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■オープニング本文 ゆらり‥‥と、魔の森から、その巨体が姿を現した。10メートルを越える鬼である。まさに巨人。毛皮をまとった蛮族のようで、片手にはとてつもなく巨大な棍棒を持っていた。この巨大鬼の名を、侯太天鬼と言い、鳳華の七魔将の一人であった。 侯太天鬼の背後には無数の鬼軍が控えており、通常の小鬼から中型鬼、大鬼といて、牛頭鬼や馬頭鬼もいる。また通常の鬼以外にも黒鬼、赤鬼、青鬼、白鬼といて、瓦版にすれば百鬼夜行さながらの醜悪な鬼軍であった。 「人間どもには滅びを‥‥! よくよく平和を謳歌してきたことだろう。だが、我らの軍勢が力を蓄えるには十分だった。そして、滅ぼすに値する人の世の繁栄がここにある!」 侯太天鬼は咆哮すると、鬼軍は前進を開始した――。 ――山吹の里。最前線から後方に位置するこの里では、とは言えアヤカシの影に怯える民が暮らしていた。志体持ちの兵もいるにはいるが、一般人の兵士も数多く見られる。一般人の兵士たちは、後方支援の雑務的な仕事から、実際に戦場で志体持ちの部隊を支える役割を持つ。 里長の銀雅は鳳華の黎明期からこの土地の艱難辛苦を見て来た年配のサムライである。目じりにはしわが刻まれており、髪には苦労をしのばせる白髪が混じっていた。 「里長――! 大変です!」 その声に、銀雅は、目を落としていた文から目を上げる。 慌ただしく駆け込んできたのは里のサムライ大将の大森であった。 「大森、何事だ」 「最前線が、こ、侯太天鬼の鬼軍に襲われたって知らせが! 里の村にもあふれた鬼が向かってきています!」 「前線の様子は」 「戦えるだけの兵力で侯太天鬼ら主力を止めているそうです!」 「そうか、ではまだあの疫病のような鬼が来るわけではないのだな。前線の状況を確認しつつ、鬼の迎撃準備を進めて行こう」 銀河はそう言うと、各地に兵を手配しつつも、風信機で神楽の都と連絡を取ると、自身の判断で開拓者ギルドにも救援の依頼を出したのだった。 |
■参加者一覧
紅鶸(ia0006)
22歳・男・サ
鈴梅雛(ia0116)
12歳・女・巫
玲璃(ia1114)
17歳・男・吟
仇湖・魚慈(ia4810)
28歳・男・騎
白蛇(ia5337)
12歳・女・シ
エアベルン・アーサー(ia9990)
32歳・男・騎
龍馬・ロスチャイルド(ib0039)
28歳・男・騎
ヴェニー・ブリッド(ib0077)
25歳・女・魔
オラース・カノーヴァ(ib0141)
29歳・男・魔
徳川誠康(ib1064)
23歳・男・騎 |
■リプレイ本文 「ここが件の村ですか‥‥鬼の群れは、近いかな?」 紅鶸(ia0006)は言って、耳を澄ませる。遠くから鬼の咆哮が流れてくる。 「侯太天鬼がやってくるとは‥‥志体持ちの力なくして戦い抜くことは出来ないでしょうな」 一般兵の男が、紅鶸に声を掛ける。 「ここに思い入れはありませんが、鬼の横暴を放置しておくことも出来ませんからね」 紅鶸は言って肩をすくめる。 「ですが、来て頂いたことには感謝しますぞ。鳳華の東方を覆う魔の森、東の大樹海の活性化は目に余るものがあり、もはや、七魔将たちが活動を開始したからには、この地の戦は激しさを増していくことになりましょう」 紅鶸は赤い瞳を空に巡らせた。一般人兵士の不安は大きそうだと、胸の内に一人ごちた。 「ま、俺たちは依頼の成功に最大限尽くすしかないわけですがね‥‥」 鈴梅雛(ia0116)は、一般人兵士たちに言葉を掛けていた。龍安家臣として、小さなもふもふ巫女は懸命に心を砕いていた。 「みなさん、鳳華はどんどん強いアヤカシが出てきて状況は悪くなっているようですが、ひいなも、皆さんと一緒にアヤカシと戦います。ひいなに出来ることは本当に小さなことですが」 小さな雛の言葉に、兵士たちは勇気をもらった。 「あなたのような小さき方が、鳳華のために戦って下さる‥‥私達も諦めるわけにはいきませんな」 「雛巫女様が言われる通りだ! 俺たちは諦めないぞ! 俺たちは鳳華を守り抜く! 魔の森を焼き払い、必ずこの地をアヤカシから取り返すんだ!」 兵士たちは、開拓者とは言えわずか12歳の雛が戦おうとするのに、どうして自分たちが故郷を捨てて逃げ出せるかと、勇躍して雛に笑顔を向けた。 「ここで、何とか鬼を全滅することが出来ればと思いますね」 玲璃(ia1114)はそう言うと、思案顔で村を見渡す。 「アヤカシの被害を受けているとは言え、こんな美しい村がまだ残っているのですから。家臣として見過ごすことは出来ませんね」 玲璃は尋常ならざる鬼アヤカシが出現したと聞いて、心穏やかではなかった。侯太天鬼‥‥何れ戦うことになるのだろうかと。 「アヤカシは近くまでは来ているようですね。民の避難から始めるべきでしょうか?」 玲璃は仲間たちを見やり、たおやかに首を傾けた。 「そうですね。避難は迅速に進めて行くべきでしょうね」 仇湖・魚慈(ia4810)は言って、思案顔で村を見渡す。村人たちは、手に手に荷物を持って、脱出の準備を進めている。 「鬼の群れが来るまであと少しでしょう。ここは、一般兵の方々に避難をお任せしたいところではありますが?」 魚慈は言うと、兵士たちは武器を持ち上げた。 「俺たちも戦います! そのために軍隊入って、訓練を続けて来たんです!」 「民を救うことも重要んな兵士の役割です。いかにアヤカシとの戦場とは言え、鳳華にはまだ民が暮らしているのですから」 「それはそうですが‥‥」 「誰かが民を守らねばなりませんよ。彼らだけで行かせるのは危険に過ぎると言うものです」 魚慈の言葉に、年長の兵士が血気盛んな若い兵士たちを押さえる。 「開拓者の言葉ももっともな話だぞ。我々は志体持ちの支えとして後方支援に当たるのが常だ。アヤカシとの戦ではな‥‥ここは押さえろ」 「それはそうですが‥‥」 若い兵士たちは、熟練兵の鋭い言葉に引き下がった。 「村を血で染めるわけにはいかないよ‥‥アヤカシを一匹たりとも通さず‥‥押し返すよ‥‥」 小さきシノビの少女、龍安家臣の白蛇(ia5337)は、赤い瞳に憂いをたたえて言う。白蛇の名は鳳華の兵士たちの間に浸透しており、だが彼女を初めて見る兵士たちは意外なまでの小さなシノビに、驚きを隠せない。白蛇はわずか12歳なのだ。 「みんなには‥‥ある程度は民の避難、護衛に回ってもらいたいね‥‥鬼の規模にもよるけど‥‥それなりの数は避難誘導に当たって欲しい‥‥まだ敵の様子が不明だから‥‥まずは近づいてくる情報を集めないとね‥‥」 白蛇はそう言うと、「それじゃ僕が偵察に出るね‥‥」と言って疾風のように駆けて行った。 「束であろうと縄であろうと、それが振われるのであれば、打たれるものを守る事こそが騎士の本分よ!」 依頼中なので性格が変わっているエアベルン・アーサー(ia9990)。ジルべリア製の鎧に身を包んだ騎士である。普段は全く騎士らしく見えない浪人のような風貌の男だが、今は全くの別人のよう。きりりと引き締まった眉根と熱い瞳は、全く本国ジルべリア帝国の正騎士とも見まごう威厳と風格を備えていた。 「兵士たちよ! 俺は心に誓った! 名もなき無辜の民が討たれるのを、黙って見ているつもりはないと! この地もまたアヤカシの手によって汚されようとしている! 故国ジルべリアもまた民が人倫に仇名すアヤカシの手に掛かり、民の嘆きは諸国を越えて増している! 俺たちはともに手を携え、この脅威に立ち向かわなくてはならない! 世界は暗闇に包まれているが、希望を奪うことは出来ないのだ! お前たちが、アヤカシの手から民を守り続けることを、ともに戦う戦士として、俺は誇りに思うぞ!」 アーサーの演説に、兵士たちは圧倒されて聞き入った。 「す、すごい奴だな‥‥熱い男だぜ。開拓者殿」 「ガッハッハ! 兵士諸君! アヤカシに目にものを見せてやろう! 奴らは思い知るだろう! そして、お前たちは民人から称えられるだろう! この人たちは勇士だと!」 熱血アーサーの演説は続く。 「さあさ、ではとりあえず、民のみなさんを避難誘導することから始めましょう。アヤカシの警戒に30人程度は来てもらえますか? 白蛇さんが偵察から戻ってきたらすぐに動けるように、態勢は整えておきましょう」 騎士の龍馬・ロスチャイルド(ib0039)は言って、一般人兵士たちに声を掛ける。 「白蛇様が戻ってくるまでに準備はしておきますか‥‥」 兵士たちは龍馬の言葉に避難誘導の準備を進める。民の避難誘導に回る者は20人。村に入って行くと、右往左往している民人たちをまとめに掛かる。 「では私達は、敵が向かってくると言う東方面の警戒に当たりますか」 「山吹の里を襲った鬼達を退治ね。はい、鳳華にきました。噂には聞いてたけどホント〜にアヤカシいっぱいなのね〜。戦闘とかは得意じゃないけど、頑張って鬼退治をしちゃわないと、ね」 魔術師のヴェニー・ブリッド(ib0077)は言って、一つ提案を出した。 「ん〜。村の代表のヒトに、緊急時に村人を避難させるような施設を聞いて、そこに敵が押し寄せてくる侵入ルートをバリケードなりストーンウォールで壁を作るなりして通行止めをすることで、敵の侵攻ルート限定することで味方の戦力を集中運用できるようにはしてあげたいところ。勿論、道を塞いでも最低限の見張りとかは残して置かないと、非常識な鬼に突破された時に逆に危うくなるのは戦の常だけど。どうかしらね」 「よさそうな案ではありますな」 兵士の一人が思案気に言った。 「簡易の藁人形を人に見立てて立てておき、鬼をこちらの罠へ誘い込むなどすれば、やってみる価値はありそうですな。本当に村人を餌にするわけにはいきませんが、相手の侵攻ルートを限定するのは良い案だと思うのですが」 すると、オラース・カノーヴァ(ib0141)が進み出て、仲間たちにヴェニーの案を問うてみた。 「鬼相手には中々の妙案じゃないか‥‥とは思うんだが。簡単には引っ掛かる相手とも思えんな。鬼もそれなりに知恵が働くからな」 「それならば、我々が囮となって、鬼どもを引きつければ良いのではないでしょうか」 兵士たちの言葉に、開拓者は思案を巡らせる。兵士たちはヴェニーの案に大きく賛同する。 そうこうする間に、避難誘導が進められ、白蛇が戻ってくる。 「接近してくる鬼を確認したよ‥‥」 白蛇の情報収集で明らかになった鬼の総数は――。 大鬼×1、牛頭鬼×1、馬頭鬼×1、黒鬼(中型)×3、赤鬼(中型)×3、青鬼(中型)×3、白鬼(中型)×3、小鬼×約50である。 「これで迎え撃つ段取りは付けられそうですね」 紅鶸は言って、思案顔で言った。 「では、罠を張って、俺の咆哮で鬼を誘い込みますか。村人の避難は無事に進んでいるようですしね」 「んならヴェニーの手で行ってみるか。小鬼ならまとめておびき出せるだろう。俺のぶりザーストームを叩き込んでやるぜ」 「ではそのようにいきましょう。こちらも班分けを――」 玲璃は言って、開拓者たちは班分けをして行く。 牛頭・馬頭対応に玲璃と魚慈、アーサーとヴェニー。 中型・小型対応に龍馬、紅鶸、カノーヴァ。 遊撃班に雛と白蛇が付いた。 今回はヴェニーの策を大きく取り入れ、村の各所にバリケードを張り、鬼の侵攻ルートを絞り込む。 ヴェニーはストーンウォールでバリケードを補強する。 「こんなものかしらね〜」 罠を確認していたヴェニーは仲間たちのところへ戻る。 「鬼が来ます! 紅鶸さん、咆哮の準備をよろしくです!」 魚慈は望遠鏡片手に屋根の上で山姥包丁を構えたが、足を滑らせて滑り落ちた。頭から地面にめり込む魚慈。 「ごほごほ‥‥! アヤカシと戦う前に落ちるとは‥‥不覚ですが」 「では行きますよ。咆哮を解き放ちます」 紅鶸は前に出ると、鬼の群れに向かって咆哮を解き放った。サムライスキルの凄まじい声が大気を震わせ、アヤカシの怒りを増長する。咆哮に引き付けられた小鬼を中心とする鬼の群れは、開拓者と龍安兵が待ち受ける隘路の中へ殺到してくる。 「まずは一撃、食らいな」 アストラルロッドを構えたカノーヴァ、ブリザーストームを鬼の集団に叩きつける。猛烈な吹雪がロッドから噴き出し、まず雑魚の小鬼たちを一撃で次々と薙ぎ払った。 ブリザーストームを凌いだ鬼は一気に突進してくる。怒りの咆哮を上げてなだれ込んで来る。 「少年少女もいる戦場で、英雄志願が本気を出さん道理がねえ! ‥‥のです!」 魚慈は牛頭鬼に突進する。一撃を受けとめ反撃を繰り出す。 「恐怖を手土産に帰っていただきます。藍流剣術が一技『一斬り』の崩し、『魂折・鬼斬り』!!」 気力を奮い起して、雪折+炎魂縛武を撃ち込んだ。牛頭鬼の分厚い肉体を包丁が凄絶に切り裂く。 「神楽舞『防』!」 玲璃は魚慈の背後で援護の神楽を舞う。 怒り狂った牛頭鬼の一撃を耐え凌ぐ魚慈。 ヴェニーはホーリーアローを撃ち込み、牛頭鬼の注意を逸らせる。 「ヴェニー殿援護射撃を頼むぞ! さて地獄の鬼を気取るか! だが、地獄は貴様程温くはないわ!!」 アーサーはオーラをまとって突進した。 「ぬうううあああああ!」 馬頭鬼に一刀を叩き込む。馬頭鬼を叩き斬ると、反撃の一撃を跳ね返す。 ヴェニーは馬頭鬼の頭にホーリーアローを叩き込んだ。 開拓者を中心に一般兵は小鬼に当たる。開拓者たちも小鬼を次々と叩き斬って行く。あちこちで瘴気に還って行く小鬼たち。 鬼の侵攻ルートを限定したことで、突撃したアヤカシは先端から撃破されていく。牛頭、馬頭を魚慈やアーサーらが押しとどめつつ、龍馬と紅鶸、カノーヴァで中型鬼を撃破して行く。 「ブリザーストーム――!」 吹雪が鬼の戦列を薙ぎ払う。一撃で小鬼の集団が消失する。 龍馬と紅鶸は一般兵とともに小鬼を切り捨て、赤鬼ら中型鬼を討ち取った。 「無理はしないで、複数人で敵を囲むようにして下さい」 雛は一般兵たちの傷を閃癒で回復すると、兵士たちを前に送りだす。 白蛇に目をやると、彼女は次々と円月輪で小鬼を粉砕していた。また中型の牽制にも回っていて、白蛇の円月輪は白鬼を切り裂き、アヤカシの足を止める。 そこで、一体の大鬼が前に出てきて、開拓者たちの戦列に襲い掛かる。その大鬼は、猛烈な勢いで突撃してくると、少数の鬼を率いて一気に開拓者の列を突破しようとする。 アーサーがその一撃を受け止めた。 「ぬう! いよいよ本命のお出ましか!」 リーダーの大鬼は咆哮を解き放つと、鬼の群れがざわざわと隊列を整えて行く。 「あれがリーダーのようだね‥‥」 白蛇は前進すると、一般兵たちに後退するように命じる。 「後ろへ下がって‥‥僕たちの支援に回って‥‥」 「ひいなたちで大鬼を止めます」 雛も大鬼の出現に一般兵に後ろへ下がるように言う。 鬼の群れは狭い侵攻ルートにひしめき合いながらも、戦闘隊形を整える。 「これで最後だ‥‥ブリザーストームを――!」 カノーヴァは吹雪の魔術を叩き込んだ。ほとんどの小鬼が消失する。 「開拓者を支援するぞ! 全員弓に持ち替えろ!」 一般兵たちは、弓に持ち替えると、後ろへ下がって隊列を整えた。兵士たちは支援攻撃に徹する。 残る中型と牛頭、馬頭は前進してくる。 紅鶸、魚慈、白蛇、アーサー、龍馬たちは前に出ると、中型と牛頭、馬頭を次々とねじ伏せて行く。 雛や玲璃、ヴェニーが支援し、カノーヴァは最後の練力でファイヤーボールを叩き込んだ。 ボスの大鬼は戦況が不利なるのを見て、後退する。咆哮で部下たちに命令を飛ばすと、開拓者たちに叩きつけて自身は逃走を図る。 「あれを逃がさないでください! 紅鶸さん!」 龍馬は青鬼を叩きると、走りながら紅鶸に叫んだ。 「逃がすものかよ!」 紅鶸は咆哮で大鬼の足を止める。サムライのスキルが大鬼に影響して、その動きを開拓者に向けさせる。大鬼は怒り狂って突進してくる。 「よし! お前をここで叩き潰す!」 「やはり本命が来たか!」 開拓者たちは中型を撃破し、馬頭、牛頭を粉砕すると、大鬼ボスに立ち向かう。 ――グオオオオオオオ! 大鬼は燃え盛る金棒を振り回して、突進してきた。一度はもの凄いパワーで開拓者たちを吹き飛ばした。 ボスは実際タフであったが、数で勝る開拓者たちの集中打の前に遂に崩れ去る。 かくして、開拓者と龍安兵は鬼を全滅させる。 ‥‥戦闘終結後。 「こんなところまで来るなんて、前線の人たちは大丈夫でしょうか」 雛は仲間を回復すると、吐息する。 「あぁ〜、とりあえず防衛成功って事で、酒だろ! 宴会宴会!!」 素の状態に戻ったアーサーは騒がしく村人たちに向かって豪快な笑みを向けた。 突撃! 取材娘のヴェニーはと言うと、村の古老にインタビューを試みていた。 「‥‥侯太天鬼や鳳華の七魔将って何者かご存じですか」 古老は煙管を吹かして、遠い目をした。 「侯太天鬼は鳳華の七魔将の一人‥‥かつて、混沌期に鳳華の鬼軍を束ねる鬼の長であった凶暴な巨大鬼じゃ。他にこの地にはアヤカシの長がおった。幽霊の天幽、蜘蛛の黒太天、獅子の天壬王、死人使いの骸天羅王、鬼長の侯太天鬼、妖怪変化の天晋禅、そして、鳳華のアヤカシを実質的に束ねていると言うのが、在天奉閻と言う人型の巨人じゃ。妖術師で、かつての大戦で恐るべき采配を振るったという伝説が残っておる‥‥」 ヴェニーは自身の雑記帳に古老の話を書き留めておくのだった。 |