小さな小屋と畑には血の痕はない。

「先生、無事でいてくれれば良いのですが‥‥」と空太が心配そうに言う。
「林に入ったところを襲われたとか?」
「いや、その可能性は少ないだろう‥ここで誰も居ないなら、先生‥神主さん助けに行ったって事だろう」
 ヨシキチが畑手伝いに来ると判ってい乍ら遠出をするとは思えないと虚空が言う。
「じゃあ、先生も神社にいるのかな?」
「可能性は高いだろうな」
「俺達も上に行くか?」
「そうだな‥俺達も急ぎ神社に向かって合流を」

 風に乗って小さな呼笛の届く。
 西行人が村を出発する前に寺子屋班・神社班にそれぞれ渡された笛である。

「でも、その前に一仕事が必要なようですね〜」
 西行人の視線の先、大きな杉の上に眼突鴉が群れていた。
「また現れたな、悪しき鳥度も目。この風雲がお相手致す!」
 今度は先のようにはやられぬとズズィと空太が前に進み出る。
「うん、任せたよ」
「その程度の攻撃ではこの俺は怯みませんよ!」
 印を結ぶ折々らを背に庇う分、どうしても斬るより突っつかれる量の方が多い。
 だがやせ我慢の甲斐があって折々が放った斬撃符が眼突鴉にヒットする。
「この調子でガンバレ、風雲君! 後でちゃんと手当てするからね」
「まだまだ‥まだ‥‥‥ま‥痛ぇわボケェ! 焼き鳥にしちゃろうかゴラァ!」
 余りの痛さについ地が出てしまう空太。

 虚空は三度笠を振り回し、眼突鴉が一瞬ひるんだ隙に刀を突き立てていく。
「先程はよくもやってくれましたね〜。今度は我輩の番ですよ〜」
 ひゃっひゃっと笑った西行人が懐から式神人形を取り出す。
 左手の人形が西行人の姿となって主と寸分たがわぬ動き(西行人が予備の符を右手に持てば式も幻の符を取り出す)をする。
「君達の命、いただきますね〜、吸心符!」
 符の効果で動きが鈍くなった眼突鴉の首を刎ねる空太。

「あらかた片付いたか?」
 地に落ちた眼突鴉が瘴気に返っていく姿を見つめ虚空が息を吐く。
 三度笠は盾にはならなかったが、目晦ましには十分効果があったために左程、怪我がない。
 それに対して空太は、元よりある傷をさらに増やして西行人と折々の治療を受ける羽目になった。
 治癒符を発動させながらふと今日の一句が浮かぶ折々。
「目はやめろ だからといって 尻もよせ‥‥」
「川柳ですか? 風流ですね〜」
 どこか浮世離れした人物が多いと噂の陰陽師。
 楽しそうに笑っていたが、しっかり尻まで突っつかれた空太には笑えぬ一句であった。


●神社にて
 石段を駆け上がり鳥居を潜り抜けると広い境内が現れた。
「特に此処までは異変はありませんでしたが‥神主さんは本殿にいらしゃるのかしら‥それとも裏に住まいがあるのかしら?」
 一行が境内に足を踏み入れた途端、石畳に黒い影が映る。
「カラス出たあー! わー、こっち来る、こっち来るよ!!」
 哀れな被害者を見つけたと眼突鴉が押し寄せてくるのが見えた。
「来るぞ、気をつけろ!」
 階段と違い身を隠してくれる場所はない。

「神主殿、居られますか!」
 神殿に向かって大きく声をかける。
「おおっ、こちらに確かに居られるぞ! 誰ぞ知らぬが、急いで里に戻られよ。この地にはアヤカシが多数おる!」
 と男の大きな声が帰ってくる。
「俺達は村長に頼まれてやってきた開拓者だ。あんたは誰だ?」
「俺は柴 次郎丸(シバ ジロウマル)と申すもの。ここへの途中の東屋を借りている者だ」
「あんたが『先生』か!」
 それを聞き、預かった呼笛を吹く飛鳥。
「お怪我はありませんか?」
「我らは平気だ」
 2人にアヤカシを倒す迄決して外に出ないように指示をする飛鳥。

「それじゃ‥‥戦闘開始だ‥‥」 鴉が陰陽符を取り出し、
「鴉のアヤカシか〜‥‥奇遇だなぁ―――俺も『鴉』なんだぞっと‥‥♪」
 にやりと笑う。
 手の中の符が鴉となり、一直線に眼突鴉へと飛んでいく。
 長脇差を上段に構える幻十郎の後ろで、空がすばやく印を結び力の歪みを放つ。当たった眼突鴉がギャッと短い叫びを上げる。
 だが他の眼突鴉は、幻十郎の脇をかすめ、鋭い嘴を突き立てる。
「ちっ!」
 業物や長脇差という空の敵に不利な得物故に眼突鴉に翻弄される幻十郎と飛鳥。
「大丈夫か!―――っお前ら‥‥!!」
「刃が当たれさえすればこんな敵なぞ!」

 攻撃を避けた鴉が、
「見せてやるよ‥‥俺の『鴉』を──斬撃符!」
 再び手の中の符が鴉となり、
「──行け‥‥!」
 鴉の合図で眼突鴉に襲い掛かる。
「俺とてやられてばかりではないぞ!」
 飛鳥が炎魂縛武を発動し、業物が炎に包まれる。
「食らえ、アヤカシ!」

 この隙だと。楯代わりに眼突鴉の攻撃を一身に受けていた幻十郎に、
「じっとしていてください、直ぐに治しますので‥‥」
 神風恩寵を唱える空。

「──っ!」
 今度は眼突鴉を避け切れなかった鴉。
「大丈夫か?!」
「っへへ‥ちょっと痛かったぞっと‥」
 まだまだ大丈夫だと言う鴉に神風恩寵を施す空。

 一方、手当てを受け終えた幻十郎が前に出る。
「今度は我輩の番だ」
 グルグルと上空で回る眼突鴉を睨み付ける。
「いけないねぇ〜頭ではわかってる。わかってるんだが身体が怒りで熱くなっちまうよ」
 再び長脇差を上段に構える幻十郎。
 だが眼突鴉を警戒してなかなか降りてこない。
 ならばと──
「はっはっはっは〜、さぁそろそろかかって来たらどうだ!」と嘯き咆哮をあげた幻十郎に向かって眼突鴉が真正面から突っ込んできた。
 それを強打を交えた強い一撃で真っ二つにする幻十郎であった。



 こうして眼突鴉を退治した一行は、里への道中新たな眼突鴉が現れないかと注意しながら老神主と先生を連れ、急ぎ下山した。
「お疲れ様だぞっと♪」
 二人の無事の姿に喜ぶ村人達を見乍ら、
「久しぶりの依頼は中々だったな〜」と楽しそうに言う鴉だった。