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■オープニング本文 武天国、龍安家の治める土地、鳳華――。 アヤカシと空賊勢力に壊滅的な打撃を与えることに成功した龍安軍は、魔の森へ逃げ散る敵軍を追撃することは無かった。もとより多量の死者を出した空賊の残党は森へは向かわず、鳳華からの退却を開始していた。アヤカシの残存兵力はと言うと、それぞれ魔の森へ退散して有象無象と化した。 首都の天承城にて、龍安弘秀は家臣たちと話し合っていた。前線からは栗原直光が帰還していた。 人事の刷新が行われた。武官最高位であった山内剛は弘秀の相談役に就任し、南部開発の指揮を兼ねることとなった。それに代わって、筆頭家老の西祥院静奈が山内に代わってサムライ総大将に就任し、武官最高位となった。筆頭家老には帰還した栗原直光が就任し、それに代わってアヤカシ対策専門であった武官の水城明日香が東部の前線の指揮官として上級サムライ大将として現地に赴いた。アヤカシ対策には家老の楢新之助が当てられた。また、家老の天本重弘が次席家老に昇格し、同じく家老の坂本智紀は北部の指揮官として現地に赴任した。 「東部のアヤカシ軍、魔の森へ後退しました。一部、我が方の追撃に備えているようですが、深追いは禁物でしょう。魔の森の中ではアヤカシの力が増しますからね」 「それは良し。では、残軍ないしは出て来るアヤカシどもは徹底的に叩いておけ」 「北部のアヤカシ軍はほぼ壊滅しました。残るは有象無象でしょう。これでおとなしくなってくれればいいのですが……」 「空賊どもは打撃を受けたようだな」 「そうですね。賊はほぼ壊滅しました。連中を支援していたと言う各国の商人たちを逃すのは残念ですが、我々では追跡するにも限度があります。後は王に任せましょう」 「そうだな。南部の開発、再編は順調なようだな」 「そうですね。ただちょっと……不可解な事件が発生しております」 「何だ?」 「ここ最近になってから、南部で失踪事件が頻発しているようなのです」 「アヤカシ、か」 「分かりませんが、その可能性はありますね。南の魔の森に現れた剣狼は、単なる雑魚かと思っていましたが、新たなアヤカシ勢力なのかもしれません」 「うむ……」 「お屋形様?」 「いや、何でもない。――南部にアヤカシが入り込んでいないか、瘴策結界と鏡弦と超越聴覚を張り巡らせておけ」 「承知しました――」 はびこっていた賊たちは一転奈落、厳存秘教は壊滅した。東部のアヤカシは、大敗して霧散し、残党たちと一部小勢力が残るのみであった。 南部の都市計画に提案が為され、商業地区を広めに取るべきとの提案に沿って計画は修正されつつあった。この話は瞬く間に広まり、大小の商人たちが積極的に視察に訪れていた。また、新たな開墾計画も検討されていた。鳳華の生産能力自体は大きくは無いのだが、商業作物に絞って作付けが出来ないか前向きに検討されていた。 それから、軍備において、装備が更新されつつあった。飛行船に搭載している砲を順次新型のものに取り替え、取り外されたものは防御施設に回し、宝珠砲と荷車の組み合わせに切り替える作業が行われていく。 騎馬を確保するために牧場を増設し、アヤカシの出現をすぐに知らせられるように狼煙台が新設された。 戦術面においても兵士に訓練が強化され、複数人で敵一体を攻撃する形で素早く敵の数を減らしていく戦術――局所的各個撃破戦法――とでも言うべき訓練が導入された。 また南部において、防御施設以外にも各里毎に兵士達が駐屯し、いざという時住民達が避難できる防衛用屯所を設置、南部復興への影響をできるだけ抑える案が採用され実行された。開拓を進めるために里単位での対応を行う。 龍安軍と旧春信軍の兵士達は共同してアヤカシに当たり、わだかまりは解けていった。 それから、南部再編については、アヤカシ退治後に被害の復旧も並行して復興活動を進める為、復興、復旧どちらにも迅速に対応できる様現場の人間にある程度の裁量権が与えられた。これらは南部の里長たちの中から選ばれた。 そして、弘秀の手元には、南部復興・再編計画に優先順位をつけ、より効率的に計画が進められる様予定候補地が記された手帳があった。現在までの南部の魔の森からのアヤカシによる各里の被害状況が詳細に記されていた。 ひとまず敵勢力を撃退した龍安家は、アヤカシの存在に警戒しつつも、家の中を固め、剣を研ぐことを忘れなかった。魔の森がある以上は、剣を研ぐのをやめるわけにはいかなかった。 |
■参加者一覧
華御院 鬨(ia0351)
22歳・男・志
各務原 義視(ia4917)
19歳・男・陰
コルリス・フェネストラ(ia9657)
19歳・女・弓
ライ・ネック(ib5781)
27歳・女・シ
三葉(ib9937)
14歳・女・サ |
■リプレイ本文 ● 華御院 鬨(ia0351)は女形をしていて、常に修行のために女装し、そこいらの女性よりも女性らしい雰囲気を醸し出している。今回は京美人の女装をしていた。 北部に到着すると、壱華から降り立ち、龍安軍に挨拶する。 「みなさん、あれから、状況は好転したようどすな」 「やあ華御院。みなの頑張りもあって、ひとまず落ち着いたね。尤も、魔の森は消えないから……これからも戦いは続くだろうけどね。今日もまた、支援かね?」 「掃除はしっかりと終わらせんと、姑に怒られてしまいやす」 と冗談がてらに坂本智紀にここにいる理由を説明する華御院。 「何、まだまだこれからだよ。アヤカシはひとまず退いたが、里は破壊されてしまったからね」 「そうどすな……」 坂本は本気で受け取ったようだ。それから華御院は、ケモノの白狐と会う。白狐は、華御院が来るのを待っていたかのようにいた。 「久しぶりじゃのう華御院鬨」 「あれから、何か変わった事はありやしたか」 「いや……厳存秘教の兵隊は滅びたな。各国にいる手先は、ひとまず後退したようだ。ここ鳳華では、北部の魔の森の動きは、油断できないが、不厳王の動きはわしでも読めんところがある」 長い時を生きていると、見方も変わるのだろうと華御院は思った。 「これからは北部には余り戦力を送られなくなるので、何かあったらすぐに知らせてほしいどす」 「うむ……ありがとう。じゃが、不厳王が動けば、状況はすぐにでも変わるやもしれんが」 それから華御院は、白仙山に向かった。上空から見ていると、賊軍の残党が右往左往していた。 地上からシノビを放ち、まだ何かを企んでいないかを調査を行う。 華御院は地上でシノビと合流する。 「まだ残党はいるようどすが」 「そうですね。まだ離れていない連中がいるみたいです。始末しておきますか」 「いえ。うちがちょっと行ってきやす」 華御院は残党のもとへ自ら出向いて行った。 「何かするんなら、いつでも相手をするどす」 と圧倒的な力と恐喝する様な演技で恐怖心を煽って、二度と近づけない様に仕向けておく。 「お、お前は前の女戦士……!」 賊たちは逃げ出した。 それから華御院はシノビとともに魔の森方面に向かった。 中には入らずに、周囲の確認だけを行う。また地上でシノビと合流する。 「魔の森は静かですね」 「引き続き警戒をお願いします――」 戦闘が始まった――。 屍人巨人は咆哮して、突進して来た。 「壱華! 行きますどす!」 華御院は空から壱華で一気に急加速、龍安軍に攻撃させない様に屍人巨人をヒット&アウエイで攻撃して、挑発する様に戦闘をする。 巨人は腕を振り回し、切り裂かれて苦痛に咆哮した。 華御院は巨人の周囲を旋回しながら、紅焔桜+瞬風波で屍人巨人を攻撃。やがて巨人は倒れ伏し、瘴気に還った。 華御院に続いて龍安軍はアヤカシを撃破し、怪骨や屍人は全滅した。 天承に戻った華御院は、龍安弘秀と会う。 「弘秀はん、今後、北部に何かがあっても対応できる様に、伝達手段をしっかりと構築しておくべきやと思いやす」 その件については、北部の魔の森に対応する人員と部署が割り当てられた。 それから、華御院は白狐を紹介した。 「弘秀はん、こっちは、例の白狐はんどす」 「会うのは初めてだな、白狐」 「大きくなったのう……弘秀。子供の時から見ておったがね」 「何とも……複雑な気分だね」 「仲良くしておくどす」 華御院はにこっと笑った。 ● 各務原 義視(ia4917)は南部に到着すると、サムライ大将のもとを訪れた。 「剣狼たちですが、群れで行動している以上、防御施設からの目視情報もあるはずでしょう。それが無いのなら施設の設置場所が悪い可能性も考えられますが。兎に角集落や防御施設等に早馬を走らせて情報収集して下さい。同時に斥候も出し、敵の位置の報告をさせて、撃破しに行きましょう」 やがて、敵襲の報告があると、各務原は兵とともに急行した。 「それではみなさん、訓練してもらいました、局所的各個撃破戦法で迎撃をお願い致します」 「了解しました!」 小隊長たちは頷くと、兵を率いて前進した。 剣狼たちを引き付けると、盾で殴りつけ、押し返し、まずはアヤカシの動きを封じる。そこを、素早く展開した複数の兵でアヤカシ一体を取り囲み、連続攻撃で撃破していく。さらに、陣形を整え、全体の小隊単位で連携しつつ、アヤカシを撃破しながら包囲していく。そうして、最後には剣狼を残さず撃破した。 「ふむ……お疲れさまでした。参考にせさて頂きます」 それから各務原は、防御施設の位置を確認して、剣狼が侵入して来たルートを分析しておく。すると、彼が予想していた通り、防御施設と防御施設の間で監視の薄い領域が点在しており、アヤカシはそこから入り込んできたのだった。 「ここは見張り台を設置しておきましょう。監視の精度を高めておきませんと」 「了解しました。天承から兵を送ってもらいましょう」 ライ・ネック(ib5781)は忍犬のルプスを伴い南部へ到着する。 「さて……久しぶりですね。戦もひとまず落ち着きましたか?」 ライは言うと、「仕事」に取り掛かった。 まずは現在の南部の地図を見せてもらうと、自分の手帳に里の位置や防衛施設などを書き込み、手製の地図を作成しておく。 失踪事件に関して調査を進める。現地の人々や兵士達に失踪した人々に関する情報を聞き込んで回る。 人々が口を揃えて言うのは、「神隠し」だと。 人々の失踪が判明するのは朝になってから。だが、事件は前触れなく、前後で不審な事などは起こっていない。失踪した人々は老若男女を問わない。共通点も無く、ライは手帳を見て悩んだ。 そこで、時間的に比較的新しい失踪者の所持していた品等、失踪した人々の匂いが残るものを借り受け、忍犬のルプスに匂いを嗅がせ、絶対嗅覚で覚えさせると、匂いを辿って追跡を開始した。 ルプスが向かった先は魔の森である。 「ルプス、嗅覚識別」 「ワウ!」 ルプスは、別の匂いを嗅ぎ当てると吠えた。 「よしよし、追跡しますよ」 さらに追えるところまで追う。 匂いはずっと続き、魔の森の中へ入って行く。 ライはいったん戻って、 「失踪者はアヤカシに攫われた可能性があります」 と、近隣で超越聴覚や瘴索結界、鏡弦を使える志体持ちの味方に頼み、最近何か不審なアヤカシの反応がなかったか聞き込んで回る。だが、少なくとも、人里でアヤカシの反応が出たことは無いと言う。 ライは引き続き追跡調査に向かう。 「行きますか。ルプス、行きますよ」 魔の森の中へ入って行く。 超越聴覚や暗視を駆使して、周囲でこちらを監視する様な動きをする不審な音や動きがないか警戒する。 と、影が蠢いているのを発見したライは、裏術鉄血針で攻撃した。 ギャウ! と声が上がり、ライは手裏剣を投擲した。手応えあり。影は逃走して行った。 それからライは、兵士を幾人か呼んで戻って来ると、不審な存在についた血の匂いを、ルプスに絶対嗅覚でその匂いを追跡する様命じる。 血の跡を追跡すると、手負いの剣狼が地面に這いつくばっていた。剣狼はうなり声を上げると、突撃して来た。 ライたちは剣狼を切り捨てた。 その後ろに、何かが横たわっていた。 「ああ!」 兵士が叫んだ。 「……この服……さんの娘さんだよ!」 次の瞬間、駆け寄った兵士の首が「見えない一撃」で飛んだ。 「何だ!?」 「ククククククク……愚かな奴らじゃ……龍安春信もそうであったが……たやすく餌に釣られてやって来る……」 声だけが蜃気楼のように響き渡る。 「幻術か!?」 「どこだ……」 ククククククク……クククク……クク……クク……ク……。 声は遠ざかって行く。 「こいつは……大変なことになったぞ。お屋形様にお知らせせねば」 兵士たちはざわめいた。 ライは、超越聴覚で声の主を追跡したが、やがてそれも消えてしまった。 ● コルリス・フェネストラ(ia9657)は天承城で龍安弘秀と会う。 「弘秀様、北部の厳存秘教国が構築した白仙山拠点に残る武器弾薬や拠点構築物を押収し、使えそうなものを再利用する案と、拠点構築物は一度解体し北の魔の森を監視できる場所へ搬送し防御施設として再利用する案を奏上致します。白狐さまの暮らしていた場所をこれ以上戦火に巻き込まない方がよろしいかと」 その提案は直ちに実行されることになる。 「白狐には借りが出来たな」 「また、東部戦線への宝珠砲、飛行戦艦の配備を要請願えますでしょうか」 「分かった。派遣しておこう。よろしく頼む」 それからコルリスは東部へ甲龍の山紫を駆り到着。 「みな様お疲れさまでした。ですが、油断は出来ませんね。不厳王は健在」 それから、一案と前置きし作戦案を提示するが、判断を委ねる。 「まずは兵士達に盾、弓矢を支給お願い致します。それから、到着しました宝珠砲は高所へ配備し戦場観測も兼ね戦況をシノビを介し前線へ連絡。また、味方サムライ隊の咆哮等で敵を誘引し、飛空戦艦は上空より、宝珠砲兵は地上高所より地帯射撃で敵軍を順次殲滅。敵指揮官発見時は私が空鏑で合図致します。味方部隊は咆哮で敵をひきつけながら盾や焙烙玉を駆使して敵部隊とは距離をとり攻撃し、近接戦では局所的各個撃破戦法で1対複数の形をとり、無駄なく各個退治願います。最後に、アヤカシ指揮官は集中攻撃し撃破。撃破の合図は狼煙銃の青で致します。その後残る敵を宝珠砲や飛行戦艦の砲撃と連動し追撃。各個撃破し殲滅――と言う流れでいかがでしょうか」 「そうね。ではその戦術で行きましょう。これまでの戦果は報告で受けているわ」 水城明日香は言うと、コルリスの作戦案を許可した。 「ありがとうございます」 コルリスは軽くお辞儀すると、味方部隊に挨拶後作戦を説明していく。 三葉(ib9937)は感心したように吐息した。 「指揮官やれる程、経験豊富ってわけじゃないからね。この機会に戦争の方法、勉強させてもらうよ」 「ここは初めてかしら」 水城が言うと、三葉は頷いた。 「そうだね。開拓者のサムライ三葉。初めまして」 「8あなたの意見としては、何かありますか?」 水城からの問いかけに、三葉は頷いた。 「そうだね。偵察行動による敵の位置情報収集の徹底を進言しておくよ。人員が足りない場合はあたしがやってもいいよ」 「では、あなたにお願いしようかしら」 「分かりました」 三葉は斥候に出ると、望遠鏡でアヤカシの動きを探っておく。 「何て広い魔の森なんだ……凄いね……」 三葉は、アヤカシ達の背後に広がる魔の森を見て、身震いした。あの巨大な森は、人界とは隔絶した土地だ。 「よし……」 三葉は自陣に戻る。 三葉からの報告を受けて、アヤカシ軍へ向かって前進する龍安軍。コルリスは甲龍の山紫を駆り、山紫に霊鎧を命じると、敵軍迎撃を指揮する。 アヤカシ達は咆哮を上げて襲い掛かってくる。その動きは統制されていた。 コルリスは早速空鏑で合図を送ると、味方の咆哮を叩きつけた。 アヤカシ軍の陣が崩れる。 龍安軍は戦闘隊形を取って展開すると、局所的各個撃破戦法でアヤカシを各個に撃破していく。 三葉は積極的に前進していくと、アヤカシを引き付ける役を担った。 「行くよ――弓にも槍にも、負けたくないな」 軽装による行動力を生かし、小太刀を抜いた。幽霊戦士を切り裂く。隼人で敵前衛へ切り込み、自分へ敵の注意を集める。 一撃、二撃、と弾いて、三葉は死人戦士の腕を切り飛ばした。続いて襲い来る幽霊戦士の剣撃を受け止め、裂帛の気合とともに叩き伏せた。周囲を見渡せば、兵士一人ひとりもみな必死に戦いを繰り広げている。 「みんな……やっつけてやろう! 行こう!」 三葉が突進すると、兵士達は「おお!」とアヤカシ達を押し返していく。 コルリスは鞍上で矢をつがえると、 「翔!」 月涙+響鳴弓の合成技でアヤカシ指揮官を攻撃する。 ――ガオオオオオオオオ! アヤカシからも反撃の咆哮が上がると、敵兵は矢を放ってきた。上空から瘴気の矢が降り注ぐ。 ドドドドドドド! と、兵士達は盾で受け止めた。 「撃て!」 砲撃が始まる。 アヤカシ達は突進して来る。 「迎撃!」 コルリスは指揮を取りつつ、「翔!」と矢を放った。アヤカシ衛兵は貫かれ、瘴気に還元した。 「まずは一体……」 龍安軍は散開から集合すると、胡蝶陣も駆使してアヤカシを潰していく。 「お見事ですみなさん……」 「みんなやるね」 三葉はこの集団戦の中にあって、多くの兵士たちと戦う経験を積む。 「あれだ! 中級アヤカシ指揮官!」 兵士の声に、三葉は反応した。 豪奢で恐ろしげな黒い鎧に身を包んだアヤカシ衛兵が、周囲に檄を飛ばしている。 三葉はその中級アヤカシとの戦闘に臨んだ。 「気を付けろよ!」 「はい!」 三葉は味方と連携して回り込んでいく。 ドウ! と、コルリスの一撃がアヤカシ衛兵をよろめかせた。 三葉は空を見上げた。コルリスは次なる一撃に備えていた。 「さすが……コルリスさん! みんなも続こう!」 三葉は加速した。兵士たちとともにアヤカシ衛兵を包囲、連続攻撃を浴びせて行く。 「でやい!」 ガオオオオオオ! 三葉は、アヤカシ衛兵のものすごい力とぶつかった。力比べ。敵のおぞましい眼孔を覗きこんで、歯を食いしばった。三葉は万力を込めて、アヤカシ衛兵の刀を下に持って行き、返す小太刀の一撃で、その腕を切り飛ばした。 咆哮して後退したアヤカシ衛兵に、コルリスの一撃が叩き込まれる。矢が貫通して、中級アヤカシは瘴気に還っていった。 「よし、やった」 三葉は、コルリスに手を振った。 コルリスは狼煙銃青を打ち上げた。 龍安軍から勝ち鬨の声が上がると、兵士達は戦艦からの砲撃支援を受けつつ突撃。残りのアヤカシも殲滅した。 「この魔の森に、勝てる日は来るんだろうか……」 三葉は、立ちはだかる巨大な壁を前に、小太刀を収めた。 |