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■オープニング本文 意外に知られていない話であるが、もふらさまという存在は、天儀でしか発生しないらしい。 天儀の神であり、自然より生まれる存在である為だろうか。 とにかくジルベリアで、自然に生まれたもふらさまが発見されたとか、飼っているもふらさまが増えていたとかいう話は一切報告されていないということだ。 しかし、もふらさまは結構見かける。 その愛くるしい(?)姿や、穏やかで優しい性格(のんびりやで怠け者という者もいるが)が愛されて、天儀から連れてこられているからである。 この依頼人もそんなもふらを飼う一人であるという。 「すみません。私のもふら クリスティーヌを探して下さい」 使用人に付き添われてやってきた少女は開拓者ギルドにそう依頼を出した。 ジェレゾの商人の娘であるという彼女リサは、友達にと天儀から連れてきてもらったもふらをそれは大事にしていたのだという。 「ですが、クリスティーヌはある日、逃げ出してしまったのです。ジェレゾの街で‥‥」 聞けば街を馬車で進んでいたとき、窓から外を見ていたもふらの様子が急に変わり、いきなり窓から飛び出していってしまったのだという。 「急いで馬車を止めて、探しに行って貰ったのですが‥‥人ごみに紛れてしまったようで、見つかりませんでした。‥‥何故逃げ出してしまったのか、理由も解りません」 俯き涙を流すリサの肩を付き添った婦人が優しく抱きとめた。 「リサ様は生まれつき身体が弱くていらっしゃるのです。 小鳥や動物も一緒にいると体調が悪くなってしまう為飼えず、クリスティーヌはたった一人の友達であるのです。クリスティーヌもリサ様になついていた筈ですが、何か‥‥理由があったのでしょう。なんとか探し出しては頂けませんか?」 そのもふら、クリスティーヌの体長は30cm程、まだ仔もふらの域である。 「少し、ピンクがかった毛並みで‥‥それから紅い毛糸のケープと、紅玉のブローチをしています。まだ脱がされていなければ‥‥ですけれども」 もふらが珍しいジルベリア。 最悪悪い奴に捕まえられて、身に付けていたものどころか、それそのもさえ売り払われてしまうということがある、とは係員は言わなかった。 「お願いです。大事な友達を見つけて下さい」 涙を流す少女にはとてもいえなかったから、である。 ジェレゾの下町。 トントン、とノックをする音が聞こえた。 「おじいちゃん。ちょっと来て」 老人は立ち上がり、内側からの鍵を開ける。 最近は物騒だ。下手に家を留守にはできない。戸締りは大事だ。 「ん? 帰ってきたのか? どうしたんじゃ? ミルカ?」 古い家の扉が開いて、出てきた老人は買い物から帰ってきた筈の孫娘を出迎える。 と同時に目を丸くした。 「なんじゃ? こいつは?」 孫娘の足元を尻尾をふりながらくるくるとまわる怪しげな生き物。 それは彼女が腕に抱いているものとよく似ていた。 「これは、もふらじゃないか? なんとまあ珍しい」 「これが本物のもふら? お父さんが買ってきてくれたこの子そっくり! いったいどこの子かな?」 彼女は買い物の籠と一緒に腕に抱いていた『それ』を下に降ろす。 少女と老人は不思議そうにそれになつく本物のもふらを見つめていた。 父親が天儀から買って来た、もふらのぬいぐるみに‥‥。 |
■参加者一覧
柚乃(ia0638)
17歳・女・巫
秋霜夜(ia0979)
14歳・女・泰
氷(ia1083)
29歳・男・陰
弖志峰 直羽(ia1884)
23歳・男・巫
御陵 彬(ia2096)
18歳・女・巫
空音(ia3513)
18歳・女・巫
ヘスティア・V・D(ib0161)
21歳・女・騎
玄間 北斗(ib0342)
25歳・男・シ |
■リプレイ本文 ●もふらさまをさがして 開拓者達はその光景に目を疑った。 「‥‥ひどい」 柚乃は踏み潰され、汚れたもふらのぬいぐるみを拾い上げて、抱きしめた。 その目には涙が光っている。 「どうして‥‥」 小さな部屋は荒らされていない場所などどこにも無いというように、全てがぶちまけられ、壊されていた。 そして‥‥ 「シャル! シャル!!」 開拓者達が探す、もふらは少女の呼び声に答える事無く、沈黙のまま開拓者達は自分達が知らず引き起こしてしまった現状に立ち尽くしていた。 基本的に、もふらを探す依頼にもふらが嫌いな者は集まっては来ないだろう。 「気持ちの優しい、もふらさまがお友達は素敵です。もふら愛好家の名にかけて探し出します。絶対に!」 そう意気込む秋霜夜(ia0979)の言葉に柚乃(ia0638)もまた自分のもふらのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて頷いた。 「柚乃にももふら‥‥八曜丸がいるから、リサさんの気持ちなんとなくわかる。柚乃だって、八曜丸がいなくなってしまったら‥‥やっぱり寂しいもの‥‥」 「でももふらさまはどうして逃げ出しちゃったんでしょうか? 可愛がられていたのでしょうに‥‥」 依頼人の屋敷の前で空音(ia3513)はふと首を捻った。 依頼を聞いた時からのそれは疑問である。 「ん〜ウチにももふまくら‥‥もとい、もふらは居るけど、そんなに活発じゃないしなぁ」 「何か理由はあったんだと思うけどね」 ぼんやりとあくびをしながら言う氷(ia1083)にヘスティア・ヴォルフ(ib0161)は笑いながら答えた。 「その子の気持ちはその子にしか解らない。‥‥なかなか骨が折れそうだが、女の子の笑顔を取り戻す為だ! 頑張ろう」 元気よく声をかける弖志峰 直羽(ia1884)に同意するように玄間 北斗(ib0342)もおう! と手を上げる。 「とりあえずは依頼人からお話を聞きましょう。それから捜索です。皆が幸せになれる結末を探しましょう」 そう言って、御陵 彬(ia2096)は扉を叩く。 依頼人の館の入り口は彼らを待っていたかのように静かに開いていった。 依頼人の少女の部屋は、その豪奢な家に比べると驚くほどに質素なものであった。 「お嬢さん、まず最初に聞かせとくれ。いわゆる動物の毛以外に具合の悪くなるものはあるかい?」 依頼の内容より先に問うフレイアに、少女ははい。と頷いた。 「酷い埃とかでも、咳が止まらなくなってしまいます。それから、激しい運動をしたり走ったりも‥‥」 華美な装飾品の殆ど無い部屋は、だからかと、開拓者達は納得する。 「お嬢様には大勢の人の中に入ったり、長くしゃべったりするのも良くないのです。手短にお願いします」 心配そうな侍女が遮る。その思いに頷いて開拓者達は用件に入った。 「まずはリナちゃん。脱走した場所と方角教えてくれるかい? 多分、もふの足だ。そんなには遠くには行ってないと思うんだ」 リナではなく、リサです、と少女は言わずに侍女と共に用意した簡単な地図に、離れてしまった場所と、行ってしまった方角を記入し氷に手渡した。 「なるほど、確かに下町の方に行ってるな‥‥。変なことになってなきゃいいけど‥‥」 地図を見ながら小さく呟いた直羽の言葉は幸い少女には聞えていないようだ。 体長、特徴、癖など求められることを知る限り、全て話した少女は静かに、祈るように手を組み下を向く。 「本当は、あの子、飼われたりされたくなかったのかも‥‥しれません。でも‥‥もう一度‥‥もう一度会いたいの‥‥。クリスティーヌ‥‥」 両親は仕事で忙しく、病気で外にも出られない彼女にとって本当にそのもふらだけが友達であるのだと、侍女はそっと囁いた。 目元を濡らす少女に柚乃は、つつと近寄り 「‥‥はい。これ、貸して‥‥あげる」 白いふわふわのものを差し出した。 「これ‥‥は?」 「‥‥もふ友‥‥ね?」 微笑する柚乃からそのもふらのぬいぐるみを受け取ったリサは心配そうに手を伸ばす侍女の手を払うと、濃いピンクの髪の毛を優しくさすり、強く抱きしめたのだった。 ●怪しき瞳 「正直ね、ちょっと心配だったよ。ぬいぐるみの毛も悪くないかって‥‥」 フレイアの言葉にうん‥‥と静かに頷きながらも柚乃はそれでも渡したかったのだと呟く。 「だって‥‥一人ぼっち、きっと寂しい‥‥もの」 「そうだね‥‥。よーし! あとは全力で聞き込みだ〜〜!」 フレイアはぽぽんと、柚乃の頭を撫でるように叩いてから大きく手を上げた。 「じゃあ、いくつかに分かれて手分けして探すのだ! でも、最近ぶっそーだそうだから、女の子一人とかはやめたほうがいいのだ!」 北斗の言葉に同意しつつ、直羽はそれに付け加える。 「もふらも、この辺じゃ貴重なものらしい。もふらを探しているってはあんまり派手に言わないほうがいいかもしれない」 うんうん、鋭いのだと感心する北斗。 「んじゃ、もっふもふのわんこってことでいいかな?」 開拓者達はそれぞれが了解と頷いたところで、開拓者達はそれぞれの持ち場に別れた。 「俺はちょっと別行動させてもらうけど、後でちゃんと合流するから。場所は、あそこの酒場でいい?」 氷の指差す先にはそれほど乱れた様子の無い、明るい雰囲気の食堂兼酒場がある。 「じゃあ、夜にね。でも、北斗さん。その格好で本気で行くんですか? 暑くありません?」 「そうなのだぁ。似合うのだ? たれたぬきなのだぁ〜」 楽しげに笑いあう開拓者達。 このとき、まだ彼らはこの後の結果を想像することはできなかった。 街の路地裏。 「ちょっと聞きたいことがあるんだが‥‥」」 石蹴りをして遊ぶ子供達に直羽は膝を折って目線を合わせた。 「なあに? おっちゃん?」 「おっちゃ‥‥」 王子様の呼び名も子供達にかかれば形無しである。 「何を笑って! いや、犬を探しているんだ。赤いケープを着た、これくらいの大きさの毛色の変わった犬。見なかったかな?」 笑いを噛み殺しているヘスティアに眉を上げてそれでも直羽は子供達に向かい合う。 「見たような、見てないような‥‥なんかくれる? 思い出すかも?」 「よーし。教えてくれたら飴をあげよう。だから、よく考えてくれな」 「えー、一個ぽっちじゃやだ」 「なかなか交渉上手だな! その逞しさに免じて二倍にしてやろう」 「三個」 「おい!」 (「同レベル‥‥」) 懸命に笑いをこらえながら、一生懸命真面目な顔を作ってヘスティアは助け舟を出す。 「依頼主のお嬢さんがわんこを逃がしちまって捜してるんだ。教えちゃくれないかい?」 二人の思いが通じたのだろうか? しっかり飴を三個せしめた子供達はもうその一つを口の中に入れながらも 「ふわふわのもこもこか〜そういや、酒場のミルカがさ、そんなふわふわのもってなかったっけ?」 「でも、あれぬいぐるみだろ? 生き物なら違うんじゃないか?」 「いや、それが生の奴も持ってたらしいんだよ。見せてもらった奴がいるってさ」 子供達の噂を話してくれた。 柚乃と空音は主に店や露天の店員、そして道端で噂話をする女性達を中心に話を聞いた。 「大切な友達、探してるの‥‥、犬、なんですけど、知りませんか?」 「毛糸のケープと、紅玉のブローチを付けたもふっとした犬なんですけど」 「犬にケープとブローチかい? 可愛がってたんだねえ〜」 「うちの旦那なんか結婚指輪もろくに買ってくれないしね」 「紅玉かあ、うちの店でも扱わせてほしいね。犬にやるなら譲っておくれって今度言っておいてくれよ」 店員からはめぼしい情報は聞けなかったが、女達は、目を見開きながらも少し考え‥‥ 「そういや、最近うちの裏の家が妙にやかましいんだよ。どたどたってなんか走り回ってるような」 「子供でもいるんだろ?」 「いや、そこは娘と爺さんの二人暮らしなんだよ。父親は出稼ぎに行っててね‥‥」 女達の噂話を聞かせてくれた。 でも、柚乃と空音は気付かなかった。 彼女らを見つめる、暗い瞳に‥‥。 「わー。アヤカシだ〜。にっげろ〜」 「アヤカシじゃないのだぁ〜。たれたぬきなのだ。がお〜〜」 裏町の小さな広場。 子供達に囲まれ、楽しげにはしゃぐ北斗を半分呆れ顔と笑顔が入り混じったような表情で彬と霜夜は見つめていた。 「大人気なのですね。面白いです!」 「なんか、いっしょに遊んでいるだけのような気もしますけどね」 一回り遊んで、一緒に水を飲んで 「あー。面白かった」 すっかり仲良くなった北斗に子供達は笑顔を見せる。 「よかったのだ。それで、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな? なのだ」 「一緒に遊んでくれたし、いいよ。何?」 子供達も質問に答える態勢になっている。 「いい感じですね。私達も‥‥」 笑いあいながら二人が合流しようとした時 「ブローチとケープした犬? へーんなのーー!」 子供達の声が大きく広場に木霊した。 「えっ?」 彬は慌てて子供達の方に視線を移す。そこでは 「いや、変ではないのだぁ〜。それだけ飼い主が大事思っている、ということなのだぁ。誰か‥‥こういうのを‥‥」 北斗が子供達への聞き込みをしていた。懐からぬいぐるみを出そうとしている北斗を見て 「北斗さん!! ちょっと!!!」 慌てて彬は全力で北斗の手を引っ張った。ぬいぐるみは膝から落ちて転がった。 小柄な少女とは思えない力で北斗はひきずられて行った。 「な、なんなのだ?」 「皆で相談した時のことを忘れたんですか? 悪い大人に目を付けられないようにしよう、って、あれほど‥‥」 「? だから、おいらもふらとは言ってないのだ。なのになんで怒るのだ?」 「ブローチ! 金目のものを身につけているなんて知られたら、どうするんですか?」 「あっ‥‥しまったのだぁ〜〜」 「どうします?」 下手に打ち消せばかえって話題になってしまう。 「とりあえずは誰も気付いていないことを祈って、早く話を聞きましょう」 「おにーちゃん。おねえちゃん。このぬいぐるみと同じの知ってる〜。ミルカはね〜お父さんのおみやげだって言って、貰ったんだって」 「ありがとー。今行くね〜。じゃあ、行きましょうか?」 子供達の手招きに応じた彼らは、心に感じる不安や予感を懸命に忘れようとしていた。 ●大切な友達 そして集合場所の酒場にて 「あの子が‥‥ミルカちゃん?」 テーブルを一つ占拠した開拓者達は一人のウエイトレスの少女にそっと視線を送った。 年の頃14〜5というところだろうか? 広いホールをくるくると元気良く回って、注文をとり品を運ぶ。 「はい! おまちどうさまでした!」 元気のよい、明るい印象の少女である。 「そうなのだ。お母さんはいなくてお父さんは天儀に出稼ぎに行ってて、身体の弱ったおじいさんと二人暮らしで頑張っているらしいのだぁ」 「おやじさんがお土産に買ってきてくれたっていうもふらのぬいぐるみを大事にしてて、いつも籠に入れて歩いてたってさ。でも最近は持って歩いていないとか」 「つつましく暮らしているらしいけど、最近買い物の量が増えたって。肉や魚、ミルクなんかいろいろ買っていってるらしいよ。酒場の残り物も貰って行ったり」 開拓者達が三方向から調査した結果。 その全てが彼女を指し示す。 宝玉が売られた形跡は無いし、聞く人全てが彼女は誠実ないい子だという。 「ならば、正面から当たるのがいいよな。おーい。こっちにちょっと来てくれないか」 「はーい」 直羽はミルカを手を上げて呼んだ。 ウエイトレスとして呼ばれたと思った彼女は、少し首をかしげながら。 「少し、話があるんだ。もふらのことで‥‥」 集まった開拓者と、その言葉に 「はい」 と静かに頷いた。 「そうだったんですか‥‥、シャルの飼い主さんが‥‥。あ、こっちです」 開拓者の口ぞえで、少し仕事を抜けたミルカは開拓者達を自分の家へと案内してくれると言った。 驚くほど素直に返してくれる、と。 「シャルって、あのもふらさまの名前ですか? お友達になれましたか?」 霜夜の言葉にミルカはあっ‥‥と手を口に当てる。 「つい‥‥。あの子、私がお父さんから貰ったもふらのぬいぐるみが気に入ったみたいで、離れなかったんです。私もつい、可愛くなっちゃって‥‥」 連絡もせず、勝手に名前をつけてごめんなさい、と頭を下げる彼女の様子に開拓者達は微笑む。 クリスティーヌ、リサの探すもふらが大事にされてきた様子が見えるようだ。 「それは良かったです。別に謝る事はないですよ。‥‥でもでも、この子を大切されてる方がもう一人いらっしゃるですよ。どうでしょう? ミルカさんのお友達のこの子の、お友達と仲良くして下さいませんか」 「みんなで仲良くなのだぁ〜」 「でも‥‥、あのケープやおじいちゃんが言ったんです。この子の飼い主はきっとお金持ちだって‥‥だからきっと‥‥」 住む世界が違うと言いたげな少女の背をぽんと、ヘスティアは叩く。 「その辺は任せときな。悪いようにはしないからさ‥‥」 開拓者達はミルカを守るように下町の表通りから、裏町へと進む。 その時、 「た、大変だ!!」 路地の向こうから走ってきた人物とぶつかりかけて彬は後ろにのけぞる。 「氷様、どうなさったのです?」 常日頃、のんびりとした雰囲気の彼とは思えない焦りの様子に空音が問うがそれどころではないと彼は指差す。 「向こうの家に、押し込みが入ったんだ。もふらが‥‥連れて行かれて、爺さんが大怪我を!」 「「「「「「「ええっ!!」」」」」」」 「おじいちゃん! シャル!!」 慌てて走る少女を開拓者達は全力疾走で追いかけていった。 ●奪われた宝物 開拓者達はその光景に目を疑った。 「‥‥ひどい」 「どうして‥‥」 小さな部屋は荒らされていない場所などどこにも無いというように、全てがぶちまけられ、壊されていた。 足元には踏み潰されたもふらのぬいぐるみ。 「何があったのです?」 怪我をした老人を助け起こした彬。その質問に彼は裏町のチンピラが、突然押し込んできたと。シャル‥‥クリスティーヌのつけていた紅玉のブローチを奪い、ついでに金目のものともふらを奪って行ったのだと、荒い息で答えた。 「ブローチ‥‥あ‥‥」 空音と北斗が手を口元に当てる。 それが、自分達が慎重の中にも不用意に発してしまった一言が‥‥盗賊達をここに招き寄せてしまったことに気付いたのだ。 「シャル! シャル!!」 開拓者達が探す、もふらは少女の呼び声に答える事無く、沈黙のまま開拓者達は自分達が知らず引き起こしてしまった現状に立ち尽くしていた。 依頼失敗。 打ちひしがれる彼らの背中に一枚の紙が落ちた。 太い文字でその紙にはこう書かれていた。 『もふらを返して欲しければ、金を用意しろと飼い主に伝えろ。 金額は1000000文 後で連絡する』 と。 |