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■オープニング本文 魔の森――。 不厳王(gz0119)は、いまだに瘴気の渦の中にいた。 コオオオオオオオオオオオオオオオ‥‥と、瘴気が吐き出されるような音が響き渡ると、溢れる瘴気に触れた地面から小さな魔の森の芽が生えてくる。 「不厳王様――」 影が、不厳王に呼び掛ける。 「鬼どもが、動き出しました」 「鬼か――やりおるな龍安軍も。鳳華の魔将たち‥‥後は死ぬだけか?」 「いえ、そうとも限りません。あの鬼は、意外に切れますからな」 「ふむ、よくよく考えてみれば、ただ殺すには惜しい連中だ。ここまで人界を恐怖させたのだからな‥‥呼んでみるか」 「それは‥‥何とも言い難いところですな。従うでしょうか、あの者たちが」 「あ奴ら次第よ。生き残ることが出来れば、あるいは‥‥」 瘴気の渦がしゅうううううう‥‥と巻いた。影は不厳王の前を辞すると、姿を消した。 鳳華の七魔将、大鬼の侯太天鬼は、苛立っていた。空腹が満たされないと言うこともあったが、先の戦いで大きく負傷した足の傷が疼く。ダメージはほぼ完治していたが、人間たちに深く傷つけられたことは、侯太天鬼にとって許しがたいことであった。 「時が経つ間に、七魔将が三人も討たれるとは。面白い、とは言えんな。人間たちの勢いが見えるようだわい。おのれ‥‥」 侯太天鬼は足をさすった。 「この傷の借りは高くつくぞ人間ども。わしを本気にさせたことを、後悔させてやる」 侯太天鬼は、巨体を持ち上げた。天に向かって咆哮する。周囲の鬼たちは、それに応えて興奮したように雄たけびを上げる。 無数の鬼軍が、再び動き出そうとしていた。 龍安軍陣中――。 総大将の老将、栗原玄海は、いつになく黙していた。目をつむり、その昔を思い出す。鳳華の魔将たちとの激戦が昨日のことのように思える。二十年前、魔の森が現出し、湧き出でるアヤカシたちが、平和だったこの地を突如として襲った。 だが今、新しい力が台頭している。急速に力をつけた開拓者たちが時代を切り開き、時勢は動き出していた。それはこの鳳華も例外ではない。あの強力な七魔将を三人も討ち取ったのは、開拓者の功によるところが大きかったが、これまでには考えられないことである。 「栗原様――」 部下のサムライ大将がやってくる。 「敵に動きが‥‥」 「うむ、来たか。先の戦いでは、やってくれたの侯太天鬼。今度は、死んだ者たちのためにも、奴の首を取りたいところじゃな」 「は――」 栗原はサムライ大将たちが集まる陣内に入った。 大将たちは立ち上がると、敵の陣容について説明を始める。老将栗原は、心に決めていた。栗原は、ここで侯太天鬼の首を取るつもりであった。 |
■参加者一覧
朝比奈 空(ia0086)
21歳・女・魔
鈴梅雛(ia0116)
12歳・女・巫
風雅 哲心(ia0135)
22歳・男・魔
水鏡 絵梨乃(ia0191)
20歳・女・泰
葛切 カズラ(ia0725)
26歳・女・陰
鬼啼里 鎮璃(ia0871)
18歳・男・志
玲璃(ia1114)
17歳・男・吟
各務原 義視(ia4917)
19歳・男・陰
瀧鷲 漸(ia8176)
25歳・女・サ
コルリス・フェネストラ(ia9657)
19歳・女・弓 |
■リプレイ本文 開拓者たちは慌ただしさを増していく龍安陣中にあった――。龍安軍は中央と両翼に分かれて鬼軍を半包囲隊形で迎え撃つ算段を立てていた。 「ここも少しずつ事態が動いていますね‥‥。まだまだ予断を許さない状況ではありますけど」 朝比奈 空(ia0086)は言って、思案顔。 「鳳華の七魔将も立て続けに討たれたようですが、先の戦いで天壬王は撤退した模様ですね‥‥。私たちにも勢いが足りないと言ったところでしょうか‥‥」 鳳華の七魔将を三連続で撃破した開拓者たちであったが、先の戦いで足止めを食った。狡猾な天壬王は切れていた。 「ひいなたちの力だけではこの戦い勝てるわけではありませんが、今日は何としても侯太天鬼を倒して、鳳華のみなさんに少しでも安心してもらいたいです」 鈴梅雛(ia0116)の言葉に、兵士たちは奮い立つ。 「雛殿、心強いことです。開拓者たちの力は我が軍にとって大きなものですからね」 「みなさん、頑張りましょうね。侯太天鬼も鬼軍も強敵ですが、誰にも犠牲を出すことなく、勝利を収めましょう。ひいなも最善を尽くします」 「はい‥‥みな尽力します」 風雅 哲心(ia0135)は、兵士たちに呼び掛けて士気を鼓舞していた。 「開拓者の風雅だ。こういう大規模戦も悪かねえな。合戦のようで気合が入るぜ」 「開拓者たちは大アヤカシなどと大きな戦を経験しているからな。その力、龍安軍に貸してくれ」 「任せとけ。鬼殺しってのも悪くねえぜ。噂の侯太天鬼か、俺がその首を取ってやるぜ」 風雅は言って、にかっと笑った。 水鏡 絵梨乃(ia0191)は酒をちびちびやりながら、戦に備えていた。水鏡は世界一の酔拳使いを目指す泰拳士だ。 「鳳華の七魔将か‥‥相当なやり手らしいけどボクの歴史の一ページに加えさせてもらおうかな。ふう‥‥」 絵梨乃は吐息して、酒を置いた。良い感じに酒が回り始めている。 「この調子なら、今日もボクの酔拳炸裂するよねえ。ふう‥‥」 「よお絵梨乃、またやってるな」 「あら哲心、ふう‥‥戦になったら今日も超酔拳で行くよ」 風雅はからからと笑った。 「お前の酔拳半端じゃないからなあ。ま、間違っても本当に酔うなよ」 「御心配なく〜。ボクはそんなへまはしないよ」 葛切 カズラ(ia0725)は煙管を吹かしつつ、悠然と陣中を見渡していた。 「獅子は逃したから鬼は仕留めたい所だけど、相手の手並みはどれ程の物か」 「葛切カズラさん、でしたか」 サムライ大将が近付いてくる。 「侯太天鬼は強敵ですが、今日こそ奴の首を上げてやりますよ」 「そう願いたいものね。鳳華の七魔将はいずれも尋常ではないアヤカシが揃っているけど、倒せない相手ではないから」 「あのアヤカシ達は、この地では伝説的な存在でした。過去、龍安家の祖先たちが非常なまでに苦しい戦いを強いられたのです。ですが、今、それらの歴史は変わろうとしています」 「戦いとは、偶然ばかりではないけれど、私たちも勝利を確信しているわけではないのよ」 「そうかも知れませんが、開拓者の力無くして魔将たちの撃破はありませんでした」 「まあ、これまでもみんなで戦ってきたわ。魔将を倒すことが出来たのは、龍安家の武功よ」 カズラは熱心に話しかけてくるサムライ大将に笑みを向けた。 「鬼軍にとっては雪辱戦のつもりかも知れませんが、僕たちは負けるわけにはいきませんからね」 鬼啼里 鎮璃(ia0871)は、カズラのもとへ歩み寄った。 「そうですよねカズラさん」 「そうね鬼啼里さん、鬼軍に負けるわけにはいかないわ。ここを突破されたら、里の中央に攻め込まれることになるのよね」 「それだけは何としても避けたいです。龍安家の頭首も頑張っているようですからね」 「栗原様――」 玲璃(ia1114)は栗原玄海に歩み寄る。 「中央部隊の巫女達の指揮を任せて頂けないでしょうか。後方で待機し、友軍の回復と支援に当たりたいと思います」 「玲璃殿か。うむ、よろしい。巫女たちは任せる。貴殿の采配ぶりはよく聞いておるよ。これまでにも我が軍を救ってくれたと聞く。頼むぞ」 「ありがとうございます」 それから玲璃は龍安の巫女たちをまとめ上げると、彼らに言葉を掛ける。 「恐らく中央部隊は最も敵軍の攻撃が集中し、お味方の負傷も激しくなるでしょう。私は精霊の唄を駆使して、一度に一人でも多くの負傷されたお味方を治療し続ける事で御味方の戦いを支援しようと思いますが、恐らく精霊の唄による治療で手一杯になるほど厳しい戦いとなるでしょうから、皆様には無理のない範囲で負傷から回復したお味方への神楽舞の付与等をお願いします」 「承知しました‥‥」 「最後まで戦い抜きましょう玲璃様」 それから後方に味方の治療ができる救護所を設ける。必要に応じ部隊の前進、後退にも対応できる様仮設状態にしておく。 「みなさん、負傷者が出たら可能な限り後方の救護所に運んで下さい。生きているうちには何とかして見せますから」 玲璃らは、サムライ大将たちにその辺りの様子を説明しておく。 「承知した玲璃殿。後方支援よろしくお願いする」 龍安家家臣の各務原 義視(ia4917)は、栗原玄海と戦術面での打ち合せをしていた。各務原は兵法家でもあり、若いが知識は豊富であった。 「中央、両翼に兵を配置して敵を迎え撃ちます」 「うむ。敵を包囲する策であったな」 「はい。中央は敵の前衛と接触するように動きます。左右両翼が敵側面を突くように動き、半包囲態勢に移行。敵が中衛と後衛の部隊で対応してくればある程度敵の数を減らし中央突破の後、侯太天鬼を撃破します。敵が戦力を集中させてきた場合は、攻撃された一隊は後退しつつ敵の攻撃を受け流して、残りの二隊で側面を突き、ある程度数を減らしたら、侯太天鬼を討ち取りに行く。いずれにしても、敵を削り取った後には、侯太天鬼を討ちにいきます」 「侯太天鬼は難敵じゃ。最後まで油断はできんがな」 「一般兵には前衛に楯で防御させて、残りは弓で複数人で敵一体を狙う各個撃破戦法。接近されたら槍や刀で攻撃しつつ、基本は各個撃破です」 「色つきの鬼どもに関しては、志体持ちでどうにかせねば。雑魚鬼は封じ込めることが出来るだろうが」 「中央突破の際は、両翼から一部を割いて侯太天鬼の退路を断ちます。機動力を生かして泰拳士を足止めに。どのくらい兵力を回すかは両翼の指揮官の判断ですが」 「ふむ。そこまで敵を追いこんでおれば、全力を以って侯太天鬼を討ち取りに行くべきじゃろう。奴を倒せば、鬼どもは慌てふためき魔の森へ逃げるじゃろう。‥‥わしは右翼に回るか。ここはそなたに指揮を任せておこう」 「微力を尽くします」 各務原は栗原に軽くお辞儀した。 「鬼か、相手にとって不足はない。侯太天鬼、私のハルバードの錆にしてくれよう」 瀧鷲 漸(ia8176)は長大なハルバードを担いで、右翼に向かって行く。 「間もなくですね」 同じ右翼の鬼啼里が漸に言葉を掛ける。 「今日は‥‥どうなりますかね」 「私たちは勝つ。それしかない」 「そうですね‥‥勝つしかないですが」 コルリス・フェネストラ(ia9657)もまた、栗原のもとを訪れ、左翼部隊の指揮を任せてもらえるように許可を取る。 「栗原様。家臣のコルリスです。左翼部隊の指揮を私に任せてもらうことは可能でしょうか」 「開拓者には積極的な者が多いの。よかろう、左翼の指揮、コルリス殿に任せるぞ。わしは雛がおる右翼に回ろう。雛に指揮は大変じゃろうからの」 「はい」 ひょこっと、栗原の後ろから、雛が顔を出した。 「栗原様に来て頂けると、ひいなも助かります」 「では、勝って最後に会いましょう」 コルリスは言って、左翼の指揮に向かった。 「雛、では行くとするかの」 「はい」 そうして、龍安軍の作戦が始まった。 ――侯太天鬼は、鬼軍の後ろで、瞑目していた。大刀を突いて、龍安軍の動きを確認する。そこへ斥候に出ていた鬼の兵士が駆けこんで来る。 『侯太天鬼様! 人間どもが何やら広がっています!』 『広がっているとは、詳しく話せ』 『横に広く列を為しています! こちらを包み込んで来るかのようです!』 「ふむ‥‥」 侯太天鬼は咆哮すると、前衛部隊に突撃を命じる。侯太天鬼が取った策は、龍安軍の中央を突破することであった。 「鬼軍前衛、突進してきます!」 「隊列を崩さずに迎撃」 各務原は腕を持ち上げると、合図を送った。 軍旗が振られ、太鼓が鳴らされ、中央隊の戦列は整然と後退していく。 鬼軍が殺到してくるのに、盾を構えて足止めする。 「数の暴力はこれまで何度も経験してらぁ。その程度で参ってられるかよ!」 風雅は刀を振るうと、突進してきた赤鬼と激しく打ち合う。 「おらあ!」 風雅は刀を振り上げ、鬼の腕を吹き飛ばした。 「行くわよ。攻撃開始ね。斬撃――!」 カズラは符を構え、素早く投擲した。うねうねの式が召喚され、鏃に変形して鬼に特攻していく。貫く斬撃符に、青鬼が苦悶の声を上げる。 ――オオオオオオオオン! 青鬼は反撃の雷撃を撃ち込んで来る。直撃を受けるカズラ。ぴりっと痺れが走る。 「やってくれるわね。お返しよ!」 もう一撃斬撃符を叩き込む。式が青鬼の首を吹き飛ばした。 玲璃も救護所を後退させながら、巫女たちの指揮に当たる。 「戦はこれからです。皆さん備えて下さい」 左翼隊は突進してきた敵の前衛の側面から襲い掛かった。 「激しくなってきましたね‥‥」 朝比奈は言って、友軍が突撃して行くのを見守る。巫女なので後方に待機して、有事に備える。 「それじゃ‥‥ふう‥‥行ってみよう‥‥ふう‥‥」 絵梨乃は酩酊状態にあるが、乱酔拳で意識ははっきりしている。 「うふふ‥‥ボクの攻撃、よけることが出来るかな」 大鬼が突撃してくるのを、絵梨乃は酔拳特有の動きで回避する。鬼はもの凄い勢いで斧を振り回すが、全く当たらない。絵梨乃の酔拳は最高レベル。 「くふふ‥‥」 反転して、大鬼に一撃を撃ち込めば、凄まじい衝撃で鬼は吹き飛んだ。 「一気に敵を突き崩します! 側面から鬼たちを包囲殲滅しますよ! 突撃!」 コルリスは先陣切って弓を撃ち込み、鏡弦で索敵する。 「正面に鬼50! 白鬼へは集中攻撃を! ――朧!」 コルリスの合成射撃が白鬼を貫通する。 ――グオオオオオオオ! 白鬼、赤鬼、大鬼らは、雑魚を率いて前進してくる。 「一般兵のみなさんは大鬼などには近づかないようにして下さい。小鬼の迎撃に当たって下さい」 朝比奈は前に出ると、力の歪みを叩き込んだ。 右翼隊も突進する。 「結束と連携ではこちらが上です。ひいなたちは負けません」 雛は後方にあって、神楽舞で支援する。 「行くぞ! 奴らを生きて返すな!」 栗原も最前線に立って兵を率いて突撃する。 「老将殿に後れを取るわけにはいきませんね」 鬼啼里は焙烙玉を投げ込むと、弓で雑魚鬼を撃ち殺していく。 「‥‥では、僕も本格参戦と行きますか」 太刀に持ち替え、赤鬼目がけて突撃していく。襲い掛かってくる小鬼を右に左に切り倒していく。 漸は加速すると、咆哮して鬼の群れに飛び込み、回転切りで一掃する。 「滅せよ、悪鬼。私が滅ぼしてくれる――はあああああ!」 漸はハルバードを一閃、黒鬼の装甲を打ち砕いてその肉体を切り裂いた。吹き飛んだ肉体が黒い塊となって崩れ落ちる。 ‥‥侯太天鬼は、崩壊していく前衛部隊を確認して、立ち上がった。 『全軍に突撃命令を出せ、俺自らけりをつけてやる! 先の戦のようにはいかんぞ龍安軍!』 侯太天鬼の巨体が震えた。その雄叫びがびりびりと大気を震動させる。 「鬼軍――全軍突撃してきます! 侯太天鬼も前進してきます!」 「両翼部隊にも伝達を、総力戦になりますよ。志体持ちで赤鬼、青鬼、黒鬼、白鬼、大鬼を止めます。また泰拳士で侯太天鬼の退路を断ち、開拓者たちは侯太天鬼の迎撃に向かいますよ」 各務原は言って、吐息した。胃のあたりにずしりと、重たいものがのしかかってくる。総力戦となれば、勝利の天秤はどちらに転ぶか知れない。 「行きましょう、玲璃さん、後を頼みます」 「承知しました」 玲璃は頷き、各務原は風雅とカズラとともに最前線に出る。 「総力戦です。侯太天鬼も出ました。私は左翼の指揮を取ります。少しでも鬼たちが侯太天鬼への助力が出来ないように動いてみます」 コルリスの言葉に、朝比奈と絵梨乃は頷いた。 「じゃ、ボクたちは敵の大将を討ち取りに行くよ‥‥うふふ」 「後をお願いします」 「気を付けて下さい。武運を祈ります」 「栗原様――」 雛は知らせを受けて、老将のもとへ駆け寄った。 「うむ、総力戦か。侯太天鬼め‥‥全軍をぶつけてくるとはな。ここで、奴を討つ」 「侯太天鬼か、奴は足にダメージがあると聞くが、本当かな。まあいい。私のハルバードを叩き込む」 漸は言って、戦場を移動する。 鬼啼里は残留して、味方の支援に回ると言った。 「みなさんが戦っている間に、侯太天鬼へ赤鬼などが行かないように、足止めしておきますね」 「鬼啼里さん、よろしくお願いします」 雛は言って、お辞儀した。 「そちらこそ、気を付けて」 そして開拓者たちは走り出した。 荒れ狂う侯太天鬼と、開拓者たちは、二度目の再会を果たす。 「またしても開拓者か‥‥! 先の借り、返させてもらうぞ! まずは貴様らの首から上げてくれる!」 侯太天鬼は大刀を振り回して突進してくる。 「これ以上好きにはさせません‥‥精霊よ」 朝比奈の精霊砲が侯太天鬼の頭部に命中する。 「人間の力を、甘く見ないで下さい」 雛は流れるように神楽を舞う。 「その足もらった! すべてを穿つ絶の牙、その身に刻め!」 風雅は加速して、侯太天鬼の右足に凄まじい一撃をた叩き込んだ。――キイイイイン! と弾かれる。 「馬鹿め! そう何度も!」 侯太天鬼は大刀を風雅に叩き込んだ。 「うふふふ‥‥絶破昇竜脚!」 絵梨乃は加速して、天鬼の右足に神速の蹴りを叩き込んだ。青い閃光が走る。 「ぬうあ!」 侯太天鬼は高速で刀を振り下ろした。絵梨乃は乱酔拳で回避する。 「なんだと!」 「秩序にして悪なる独蛇よ、我が意に従いその威を揮え!」 カズラは同じく右足に蛇神を撃ち込む。 「今回は逃がしませんよ」 各務原も隷役使用の白狐を撃ち込んだ。 「逃がさん!」 漸も地奔を連打する。 「そう何度もやられはせん!」 連撃を受けながらも、侯太天鬼は不死身のような頑丈さで立ちふさがる。 絵梨乃も練力が尽きて直撃を受けて吹っ飛んだ。 「くう‥‥あた」 雛が駆け寄り、閃癒で回復する。 風雅の奥義、星竜光牙斬と雷光豪竜斬を受けてなお、侯太天鬼は仁王立ち。 そして侯太天鬼は開拓者たちに大打撃を与えるが、鬼軍も大きなダメージを負い、侯太天鬼も後退する。 「おのれ開拓者たち! 俺様を何度も止められると思うな! 次はない!」 侯太天鬼はそう言い残して、撤退した。 |