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■オープニング本文 「おーい。清心。早く来いよ〜。でないと遅くなるぞ〜」 前を行く友人が大きく手を振る。 「開拓者ギルドは逃げないって。そんなに走ると転ぶよ」 「大丈夫だって‥‥、うわあっ!」 人にぶつかり、ドスンと音を立てて転がった友人を肩を竦めて清心と呼ばれた少年は見つめた。 「なんだか、危なっかしい奴だなあ〜」 少年を知るにつけ、清心はそう思う。 深い山から下りてきて数か月。 一人暮らしを始めた少年彼方は彼の友人でもある。 正直、清心の側から見てみれば彼方を友人と呼ぶのは憚られた。 何せ、清心は彼方の師匠に弟子入りする為に彼を誘拐した犯人であるのだから。 だのに彼方は彼を許し、友達になれと言った。 その思考にはついていけないところもあるが、今はその友達の関係を嫌がっていない自分がいることを清心は不思議に思いつつ、楽しんでいた。 開拓者ギルドにやってきた少年達は二人。 「やあ。どうしたね?」 何度目かの来訪になる彼らに係員は小さな笑顔を見せた。 「海に行きませんか?」 ギルドの係員は首を捻る。依頼ではなく、遊びへの誘いであろうか? と。 「いいえ。あ、まあ、半分は確かに遊びでもあるんですけど」 苦笑するように言い置いてから清心は一枚の依頼書を差し出した。 場所は五行の南の小さな海岸村。普通に歩いていけば徒歩1日というところだろうか。 そこに荷物を運ぶ仕事、であるという。 「うちの大家さんに頼まれたんです。その村にいる友人に山の幸を届けて欲しいって」 そして、その帰りに海の幸を受け取ってくる。 帰りは少し急ぎ足になるが、まあ、別になんということのない依頼である。 「多分に僕達を遊ばせてくれる為の仕事であると思います。だから、報酬はそんなに出せないんですけど一緒に行って海で遊びませんか? 僕、海初めてなんです」 そういう少年の笑顔は明るい。確かこの彼方という少年は今まで山から下りたことがなかったと言っていた。 なら、確かに初めての海は楽しみだろう。 「えっと、行くのは一人?」 「はい。僕は陰陽寮の授業があるんで行けません。だけど、荷物は荷車一台分くらいあるし、こいつ一人だとどうも危なっかしいから」 こいつと指差す友人に彼方と呼ばれた少年はくってかかる。 「何が危なっかしいだ! 来たばかりの時と一緒にするな!」 「一緒だよ。ここに来るまで何回人とぶつかって、何回こけた? しかもおじいさんの荷物運びしたり、迷子の子供の家探し回って自分まで迷子になりそうになったり。僕がいなかったらギルドまでちゃんと辿り着けたと思うか?」 「ぐっ‥‥」 言葉に詰まる少年。 二人のまるで漫才か何かのような会話を楽しみながら、 「海か‥‥。いいんじゃないか? 楽しんで来いよ」 係員はその依頼を貼り出した。 さて、その頃の海では漁師達が困った顔で腕組みをしていた。 「困ったもんだ。まさか船幽霊が出るとはな。これじゃあ、船を出せねえよ」 「それに俺、海の中に、大事な包丁を落としちまった。親父の大事な形見だったのに‥‥」 「開拓者にでも頼むべかあ〜」 「でも、金がなあ」 彼らが見つめる先の海は、夏の日差しに眩しく輝く。 だが、人々の目には秋の夕暮れのように人を拒む暗い色に見えていた。 |
■参加者一覧
美空(ia0225)
13歳・女・砂
柚乃(ia0638)
17歳・女・巫
葛切 カズラ(ia0725)
26歳・女・陰
由他郎(ia5334)
21歳・男・弓
紗々良(ia5542)
15歳・女・弓
ジェシュファ・ロッズ(ia9087)
11歳・男・魔
ベルトロイド・ロッズ(ia9729)
11歳・男・志
藤嶋 高良(ib2429)
22歳・男・巫 |
■リプレイ本文 ●夏の遠足 今年の夏はどこかおかしいと誰かが笑っていた。 9月を過ぎてもまだ十分に暑いある日の五行の都。 「‥‥山以来‥‥ね。元気だった?」 嬉しそうに微笑む柚乃(ia0638)の手を取り 「うん! 来てくれてありがとう!」 少年彼方は嬉しそうに笑って飛び跳ねていた。 「山の幸を送り届け、海の幸を持ち帰ればいいのね‥‥? 少し、遊べるかな?」 「うん、僕も海で遊ぶの楽しみ。どこまでも続く水ってどんな感じかな?」 「私も山育ち、だから‥‥海はすごく、楽しみ。着替えは‥‥ちゃんと持った?」 「やっぱり、海に行ったら水遊びだよね。水着とか持って来ればよかったかな?」 「海にって行っても仕事なんだからね。ジェシュ。彼方君は陰陽師? 俺の友達にも陰陽師いるよ。よろしくな」 「美空も海は初めてなのです。人様がお困りのようなら美空達がお助けするのであります!」 「‥‥でも、その兜に具足‥‥暑くない?」 「だ、大丈夫なのであります!」 楽しげに会話している開拓者の半分は年若い少年少女達。皆どことなくはしゃいでいるようだ。 「なんだか、子供の遠足の先生気分だな」 妹である紗々良(ia5542)を含めた子供達を見ながら由他郎(ia5334)はそんな苦笑とも笑みとも言えない表情を浮かべている。 「ホントね〜。まあ、今回は荷物を届けるついでに軽く遊んでくるだけの簡単なお仕事だものね。いいんじゃない」 ゆるく笑う葛切 カズラ(ia0725)にそうだね。と藤嶋 高良(ib2429)も頷く。 「何事も無ければ海でのんびりで出来そうだね。久しぶりに海を見るのも悪くない」 ジェシュファ・ロッズ(ia9087)やベルトロイド・ロッズ(ia9729)、重い鎧に息を吐き出しながらも楽しげな美空(ia0225)達、子供達の笑顔を見るのも悪くない。 引率の先生。基、開拓者達はそんなことを思いながら子供達に声をかける。 「おしゃべりは仕事の後からだ。そろそろ行くぞ。準備はいいか?」 呼び声にハッと顔を見合わせた彼らは、それぞれに荷物を確認して頷きあう。 仕事のメインである土産が積まれた荷車には、柚乃のもふら八曜丸が繋がれている。 疲れたらベルトロイドの犬ザラチーストゥイが手伝ってくれるだろう。 もふらの背中を労わるように叩いてから彼方は、同行の仲間達に手を上げた。 「よろしく頼むね。よしっ! 出発進行!」 「「「「「おうっ!!」」」」」 手を上げた彼方に答えるような子供達。それを見守る大人達。 本当に遠足のような依頼が五行の街を旅立っていった。 ●初めての海 依頼人の話だと、海までのんびり歩いて一日。 早足でいけば途中で野宿しなくてもたどり着けるかもという話だった、筈である。 それが‥‥大幅に遅れて二日目の昼過ぎ。 やっと見えてきた村に開拓者達は思わず大きく息を吐き出した。 「はあ〜。やっと着いたわね〜。妙に長かったわ〜〜」 カズラが吐き出した呟きには安堵の色がありありと浮かぶ。 「ホントだねえ〜。木から落ちた雛を助けたり、迷子になってた子供を送って行こうとしたり、おじいさんの荷運びしようとしたり、怪我をした木こりさんの手当てをしたり、なんだか忙しかったよねえ〜」 「‥‥すみません」 ジェシュファの容赦ない本当の事にしょんぼりと顔を下げる彼方の背中をベルトロイドは一回だけぽん、と叩いた。 ちなみに慰めの言葉はかけない。 「人助けも大事、だけど‥‥荷物を届ける、のも、大事な仕事、よ? 日が落ちるまでに、目的地に、着けないと困る、し」 何度も何度も紗々良にそう忠告されていたのにそれぞれに首を突っ込み、野宿する羽目になったのは本当に彼方のせいであるのだから。 「使いの最中だろう、あまり荷から離れるな」 そう由多郎に首根っこを引っ掴まれなければ、もっと遅くなっていたかもしれない彼の行動に皆苦笑を隠せなかった。 「しかし、これだけ困った人を見つけてしまうのも一種の才能ですかね。でも、ほら彼方君、解りますか?」 そう問う高良に彼方は鼻を鳴らした。 「あ、なんか変な匂い。なんだろう。これ‥‥。変な音もする?」 「潮‥‥風ね? あ、向こうに見えるの‥‥あれは?」 紗々良が指差した村の向こう。建物の影に不思議な何かが見える。 開拓者達の足が思わず早まり、そして辿り着いた先に見たものに息を飲んだ。 「これが海‥‥」 彼方はそれ以上の言葉を発することもなく、ただ立ち尽くしていた。 「すごいよね。‥‥八曜丸?」 開拓者達全てが初めての海というわけではない。 だがどこまでも広がる青、そして連なり寄せる白の飛沫、どことなく鼻につき、でも不快ではない潮の香り。 静かで歌うような波の音は、人の心をどこか捕え、浮き立たせる力があるようだった。 「どう? 初めての海は?」 自分のもふらを労わるように撫でながら、柚乃はそんな声を彼方にかけた。 立ち尽くしていた彼方は、その声にハッと我を取り戻し、そして 「すごい! すごいすごいすごい!! 海って本当にすごい!!!」 そんな声を上げた。両手には力が入り飛び上がらんばかりの身体。輝く瞳。 「語彙が足りないよ〜。でも、ま、気持ちは解るけどね〜」 全身で海に感動する彼方をジェシュファはけらけらと、ベルトロイドは少し苦笑しながら、他の開拓者達も笑って見つめている。 「さて、感動の対面も済んだことだし、早く仕事を済ませましょう? 遊ぶならそれからよ」 カズラにそう促され子供達も頷いて、海から少し視線を外した。 ちなみにこの時までカズラは口にしなかったが彼女も遊ぶ気は満々であったようである。 数刻後、村人たちに請われ下げられた頭を前に 「良いわ、やってやる、面倒事解消してその上で遊んでやる〜」 拳を振り上げていたのだから。 ●海からの災厄 「高良さんも言ってたけど、なんだか君って災難っていうか、困ってる人を引き寄せる性質があるのかもしれないね〜?」 漆黒の海を見つめる浜辺。 ジェシュファは横に座る彼方にそんなことを言った。 普段ならベルトロイドが止めるところだが、彼は今、前方の船の上。 提灯の明かりと潮騒の中、そうかな? と彼方は首を傾げ苦笑するように笑った。 依頼人から預かった荷物を、受け人に渡した時点で開拓者達の仕事は完了している。 かろうじて言うのなら、相手から渡される魚を無事に五行まで持ち帰る仕事が残っているくらいだ。 なのに、今自分達は船に乗りアヤカシ退治に向かっている。 それは船幽霊が出て漁に出られないと困っている村人たちを見て 「何か、お手伝いできることはありますか? アヤカシ退治手伝います!」 彼方が止める間もなくそう言ったからである。 「まあ、放っておくのも寝覚めが悪いからいいけどね〜」 「うん、ありがと」 「なんでお礼言うの〜?」 ジェシュファの言葉はキツイようであるが、嘘や取り繕いがない。 ここ数日の旅で彼方はそのことに気付いているので素直に礼を言った。 「時間の許す限りは大丈夫だと思う‥‥」 柚乃は彼方の頭をなでなでする。照れたように彼方は笑っていた。 「海の幸を持って帰る、のも、お仕事だし、困っている人を、放ってはおけないよね。‥‥でも船幽霊って‥‥アヤカシ?」 首を傾げる紗々良の問いに美空は頷く。 「船幽霊って言うのは海の怪談によく出てくるらしいです! 海一面に手が現れて柄杓を奪うとそれで海水を船に注ぎ込んで船を沈めてしまうのが一般的な話。でも、ここのは違うらしいのです。海から不思議な言葉で呼びかけられて返事をすると幻覚を見せられるって聞いたのです。だから変に呼びかけられても返事をしてはいけないのです!」 「もしくは、返事をした時底のない柄杓を渡す、ですね。そうすると相手を力技で引き入れようと姿を現すのだとか‥‥」 だから、と高良は海に進んだ船を指さし浜で待つ子供達に言い聞かせた。 「あの船の中には底を抜いた柄杓を積んであります。彼らは船幽霊が現れたらこちらに可能な限り引き寄せてくれることになっていますからこちらに船幽霊が来たら全力で援護しますよ。もし船が沈んだら助けに行く用意も」 「「「「はい!」」」」 元気な声が唱和して、海を見つめ身構えていた。 その頃船の上。 「仕事ついでとは言えコッチも慈善だけの事業じゃないんだから食事とかは奢って貰うわよ」 「はい。それは勿論。よろしくお願いします」 怯え顔ながらも船漕ぎを頼んだ漁師はカズラの問いにそう頷いた。 そんな会話を横で聞きながら妹の用意した包みを開き、由他郎はおにぎりを横に置き、柄杓を取り出した。 「それは何かのおまじない?」 底のない柄杓に首を傾げるベルトロイドにああと頷いて由他郎はその一本をぽいと投げ渡す。 「船幽霊は船を沈める為に船に水を入れるという。だが底がない入れ物を渡されると水が入れられず姿を現す」 「単純だね」 「知能は大したことないらしいからな。だから、敵が出たらこれを渡せ。そして岸に引き付けるんだ」 由他郎の指示にベルトロイドが頷くとほぼ同時。 『誰だ〜、お前は誰だ〜〜』 漆黒の闇の中から声がする。船につるした松明程度ではどこに何がいるのか解らない。 「返事、してもいい?」 「ああ」 「俺はここにいるよ。ベルトロイド・ロッズ! 出るなら出てこい!!」 手に持った柄杓を伸びた手に投げつけると、ベルトロイドは槍を構えた。 ぬうっと伸びた手は4本か、それ以上。 船のヘリを掴んだ手は船体を揺らし傾けようとする。ベルトロイドが投げた柄杓で水を入れようとする手もある。 だが、底のない柄杓は水を留めることなく海に落とし、逆に 『お前たちは〜、何者だあああ!!』 その身体を海から引き揚げさせたのだ。 「前進! 船を岸に戻せ!」 由他郎の声と共に漁師は櫓を握り締めて船を走らせる。 追いかけてくる船幽霊を引き付けるように由他郎とベルトロイドが矢を放ち、槍を構える。 「危ないわね! 符よ。かの敵の足を止めよ!!」 カズラの放った呪縛符が船に乗り上げんとした船幽霊の動きを止め、そこをすかさずベルトロイドの槍が貫いた。 『ぐあああっ!!』 一体の船幽霊がかき消されるように消失する。 残る二体が船に迫るが、その頃にはもう船は岸辺に近づいていた。 「ベルトー、避けて!! いくよ! サンダー!!」 「符よ走れ。敵を切り裂け!!」 岸辺で待っていたジェシュファと彼方が放った術は、地面に平行に走る稲妻のように追い縋ろうとする船幽霊に襲い掛かる。 『ぐぎゃああ!』 さらに二条の攻撃が闇を裂く。 美空の神楽舞に照らされて柚乃と紗々良の攻撃が船幽霊に突き刺さる。そして 「終わりだ!」 『!!!!』 文字通りの止めとして撃ち込まれた槍と、鞭と脇差が静かに抜かれた。 カタンと音を立てて柄杓が船底に落ちる。 怪我人達を優しい光が包む中、暗い闇の中、海へと散っていく瘴気を開拓者達は静かに見つめていた。 ●夏の思い出 船幽霊退治を終えた翌々日の朝。 「ほら、彼方さんも、いらっしゃい。‥‥こわく、ないよ」 「べ、別に怖くないけど‥‥って、うわああっ!」 「油断大敵ってね!」 「ジェシュ! 彼方びしょぬれになってるじゃないか?」 「‥‥みんな、水着に着替えればいいのに」 「美、美空には水はかけないでほしいのであります! 鎧が錆びるし‥‥濡れるし」 「じゃあ、こっちで砂遊びしようよ。棒倒しって教えてもらったんだ」 砂浜で、ころころと転がるように走り回る子供達を見て 「あ〜、子犬が団子になって転がってるみたいだ」 由他郎はそんなことを考えながらのんびりと、その光景を楽しんでいた。 「確かに、いい光景だね」 高良もあくびをしながら砂の上に敷かれた茣蓙の上に座っている。 ふと、そこに海からバシャンと大きな飛沫が踊り、何かが立ち上がって来る。 「ふふふ。なかなか気持ちよかったわよ。貴方達も泳いで来たら?」 濡れ髪を揺らしながら海から上がってきたカズラの身体から、慌てて目を離す男性二人をくすりと笑って見ると彼女は茣蓙に座って体を伸ばした。 「やっと、遊べたわ。‥‥まったくよく働いたわよね。荷物運びだけの予定が船幽霊退治に包丁探しだもの。追加報酬貰ったってバチ当たらないわよ」 「それは確かにお疲れ様、だな」 由他郎が差し出した茶は漁師達からのお礼の一部、だろう。 それを干して高良とカズラは顔を見合わせた。 「でも、無事に見つかって良かったです。正直無理かと諦めていましたから」 船幽霊退治の翌日、開拓者達は海の中に大事な包丁を落としたという漁師に頼まれて海の中を徹底捜索したのだ。 柚乃はもふらに取って来てもらおうと思ったが 「あ‥‥やっぱり、無理?」 もこもこの毛のおかげでぷかぷか浮いてしまい、潜れなかったのだ。 浮いたまま振り返った自慢げな顔が忘れられない。 とにかく、カズラと彼方の人魂で海の中を探し、泳げる者皆で、潜って探す。地道な作業が約半日続いた。 発見は簡単ではなかったが、なんとかそれを見つけ出し、落とし主に渡した時のあの笑顔はなかなかに替えがたいものでものであったと思える。 そして今日、朝の漁で新鮮な魚を取ってくるからと言った漁師を待って開拓者達は、一時の時間を楽しんでいるのだった。 「でも、本当に危なっかしい子ね。あの彼方って子」 カズラは苦笑しながら由他郎達の目線の先にいる、一人の少年を見つめた。 「ええ。泳げもしないのに海に潜ろうとするあたり、まったく目が離せませんよ」 「まったくだ」 言葉だけ聞いていれば手厳しく聞こえる。だが、その目で見れば腹を立てているわけでも、怒っている訳でもないと知れるだろう。 その眼差しは優しかった。 「あっ! 船が帰ってきたよ」 「魚獲れたかな」 「お手伝いしまーす!」 「「こら!」」 笑いあう開拓者達の上に夏の思い出を残し、優しい日差しと秋風が静かに吹き抜けて行った。 翌日の朝、開拓者達はなんとか五行の街に辿り着く。 一夜を越えてしまったがお土産の魚はなんとか新鮮なままであり、依頼人はとても喜んでいたという。 だが開拓者達はドッと疲れたと後に口にする。 「帰りは生ものだから‥‥余計に、気をつけてって‥‥言ったのに」 「まったく、災難体質だよね〜」 帰り道も行き道同様に人助けに足を止めまくった彼方は 「楽しかったよ。ありがとう!! またの時はよろしく!!」 開拓者に満開の笑顔で、そう告げたのだった。 由他郎にげんこつを一つ、貰いながらも‥‥。 |