橘の里の復興2
マスター名:安原太一
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 7人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2012/08/03 20:44



■オープニング本文

 橘の里にヒマワリが咲いていた。五月に開拓者から貰った種が開花を迎え、里の一角に一面のヒマワリ畑が出来ていた。
 ヒマワリの世話をしてきた子供達は大喜びで、記念にとヒマワリの絵を描いていた。
 里長の橘厳楼斎は、復興しつつある里を見て回り、ヒマワリ畑で足を止めた。
「あ! 厳楼斎様! 見て下さい! ヒマワリがこんなにたくさん咲きました!」
「ああ。みんな毎日丁寧に世話をしたからね」
 厳楼斎は子供たちの労をねぎらうと、民の方へ向かっていった。
 里の防備はあれから補強されて、小鬼程度のアヤカシなら防げるようになっていた。里のサムライ以外に、民が自警団を組織して、訓練して魔の森から出て来る小鬼を撃退していた。
 盗賊たちにやられた水路は相当に復活していて、里に水が行きわたっていた。ただ、すぐに畑の収穫量が増えるわけではなく、先月収穫した小麦は里が自給できるぎりぎりの量だった。
 それでも畔に植えられた大豆は順調に育っていた。また、枝豆は収穫期を迎えており、実が沢山入った枝豆が畔一面になっていた。
「食料のめどはたったか……」
 厳楼斎は、小麦の収穫量を見て、安堵の息を漏らした。
「何とか、次の米の収穫まではこれで持ち堪えられるでしょう」
 村人たちは、疲れ果てた顔の中にも、喜びを浮かべてパンを焼いて、また、うどん作りを進めていた。
「アヤカシさえ来なければいいんですがねえ……」
「幸い、強力なアヤカシが魔の森に入ったという知らせは無いからな。みな、よく頑張ってくれた」
「とんでもありませんや厳楼斎様」
 それから厳楼斎は、里の医者のもとを訪れた。
「先生、お暇そうですね」
「おや、これは里長様。はっはっは、風邪を引いた者たちは無事に回復しましたからな。薬を持ち込んでくれたおかげですよ」
「先生、正直気がかりなのは、アヤカシですよ。アヤカシだけは、いつ害悪となって発生するか分かりませんからね」
「私でよければお話は伺いましょう」
 それから厳楼斎は先生のもとを離れると、日課となっている復興作業の様子を見に行く。瓦礫の撤去は無事に進み、家屋も随分と再建された。里の再建はようやく軌道に乗りつつある。
 そんなある日だった。魔の森から小鬼を率いた大鬼が現れたのは――。

 ギルド相談役の橘鉄州斎(iz0008)は、兄からの手紙を受け取って、吐息した。やはり最悪の敵はアヤカシ……ということらしい。大鬼の攻撃で里に緊張が走っていた。大鬼自体は下級アヤカシで、小鬼のボスというだけであって、実際には大きな脅威ではない。ただ、何かと復興の遅れになることは間違いなかった。ひとまず里のサムライで押し返したが、厳楼斎は開拓者の助けを必要としていたのだった。
 鉄州斎は、開拓者達を手配すると、厳楼斎からの依頼に応えて皆を送り出すのだった。


■参加者一覧
カンタータ(ia0489
16歳・女・陰
玲璃(ia1114
17歳・男・吟
ルオウ(ia2445
14歳・男・サ
鈴木 透子(ia5664
13歳・女・陰
メグレズ・ファウンテン(ia9696
25歳・女・サ
フェンリエッタ(ib0018
18歳・女・シ
白木 明紗(ib9802
23歳・女・武


■リプレイ本文

「みなさんごきげんようー」
 カンタータ(ia0489)は帽子を上げて、民に挨拶する。
「巫女の玲璃(ia1114)と申します。よろしくお願いします」
 玲璃はお辞儀した。霊騎の環には荷物が満載だった。
「みなさんお久しぶりですー。どうやら復興が軌道に乗ってきたと聞いて、またお手伝いに来ましたー。あれからどうですかー?」
「あなたから貰った豆は順調に育っているよ。枝豆は最盛期だね」
 厳楼斎はカンタータを案内しながら、里の様子を語って聞かせた。
「それから、水路はかなり復活したし、見ての通り、十分に行き渡っている」
「まだあちこち放置されているんですねー」
「まあ、な。民の日常生活は戻ってきたが。まだまだだよ」
 とは言え厳楼斎の顔に悲壮感はない。
「お嬢さん、みんな元気になりましたからね」
 医師は言って笑顔を浮かべた。
「生活は戻ってきましたが、元々ここにはそれなりに発展した町もあったんですよ」
 男たちが言う。
 カンタータは帽子の端を上げて太陽を仰ぎ見た。
「では、私は医師先生を手伝って、みなさんの診察を行いましょう」
 玲璃は言った。
「俺はサムライのルオウ(ia2445)!よろしくな〜。村の復興かーそりゃ手伝わないとな!」
 それからルオウはヒマワリ畑を見に行った。
「おお! すげーな〜こんだけ咲いてると眩しくて『太陽の花』って言うのがわかるな!」
鈴木 透子(ia5664)は来た道を振り返った。
「多難の里みたいです」
 フェンリエッタ(ib0018)の顔が華やいだ。
「わぁ…すごい、こんなに!」
 子供達へ――。
「ありがとう、大切に育ててくれて。向日葵は勿論だけど、それに負けないくらいの笑顔が見られてとても嬉しいわ。また来年も綺麗な花を咲かせてあげてね♪」
「向日葵ってこんなに大きくなるんだね♪ びっくりしちゃった」
「そうね」
 フェンリエッタは子供たちの頭を撫でてやった。
「隠れ里もこの里も、ヒトは変わらないわね。生きるための苦しい戦いと子供たちの輝く笑顔。それさえわかれば、あたしのやる事は変わらないわ」
 白木 明紗(ib9802)は言って、里を見渡す。

 まずは鬼退治。
 鈴木は住民からアヤカシの情報を再確認。一番最近現れた所も通ってみて足跡も探してみる。
「遮那王お願い」
 遮那王はうなり声を上げ始めた。
 鬼の咆哮がして、鈴木は後退した。
 玲璃は、環を駆り手綱を返した。瘴索結界「念」でアヤカシの位置や数、動きを探査する。
「アヤカシ32匹ですね。こちらへ突進してきます」
「行くぜいフロド!」
 ルオウは突進して来る鬼に回転切りを叩き込んだ。
 メグレズ・ファウンテン(ia9696)は霊騎の瞬を駆り前衛に出る。里からアヤカシ達を引き離す方角へ一度迂回した後、咆哮でアヤカシを集める。
 ルオウはフロドを駆って突進した。大鬼の首を切り飛ばす。
 カンタータは、アヤカシの進路を抑制する形で結界呪符を構築していく。
「出でよ氷龍ー」
 続いて小鬼の群れを薙ぎ払った。
 鈴木は結界呪符で味方を援護。斬撃符で鬼達を蹴散らしていく。
 フェンリエッタはアウグスタに騎乗し回り込んで挟撃。炎魂縛武+瞬風波、雷鳴剣で追撃、相棒に波真空刃を命じる。
「まったく、こんな所にまでアヤカシが出てくるのね。いいわ、相手になってあげる。けど、隠れ里を襲っていたアヤカシの方が腰が入ってたのよねー……つまり、運動にもならないって事!」
 白木は鬼を撃破していく。
 開拓者達は鬼の群れを全滅させた。

 里に戻った開拓者たち――。
 まずは鈴木は里をグルグルと見て回る。
 今何人くらいの住人がいるか。どの位の年齢の住人がどれくらいいるか。生業は何か。産物は何で不足してるのは何か。出入りしている行商人はどこの人間か、など……。
 夏休みの課題でもしてるかのように、見たり聞いたりしたことを記録していく。
 需給自足が基本の村でも針や糸、塩等は外に頼るしかない。
「ですから、以前から通ってきている行商人がいると思うんですが、復興期なので他の行商人にも商機がある里なのかもしれません」
 鈴木は、里から帰ったら若手の行商人に里のことを教えてみようと思う。喧嘩にならないように既に通っている行商人のことも。
「ご挨拶はしたほうが良いと思いますしね……」
 鈴木は、放浪民だったので、そういった商いの事情は良く知っていた。
「行商人はあちこちにいますけど、あたしも結構顔が利くんですよ」
 鈴木は里でも行商人の話をしておいてコネを作っておく。
 それから鈴木は、外の土地の話を伝えた。民は他の土地の話、情報に飢えていることが多いが、ここでもそれは変わらなかった。
「噂に聞いたところだと、また大きな戦があったらしいですね? 確か、あるかまる?」
「私も参加しました」
 鈴木は先のアル=カマルの戦に付いて話し始めた。

「やっぱしアヤカシが一番やべーからなぁ」
 ルオウは村の外周、樹に隠しながら鳴子の罠を置いて大きなケモノなどの接近に気付ける様にする事を提案する。
「厳楼斎のおっちゃんどう思う?」
「ああ。大丈夫だろう。サムライたちにも手伝わせるから、進めてくれ」
「よっしゃ、んじゃ早速始めるぜ。これからのこともあるしな!」
 ルオウは偵察がてら走龍のフロドに乗って駆け回って張り巡らしていく。
 それから村に戻ると、ルオウは力仕事に励んだ。強力などを使って特に力のいりそうな仕事をこなしていく。瓦礫の撤去を進め、里の敷地を確保していく。
「よーしフロド! あっちだ!」
 手綱を引き、ルオウはフロドで身軽にあちこち見て回って、必要な所に手を貸していく。
「何か、重いものがあれば、言ってくれよ。こいつで取りに行くからさ」
 里の民は初めて見る走龍に珍しそうだった。
「こいつ結構パワーあるし輸送なら得意だと思う」
「おう。んじゃあ、木材を運んで来てくれ。また、家屋を立て直すからなあ」
「任せとけ! フロド! 行くぞ!」
 ルオウは走龍を駆って走りだした。

「そーれ!」
 メグレズは瞬の手綱を操る。
「瞬、頑張って」
 霊騎と共に、荒縄を借りて重いものを運んだり、近隣の森などへ向かって、防御用に使う柵の材料を切りだしていく。
「行きましょう、瞬」
 材料を相棒に乗せると、運びだしていき、柵を作る等力仕事や建設作業を進める。
「やはり志体持ちは凄いもんですな」
 民人たちはメグレズの力に感嘆する。

「どうですか?」
 玲璃は医師のもとを訪れると、やってくる里の人々の診察を行い、症状に応じ持参した薬草類から生薬を調合し処方する。
「ありがとうございます」
 老人は玲璃にお辞儀して、笑みを浮かべた。
「この年になると、もうあちこちガタが来てしまいましてねえ……」
「大丈夫ですよ。里はこれから蘇って行きますから」
 玲璃は子供を連れてやってきた母親を診た。子供の怪我を精霊の唄で治療し、持参した薬草や包帯で手当てをしておく。
「元気を出して下さいね」
 それから玲璃は氷霊結を駆使して氷室の補充や氷の提供を行う。
「ありがとうございます。巫女の力は凄いですね」
 また、持参した米ぬか、サイカチ、無患子を使い、里の人々の衣類等を洗濯し復興支援する。
「今日は洗濯日和ですね。良く乾きますよ」
 玲璃は笑顔を浮かべて、里の奥方たちと、広場に大量の洗濯物を干した。

 フェンリエッタは、休憩時間に子供達と一緒にヒマワリの絵を描いた。
「お姉ちゃん上手だね!」
「ありがとう。これは私からのお礼よ。絵はあげるわね」
「ありがとう! やったー!」
 それからフェンリエッタは向日葵に取り掛かった。
「沢山あるようですから……観賞用は残し間引きましょうか? 間引いた分の花は飾り、他の部位――葉茎根は刻んで緑肥にし、畑にすき込んで荒れた地力の回復に用いましょう」
「そうですなあ。まあ、よくここまで咲いてくれたものですが」
 そこでカンタータがやってきた。
「ところで、収穫自体はもう少し後になると思いますが畑の向日葵どうされたいですかー? 精油は技術が要るらしいので一先ずは種は食用。茎と葉は隙倒して畑の肥料にと考えていますよー」
「えー! 向日葵刈っちゃうのー?」
 子供たちから残念そうな声が上がると、村長は笑みを浮かべた。
「この向日葵は、里の土に還って栄養になる。やがてはみんなの米になるんじゃよ」
「じゃあ……仕方ないね」
「その代わり、みんなで書いた絵があるでしょう?」
 フェンリエッタは言って、子供たちを慰めた。
「ところで、まだ先の事ですけど、観賞用は種が熟したら収穫出来ないでしょうか。種は来年用や食用――お摘み、おやつ、お茶請け等になりますし、また、麦をベースに種を配合した向日葵焼酎も作れるみたいです。色々商用の展望もありそうですからね」
「そうですな……」
「それで、向日葵の後には、その畑に白い花の可愛い蕎麦の栽培をしてはいかがでしょうか」
 フェンリエッタは蕎麦の種を渡した。
「フェンリエッタ殿」
「あら、厳楼斎様」
「次は蕎麦ですか。畑を拡張できそうですからね」
「あの……武天国内に向日葵農家の村があるそうです。もし今後余裕が出来て……種の搾油に興味がありましたら、お手紙で協力をお願いしてみましょうか? 私は方法を知らないので」
「向日葵農家と言いますと、もしかして……の村ですか?」
「あ、御存じなんですか?」
「ええ。武天でも有名な向日葵畑ですからねあそこは。ではお願いしましょうか」
「あと、水路に水車とか……製粉や搾油に使えないかしら」
「そうですね。水車小屋はまた再建しませんとねえ」
 それからフェンリエッタは畑仕事や物資運搬等力仕事の手伝いを行った。

「小麦は秋用にもう一度撒きますか? 二期作は土が痩せてくるので休ませて柵を設置して鶏や豚を放しておくのがいいかなと思うのです。その分は今回荒れ地を一面分耕していきたいと思います」
「そうですねえ……では、家畜を放しておきますか。みんな、それじゃあ、荒地を一面分耕していくぞ! さっそく取り掛かろう!」
 それから、カンタータはみんなにメイムの幸運の光粉願って荒れ地の耕作を行った。準備してきたのは馬鈴薯の種芋と人参の種だ。三割程度のスペースを使って芋と人参を作付し、水撒きしておく。
 それからカンタータは水路と水量を確認した。
「必要があれば水稲田と別位置に貯水出来る池作りませんか−?」
「いいですね。せっかく回復した水量ですし、貯水池を作っておきましょう」

 玲璃は、ひまわりの種から油をとる方法を紹介した。
「この手法ではおよそひまわり40本分の種で1合分の油が採取可能です」
 メグレズにも協力をお願いし、人や重量物が乗っても大丈夫な台の作成や台に溝を刻み、油を集められる工夫等をお願いした後、一部採取し実践する。
「まず、種を天日干しし乾燥させます。それから種の皮を一つ一つ剥き、中身を石臼等ですります。粘度の高い流動物になるまですったら、取り出し、鍋に入れ少量の水を加え加熱します。その後布で包み作った台の上に載せ、予め削った溝の先に受け皿を用意しておきます。石臼等重いものを載せ圧搾し、搾りだした油を回収しますね」
 玲璃の説明に、民は感心したように聞き入っていた。
「残り粕は水を張った容器に入れ、発酵させれば堆肥に使えます」
 メグレズは、予め持参した石臼や金属板等から向日葵の種から油と堆肥材料を作る為の道具を、玲璃から教わりながら鍛冶技術等を駆使して作成していく。
「出来た油はどうしますかねえ……豆にでも使いますか」
 それからメグレズは、麦の脱穀で出た籾殻の燻炭の作り方を実践する。
 持参したり里にある金属板を鍛冶技術を生かして加工し、上の開いた円錐状と筒状の容器を作成。
「燻炭作りですか?」
「やってみませんか」
 メグレズは説明した。
 まずは枯れ枝を集め円錐状容器を被せ、周りを籾殻で覆い山にする。そして、枯れ枝に火を入れ燃えたのを確認後筒状容器を被せ煙突とする。
「この後籾殻が焦げていくので、籾殻をかき混ぜ続け蒸し焼きにし炭になったら完成です」
「これはどうするんですか?」
「燻炭は畑に仕込むと通気性や水はけがよくなるので、荒地の農地化なども含む農地土壌改善や、転じて家の脱臭、下水の浄化にも使用できます」
 メグレズは説明し、作り方を記した紙と容器を渡しておいた。

 白木は、厳楼斎に収穫祭提案と一回分の食事を依頼した。厳楼斎は彼女の文に目を通していた。
 ――拙僧、人の国の作法を未だ知りませぬ。それ故今は余計な言葉で失礼になりませぬよう、ただ一文。襲撃から今日に至るまで一所懸命に戦い続けてきた里の者達に、一滴の甘露を贈り励みとしとうございます。
「ふむ……」
「そうですねー、収穫祭との意見を貰いましたが今回はアヤカシ討伐もあり十分な準備ができませんでした。秋に行いませんかー?」
 カンタータの提案に、厳楼斎は思案顔。
「まあ、どうせやるなら準備してやりたいものです。ただまあ、せっかくの意見でもありますし、みなも喜ぶでしょう。ささやかに宴会を開くことにしましょう」
「そうですかー。お任せしますよ」
「子供はもちろん大人も一息つきたい頃じゃないかしら。次の節目への励みにもなるし。向日葵が素敵だしそれに因むのも良さそうね――」
 白木の顔に笑顔が浮かんだ。

 白木は、厳楼斎から里の様子を聞いていた。
「ま、見ての通りでしてな。一応日常生活は戻ってきましたが、あちこち傷んでいます」
「そう。今は、明日へ、ね」
 白木はそれから、里を歩いて時間が許す限り一人一人に声をかけていく。特に疲れている民には一緒に腰をかけて、背中を押さず一言一言悩みを聞いていく。すぐ手伝える事なら手伝うが、何よりは話をしてもらい聞くこと。皆が頑張ってる時に辛いって言うのは、憚られたりするものだ。
「辛い時は辛い、それでいいの」
 白木は僧として、出来ることをした。
 子供たちに近づいていくと、白木は自分の角が怖いかと思ったが、
「んー……」
 と、悩んで葉っぱを取って草笛にして吹き始めた。
 子供達が集まって来る。
「お姉ちゃんにも開拓者なんだよね?」
「そうよ」
 白木は笑みを浮かべた。
 子供たちと仲良くなった白木は、草笛や花の冠の作り方とか、道具がなくてもできる遊びを教えて一緒に遊んだ。

 夜――。
 ささやかな宴席が持たれた。出されたのは、収穫された麦で作ったパンやうどん、支援物資の米や干し肉、そして、フェンリエッタが民と一緒に枝豆で作った、ずんだのあんぱんやスープ。枝豆は夏バテ防止、力をつけて、夏を乗り切らないと、と願いを込めた。
「七夕は過ぎたけど短冊に願い事を書いて飾りませんか? 叶える為にまた頑張りましょう♪」
 フェンリエッタの提案に、大人も子供も里の復興を願い、短冊を飾った。
 フェンリエッタはリュートで演奏し、一緒に歌い民を慰労した。