ーーオープニングーー  そこに理由なんてない。  ただ、なってみたかったのだ――魔法少女というやつに。  テレビの中でキラキラと輝く彼女達は、幼い頃からの憧れだった。  人として大切なもの、優しさも思いやりも愛も勇気も全部、彼女達に教わった。  自分もいつか、あんな風に変身して誰かのために戦いたいと思い続けてきた。  それは夢見る女の子として、ごく自然な感情だろう。  しかし。  自分は男だ。  周囲は当然のように、男の子は魔法少女モノよりも特撮ヒーローが好きなものと決めてかかる。  魔法のステッキやカラフルな変身アイテムが欲しいと言えば「男のくせに」と笑われる。  それでも「自分はこれが好きなんだ」と言える勇気はなく、知っていることと出来ることの間には深い深い溝があることを思い知った。  そして好きでもない合体ロボットをねだった自分に嫌気がさした。  けれど――もう何も怖くない。  世間の目も、同調圧力も、変態のレッテルも……自分自身の声も。  誰が何と言おうと好きなものは好きだと、胸を張って言える男になるために。  毎日が輝きに溢れ、幸せだったあの頃を取り戻すために。 「俺は今、魔法少女になるッ!!」  そんな男達が何故か自然と集まり、唐突に「ドキッ☆男だらけの魔法少女なりきりコン♪」が始まる。  さあ、俺の考える最強ラブリーな魔法少女に変身して、ライバルに差を付けようぜ!