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■オープニング本文 武天国王都、此隅――。 老中の西祥院真禅は、文に目を通していた。娘の静奈からである。 ……父上、お元気ですか? 近くにいて中々会うことが出来ないお互いに多忙な身ですが、食事はきちんと取っていますか? 母が亡くなってから、お身体を気遣ってくれる人もいなくなって、私は心配しています。公務もほどほどに、時々体をお安めになって下さい……。 真禅は苦笑した。彼は御年五十五。龍安家の西祥院静奈の父で質実剛健の人である。莫大な財力を持つ西祥院家の頭首であり、穏健派として知られる。アヤカシには断固たる態度を取ることで知られる。 「真禅様――」 声に、真禅は顔を上げた。優しげな学者肌風の青年が立っている。龍安正信。西祥院真禅の部下である老中格である。龍安家の血を引く。至極真面目な人物で、真禅の理解者であると同時に、真禅に真っ向から意見をすることもある。意外に胆力が据わっている。 「正信」 「今、宜しいですか」 「構わんよ。娘からの文を読んでいただけだ」 「お嬢さんですか」 「近頃母親に似てうるさくなってきた。そんなことより、縁談の話を持って行くたびにぶち壊すのを何とかして欲しいんだがね」 「貴方に似て、気性の激しいお方ですから」 「それで?」 「一般の旅客船、飛空船『楽仁丸』が天狗の集団に襲撃されました」 正信の言葉に、真禅はうなった。 「どれくらいの犠牲が?」 「乗客乗員含め、約五十名ほどです」 「絶望的だな」 「船は航路を外れ、今も浮かんではいますが。生存は厳しいでしょう」 「正規軍に出撃の要請を。それから、開拓者ギルドに依頼を出せ――」 開拓者ギルド――。 栗原重治。西祥院真禅の警護を務める番方である。龍安家の栗原の兄弟だ。冷静沈着。真禅の命令であればどんなことでも遂行する冷徹な男である。凄腕の剣客で、銃も含め武器の知識、扱いに長けている。 重治は、目の前のギルド相談役橘鉄州斎(iz0008)を見やる。噂に聞く凄腕の相談役の顔が見たかった。 橘は、重治から依頼を聞き、急ぎ依頼を手配する。 「生存者がいれば助けよう。天狗とは厄介な相手だが……上級天狗は確認したか?」 「恐らくいるだろう。三十体近い天狗の集団だ。リーダーはいても不思議じゃない」 「仕事が増えて喜べる状況じゃないな」 「依頼を受けるとなれば開拓者にはサムライ大将並みの指揮権がある。仕事は山積みだぞ。龍騎兵部隊との顔合わせ。各大将と打ち合わせ。現地に入ってからの判断……」 「人を集めてすぐに発つ。高速船で合流する。龍騎兵部隊には待つように言っておけ」 橘は言って、至急開拓者たちを呼び集めるのだった。 |
■参加者一覧
鈴梅雛(ia0116)
12歳・女・巫
華御院 鬨(ia0351)
22歳・男・志
焔 龍牙(ia0904)
25歳・男・サ
滝月 玲(ia1409)
19歳・男・シ
ルオウ(ia2445)
14歳・男・サ
コルリス・フェネストラ(ia9657)
19歳・女・弓
罔象(ib5429)
15歳・女・砲 |
■リプレイ本文 飛龍の騎兵隊と合流した開拓者たち――。 尊き癒し子、巫女の鈴梅雛(ia0116)は、小さな声で言った。 「可能性があるのなら、急いで救助に行かないと」 雛は思うところがあった。 「栗原様のお父様はひいなの恩人です。この依頼は、必ず成功させます」 鳳華での記憶が蘇る。あれは鳳華の七魔将との戦いであったか……。 「飛空船が飛んでいると言う事は、まだ制御が出来ていると言う事ですので、生存者の可能性も有ると思います。ひいなは、陽動班が外の天狗の注意を引いている間に、なまこさんに乗って、捜索班の方と共に飛空船に乗り込みます。天狗たちの力があれば、この船を落とす事も容易かった筈。敢えてしなかったのは、武天軍を誘き寄せて、自分たちに有利な空で一網打尽を狙ったのかも。罠の可能性も捨て切れません。十分に注意しないと」 雛は、決然と続けた。 「瘴索結界で、船の内部に入り込んでいる天狗を探します。機関部と艦橋周辺の天狗を排除して、船の墜落を出来るだけ避けます。多くの天狗が集まっている場所があれば、そこに生存者が居る可能性があるので、そちらを優先して生存者を保護します。船が墜ちれば、一巻の終わりです。それだけは避けないと」 「俺はサムライのルオウ(ia2445)!よろしくなー」 赤毛の熱血ルオウ少年は、言って拳を突き出した。 「天狗かー。この間の弓弦童子の御付と戦って以来だな。手ごわい奴だけど頑張るぜぃ! 雛! やってやろうぜい!」 「はいルオウさん」 「俺は捜索班に回って、雛とか術師の護衛を中心に行う。見つからないようにこっそりと音を立てない様に注意していくな。探知系のスキルは無いから雛とかに任せて、自分は護衛に専念して、敵と出会ったりしないかを注意していくぜ。その際に抜け道とかもできる限りチェックしていくな。道が塞がってたりしたら『強力』つかってどかしたりを試みるぜ」 ルオウはぽりぽりと頭を掻いた。 「万一見つかって戦闘になるなら、どっか狭い場所があればそこに入ってもらって護るようにして戦うか。『咆哮』を使って自分にひきつけ、的確に減らしていく。遠くから攻撃されたならこっちも銃で応戦だ。逃がすときには、落ちた衝撃でできた隙間なり穴なりを見つけたらそれを力ずくで広げたり開けたりして道を作り、そっから生存者を逃がす様に試みるぜ。飛龍のおっちゃんたち! うまく受け止めてくれよな!」 ルオウは言ってにかっと笑った。 華御院 鬨(ia0351)――女形をしていて、常に修行のために女装し、そこいらの女性よりも女性らしい雰囲気を醸し出している。今回は京美人の女装をしていた。 「生き残りの船員を救い、楽仁丸を救いやしょう」 華御院は言って、状況を確認する。 「天狗どすか。これは、いっぱいおりやすわ。さっさと掃除せいへんといけんどすなぁ」 と感想を云う。 「うちは誘導班に参加しやす。天狗を引き付けやすから、捜索班のみなさんは宜しゅうお願いしやす。生存者がいることを願うばかりどすが……」 華御院は美しい顔に思案の色を浮かべて、顎をつまんだ。 それから、龍の壱華を撫でてやる。 「今回は、あんさんに頑張ってもらわなあきまへんどす。期待しておりやす」 と声をかけて絆を深めておく。 「今度は天狗ですか。次から次へと出現するな」 焔龍――焔 龍牙(ia0904)は、言って思案顔。 「天狗どもの好きにはさせません。楽仁丸と、生きている人たちは何としても救い出しましょう。俺は陽動班ですね。まずは、蒼隼に騎乗して、楽仁丸に取り付いている天狗や周囲の天狗に対し陽動行動を行い、楽仁丸から引き離し、それから下級天狗、中級天狗に対して攻撃を開始しましょう。奴らの空戦能力は未知数ですが……。下級天狗、中級天狗が集まってきたところに、まとめて攻撃、撃破。さらに、咆哮でアヤカシを集めて、撃破します。こっちも蒼隼と協力して退治していきますよ。下級天狗、中級天狗を粗方退治したら上級天狗に対する攻撃に切り替えましょう」 炎帝――滝月 玲(ia1409)は熱烈に口を開いた。 「天狗達を退治し楽仁丸内の要救助者を助けましょう。中型飛行船までなら宝珠室補強強化経験がある、どこまで通用するか分からないけど人の命が掛かってるんだ、やるしかないっ!」 滝月は言って、コルリスに言った。 「コルリスさん、楽仁丸と同クラスの飛行船の機関設計図や特殊工具の貸出しですが……どうでしたか」 コルリス・フェネストラ(ia9657)は頷き、箱を取りだした。箱には、書類と道具一式が入っていた。 「無事に手配できました。これでどうでしょうか」 「良かった。これで何とかなります!」 滝月は、言って頷いた。 「捜索班は雛さん、ルオウさん、俺、飛龍の方。とても心強いです。突入後ですが、雛さんの術で警戒しつつ、俺とルオウ、飛龍のみなさんで場合によっては強行突破。生存者を確保して、第一に逃がしましょう。陽動班のみんなが天狗達を引き付けている隙を突き、俺もルオウさんと共に敵を倒しなら楽仁丸へ突入します。もし、船内で離れてしまったら、仲間との連絡は伝声管を使用しましょう」 「オッケー了解したぜ!」 砲術士の罔象(ib5429)は、ぺこりとお辞儀して口を開いた。 「二手に分かれ、誘導班が天狗たちをひきつける間に、捜索班が楽仁丸に突入し生存者を救助するという流れですね。私は誘導班に回り、天狗たちの陽動を支援しますね。瓢、よろしくお願いしますね〜」 罔象は瓢に声を掛けてやった。 「私は、敵の旋風攻撃を魔槍砲の衝撃で相殺できるか試してみます。うまくいけばそれを使用し、敵の攻撃の盾となり陽動を支援しますので。失敗した場合は別の方法で陽動に尽力します」 「罔象さん、何を構えるつもりですか」 「敵の大旋風とやらを、魔砲スパークボムで相殺してみるつもりです。うまく行くかは分かりませんが、やってみます。陽動が始まったら瓢を駆り、天狗達を引き付けながら撃つタイミングを図ります」 「では、そちらはよろしく頼みます」 焔は言って、頷いた。 コルリスは、楽仁丸と生存者救助の流れは仲間達や「飛龍」隊、自分達の乗る高速飛行船の船員達と相談する。 「楽仁丸に生存者がいる可能性を信じ、船員のみな様には救助者の受入態勢の準備や救助船の手配、楽仁丸が街等に墜落しない様、船の操作可能な人の派遣をお願い致します」 「ふむ、そうなりますと、志体持ちの船員を新たに手配できるかどうか、西祥院様に掛けあってみませんと」 サムライ大将は言った。 「よろしくお願いします。では、あくまで一案ですが、全体の行動案を提示いたしますが、判断は任せ致します」 それから、コルリスは言った。 「まず、陽動班と捜索班の二手に分かれ、陽動班が敵をひきつけ楽仁丸から引き離し、その隙に捜索班が楽仁丸へ突入し生存者を捜索し救助します。続いて、救助者を味方飛行船に収容する為、『飛龍』隊の一部は楽仁丸から味方飛行船への護送に回って頂きます。そうして、楽仁丸から生存者救助と敵排除完了後、開拓者や高速飛行船員の内、飛行船操作や操作機器の修理可能な人が楽仁丸操舵室で楽仁丸を安全な場所へ着陸する様、操作や各作業を実施して頂きます。ただ損傷が激しければ、人気のない場所へ墜落する操作を加えた後、急いで船から脱出です。最後に、陽動班はこの間、敵誘導と撃破に尽力し楽仁丸を防衛します。空戦では二人一組でペアを組み、片方が咆哮で敵をひきつけ、もう片方が敵を横や上下から攻撃する『繰引』戦法を提示致します。ただ、楽仁丸に乗り込んだ方々の脱出支援に回る等、『飛龍』隊大将は状況に応じ自由な采配をお願いします」 飛龍隊の大将は、頷き、それぞれ口を開いた。 「では、少し事前準備が必要だな。船員の手配、救助船の手配。少し待ってくれ」 それからすぐに、一同のもとへ老中格の龍安正信がやってくる。 「みなさん、人員の手配はしておきました。すぐに向かって下さい。宜しくお願いします」 「ありがとうございます正信様」 コルリスはお辞儀した。 「希望を託します。みなさんに」 正信は言って、開拓者たちを送り出す――。 華御院は加速した。 「壱華、行きますどすえ」 手綱を引くと壱華が咆哮して、突進する。空中戦を仕掛けて出来る限り楽仁丸から引き離す様に誘導するつもりだ。 楽仁丸にひっついている下級天狗を目立つ様に壱華と舞う様に白梅香で攻撃する。 「こないな、ひっついているだけの戦闘は、客受けしやせんどす」 と挑発気味に強さをひけらかして此方に注意を注ぐ。華御院は歌舞伎役者である。舞うような演技は得意だった。 一撃で下級天狗を切り裂き撃破する。アヤカシ達の怒りの咆哮が響き渡る。天狗たちは華御院目がけて飛び立った。 「どんどんおいでやす」 華御院は巧みな手綱さばきで、ヒット&アウエイを繰り返して、天狗を楽仁丸からどんどん引き離していく。 「行くぞ蒼隼! 奴らを引き離す!」 焔は自らを奮い立たせるように言うと、突進した。 蒼隼に騎乗して、楽仁丸に取り付いている天狗や周囲の天狗に対し陽動行動を行い、楽仁丸から引き離し、下級天狗、中級天狗に対して攻撃を行う。 ざわざわと天狗たちが咆哮し、飛び立ってくる。 「撃て! 蒼隼! ソニックブーム!」 下級天狗、中級天狗が集まってきたところに、蒼隼のスキル「ソニックブーム」を叩き込む。 「蒼隼! 集まってきたところをソニックブームで仕留めるぞ!」 真っ二つになる天狗。さらに、咆哮で天狗たちを引き付けると、愛刀の太刀「阿修羅」で攻撃する。手綱を捌く。 「蒼隼! ここからは速さと連携で切り崩すぞ!」 蒼隼と協力しつつ、太刀「阿修羅」で攻撃し退治していく。 ぶうん! と天狗の竜巻旋風攻撃が飛んでくる。巻かれる焔。切り裂かれるが、態勢を立て直して旋回する。加速すると、天狗を突き抜ける。 「応鳳、行きますよ!」 コルリスは鏡弦で探索しつつ、天狗たちを弓で撃破していく。手綱を引くと、操縦は応鳳に任せ、自身は弓を撃っていく。 飛龍隊は、「繰引」戦術で相対する。コルリスは合図を送り、二人一組みで天狗を迎撃する。 鏡弦で反応するアヤカシの数は二十以上。 群がって来る天狗たちから竜巻攻撃が飛んで来るのを、コルリスは逃げるようにかわす。 「このまま……引き離すことが出来れば大丈夫です。天狗たち――!」 旋回して、突進して来る中級天狗に、 「翔!」 月涙+鳴響弓の合成技を叩き込む。 怒り狂った天狗たちがどんどん楽仁丸から飛び立ってくる。 「飛龍隊のみなさん! 迎撃をお願いします! 捜索隊の支援を――」 コルリスは鞍上で身を起こし、矢を叩き込んで天狗を撃ち落としていく。コルリスは心を平静に、熟練の技で確実に仕留める。 罔象は魔槍砲「戦神の怒り」を構え、タイミングを図っていた。天狗たちの旋風攻撃を魔槍砲の衝撃で相殺できるか試みるつもりであった。 「瓢! 高速飛行!」 罔象は瓢に命じると、天狗たちを引き付けて行く。背後から飛び交う竜巻をやり過ごしつつ、状況を見る。 やがて、遂に天狗たちが集結して来る。天狗たちは陣形を組んで、攻撃態勢に入る。 「来ますか? みなさん! これより魔槍砲を発射します。私より離れて下さい」 と警告し、仲間達や龍騎兵、楽仁丸や味方高速飛行船を巻き込まず、仲間達への旋風攻撃を遮る位置に踏みとどまり、魔砲「スパークボム」を構える。 「来るぞ! 大旋風だ!」 天狗たちは上級天狗を中心に、大旋風を繰り出してきた。猛烈な竜巻が巻き起こり、罔象に向かってくる。 罔象はトリガーを引いた。魔砲「スパークボム」が炸裂する。天狗達の旋風攻撃を爆発の衝撃で相殺できるか――。 だが、大旋風はスパークボムの爆発タイミングとはずれてしまい、罔象は直撃を食らって撃墜されそうになった。 「く……! 見込みが甘かったですか……!?」 実際相手のスキルをスキルで相殺するのは神業とも言える技である。ほぼ不可能に近い。戦闘中にこれを狙う開拓者はそれなりにいるのだが、成功した例はほとんどない。 罔象は、符水で自分と瓢の負傷を治療し、宝珠銃「皇帝」の閃光練弾で天狗達の目を眩ませ続け、連携や旋風攻撃命中を妨害することに切り替える。 「コルリスはん、何とか天狗らは引き離せますが、捜索が無事に終わることを祈るばかりどすな」 華御院が接近して来る。 「華御院さん、そうですね。今のところ無事に進んでいますから。私たちは支援に努めましょう」 「おふた方! 捜索隊が行きましたよ! まだ正念場です! 楽仁丸を確保しませんと」 焔は言って、天狗たちの方を見やる。 「大丈夫ですか罔象さん」 「はい! ちょっと無理だったみたいです……」 「行きましょう」 雛は言って、ルオウと滝月の後ろから瘴策結界で探索する。船の中は不吉な音が鳴り響いており、楽仁丸の危険を知らせていた。 「天狗はいそうか雛」 ルオウは、抜刀してピストルを構えて、用心して前進する。 雛は「中にはいるみたいです。気を付けて行かないと」と注意を促す。 滝月は、超越聴覚で人の声や息使いを探す、伝声管に耳を澄ませる。 客室に入った開拓者たちは、捕食中の天狗たちを発見する。 「てめえら!」 ルオウと滝月らは突進して天狗を撃破する。 「おい! しっかりしろ!」 だが乗客はすでにこと切れていた。 「おい! こっちだ!」 滝月は生き残っていた子供を発見する。子供は震えていた。 「大丈夫だ。飛龍隊、この子を頼む」 ルオウは言って前進する。 と、楽仁丸が軋むような音を立てて激しく揺れる。 「時間は無いか……俺は機関室へ向かいます。二人来て下さい」 滝月は言って機関室へ走った。機関室の天狗を倒し状況を確認する。部屋の隅から宝珠技士が這い出てきた。 「あんたら……助かったのか」 「大丈夫です。俺たちは開拓者。船は持ちそうですか」 滝月は技士と話し合って、事前に頭に入れて置いた設計図や工具を用い開錠や正確性が必要な時には忍眼を使い、機関部分や宝珠室内の補修強化や調整を行い可能な限り落下速度を遅くする 「絶望的? 悪いけど俺は諦めが悪くてね、楽仁丸を棺桶になんてさせないよ」 伝声管から、ルオウの声が鳴り響く。 「滝月! こっちはあらかた片付いた! 生存者は送りだした! そっちはどうだ!」 「機関室の制御は取り戻しました! 後は立て直して……」 その時だった。機関部が爆発。 「滝月!」 「くそ……駄目か! ルオウさん! 雛さん! 離脱してくれ! 船は落ちる!」 「そっちも急げよ!」 「滝月さん、急いで下さいね」 雛も小さな声で言って、駆け出した。 外では、天狗たちは撃破された。しかし、楽仁丸は墜落していく。 それでも、救助船には、生き残った人々がいて、開拓者は彼らを此隅まで護送するのだった。 |