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■オープニング本文 神楽の都、開拓者ギルド――。 「橘――」 ギルドの上役が、相談役の橘鉄州斎(iz0008)に声を掛けた。 「はい、何か」 「大丈夫か、などと聞くのは酷な話だが、私はお前の力を必要としている」 上役が言ったのは、先日、橘の故郷がアヤカシによって滅ぼされたことである。橘は家族や身内、一族のほとんどを亡くした。橘家は生き残った兄の厳楼斎がどうにか引き継いでおり、鉄州斎の故郷は復興のさ中にあった。 そんな状況にあって、鉄州斎は家族の埋葬を済ませると、ギルドに戻り、いつものように仕事と向き合っていた。 「橘、いけるか」 上役がそう「いけるか」と言う時は、決まって危険な依頼の時である。アヤカシの調査も兼ねていることが多い。 「いけます」 鉄州斎は短く答えた。彼も人間である。悲しみが消えることはないが‥‥。 「それで――」 鉄州斎は束の間瞑目して、瞳を上げた。 「うむ、理穴の町中に出没して、急速に被害を拡大しているアヤカシの駆除に向かってもらいたい」 上役はそう言って、状況を説明し始めた。 ‥‥ひゅうううううううう。と深夜の街に風が鳴る。どこからともなく濃い霧のようなものが立ち込めて来て、火の玉が踊り始める。 どんどん、しゃららん、どん、しゃららん! どんどん、しゃららん、どん、しゃららん! 霧の中から、複数体の異形が出没し、進んで来る。 「あ‥‥あ‥‥」 若い男は、その異形を確認して、足が動かなくなった。 どんどん、しゃららん、どん、しゃららん! どんどん、しゃららん、どん、しゃららん! 男が見たのは、太鼓や三味線を鳴らす死人たちである。 「夜行夜叉‥‥命求めて徘徊す‥‥月の朧に光ありけり‥‥」 先頭の法師がそう言って、しゃん! と三味線を掻き鳴らした。 次の瞬間、大気が振動して、瘴気の刃が飛んで男の首を跳ね飛ばした。 「くくく‥‥そろそろ頃合いか。制圧攻撃を開始する。町を沈めるぞ。理穴にまた一つ、死の町跡が出ずるわ」 法師が咆哮すると、町の各所からアヤカシが実体化して、攻撃が始まった。 |
■参加者一覧
風雅 哲心(ia0135)
22歳・男・魔
斑鳩(ia1002)
19歳・女・巫
荒井一徹(ia4274)
21歳・男・サ
朝倉 影司(ia5385)
20歳・男・シ
燐瀬 葉(ia7653)
17歳・女・巫
天ヶ瀬 焔騎(ia8250)
25歳・男・志
茜ヶ原 ほとり(ia9204)
19歳・女・弓
コルリス・フェネストラ(ia9657)
19歳・女・弓
シャンテ・ラインハルト(ib0069)
16歳・女・吟
琉宇(ib1119)
12歳・男・吟 |
■リプレイ本文 どんどんしゃららん、どん、しゃららん――! どんどんしゃららん、どん、しゃららん――! アヤカシの演奏が町に鳴り響く――。 人々の悲鳴がかき消されるように、アヤカシの演奏が鳴り響く――。 「まったく五月蝿いったらねぇな。向こうは祭りのつもりなんだろうが、‥‥そうならその祭り、ぶっ潰してやるぜ」 風雅 哲心(ia0135)は言って、耳をぽりぽりと掻いた。 「ふざけた祭りだなあおい、舐めた真似しくれるぜアヤカシどもが。やかましいぜこいつはよお」 風雅の瞳には苛立ちと怒りが燃え上がっていた。 「一刻を争う事態ですね‥‥。ぼさっとしている時間はありません。可及的速やかに対処するとしましょうか」 斑鳩(ia1002)は怒れる風雅を見やり、ぽりぽりと頬を掻いて小首を傾げた。 「武人なら、守るべき者はしっかり守らねえとな」 荒井一徹(ia4274)、全力突貫のサムライはバシッと拳を打ち合わせた。 「まず、今回は乙班で力をふるうことになった。今の力では火力に乏しい‥‥俺のやることは逃げ遅れた民の救出、楽師のあやかしを傷つけていく、といったところでしょうか」 朝倉 影司(ia5385)は思案顔で、顎をつまんだ。 「音楽ってゆぅたら、楽しんだりする為のもんやろ? こんなの音楽に対する冒涜やし、被害も酷いし、こんな状況早く終わらせてやらな、あかんね」 燐瀬 葉(ia7653)はそう言うと、眉をひそめてぷりぷりと怒りを露わにしていた。同行している橘鉄州斎(iz0008)をちらりと見やるが、何と言葉を掛けてよいか分からなかった。 「何か?」 鉄州斎は燐瀬と視線が合って首を傾げる。 「や、何でもあらへんです‥‥!」 はたはたと焦って燐瀬は目を逸らした。 「目先の霧を蒸発させる志士、天ヶ瀬だ。これ以上、好きにはさせんっぞ!」 天ヶ瀬 焔騎(ia8250)は言って、気合を入れる。それから天ヶ瀬も橘を見やる。 アヤカシの奴等が、敵討の対象で在る事に、今も変わりはない。橘さんの内心は、俺以上‥‥いや、想像も難しい、な。俺みたいな狂戦士になるような事は無いと思うが‥‥。 橘が無茶しそうな気もするので注意しつつ、声も掛けて心境を聞いてみる。 「橘さん、あの報告書を見た‥‥故郷のことは、残念だったな」 「ああ、俺も正直どう気持ちの整理を付けていいのか‥‥」 天ヶ瀬は軽く橘の肩を叩いた。 「時間が癒してくれる‥‥としか俺には言いようがない」 「‥‥‥‥」 天ヶ瀬の言葉に橘は複雑な表情を浮かべていた。 「急ぎましょう。時は一刻を争います。こうしている間にも、無辜の民が犠牲となっているのですから」 きびきびとした声で言うのは茜ヶ原 ほとり(ia9204)。ほとりも感情が揺れないと言えば嘘になる。だが今は、感情を殺してことを合理的に判断する時だと思っていた。 「今回はこのような負傷の身で申し訳ありません」 コルリス・フェネストラ(ia9657)は今回重体の身であった。疲労の色が濃い。 「しかし依頼を引き受けた以上、できることは全力で行います。今回は射撃で皆様の行動を支援しますのでご迷惑をおかけいたしますがよろしくお願いいたします」 「気にするなよコルリス。そういうこともあるさ。巡り合わせもあるからな」 風雅は言って、コルリスを慰めた。合戦明けで重体判定が多い。 音を、曲を持って災いをなすアヤカシ‥‥奏でる音を持って想いを届け、戦う方々の支えたらんとする吟遊詩人にとって、これほど放っておけない存在はいません‥‥全力で、臨みます‥‥。 シャンテ・ラインハルト(ib0069)は内心で呟き、静かに怒りを高めていた。 「呪音を使う大オーケストラのアヤカシなんて、吟遊詩人に挑戦状を突き付けられた感じだよ。町人さん達も心配だし、絶対に何とかしなくちゃ」 琉宇(ib1119)はそう言って、シャンテに畏敬の眼差しを向ける。 吟遊詩人レベル単独トップのシャンテ・ラインハルトさんは尊敬の対象なんだ。僕が勝手に思っているだけれども、何か勉強できるものがあればいいな‥‥。 「合戦から戻ったばかりでぼろぼろなんだよね‥‥。でも‥‥。ううん、そんな僕だからこそ町人さん達を勇気付けたいな」 開拓者たちは、アヤカシ楽師を倒しながらボスのもとへ向かう甲班と、町民の救助活動を主とする乙班に分かれる。 甲班:風雅 哲心、荒井一徹、燐瀬 葉、コルリス・フェネストラ、シャンテ・ラインハルト。 乙班:斑鳩、朝倉 影司、天ヶ瀬 焔騎、茜ヶ原 ほとり、琉宇、橘 鉄州斎。 どんどんしゃららん、どん、しゃららん――! どんどんしゃららん、どん、しゃららん――! 朝倉の超越聴覚にアヤカシ楽師団の演奏が聞こえてくる。同時に、民の悲鳴も。 「あそこ――! 人が!」 朝倉は言って、駆けだした。 町人はあたふたと逃げ出してきた。 「大丈夫ですか」 「‥‥アヤカシ達が‥‥化け物たちが押し寄せて来て‥‥」 「怪我はないようですね、アヤカシ達は俺たちが止めます。ひとまずここから離れて下さい。急いで」 朝倉は町人を送りだすと、仲間たちを振り仰いだ。 「急ぎましょう。敵は町の中心部に向かって進んでいます」 「民が何とか逃げていてくれればいいのだが‥‥」 天ヶ瀬は言って、厳しい顔を見せた。 「行こうか」 開拓者たちは駆け出した。 「う‥‥」 「何て事‥‥」 やがて、ぼろぼろになった民の亡骸が横たわっている場所に遭遇する。 「今はどうすることも出来ないけど‥‥」 斑鳩は言って、民の亡骸に布を被せた。 「音楽が近いです。アヤカシも近いのでは」 朝倉は耳を澄ませていた。 次々と飛び込んで来る民の遺体に、開拓者たちは眉をひそめつつ前進する。 やがて――。 その集団を開拓者たちは目撃する。ぼろぼろの亡者の列だ。派手な音を鳴らして行進している。 「あいつらが死人楽師か‥‥橘さん、咆哮を頼むぜ」 「了解した、行くぜ!」 橘は咆哮を解き放った。サムライの咆哮がアヤカシたちを直撃する。 死人楽師たちは向きを変えると、怒りの声を上げて開拓者たちに向かってくる。 ――ガオオオオオオ! 素早く展開すると、亡者たちは楽器を掻きならして、瘴気の刃を飛ばしてきた。 前衛に立つ橘と天ヶ瀬がそれらを受け止める。 「行くぞ橘さん! 朝倉さん! 斑鳩さん支援を頼む、ほとりさんも援護を頼むぜ!」 加速する天ヶ瀬たち。死人楽師と激突する。 「この悪趣味な演奏は、貴様等の断末魔で幕引きだ、覚悟しろ」 天ヶ瀬は業物を振るって、死人楽師に一撃叩き込んだ。凄絶な一撃が死人を直撃する。切り裂かれて咆哮する死人。 直後、至近距離から瘴気弾を放って天ヶ瀬を牽制する。 「ちっ‥‥!」 「そっちへは行かせません」 ほとりは天ヶ瀬の死角を庇いつつ、矢を放った。死人アヤカシの動きを封じる。 「余り強くはないとは言え‥‥楽観視できる相手でもありません‥‥吹き飛べ!」 朝倉は、反転して死人をぶん殴ると、天ヶ瀬たちの方へ吹き飛ばした。 ――ガオオオオオオオ! オオオオオアアアアア! 死人たちは意外な苦戦に怒り狂って、襲い掛かってくる。楽器を持ったまま、爪で切り掛かって来る。意外に速い。 「ぬっ――!」 朝倉は切り裂かれて、後退する。 「やりますね‥‥が、格闘戦ならこちらに分ありですよ!」 朝倉は水遁を叩き込んだ。更に加速して拳を叩き込む。 「にしても数が多いな‥‥ともあれここで引くわけにもいかんか今日は」 橘は裂帛の気合とともに一撃を繰り出し、死人を両断する。 「斑鳩さん! 回復を頼む!」 天ヶ瀬は死人を一体両断して、後ろを軽く振り向いた。 「了解しました。皆さん私の周囲に集まって下さいね――閃癒!」 斑鳩の巫女スキル閃癒で、開拓者たちのダメージが一気に回復する。 「よし! 行けるぞ! 覚悟しろ亡者どもが」 天ヶ瀬は突進する。 ほとりは巧みな位置取りで、アヤカシを牽制していた。 一体、また一体と消失していく死人楽師たち。最後の一体になってもアヤカシが逃走することはなかった。 「せやあ!」 朝倉の渾身の一撃で、アヤカシは沈んだ。 「どうにか倒したか‥‥死人楽師」 天ヶ瀬は刀を収めると、周囲を見渡した。 「まだ音は聞こえる‥‥ここからですね」 朝倉の超越聴覚は、町に展開する死人たちの演奏を捕えていた。 と、幾人かの人々がまたやって来て、開拓者たちにすがりついてくる。 「た、大変だ‥‥! 町の中にアヤカシが‥‥! 次々と恐ろしい術を使って‥‥私たちは一体どうすれば‥‥逃げないと!」 琉宇は口笛と心の旋律を使って、町人を落ち着かせる。 「大丈夫だよ。僕たちはギルドの開拓者だよ。みんなを助けに来たんだ。逃げるなら、あっちへ向かうと良いよ。今僕たちが入ってきた方向だよ。あっちにアヤカシはいないからね」 落ち着きを取り戻した民は、琉宇を見て、吐息する。 「そうですか‥‥開拓者ギルドから助けが‥‥ありがとうございます!」 「どういたしまして、さ、早く逃げて。町は僕たちで守るよ」 「ありがとう、では私たちは避難させてもらいます」 平静を取り戻した町民たちは琉宇たちにお礼を言って、走って逃げて行く。 「僕たちの方でもまだ拾い切れないね。これは、早く敵の首魁を捕まえるしかないかな」 「こんな酷いことが、早く片を付けなければ大変なことになりますよ」 斑鳩は厳しい表情だ。 「急ごう、仲間たちもそのために向かっているはずだ」 天ヶ瀬は琉宇や斑鳩に言って、そして開拓者たちは駆け出した。 「おらおらおらおら! アヤカシども! 貴様らはぶち殺す!」 風雅は渾身の力で刀を叩きつけ、アヤカシを粉砕した。風雅たちはボスを求めて町の中心に向かっており、激戦のさ中にあった。 「これ以上民に犠牲は出させない! 食らえ咆哮!」 荒井は咆哮を解き放つと、アヤカシ達を引き寄せる。 「行くぞアヤカシどもお!」 荒井は加速すると、大剣を叩き込んだ。万力を込めて死人楽師を切り裂く。 ――ガオオオオオオアアアアア! 怒り狂ったアヤカシは荒井に噛みついてくる。 「ちい!」 荒井はアヤカシの首根っこを捕まえると、思いっきり刀で掻っ捌いた。死人の首が落ちるが、胴体はまだ襲い掛かってくる。荒井に掴み掛かって、爪を立てる。 「しぶといぞ!」 荒井は咆哮して、さらに一撃、大剣で死人アヤカシを両断した。 アヤカシ達の後方10スクエア以内に人はいない。コルリスは烈射「流星」を放って直線状にいるアヤカシ達を衝撃波で吹き飛ばしに掛かる。 「薙!」 コルリスは重体。攻撃事態に威力はないが、それでもこの死人たちを吹き飛ばすには十分だった。 吹き飛び倒れる死人楽師たちが喚きながら立ち上がって来る。 シャンテはボス戦に備えて、練力を温存していた。いつでも龍笛を鳴らせるようにしていたが、後方で待機していた。 「‥‥‥‥」 災いの曲を鳴らすアヤカシ達ですか‥‥恐ろしい相手ですが、これ以上の傍若無人は許せません‥‥。シャンテは揺れる感情を言葉には出すことなく、戦況を見つめる。 「うちの出番がさしてない間はええけどなあ。それに越したことはないですし」 燐瀬は獅子奮迅の活躍を見せる風雅や荒井を見て、シャンテに言葉を投げた。 「シャンテさんも、大物が出るまでは待機やねえ」 「そうですね‥‥今は‥‥」 風雅たちはアヤカシを殲滅していく。 「よし! 止めだ!」 風雅は最後の一体を両断した。 「お見事やなあお二人さん。怪我はないですか」 燐瀬は風雅たちに近づいて行く。 「ダメージがないと言えば嘘になるぜ。あれだけの瘴気弾を受けちゃな」 言って、風雅は腕をぶるんと回した。 「一応回復掛けとこか。大物に当たる時に全快じゃないとなあ」 「おう、頼むぜ」 燐瀬は風雅と荒井に白霊癒を掛けておく。 ――と、また音楽が鳴り響いてくる。 べんべんべんべんべんべん‥‥しゃららんしゃららんしゃららん‥‥しゃらしゃらしゃらしゃらしゃら‥‥! そして、霧のようなものが立ち込めて来て、火の玉が出現する。その中心に、三味線を持った法師が出現する。 「出たな。シャンテ! 対抗演奏頼むぜ!」 風雅の言葉に、シャンテは龍笛に口を当てると、霊鎧の歌を奏で始める。 『くふふふ‥‥我が妖術に隙無し。また一つ、語り草となって、この地の不穏と怨嗟の念が増幅する』 アヤカシの三味線法師――魏紗法師は、人間には理解できない言葉で言うと、三味線を鳴らし続ける。火の玉が揺れて、飛び交い、魏紗法師の音楽を増幅する。さらに死人楽師たちが集まってきて、アヤカシの演奏が激しくなる。 が、シャンテの演奏が立ちはだかる。魏紗法師の演奏と互角以上に、シャンテの演奏が町に鳴り響く。 「手前ぇが魏紗法師か。これ以上はやらせねぇぜ。さぁ、貴様の罪を数えろ!」 風雅は前進する。 「‥‥あんまり人間って奴を舐めると、痛い目見るぞ? クソ法師」 荒井も、グレートソードを構えて前進する。 「援護します。お二方」 コルリスは言って、「薙!」と魏紗法師目がけて叩き込んだ。矢が三味線を直撃する。 魏紗法師は、微かに首を傾けた。 「わしの三味線が効かぬ‥‥何だこの耳障りな音は‥‥」 法師は、赤く光る瞳で、シャンテを見据えた。 「あの人間の音が、わしの音を相殺しているのか‥‥」 魏紗法師は死人たちに咆哮で合図を送ると、シャンテを狙い撃つように指示を出す。 そこで、シャンテはメロディーを変えた。 精霊の狂想曲――エレメンタル・ラプソディー。激しい音色が、死人たちの戦列を乱し、火の玉が消失する。 「ぬっ‥‥!」 魏紗法師は意外なメロディーに牙を剥く。 「そろそろ行くぜ。すべてを穿つ『絶』の牙、その身に刻め!」 風雅加速して切り掛かった。 「ちい‥‥!」 魏紗法師は演奏をやめて三味線で風雅の一撃を跳ね返した。すっと手を持ち上げ、瘴気弾を叩きつける。吹っ飛ぶ風雅。 「クソ法師!」 荒井も切り掛かったが、瘴気の刃で切られた。 「さすがに強いね‥‥シャンテさんの音楽がなかったらどうなってたか」 燐瀬は二人に駆け寄ると、白霊癒を掛ける。 そこへ乙班の開拓者たちが駆けつけると、魏紗法師は死人楽師を残して、自身は霧化して逃走する。 「大丈夫か! 敵の親玉は!」 天ヶ瀬が死人楽師に切り掛かっていく。 「ちっ‥‥どうやら逃がしたな」 風雅は立ち上がると、死人たちを粉砕した。 その後開拓者たちは死人楽師を全滅させる。 ‥‥戦闘終結後。 「ひどくやられたな」 天ヶ瀬は町人たちの手当てを行っていた。 そんな中、開拓者たちの提案で、演奏会が行われる。死人楽師たちの音楽が消失して、天儀を讃える序曲と言うテーマであった。 「天儀に生きる僕たちは、アヤカシと共存することは出来ないけど、それでもいつの日か、平和になることを信じて‥‥」 琉宇が演奏を開始すると、斑鳩と燐瀬が神楽を舞う。 人々は、琉宇の演奏を聞きながら祈るのだった。 |