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■オープニング本文 理穴国首都、奏生――。 武天から飛空船団が到着する。中心となる大型飛空船から降り立ってきた長身の筋骨たくましい若者は、鷹のような目つきで周囲を見渡していた。若者の名を、栗原重治と言った。武天の旗本であり、老中の西祥院真禅の側近で警護を務める番方であった。 「真禅様、正信様、どうぞ」 重治が言うと、二人の男が姿を見せる。 一人は初老の、だが精気をみなぎらせた人物、武天国の老中、西祥院真禅。 もう一人は若い、学者肌風の人物、真禅の部下である老中格、龍安正信。 「やれやれ……長旅は老骨には堪えるわい!」 真禅が言うと、正信は肩をすくめる。 「御冗談でしょう真禅様。巨勢王陛下と対等に将棋を指すあなた様がこれくらいの船旅で」 それから一行は、奏生の城へ案内され、理穴国王、儀弐王(iz0032)と会う――。 儀弐王は執務室で報告書に目を通していた。そこへ側近がやってくる。 「陛下、西祥院殿が参られました」 「もうそんな時間でしたか。お通しして下さい」 それから、西祥院ら、正信始め、武天の一行がやってくると儀弐王は立ち上がり、彼らと握手を交わした。 「ようこそ、我が王国へ――」 それから儀弐王と西祥院らは会談に入った。会合の目的は、緑茂の里の魔の森に関してのことであった……。 西祥院は数日の滞在を終えて、武天の此隅へ帰還すると、巨勢王(iz0088)のもとへ参上した。巨勢王は家臣と将棋を指していた。 「陛下――」 「おお、西祥院、どうであった理穴の小娘は。元気にしていたか」 武天は兵を派遣してアヤカシの攻撃から理穴を守っている実情があり、巨勢王から見れば儀弐王は良く言って「お嬢様」だった。 「陛下もお人が悪い。儀弐王にとって、東の魔の森は深刻な頭痛の種ですぞ」 「はっはっは。儀弐王はああ見えてタフな娘だ。わしの言葉なんぞ聞き流すだろう」 「緑茂の件ですが」 「うむ」 「先日の魔の森焼き討ち、功を奏して大きく進んだようです。兵の士気も高まっております。是非とも我が国の協力を受け入れたいとのことです」 「でかした! それで」 「は、次の焼き討ち計画なのですが、三月中にも再度行うことになりまして。開拓者ギルドにも依頼を出すのが良かろうと言うことになりました」 「そうか。良くまとめてくれた真禅。仔細は任せる。宜しく頼んだぞ」 「ははっ――ところで陛下、後十五手で詰みですな」 西祥院が言うと、巨勢王は大きく笑った。 それから数日後、西祥院は開拓者たちを呼び寄せる。 「緑茂の里の魔の森焼き討ちだが、大きく前進させたい。魔の森の内部は複雑に区分けされており、簡単に全てを焼き払うわけも行かん。それに、大火事を起こして周囲の森に火が燃え移ってはいかん。またアヤカシの残党がいるやも知れんが、これには開拓者ギルドも積極的に関わってもらいたい」 「弓弦童子を倒したあなた方の力をお貸し頂きたい」 老中格の正信は言って、にこりと笑った。 ……現地に到着した開拓者たちは、今だ圧倒的な異様を放っている魔の森を見上げた。 「ひとまず、森の中を確認する必要があるだろう」 大将格のサムライと弓術士がやってくると、開拓者たちに言葉を投げた。 「アヤカシの残党が気がかりだが、先日の件もある」 その時である、魔の森の奥地で、地の底から湧き出て来るような雄叫びが上がった。 斥候に出ていたシノビが戻って来る。 禍津夜那須羅王――シノビは言った。かの上級アヤカシ率いる死人の手勢が向かってくると。 「禍津夜那須羅王か……不厳王(iz0156)の眷族だな。奴ら、人界にも手を伸ばし、ことを企てている……。頭の痛いところだな」 「ひとまず、向かってくる手勢を撃退せねばならん。総員戦闘配備!」 魔の森を巡り、人とアヤカシの攻防が再び幕を開ける――。 |
■参加者一覧
朝比奈 空(ia0086)
21歳・女・魔
華御院 鬨(ia0351)
22歳・男・志
焔 龍牙(ia0904)
25歳・男・サ
コルリス・フェネストラ(ia9657)
19歳・女・弓
宿奈 芳純(ia9695)
25歳・男・陰
ウィンストン・エリニー(ib0024)
45歳・男・騎
エラト(ib5623)
17歳・女・吟
ユーディット(ib5742)
18歳・女・騎 |
■リプレイ本文 最初にコルリス・フェネストラ(ia9657)が「一案ですが」と前置きし作戦案を提示する。いつもの通り、判断は僚友たちに任せる。 「まず、魔の森際に塹壕網を掘り、左右に伏兵隊を配備できる半円形の防御陣地を構築いたします。サムライ隊を攻撃と防御に分け、攻撃側が森焼き討ちと共に魔の森へ侵攻。敵と交戦後、恐慌状態になったふりをして偽装退却し、防御陣地へ誘導。左右から伏兵隊が攻撃し殲滅する釣り野伏を実施します。そして、伏兵隊は弓術師達を主に配備します。恐慌対策として塹壕内から放物線を描く形で敵を直視せず射撃。偽装退却する味方を援護し、確実に敵だけ討てる様射撃精度を第二位に置き、簡略な射撃修正で射撃地区一帯を射撃する地帯弾幕射撃を、私が恐慌抵抗を行い敵の動きを観測しつつ指揮しますので、誘導した敵を殲滅お願い致します。この流れをサムライ隊は一回毎に役割を交代し、心を回復させ、陽動と防御を交代で実施いたします。私たち開拓者達は戦況や場所に応じ最良と思う行動を各自展開し作戦を支援させて頂きます。また、禍津夜那須羅王出現時は合図と共に開拓者達は集結、包囲し集中攻撃でこれを撃破します」 華御院 鬨(ia0351)は頷いた。華御院は歌舞伎役者で女形をしていて、常に修行のために女装し、そこいらの女性よりも女性らしい雰囲気を醸し出している。今回は京美人の女装をしていた。 「ここで、進攻を止めるのはよくありやせん。是非とも追撃したいもんどす」 と彼には珍しく、たおやかではなく、気合いの入った言葉を紡ぎ出した。 「コルリスはんの作戦で行きますどすか。サムライは攻撃側と防御側に半分づつに分けて部隊編成。ただ、攻撃側で『恐慌』となったサムライは防御側に回して、その分、防御側から攻撃側に補強をしてローテーションを組むことにより、『恐慌』への対策とするがいいと思いやすな。それから――」 華御院は思案顔で言った。 「うちはサムライ達の指揮を取り前線に出ますが、『恐慌』となっているサムライがいる場合は、防御側に補充員を素早く要請し、陣形を崩さない様に努めさせて頂きます」 「そうですね。基本的な作戦はコルリスさんの案で良いかと思います」 先祖代々古から続く「焔龍」の名を受け継ぐ若者――焔 龍牙(ia0904)は頷いた。 「本格的な焼き討ちか。少しでも魔の森の侵食を食い止めねなくてはいけませんね」 と、思案顔で顎を摘む。 「しかし……那須羅王がなぜ、この場所に現れたのか? 何かこの場所に秘密でもあるのだろうか?」 「不厳王(iz0156)が進出しようとしているのかもしれないな。考えたくはないが、冥越からの影響でもあるのか……」 サムライ大将が言うと、焔は「ふむ」と頷く。 「コルリスさん案で、魔の森の際に布陣している仲間を守る様に布陣し、焼き討ちが開始されると、出現するアヤカシに注意ですね。魍魎人の出方も読めませんし。特に仲間が布陣している箇所の左右を重点的に警戒しましょう。アヤカシの出現が確認出来れば、作戦通りの誘い出しの状況を確認し、うまく誘導できていない様であればスキル『咆哮』にてアヤカシを射撃ポイントに誘導しますよ」 「敵を直視し辛いのが厄介ですね」 陰陽師の宿奈 芳純(ia9695)が口を開いた。 「作戦は私はみなさんの言われるものに従いますが、一つ、コルリスさんの釣り野伏を支持させて頂きます。加えて、防御陣に関してですが、弓術師の方々の射撃支援の為、適時視界を遮る事も兼ねた防壁を必要な個所に構築します。私の術は短時間ではありますが、結界呪符『白』の壁を各所に構築し、理穴兵の皆様をお守りいたします。作戦の支援はお任せ下さい」 「理穴の東部は以前にアヤカシ勢の侵攻を阻止した処であったが、此度は反転してこちらより攻め立てて魔の森を焼き払う心積もりであろうか」 士道を貫く騎士、ウィンストン・エリニー(ib0024)は、「ふむ」と思案顔。 「第一陣は抵抗を打ち払って成功した故に、オレ達が参加する第二陣が整えられた次第。続けての結果を望むべく更なる進撃をし、迎撃すべく現れるアカヤシを排除してみせる所存。不断な心構えで心の隙を突かれずに突破を図ろうとな(頭垂れ)」 「よろしくどす、エリニーはん。この間はお世話になりやしたな」 「華御院も、前回は無事で何よりであった」 それからウィンストンは言った。 「練力消耗留意し強敵時のみに活用すべく心得、必要以上に突出せども無理はせず、前面だけでなく横合いからの襲撃も想定し、周囲警戒方向を分担してお互いの死角を補い、孤立分断に陥られぬ様周りの味方同士声を掛け合って挟撃されぬ様立ち回り、難敵には必ずや一対多の優位差で殲滅敢行であるな。優先順位は第一が巨人兵、次いで食屍鬼、禍津夜那須羅王は表に出て来るまで最後であるな。無論、あ奴が迎撃突破を図ろうとするならば合図によって集結し相対して押し留めんところであるな」 ウィンストンは独特の言い回しで言って、コルリス案に賛同する。 「コルリス案には賛同するところであるな。魍魎人の戦術が読めないところであるが、偽装退却案については、オレも考えたところであるな。但し、余りの数の多さと味方の恐慌による崩れ具合によりこちらも、と付け加えさせてもらうところであろうか。射撃などでそのまま撃滅出来ればよし。いずれにしても、全戦力を以って最初から殲滅に当たるが良策であろうしな」 「私は吟遊詩人のエラト(ib5623)と申します。よろしくお願いします」 魔性の歌声の異名を持つ吟遊詩人、エラトがお辞儀した。 「みなさまの作戦は概ね了解いたしました。私は残念ながら負傷中の身ですので、後衛に留まり、戦闘中は恐慌状態となった味方を『安らぎの子守歌』で順次治療し戦線復帰させる精神的な回復役に徹しますね。お役に立てず申し訳ありません」 「そのようなこと、気に病む必要はありまん、エラトさん。その時に出来ることを為しましょう」 言ったのはアイスブルーの瞳にブロンドの髪を持った娘、騎士のユーディット(ib5742)。歴史こそ長いものの零落して久しい帝国貴族の家の娘である。根は柔和で優しい性格だが、依頼中は現実主義に徹するようにしている。この為に冷徹な印象を与えることもあった。 「私も、コルリスさんの戦術を支持します。アヤカシを駆逐する手段として、私自身にも適当な案が浮かびませんので支持させて頂きます。協力を約束いたします」 「ありがとうございますユーディットさん。足を引っ張らないように尽力しますので」 エラトがにこりと笑うと、ユーディットは頷き思案顔で言った。 「まずは準備段階で防衛陣地の構築ですね。そこからお手伝いいたしましょう。作戦決行時にはサムライ隊の一部を陣頭指揮して尽力します。作戦の骨子である『状況に応じ反撃の度合いを変え、恐慌に陥ったと敵に思わせる偽装退却』を可能な限り実現させます。私も他人事ではありませんが、偽装退却の際、本当に恐慌に陥っている者がいれば、脱落しない様にフォローします」 それから、ユーディットは冷静に言った。 「私たちにとっては害にしかならない魔の森ですがアヤカシたちにとっては居心地の良い住処です。敵も必死で抵抗してくるでしょうから油断なく行きましょうね」 最後に口を開いたのはどこか儚げな朝比奈 空(ia0086)。 「炎羅を討ったとはいえ、魔の森そのものはまだ健在ですか。跡形も残らず焼き尽くそうにも、少なくない障害があるみたいですね。私は兵の一部をお借りして、少し前に出る事にしましょう。アヤカシを殲滅する策ですが、仕掛けの構築、誘い込みなど他にもやる事はありますしね。それに、魍魎人の戦闘力がこちらの手勢のどれ位を用いれば渡り合えるかを確かめる必要もありますし」 空は言って、思案顔で大将たち言った。 「森の中では木などが戦闘の邪魔をするでしょうし、固まり過ぎないようにしませんと。弓の射線の確保にも気を配っておきませんと。私がある程度進んだらフロストマインを設置しておきますので。お味方には踏まない様に注意して頂きたく。そうですね、旗などで目印を付けておきましょうか」 「うむ。よろしく頼む。朝比奈の大魔術は頼もしい」 「よろしくお願いします朝比奈様」 コルリスもお辞儀する。空はにこりと頷いた。 「魍魎人はフロストマインを設置した場所までおびき寄せましょう。恐慌になる方も出るかと思いますのでで、その時は私も含め戦力になる方を殿に後退しましょう。設置罠に掛かり、足を止めた所を集中攻撃を加えて撃破。それでも手に負えない場合は、そこそこに交戦した後に皆さまが行っていた防御陣の場所まで下がりましょう。釣り野伏せの事前準備的に、敵との交戦も兼ねて動くとしましょう」 「ありがとうございます。禍津夜那須羅王には気を付けて下さい」 コルリスは言うと、みなに改めて「ご協力に感謝します」とお辞儀する。 「みなさん、恐慌状態になった味方は回復しますので、私のところまで搬送して頂ければと思います」 エラトも言ってお辞儀した。 「それでは防御陣地の構築から始めるとしようか。行くぞ――!」 開拓者たち、兵士達は動き出した。 ユーディットは、塹壕を築く作業を終えると、軽く息を吐き出した。 「さて……これくらいでしょうか?」 仲間たちもみな、最初は塹壕掘りを手伝った。 「これで少しは、弓も撃ちやすくなるかと思いますね」 「では……私はまず森の中へ踏み込みます。みなさんお願いしますね」 空は言って、サムライ達を率いて森へ分け入る。 「空さん気をつけて……」 エラトは、祈るようにその背中を見送る。 空が前進していくと、前方から咆哮が響いてくる。魔の森の闇に襲われそうな錯覚に陥る。ここはやはり禍々しきアヤカシのテリトリーなのだ。 空は、フロストマインを仕掛けていき、兵士たちに警戒するよう指示を出す。 「行きましょうか」 「うむ……いや、空殿」 兵士達は抜刀する。 森の奥から、異形が出現する。醜悪な外見をした死人アヤカシ、魍魎人である。 空は、肌をやすりでこすられるような感覚を味わった。 「これが恐慌に陥る魍魎人の妖魔ですか……みなさん大丈夫ですか」 「む……どうにか堪えるが。吐き気がしそうだな」 サムライ達は顔をしかめていた。 それから魍魎人が続々と出現する。 アアアアアアアアアアアアアアアア……! 空達は交戦の末に退却する。個々の戦力では勝るがアヤカシの数が圧倒的である。 「後退しましょう」 魍魎人たちは、フロストマインに飲まれて消失していくが、後続がなだれ込んで来る。 ユーディット、鬨、ウィンストン、焔たちは迎撃に出る。 「空さん」 「今のところ恐慌の影響はありません。油断はできませんが」 「行きますどす」 「十分心して掛かるところであるな」 「来ます!」 開拓者たちは前線に出た。 ユーディットはざわりと鳥肌が立ったが、魍魎人の恐慌に気力で耐える。 「でやあああああ!」 ユーディットはアヤカシを切り捨てた。 「ユーディットはん、大丈夫どすか!」 鬨は彼女と背中を合わせ、なだれ込んで来る魍魎人を押しとどめる。 「何とか……」 それから焔とウィンストンも兵士を指揮しつつ、後退のタイミングを計る。 だがそこで、一部のサムライたちが恐慌状態に陥いる。 「これはどちらにしても俺たちだけでは持ちませんかね」 「かも知れんであるな。引き際が肝心なところであるな」 後方では、エラトが、ファナティック・ファンファーレで自分の行動力を底上げし、その後、安らぎの子守歌で5人ずつ治療していく。 激しい演奏と穏やかな子守唄を使い、エラトは味方を回復していく。 「助かりましたエラトさん」 「ありがとなエラトの姉さん!」 「吟遊詩人の魔術に助けられたな」 サムライ達はお礼を言って、前線に復帰していく。 「私の歌が少しでも皆様のお役に立てば……」 エラトは、披露した様子を見せ、肩で息をする。その額に汗が浮かぶ。 「大丈夫ですかエラトさん」 待機する宿奈が、エラトに声を掛ける。 「はい……どうにか。前線に出る皆さんのことを思えば」 「それにしても、魍魎人は厄介ですね。うまく釣り野伏せが嵌まると良いんですが……」 宿奈は言って、結界呪符の準備に入った。 前線に出ていた開拓者たちが戻って来ると、宿奈は結界呪符「白」を張り巡らせていく。 コルリスは、弓術士たちに地帯射撃を指示する。 「よろしくお願いします。撃て!」 「射撃開始! ってえ!」 弓術士たちは次々と矢を撃ち込んでいく。 宿奈が築き上げた結界呪符の向こうから、続々と矢が放たれる。 数百の矢の嵐が魍魎人に降り注げば、次々とアヤカシ達は瘴気に還っていく。 「よ−し! 反転攻勢に出る! 射撃と連動して、左右からアヤカシどもを殲滅する!」 兵士たちはアヤカシを十分に引き付けたところで反転攻勢に出る。 コルリスは前線に出て観測していたが、緑の光に包まれたアヤカシを望遠鏡で捉える。 「那須羅王ですね……」 コルリスは焙烙玉に点火すると、それを投げ込んだ。爆発音で禍津夜那須羅王の出現を知らせると、開拓者たちが集結して来る。 魍魎人が撃破されて行く中、禍津夜那須羅王は悠然と出てきた。 「なんやか、うちらが悪役みたいどすが、今日はこの森を貰いにきやしたどす」 華御院はたおやかに、尚且つ丁寧に挑発がてら挨拶する。 「森は渡さん」 禍津夜那須羅王は言って、衝撃波を撃ち込んできた。 空のララド=メ・デリタが禍津夜那須羅王を包み込む――。 焔は加速した。太刀「阿修羅」+スキル「ファクタ・カトラス」と魔槍砲「瞬輝」+スキル「ストライクスピア」による切り札。 「唸れ阿修羅、煌け瞬輝! 焔龍、修羅真輝!」 吹っ飛ぶ禍津夜那須羅王は、踏みとどまり、反転してウィンストンとユーディットの一撃を受け止める。 「貪れ」 宿奈は黄泉湯より這い出る者を叩き込み――。 「翔!」 コルリスは月涙+鳴響弓の合成技を撃ち込む。 禍津夜那須羅王は魔王のように立ちはだかるが、やがて後退していく。 「終わりましたか……」 宿奈は言って、ダメージで膝をつくユーディットに声を掛けた。 「大丈夫です。まだ、倒れるわけにはいきませんから……」 それから本格的な焼き討ちが始まる――。 燃え盛る炎は、凄まじい勢いで広がり、魔の森を焼き払っていく。 ……事後、開拓者たちは、崩壊した魔の森を確認して、この地の平和を願うのだった。 空に響くエラトの精霊の聖歌、森の空気は浄化されていくのだった。 |