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(シマモトケイタロウ)嶋本圭太郎

new2021年03月17日 シングルノベル 納品

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ご利用にあたって

ご依頼の前に、一度ご確認ください。

■ノミネート
受注はノミネートを基本として承ります。
よほど「これは私にはムリ」とならない限りはお受けする方針ですので、その点はご安心ください。

■『if』について
WTノベルは原則としてゲーム本編に持ち込めないifノベルです。
‥‥という前提はあるのですが、執筆に当たっては世界観に沿った内容になるよう努力します。
(ゲーム内の日常、あるいは回想などと想像しても差し支えが無いように)

逆に、世界観無視の完全ifとして執筆して欲しい、というような場合は、
発注文にその旨明記していただけますようにお願いします。

■世界観把握
出来るだけ世界観に齟齬が出ないよう執筆させていただきますが、
過去~現在に至るシナリオの流れや、込み入った部分については取りこぼしが多くなると思われます。
その点は予めご了承ください。

■発注文について
 発注文と納品ノベルの文字数の差から、アドリブはどうしても入ってきます。
 少しでも齟齬をなくせるよう、発注文はできるだけ字数いっぱい埋めていただけると助かります。
 台詞のパターンや行動・思考のパターンなど、情報は多ければ多いほどイメージに沿った描写ができるはずです。

 同行者がいる場合、
 相手の呼び掛け方や、相手との関係性・どう思っているかといった情報も是非お書き添えください。

■対応できます・できません

 BL/GL‥‥恋愛の一形態、という扱いでよければ対応できます。
        右とか左とかはよくわかりません。

 SF‥‥かなりなんちゃってになると思います。

 軍事・ミリタリー‥‥苦手です。実在兵器の知識とかはほぼありません。

 ホラー‥‥普段接点が無いので、自分が書いたものがはたして怖いのかよくわかっていません。

 ギャグ・コメディ‥‥本気で笑わせにいくと滑ることが多いみたいです。
 ほのぼの展開を少しコメディっぽく、とかでしたら。

 流行りもの‥‥疎いです。


 上記をご理解いただいたうえで、それでも! というご依頼があれば、全力で対応させていただきます。

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サンプル・バレンタイン

『春苑佳澄のお気楽バレンタイン』


「よいしょっ‥‥と」
 木製のドアがぎいと押し開かれると、佳澄の顔が半分ひょこりと覗いた。残りの半分は、抱えている大きな紙袋に隠されている。
 両手がふさがっているので、肩と腰と、それからお尻でドアの隙間を広げながら、全身を室内に滑り込ませた。

 寮の自室である。ベッドの脇に置かれた小さな丸テーブルの上に、抱えていた荷物を置いた。
「ちょっと買いすぎちゃったかなあ」
 佳澄は自分も丸テーブルの隣に腰を下ろすと、すぐに紙袋をがさがさあさりだす。
 すると中から出てきたのは、チョコレートのパッケージだった。といっても板チョコの類ではない。
「でも、先輩にも友達にも渡すし‥‥余ったら、自分で食べればいいんだもんね」
 買ってきたのは、バレンタインのプレゼント用のチョコレートであった。

 佳澄はチョコレートを一つ一つ取りだしていく。
 パッケージに可愛らしいイラストが書かれたアソートボックス。
「ええと、これは同級生の子かな」
 シンプルでシックなデザインの小箱に入った、味わいもビターな一品。
「これは先輩に‥‥」
 ハート型にラッピングされた小さなチョコが詰め込まれた袋は結びリボンが可愛くて気に入った。
「これは、後輩の子にしようかな」
 そうやってひとつひとつ、渡す相手を想像しながら仕分けしていく。

「本当は、手作りができたらいいんだけどね」
 ふと、そんなことを思った。佳澄は自分では火や刃物が使えないのだ。克服しなきゃなあ、とは考えつつも、差し迫った必要性(たとえば、特別な相手に手作りチョコをプレゼントしたり、とか!)が訪れる気配が無いため、先延ばしにされているのだった。

「あっ、これお酒が入ってる」
 基本的にパッケージのデザインだけで選んできたので、中にはそういうものもある。
「んん、じゃあこれはお酒好きそうな先輩用に‥‥誰がいいかな」
 相手が決まらないものはいったん脇によけて、次。
「ああー、これ‥‥美味しそうだったやつ」
 取りだしたアソートは予算からするとちょっとお高めだったのだが、展示されていた見本に見入っているうちに我慢が出来なくなって買い物かごに投入したものだった。

「ええと‥‥数はたぶん足りるし‥‥」
 プレゼント用に買ってきたものではあるけれど。佳澄はきょろきょろと周りを見た。もちろん、他に誰もいるはずなんかないけど、一応。
「‥‥えへへ」
 ぺりぺりと、包装紙をそっとはがしていく。なんだかちょっと、いけないことをしている気分。
 包装紙はきれいにはがれた。それは畳んで脇によけて、箱をそっと開ける。
「わあ!」
 そこにはもちろん、見本に展示されていたのと同じチョコレートが収まっていた。ひとつひとつデザインが違っていて芸が細かい。見本と違うのは、ほんのり甘いチョコレートの香りが鼻をくすぐったことだった。
 早速、どれかひとつ。どれにしようかな? 佳澄は伸ばした指先を少し泳がせて、卵型にちょんちょんと飾りのついた、並んでいる中でもシンプルなデザインのチョコレートを手に取った。
「いただきまーす‥‥」
 丁度ひとくち大のチョコを、あ~んと口を開けて、ぱくり。
「ん! ふぁまうっふぁい!」
 ──甘酸っぱい、と言いました。
 どうやら、何かドライフルーツをチョコで包みこんだものだったらしい。ひとくちで食べちゃったので、なんだかよくわからなかったけど。
「いちご、かなあ? うん、多分そう!」
 正解はわからないのでそれで納得しておくことに。
 さらに二個、立て続けに食べて(アーモンドのと、中が柔らかいチョコ! どっちも美味しかった! と佳澄の弁)、四つ目に手を伸ばしたところで、はたと止まる。
「全部いっぺんに食べたら、もったいないかな。‥‥太っちゃうかもだし」

 顎先に指を当てて、熟考することしばし。

 佳澄はえいっと勢いをつけて、立ち上がった。チョコの箱には蓋をして──。
「食堂でお茶もらってこようっと」
 続きを食べる気満々で、部屋から出て行ったのだった。

   *

 結局この後も、佳澄はチョコを食べ続け、十二個入りのアソートチョコはきれいに食べつくされたのだった。
「んー、美味しかった! まんぞく!」
 口の周りについていたチョコをちょっと行儀悪く舐めとりながら、佳澄は笑顔だった。箱はしばらくとっておこう。見るたびに今日の味を思い出せそうだから。

「さてと」
 そして残ったのは‥‥仕分け途中で散乱したチョコレートの箱の山。
「後は、明日でいっか」
 今日はもう、チョコレートはお腹いっぱいだ。

「‥‥よし! 晩御飯の時間!」
 順番が前後してしまったが、甘いものはなんとやら、である。
 佳澄はチョコレートの山はそのままにして、再び食堂へ降りて行くのだった。

(2016/1/26)

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サンプル・ファンタジー風

 『契約』


 クアール王国は、百年の栄華を謳歌する平和な国家。
 首都には美しい黒大理石の装飾に飾られた荘厳にして豪奢な王城、別名『黒薔薇城』があり、城には雪のように透き通る白銀の髪を持つ見目麗しき、国民に『白百合姫』と呼び親しまれる美姫がいた。
 王は壮健にして、後を継ぐ王子も文武両道に優れた恵者と誉れ高い。クアール王国は今後さらに百年の時、安泰であろうと諸外国からも羨望を交えて語られていた。

 ──ほんの三日前までのことだ。



 はるか高い天井から漏れるか細い灯りにだけ照らされて、『白百合姫』ことマリアンナ・エル・デ・クアールは膝を抱えていた。
「‥‥」
 長いことそうして目を閉じ、眠っているかのようであったが、やがて薄目を開けてゆっくりと周囲を見回す。
 狭く、何もない部屋だ。備品は姫が今まさに腰かけている粗末な寝台が一つきり。
 姫君の居室にしてはあまりにも物足りないが、仕方のないことだった。

   *

 三日前、突然城内が慌ただしくなった。就寝の準備をしていた姫はいつになく険しい表情でやってきた侍女に強引に手をひかれ、城で最も奥まったところにある塔へと連れられた。
「どうしたの? こんなところ、普段勝手に来たら怒るくせに」
 侍女は姫にただ黙るようにだけ言うと、何もない壁の前でなにがしかの動きをした。

 ガコンッ‥‥

 重く響く音がして、壁が動いた。

「なあに、ここ。秘密の隠れ家? 素敵ね!」
 現れた扉を潜り、天井を見上げた姫は冗談めかして言ってみたが、侍女の表情はピクリとも変化しない。「扉が閉まりましたら、出来るだけ音をたてず、お静かになさってください。決してお出にならないよう」
「‥‥何があったの?」
 さすがに心配になって聞いたが、侍女は首を振るのみ。
「私も詳しくは存じません。ただ、姫様をここにお連れし、事が収まるまで外に出すな、と王の厳命でございます」
「そう‥‥」
「事が収まれば、すぐお出しいたします。収まらずとも明日にはまた、お食事をお届けにまいります」
 侍女は言い、深く頭を下げた。その肩が小さく震えていることに、姫は気づいた。
「‥‥大丈夫。待ってるわ」
 笑ってみせると、侍女はぎこちなく笑みを返した。
「失礼いたします」

 扉が閉められた。

   *

 そして三日だ。

 その間、ここには誰も来なかった。食事を届けに来ると言った侍女も、他のものも。
 一度だけ、複数の足音が部屋の外に響いてきたことがあったが、息を潜めていたらやがて遠ざかっていった。
 できることは、今は待つことだけ。
「どうしたのよ‥‥メイ」
 寝台に寝転がって、侍女の名前を口に出したら、唐突に寂しさが喉の奥からせりあがってきた。
「うぐっ‥‥う」
 どうせ誰もいないんだし、ちょっとくらい泣いたっていいかな──と思ったその時。

「寂しいのなら、私の胸を貸してあげましょうか、お姫様?」

 背後から声がした。あわてて起き上がり、振り返る。
「誰!?」
「初めましてね、お姫さま」
 誰もいなかったはずの部屋に、女が一人、立っていた。上等な黒のドレスを身にまとっているが、あまり上品な印象は受けない。女性のマリアンナでも思わず目を向けてしまう、大胆に開いた胸元と、そこから零れんばかりの豊満な膨らみのせいだろうか。
 いや、そんなことより──マリアンナは扉へ目を向けた。気づかないうちに仕掛けを操作されたのだろうか。
「ああ、大丈夫よ。そこから入ってきたわけじゃないから」
「‥‥だったら、どこから入ってきたの?」
 心底怪しい。
 ここには他の入り口なんてない。天井の明かり取りはだいぶ小さいし、第一あそこは塔のてっぺんのはずだ。
「どこからでも」
 女はニンマリと笑った。
 王族を目の前にして、まったく畏れというものが無い。マリアンナは胸を張り、精一杯の威厳を込める。
「どういうことか、きちんと説明しなさい」
「んー、顔はカワイイけど、身体の成長はイマイチね。でも全体的にまだ子供って感じだし、これからに期待、かしら♪」
「なっ‥‥どこを見てるの!」
 品定めするようにねめつけられて、マリアンナはあわててその小さな胸を両腕で覆い隠した。
「真っ赤になっちゃって♪」
「説、明! しなさい!」
 マリアンナは今の状況も忘れて怒鳴りつけた。だが、相手は全く動じる様子もない。
「んふふ、今からしてあげるからいい子にして聞いていなさいな」
 人差し指が伸びてきて、マリアンナの額を軽く押した。すると不思議なことに、マリアンナは力が抜けたようにして寝台に座りこんでしまう。
「私はこの城に住まう悪魔」
「悪魔‥‥!?」
「そうよ。より正確には住んでいた、かしらね。今から百年前‥‥ここへ来た一人の人間と私は契約を交わしたの。あなたのご先祖さまね。
 私は彼と彼の一族にこの城を自由に使うことを認め、それから百年の間、この城を守護すると誓った。彼はこの城を中心とした都市を作り、代々にわたって繁栄させると誓った」
「そんなの、私知らないわ」
「そう? でも今の王様も知っていたはずよ。王子様も。あなたが知らされていなかったのは‥‥まだ若すぎたからかしら」
 悪魔の女はまた視線を上下に動かし、マリアンナは後ずさった。
「とにかく、契約は百年間。それはついこの間切れたの。私としては延長してもよかったのだけれど‥‥話し合いを持つ前に、この事態よ」
 悪魔の女は苦笑して両手を上げた。
「あなたは事態を把握しているのね‥‥何がどうなっているのか、私に教えなさい!」
「私の話をちゃんと聞いていなかったのかしら、お姫様?」
 女の目がすうっと細められると、ナイフの切っ先を当てられたような、冷やりとした威圧感があった。「あなたの一族との契約は、もう切れたの。今のあなたに、私に何か命令する権利は、ありはしない」
「で‥‥でも、だったら」
 口ごもってしまったことに悔しさを感じながらも、マリアンナは訴えた。
「だったら、なんでここへ現れたの! 私を馬鹿にするためではないのでしょう!」
「もちろん。そこまで退屈してないわよ」
 女はついと顔を寄せた。やたらと艶のある唇には、紫のルージュが引かれている。
「新しい契約を結びに来たの」
「新しい‥‥契約?」
 マリアンナは訝しんだ。延長ではなく、新規の契約。
「‥‥条件を言いなさい」
 気圧されることのないよう、出来る限りの眼力で相手を睨みつけて、マリアンナは言った。
「城の宝物庫が荒らされて、『黒薔薇石』が持ち出されたわ」
「それって、確かお父様が式典の時につける‥‥」
 薔薇をかたどった、美しい石だ。一見すると真黒だが、光に照らせば幾重にも輝きを放つ。
 普段は宝物庫の奥深くに厳重に保管されていて、マリアンナでさえ直接目にしたのは数回きりだ。
 悪魔の女は頷いた。
「あれには私の力の何割かが収められてる。あの石を取り戻して頂戴」
「石を取り戻す‥‥私が?」
「そうよ、お姫様」
 女の口元から笑みが消えることはなかったが、冗談を言っている様子はなかった。
「戦うのはあなたよ。あなたの腕はマシュマロみたいにふわふわで、髪はビロードのよう。まるでお人形さんみたい。でも心配はいらない。戦うための力は私が貸してあげる」
「それが、私の見返りってこと?」
「私が知りうる限りの情報も教えてあげるわ」
 戦う力と情報と引き換えに、悪魔のために働けと言われているのだ。マリアンナが答えずにいると、悪魔は一つ付け足した。
「それと、いくらかの知恵もね。この城にもうあなたを助けてくれる人はいない。一人で出て行っても生き延びられないわ」
 助けてくれる人はいない、という言葉は、少なからずマリアンナを痛めつけた。
「‥‥わかった」
 絞り出すように、口にする。「契約するわ」
 途端に、悪魔の女はその場でくるりと宙返り。
「本当!? いい判断だわ! あなた見かけより賢いのね!」
 喜びを表現してみせると、言った。

「じゃあ、キスしましょう」
「‥‥は?」

 マリアンナの目は点になった。
「契約の証よ。濃厚なのをひとつ‥‥」
「ちょっと、何するのやめなさい無礼者! こら、ホント待ってやめて私‥‥!」
「もしかして初めて? なんだったら最後まで教えてあげましょうか」
「最後までって何よ!」
「私男も女も好きだから問題ないわよ♪」
「問題あるでしょう!」
 女はマリアンナを強引に寝台に押さえつけて──。

   *

「いつまで拗ねてるのよう、子猫ちゃん」
「拗ねてなんかないわ」
「ほっぺにしておいてあげたじゃない。知識はあって損はないのよ、いざというときは知らない振りしてたらいいだけで──」
 しゃべり続ける悪魔を無視して、マリアンナは身なりを整えた。それから、ちらりと背後を見やる。
 寝台に胡坐をかき、悪魔の女は全く悪びれない。悪魔の──女。
「名前を教えなさい。契約相手に名乗りもしないなんて、無礼にもほどがあるわ」
「あら、そうね」
 女は答えた。
「ナルグよ」

 マリアンナは扉に手をかけ、深呼吸した。これからこの女──ナルグに、自分の運命を託すことになる。

「いくわよ、ナルグ」
「ええ♪」

 そして、扉を開いた。


(2016/1/21)

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