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■オープニング本文 ──都市伝説や民間伝承。 その多くは、興味がない者から見れば一笑で終わってしまいそうな内容が多く存在する。 大晦日の晩、額にお札を張って寝て、その夢に坊主と初日が昇る様が出てくるとその年1年が幸せに過ごせるとか、飛龍が出てくると健康に過ごせるとか、兎角怪しいものが多い。 その中に「七色もふら」というのが、ある。 一匹で七色の鬣を持っているもふらではなく、1匹1色と一般的なもふらだが元旦の初日を浴びた7匹、7色のもふらの尻毛を集め、財布に収め大事に持っていればその年1年、金運アップの効果があるのだという。 冷静に考えればもふらの尻は、大概「白」である。 固体によっては多少、真っ白だったり、クリーム掛かっていたりするが、一般的に「白」と分類される色である。 その持ち主がどのような鬣をしているのか知る由もない所に持ってきて、気の集合体もしくは精霊だと言われているもふらに「抜け毛」が存在するのかも怪しいのに、場所によっては小さく7つに束ねられ縁起物として売られていたりする。 はっきり言ってかなり胡散臭い代物なのだが──。 「縁起物というのは『持つ者の気持ちが大事』。そういうモノなのかもしれないな」 と、大晦日にギルドに持ち込まれた仕事を請ける事にした(あなた)は呟く。 「その辺の偽物と一緒にしないでよね。僕んちは、ちゃんと七色いるんだから!」 呟きが聞こえたのか、家の末っ子がぷぅと頬を膨らませ怒った様に言い、 「元旦の初日っていうのは、ちょっと嘘だけどね」と兄が言った。 依頼主は「七色もふら」を売っている家族であった。 その家族は人里から少し外れた場所に住んでいる為か、縁側で小さいもふらが犬猫と遊んでいるのが見れる程、様々なもふらが現れるのだ。 家族は遊びに来たもふらの毛を鋤き、洗った毛を干して商品にしていた。 「七色もふら」の真否は兎も角、その家に来ていたと言う赤、青、黒、黄、橙、藤、黄緑の鬣を持つもふらが何者かに誘拐されたのだけは事実である。 貧しい土地に暮らす家族は茸や山菜、木の実、貝、魚が取って普段は生計を立てているのだが、正月期間は7匹のもふらさまを連れ辻に立ち「七色もふら」を売っているのだという。 つまり一家に取っては大事な収入源なのだ。 「無理やり嫌な事をさせられていたり、意地悪をされているんじゃないか? って心配なんだ」 「似非(?)七色もふら」には犬猫の毛を使っているものもあるが、もふらの毛を無理やり刈っていたりするケースもあるのだという。 「どうか、彼らが無事で居るのか、今、幸せなのか確認してください」 もし、不幸であったら連れてかえって欲しい。と家族は言った。 |
■参加者一覧
星鈴(ia0087)
18歳・女・志
ラフィーク(ia0944)
31歳・男・泰
王禄丸(ia1236)
34歳・男・シ
銀雨(ia2691)
20歳・女・泰
スワンレイク(ia5416)
24歳・女・弓
ベル・ベル(ia9039)
15歳・女・シ
キァンシ・フォン(ia9060)
26歳・女・泰
茜ヶ原 ほとり(ia9204)
19歳・女・弓 |
■リプレイ本文 ●監禁もふら 小屋の中からもふもふと騒がしい声がしていた。 七色もふら――七頭のもふら達は此処に捕らわれているに違いない。 「何と無防備な。見張りもおらぬとはな」 警戒し、小屋周辺の地形や警備の偵察に向かっていたラフィーク(ia0944)が、帰って来るなり呆れて言った。彼と共に偵察に向かったキァンシ・フォン(ia9060)が大体の間取りを見たに伝える。 小屋自体は厩舎を改造したような広い平屋建ての小屋である。出入口は二箇所、間取りは打ちっ放しの柱で支えられた大部屋がひとつと、厨房と小部屋がひとつ。今は大部屋に悪党共ともふら七頭が一緒くたに居るようだ。 偵察の報告を聞いたスワンレイク(ia5416)は、その優美な瞳を伏せて哀しげに胸を押さえた。 「悪党達に、もふらさまがどんな目に遭わされているかと思うと‥‥」 くらり。瀕死の白鳥は哀しい妄想に懊悩する。 例えば悪党。悪党と言えば極悪非道。極悪非道の振る舞いでもふらさまを―― 「‥‥ああっ、あのもふもふヘアーはもっと優しく扱わないといけないのに!」 「スワンさん?」 取り乱しかけたスワンレイクを茜ヶ原ほとり(ia9204)が押さえた。淡々とした抑揚のない物言いは、初依頼でありながら落ち着きを感じさせる。 「嫌がるもふらさまを強引にもふもふしているかと思うと‥‥胸が張り裂けそうですわ!」 なお哀しげに悲痛な表情を見せるスワンレイクの妄想中では、七頭のもふら達が悪漢達に荒々しく毛を揉みしだかれている真っ最中。 「‥‥ほんま、許されへんよな‥‥」 ゴゴゴと背中に擬音を入れたくなるような憤怒の形相で、静かに怒りを高めているもふら好きが此処に。星鈴(ia0087)はボソっと不穏な事をのたまった。 「‥‥誘拐犯、全員シメたる‥‥!」 「‥‥相手は志体を持たぬ。ほどほどにな」 手にした牛面を弄びながら、王禄丸(ia1236)が釘を刺した。 志体持ちが一般人にヤキを入れたなら大惨事は免れぬ。 「敵さんの力量がどれくらいかを見つつ峰打ちとか気絶攻撃という感じでしょうかね〜?」 初依頼のベル・ベル(ia9039)は、ほにゃ〜と先輩開拓者達に尋ねた後、物騒な言葉を付け足して苦笑した。 「私そういうことができる程、力量ありませんよ〜」 「いいんじゃね?自重しない面々ちゅうことで。気にせず行こ」 あっけらかんと、実に明快に銀雨(ia2691)が言ってのけた。 自重しない八人組に関わる事になってしまった、七色もふら誘拐犯の運命や如何に。 「なむなむ」 ほとりが小屋の方を向いて呟いた。 「俺が小屋ン中突っ込んで暴れる。チンピラどもを追い出す。あとよろ」 完璧だ。 自信たっぷりな銀雨へ、おいおいと突っ込む仲間達。 「なに、穴がある?だから『あとよろ』なのだ。じゃあな」 「待て、俺も行く」 「はわわ〜私も行くですよ〜」 あっさり頼むぜと一人で突っ込んでったのを、ラフィークとベルが追い掛けて行った。如何に悪党共の潜伏先が広かろうと屋内での戦闘はもふら達を巻き込みかねない。銀雨達が撹乱し表へ引きずり出す作戦であった。 「では、私は裏口に就きます」 懐に隠し玉を忍ばせたほとりが、悪党共の逃走経路を塞ぎに裏口へと回る。残った開拓者達はそれぞれの位置に就いた。 「もふらさまをもふ質にされないようにしなければ‥‥」 「そんな事しよったら、悪党共は無事で済まさへん」 弦の具合を確かめながらスワンレイクが呟くと、背中に怒りを背負ったまま星鈴が拳骨を握り締めた。やれやれと牛面を被った王禄丸も戦闘準備は万全だ。尤も出来るだけ穏便に済ませたいものだと考えていたのだが。 (『どうか、彼らが無事で居るのか、今、幸せなのか確認してください』) フォンは依頼人兄弟が残した言葉を思い出していた。 七色のもふら達は優しい家族と共に暮らしていたのだと思う。できればまた一緒に生活させてやりたいと、飛手に包まれた拳をそっと己が胸に当てた。 小屋の前まで来たベル、爪先立ちして窓から中を覗いてみた。 いた。 「ほにゃ、もふらさまです〜」 赤、青、黒、黄、橙、藤、黄緑‥‥うん、7頭。それぞれの色をした鬣を持つもふらさまだ。その傍に男達が七名、もふらさまを背もたれにして一仕事終えた後の一杯といった様子。 暢気なもんだろとラフィークが呆れ混じりに言うのを背に聞いて、銀雨はおもむろに木製扉を蹴破った! 「さァッて、ちィーッと遊んでもらおうかねェ!」 ばたんっ! 「「!?」」 蝶番ごと外れて倒れた扉の向こうでは、男達が訳も解らず銀雨の気魄に呑まれている。入口から吹き込む寒風に我に返った悪党共は、一瞬遅れて乱入者が現れたのだと気付いた。 「な、なんだァ?おめーら何モンだッ!」 部屋の真ん中でもふら達に埋もれてふんぞり返っていた男が言った。悪党の親玉格だろうか、がっしりした大柄な男は腕っ節が強そうだ。男の声に、ばらばらと手下達が武器を手に立ち塞がる。 「へへッ、そうこなくちゃな」 遠慮なく行くぜと突っ込んだ銀雨の身体が赤く染まった。己を覚醒状態にした銀雨に悪党共から「開拓者か!?」の声が挙がる。 こいつは分が悪いと、もふら達を放置して我先にと裏口に向かおうとする男共を、大柄な影が遮った。 「出口はそっちじゃないぞ」 ラフィークの体当たりを食らった男がぺたんと尻餅を搗いた。そのままじりじり尻で開けっ放しの表口へ後ずさり。 「もふらさま〜大丈夫?」 「もふ〜?」 固まっていたもふら達に駆け寄ったベルが安否を確認、暢気な返事が返ってくる辺り心配なさそうだ。 ぽきぽき関節を鳴らしながら迫る銀雨に腕を押された男が悲鳴を上げた。言葉とは裏腹に手加減したのだが、骨折したらしい。 (「普通の人はこの程度で骨が折れるんだな」) 手加減の線引きを慎重に測りながら挑発し男共を撹乱する銀雨にとって、これは一般人の扱い方の訓練でもある。被験者には堪ったものではないが。 「ほれほれ、さっさと外へ出ないと壊しちまうぞ?」 わあわあ外へ向かって逃げ出す男共に紛れて、裏口へ逃れようとした輩がいたようだ。裏口付近から悲鳴が上がった。 「一人だけ逃げようったって、そうはいかない」 ラフィークの策で裏口に撒かれた撒菱を、盛大に踏んづけた親玉は情けない声を上げた。 仲間を見捨てて一人逃れようとした卑怯者は慌てて周囲を見渡し、敵対する者が一人だけと知るや、侮ってほとりに突進して来た。 「開拓者でも一人くらいなr‥‥ヴェホッッ!!」 突如目の前に広がった白い煙幕に咽込んだ。ほとり特製卵爆弾の迎撃をもろに食らった親玉へ、ほとりは淡々と矢を向けて抵抗の意思を無くした男を小屋へと押し戻した。 破壊された扉から外へ飛び出して来た男達を、牛面の大男が待ち構えていた。 自身の上背と同じ、七尺二寸の鉄長槍を自在に振り回す王禄丸に男達は震え上がった。 「ばッ、バケモノだッ!」 「まだ、やるつもりかね?」 悪党共をなぎ倒し、地に這い蹲らせた王禄丸は、口調だけはあくまで紳士的に降伏を促した。見た目や力の差を思い知らされた男共は戦意喪失、素早く近付いたフォンが彼らの得物を叩き落して拘束する。 呆然としたまま男が吼えた。 「お、俺達が何したってんだ!!」 「何を‥‥?到底許されないような事ですわ!」 荒々しくもふられまくりの被害もふらを妄想していたスワンレイクの怒りの一矢が男の頬を掠めた。 「ひィッ!俺達は盗みはするが殺しはしねェ!」 自分で悪行を白状した男を牽制しつつ、スワンレイクは悪党共を追い出した仲間達と入れ替わりに小屋内部へ入った。 「もふらさま、ご無事ですの?」 「ほにゃ〜♪」 「もふ〜♪」 中ではベルの護衛でまったりしている七匹のもふら達が。 「嗚呼‥‥何てキュートなのでしょう‥‥!」 くらり。安堵したスワンレイクはもふらの海に崩れ落ちた。 外では開拓者達のお仕置き続行中。 尤も本気を出してしまうと悪党の皆さんがお亡くなりになってしまうので、手加減しながらの攻撃なのだが―― 「女思うと手ぇ抜いたら痛い目ぇ見るで。本気でかかってこんかい!」 星鈴が薙刀で峰打ちした途端、ごきりと嫌な音がして男が絶叫した。 ついでに柄の方で立っている盗人の足元を掬ってやる。 「薙刀は切るだけやない、長い柄を使って色々できるんや」 ちょっぴり得意気な星鈴扱う薙刀に足を強打され、盛大にすっ転んだ男は地に伏してうんうん呻きながら助けを呼んだ。 「せ、先生‥‥お願いしますッ!」 男の要請に、一人の男がゆらりと立ち上がった。 かすり傷こそあれ、いまだ重傷には陥っていない稀有な悪党がいたとは。 一手、星鈴と互角に刃を交わした用心棒へ溜息混じりに呟き、星鈴は薙刀を構えなおした。 「なんや、なかなか出来るやんか‥‥なんでそんな力持ってるんにこんな下らんことに使うかなぁ」 「これも仕事だ」 用心棒の浪人は一言そう返すと、誤った力を星鈴にぶつけて来た。如何に力を持てど、志体を持たぬ身と持つ星鈴とでは力量は明白、しっかと打ち据えられた浪人を見下ろし、星鈴は再び溜息を吐いたのであった。 ●誘拐もふら 全ての悪党共を縛り上げ、ひとところに座らせた開拓者達。 「ほんまやったら、後2〜3発は拳骨入れたいんやけどな‥‥」 それまでも散々殴ったはずなのに怒り収まらぬ星鈴。怯える男の胸倉を攫んで、ラフィークが詰問した。 「Q1だ。もふらの毛を刈ったのか、というか刈ったのなら毛は消滅しないのか」 相当気になっていたらしい。 徐々に強めていく責めの手はお仕置きも兼ねている。苦痛に顔を歪め答えようと口をぱくぱく開閉させている男より早く、暢気な声が割り込んできた。 「まだ刈られてないもふよ〜」 小屋から出て来た七色もふら達とベル、スワンレイクを交えて詳しい話を聞くとしよう。 年も押し迫ったある日の事、七色もふら達はいつものように気ままに散歩していた。 そこへ現れた、怪し気な男達。彼らは暢気な神獣達へこう言った。 『年越しをうちで過ごしませんか?お正月のご馳走もありますよ』 疑う事を知らぬもふら達は、男達の後を付いて行った。ご馳走の代償に毛を刈られるなど考えもせずに―― 「‥‥何と言うか、その‥‥相変わらず謎の生態だな」 「むしろ何かその、のこのこついて行ったもふもふ7の根性に問題があるよーな‥‥」 嘆息混じりに呟いたラフィークの言葉は、場にいる開拓者達を代弁してもいた。頭をわしわし掻きながら呆れた様子で銀雨が続ける。 脱力混じりにどうしたものかと顔を見合わせる仲間達の中、王禄丸が徐に装着していた牛面へと手を掛けた。 「悪いことをしたら怖い目に合う。勿論、成人とて例外ではない」 縛られた誘拐犯達へ向かって面を外す――と、その下から現れた素顔は目目連。 「や、やっぱり化けモンだッ!!」 お灸を据えるつもりで面を外したものの、恐れおののく悪党共を前にすると何だかナマハゲになったような気がする王禄丸だ。 もふもふともふら達と交流していたベルを横目に、銀雨は男共を顎でしゃくった。 「‥‥で、こいつらどうするよ?役人に突き出すっつっても、野良もふらを囲ったってだけだぞ」 確かに、七色もふらは野生のもふらさま達であって、依頼人家族の所有物ではなかった。 余罪がないとしょっぴけねんじゃね?と続けて顔を覗き込んだ銀雨に、男達が震え上がる。後ろめたいものがあるらしい。 「喋りやすいように口を裂いてみる?」 茜色の握り鋏を口元に押し付け脅迫して来るほとりに、悪党の主犯格は観念したようだった。 ●七色もふら 捕縛した誘拐犯達は役人に突き出す事になった。 尤も今回の件では罪には問われず、余罪の部分で役人からお灸を据えて貰うというのが正確な所だ。まあ開拓者達のお仕置きを耐えた彼らの事だ、きっちり罪を償って改心してくれると信じよう。 「仕事がないのなら農家の仕事はどう?わからなければ教えてあげる。お役目が終ったらあたしの故郷にきなさい」 フォンに見送られ、男達は役人に連れられて行った。 「この子達も送り届けなくてはね」 心配している家族の許へ。スワンレイクが微笑んだ。 依頼人家族は七頭のもふら達を喜んで迎え入れた。 「もふらさま、ケガしなかった?」 「もーふ♪」 心配そうに弟が撫でさすると、心地よさそうに受け入れた黄緑の鬣を持つもふらは目を細め、その場に蹲った。 そんなもふらと家族の再会を見ていた星鈴は物凄くうずうずと落ち着かない。もう我慢の限界だ。 「‥‥触ってえぇかな‥‥触ってえぇかな?」 「お姉さん、もふらさまに触りたかったの?遠慮しなくてもいいのに」 ほらと尻を押された藤もふらにもっふり埋もれ、星鈴は夢心地。 「‥‥はああぁぁぅ〜‥‥♪」 もふら救出からずっと我慢していた反動か、怒涛の幸福感に溺れて撫でたりもふったり頬ずりしたり。 膝に小さなもふらを乗せて、もふもふしていたスワンレイクはご満悦。 「どの色のもふらさまもキュートですのよ」 皆してもふもふと毛並みを堪能する中、やっぱり気になるのはあの事。 「それで‥‥もふらの尻の抜け毛というのは‥‥」 「ああ、見るかい?」 母親がブラシ片手に赤もふらの前に座った。 「もふらさまは精霊だから、毛も、時間が経つと消えちゃうんだ」 「消えるまでの時間は色々だけど、無理矢理刈られたり、もふらさまが死んじゃったり‥‥嫌がる方法で刈った毛ほど早く消えるみたい」 「だからあたしたちは、もふらさまから偶々抜けた毛を分けてもらっているんだよ」 弟と兄の説明に母親が補足して、赤もふらの毛を丁寧に梳いてゆく。 心地良さそうに身を委ねた赤もふらはのんびりと「もふぁ〜」と欠伸した。 「気持ちよくしていると、櫛に毛が絡むだろう?うちの『七色もふら』はその毛を使っているんだよ」 精霊から力を分けて貰う。精霊力である以上、もふらの毛はいずれ消えてしまうものだけど、財布の中に大切に持っていたはずの物が消えるのは『役目を終えた』とも取れる訳で、家族が作る『七色もふら』は正月に財布へ入れると丁度一年ほどで役目を終えるのだとか。 「しかしまあ名前だけ聞くと、もふらそのものを7体セットで売っているかのようだな」 家族を怖がらせぬよう丹精な青年の顔で毛繕いを眺めていた王禄丸がぽつりと言ったものだから、皆楽しげに笑ったのだった。 (代筆:周利 芽乃香) |