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『『夏の夜風に抱かれて〜眠り姫とハグ魔と夏季大将〜』 』
アーク・ローラン(ha0721)

 夏の陽射しは強すぎて、痛みを感じてしまうから――。
 リリー・エヴァルトは、パラソルの下で浜辺で遊ぶ人々を見守っていた。
「リリー暑くない? 水分補給忘れずにね」
 アーク・ローランが保冷バッグの中から、水筒を取り出してリリーに渡す。
 彼の笑顔もまた太陽のようで、リリーも微笑みを浮かべて水筒を受け取った。
「ありがとうございます。アークさんも遊んできて下さい。私はここで見てますから」
 海遊びが見たいと誘ったのはリリーだった。
 アークは軽く首を左右に振って、顔を海の方へ向ける。
「交代で姫を守る権利を貰ってるから」
 目を向けた先には、浜辺でビーチバレーを楽しむジェイリー・ベイガーの姿があった。
 交代、の約束ではあったが、時間を忘れて遊んでいるのはほぼジェイリーの方で。
 アークはこうしてリリーの傍で、彼等らが楽しむ姿を共に見ていた。
 泳ぐ予定のないリリーは服を着たままだ。
 アークは、遊泳用のゆったりした水着を穿き、上半身にはシャツを羽織っていた。
「肌が痛いぜ〜っ」
 試合を終えたジェイリーが2人の元に駆けてくる。
「真っ赤ですよ、ジェイリーさん」
「色男だね、ジェイリー」
 白い肌を赤く染めたジェイリーに、リリーとアークが笑みを向けて言う。
「こんがり焼けて食べごろだぜ、お1つ如何? リリーちゃん」
「いりません。食べたら無くなっちゃいますから……」
 2人の間に入り込むジェイリーに微笑みながらリリーが水筒を手渡すと、ジェイリーはそのまま水筒に口をつけて、一気に水を飲み干した。
「それじゃ、そろそろ行く? 今日はぬるめの湯がよさそうだね」
 アークは保冷バッグや荷物を担ぎ、パラソルを片付けていく。
「よーし、お待ちかね温泉タイムだ!」
 立ち上がったジェイリーがリリーに手を差し出し、リリーは彼の手を掴んで立ち上がる。
 傾いた日の光が、一瞬だけリリーに降り注ぐ。
 だけれど、彼女に向けられる光は、2人の金髪男性の笑顔だけで、熱い太陽の光は彼女の元に直接届きはしない。
 ごく自然に、荷物を持ったアークが太陽の出ている方向に立っているから。いつでも。

●ナンパ師2人
 海に近い温泉テーマパークに遊びに来ていた3人は、浜辺で遊泳を楽しんだ後、施設に戻り水着着用可の露天風呂に入ることにした。
 既に水着に着替えていたアークとジェイリーは、リリーと待ち合わせた岩風呂に向かう途中の遊歩道で――女性達に捕まっていた。
 寧ろ、捕まえたとも言う。
「お2人は普段何をされてるんですか〜?」
「俺は広場でコンサートを開いたり、家にダチを招いて宴会やったりしてるぜっ、キミ達もエカリスに来た時には必ず寄ってくれよな。エカリス1派手な家だから、すぐに分かると思うし! んで、コイツは白馬に乗った王子サマが職業だっ」
 声を上げて笑い出す2人の女性と共に、アークも笑い声を上げながら、ジェイリーに「違うって」と、つっこみを入れる。
「普段は依頼受けたり、工房で物作りをしてる」
「そのビーズのネックレスも手作りですか? 綺麗ですよね欲しいなー」
 露出度の高いハイレグの水着を着た女性が、上目遣いでアークを見る。
「うん、お店で売ってたら、絶対買っちゃう! 歌も聞きたいなーっ」
 ビキニの女性はほんのり恥じらいを見せながら、小首をかしげる。
「そう? それじゃ、工房に来てくれた時には、似合いのアクセサリーをプレゼントするよ」
「最前列空けて待ってるぜっ♪」
「行く行く、絶対!」
 可愛らしい女の子2人に、へらへらと笑みを見せる二人だったが――。
「それじゃ、後で地図を渡すから今晩……」
「っと、ジェイリー」
 アークは肘でジェイリーを小突き、首を振り顔を一方に向ける。
「……ああ。んじゃ、待ってるぜ」
 彼女達に軽くウィンクをすると、ジェイリーとアークは女性2人を置いて急ぎ足で露天風呂へと向かう。

「俺等の連れに何の用?」
 アークが金髪の男の肩に手をかけ力を込めて引く。
 よろめいた男の先に、水着姿の女性がいた。
「アークさん」
 金髪の男と茶髪の男に言い寄られていた女性――リリーの安堵の笑みに、アークは息をついた。
「ごめん、遅くなって」
「俺より先に彼女の水着姿を見やがったなーっ!」
 共に駆け寄ったジェイリーが叫ぶ。
「一緒に遊ぶ? 結構ハードな遊びになると思うけど?」
 にっこり。アークは男達に微笑む。
「それとも、じゃんけんで決めるか? 俺が勝ったら、彼女は俺のもの! お前等が勝ったら、俺がお前等と一日中遊んでやるぜ〜っ!」
 にこにこと問いかけるアークとジェイリーに、男達は軽く舌打ちをすると何も言わずに去っていった。
「……遅かったですね。肌、痛いんですか?」
 リリーが心配気に問いかけると、ジェイリーはアークを見、アークは軽く目を逸らした。
「肌は大丈夫。んと、ここに来る途中、難所というか……障害物があってさ!」
「うん。2人して罠に嵌っちゃって。さすがテーマパーク!」
 微妙な顔で笑い合う男性2人を不思議そうに見つめた後、リリーも一緒に笑い出す。

 ザバンと勢い良く湯に入り「いてぇ」と言葉を漏らしたジェイリーに続き、シャツを木にかけてアークも湯に入る。
 リリーはお湯を体にかけて熱さを確かめてから、ゆっくり片足を入れる。
 ブラウン地に白いユリの絵が描かれた水着は、彼女にとても似合っていた。
 長い髪は1つに縛って上部でまとめている。
 はみ出た毛先が軽く首にかかっていて、それがまた悩ましく美しい。
「可愛いなぁ……リリーちゃん。そりゃナンパされるわな」
「けど、ジェイリーはハイレグが好きなんだよね?」
「アークは、ビキニ好きだろ。さっきもビキニの娘ばかり気にしてたし」
「おっ、鋭いね」
「俺はハイレグだけが好きってわけじゃなくてな、単純に刺激的な水着姿が好きなんだっ」
「それじゃ、2人でリリーにプレゼントしてみる? ハイレグビキニ」
「それも捨てがたいっ、捨てがたいが、今度は水着着用不可で、バスタオルOKな旅館がいいぜっ。胸元のバスタオルを掴んで、蒸気でほんのり顔を赤らめながら、さっきのように片足をそっと入れる姿とか見たくね?」
「……何話してるんですか」
 リリーは思い切り苦笑しながら、2人に近付く。
「男同士の大っ切な話だ。聞いたら火傷するぜ、リリーちゃん」
「そうそう」
「殆ど聞こえてましたけど」
 リリーは浮かべた手をぎゅっと絞り、お湯をぴゅっと飛ばす。1メートルくらい飛んだ湯が、ジェイリーとアークに降りかかった。
「お風呂の遊びです」
 くすくす笑うリリーに、ジェイリーがにやりと笑みを浮かべる。
「上手いねリリーちゃん、でもプールや海ではこうやって遊ぶんだぜ」
 両手で湯をかいて、バシャバシャとジェイリーはリリーに湯をかける。
「あっ、や、やめてください」
「こらジェイリー、リリーがのぼせるだろっ」
 アークはジェイリーに湯をかける。
「うわっ、やめろって……いてぇし!」
「ここプールでも海でもないですよ、二人とも」
「逃がすか〜っ」
 笑いながら温泉から上がろうとするリリーの腕を、ぐいっと掴んでジェイリーが湯の中に引込む。
「捕まえた。悪戯姫」
 湯の中に落ちそうな体を、アークが支える。
「逃げられません、ね」
 3人。笑い合って、もう少し温泉を楽しむことにする。

●お持ち帰り
 温泉から上がって、和気藹々と夕食を済ませた後、3人は施設内のバーで酒を楽しむことにした。
 時間が早いこともあり、客の姿はあまりない。
「さあさあ、リリーちゃんも飲んで飲んで」
 ジェイリーがグラスに強い酒を注いで、リリーへと渡す。
「私、飲めませんので。ご存知ですよね、ジェイリーさん」
 リリーはくすくす笑いながら、酒を遠慮して林檎ジュースが入ったグラスに口をつけた。
 酔い出すと調子に乗ってジェイリーが変なことをし出すことは、もう良く解っているので自分で頼み、自分で管理していたジュース以外は飲まないでおこうとリリーは決めていた。
 悪乗りしてジュースに酒を混ぜてくるなんてそんなこと……彼がしないはずないから!
 本当はお酒の勧めも少しは受けたいのだけれど、少しでも飲んだら眠ってしまうほど弱いので、こればかりはどうすることも出来なかった。
「それじゃ俺が貰うよ。丁度これ飲みたかったし」
 ジェイリーがリリーに飲ませようとして注文した酒は全てアークに回っていた。
(……そういえば、アークさんがお酒を飲まれるところって殆ど見た事が無いような)
 リリーはアークと飲みの席で同席したことは何度もあるのだけれど、彼が酔うほどに飲んだ姿は見たことが無い。
「こっちのワインもお勧めだぜ〜」
 勿論、それとは別にジェイリーはアークにもどんどん酒を勧めていく。

「おーれーはじぇいりー♪ 夏季大笑〜♪」
「よっ、夏のジェイリー最高!」
 バーが賑わってきた頃には、ジェイリーは椅子の上に立ってボトルをマイクに歌い出しており、アークもいつもより陽気になっていた。
 酔っていないリリーは少し恥ずかしくもあったけれど、2人合わせて、酔って呂律が回らなくなった彼の歌を新鮮な気持ちで楽しみ、拍手を送っていた。
「皆〜! 今日は俺の為に集ってくれれサンキュぅなーーーーー!」
「違いますって、ジェイリーさん」
 歓声に応えるかのように両手を上げるジェイリーに、リリーはくすくすと笑い出す。
「ありがとう、ナンパ師アーク、ありがとう、女神リリー♪」
「ありがとうー、超ナンパ師ジェイリー」
 突如、アークはがばっとジェイリーに抱きついた。
 そして、次の瞬間。
「ありがと〜、ひめー」
 リリーが息をするより早くアークが飛びつき、ぎゅぅぅっと抱きつく。
 リリーは思わずグラスを落としてしまった。
 自分の状況がちょっと解らなくて。
 軽く混乱しながら、ぺたんと椅子に腰掛けたジェイリーに目を向ける。
 もしかしてこの人酔ってます? ……と、彼の肩からリリーはそんな視線をジェイリーに向ける。
 アークは変わらず抱きつきながらすっごい嬉しそうな笑みを浮かべている。
「アーク……お前ってやつは……っ」
 リリーがぐいっと、アークの肩を掴み、アークはビクリと反応しリリーから手を放した。
「独り占めはずるいぞー♪ 部屋にお持ち帰りだ〜♪」
 が、ジェイリーは2人にダイビングするかのように飛びついて、2人纏めてぎゅっと抱きしめる。
「よぉし、酒も肴も持ち帰って、部屋で勝負だなじぇいりー」
 アークも再び2人にぎゅっと抱きつく。
 グラスや食器が落ち、床に散乱していく。
 飛び付かれて強い衝撃をうけたリリーは軽く眩暈を感じた。
「……あの、すみません、が……」
 ついに。
 たまりかねて、バーテンダーが3人の前に立ち、申し訳なさそうな顔をリリーに向ける。
「すみま、せん。すぐに2人とも――持 っ て 帰 り ま す の で」
 どこかしら凄みのある顔でリリーは艶やかに微笑んだ。

●空の華
 バーから出た途端、浮ついていた気持ちがすっと引き、アークに理性が戻ってきた。
 ジェイリーに肩を貸していたリリーと目が合った途端……とてつもない焦りが押し寄せ、酔いを醒ますために逃げるように非常口から外へと飛び出した。
「いや待て、あの状態のジェイリーと2人きりにしておくのも……っ」
 迷った末に、アークは非常階段を駆け上って、最上階のバルコニーに出た。部屋ごとにバルコニーは仕切られているが、手すりにぶら下がって仕切りを越えて、どうにか借りている部屋のバルコニーにたどり着く。
 明りのついた部屋を覗くと、リリーが眠っているジェイリーを団扇で扇いであげている様子が目に入った。
 激しく動いたせいか、軽く眩暈を感じて、アークはしゃがみこむ。
 風は涼しくなく、火照った体は冷えはしない。
 酔っていたとはいえ、バーでのことはしっかり記憶に残っていて。
 抱きついた時の感触、とか、彼女の強張った体とか……。
「うううっ」
 軽く呻き声を上げて、思わず頭を抱える。
 合 わ せ る 顔 が な い ――!
 自分の酒癖の悪さは理解していたため、そう注文してはいないはずなんだが。が。が。
 ジェイリーがリリーの為に頼んだ分が余分だったらしい。
 窓が開く音に、アークはぴくりと震えた。
「……こんなところにいらしたのですか、アークさん」
 続いて響いた、リリーの声。
「気分、悪いんですか?」
 心配気な声に、取り繕いながらアークは答えた。
「いや、大丈夫……ご、ごめん」
 どーん。
 音と共に、パッと空に華が咲く。
「花火、綺麗ですね……」
 遠くの空を見つめた彼女の横顔が、とても綺麗で……。
 風になびいた上着を、そっと押さえる姿がとても可愛らしくて。
 立ち上がりながら――思わず彼女に手を伸ばしている自分に気付く!
 ガン!
 慌てて思い切り手を引いた拍子に、壁と手すりにそれぞれの手をぶつけてしまう。
 両手を押さえながら立ち上がって、いつものように笑みを浮かべる。
 ――危ない。
 まだ酔いは醒めていないようだ。
 アークは手すりに近付いて、とにかく平常心を装い光の華に集中をすることにする。
 手すりの上で手を組んで両手を封印し、夜空に顔を向けた。
「綺麗、だね」
 リリーは柔らかく微笑んで、アークの隣に立って夜空を見上げた。
「私も……さっきは、ごめんなさい。私だって、いきなり男性に抱きつかれたら驚きます、から」
「いきなりじゃなきゃ、いい?」
 その声は隣ではなく、後から響いてきた。
「花火の音で目が覚めた〜。よかった、一緒に見たかったんだ」
 ふらふらとバルコニーに出てきたジェイリーが、2人の間に入り込む。
「……必要な時も、ありますよね」
 そう答えてリリーは視線を夜空に戻す。
 バリバリバリ――。
 音と共に、模様が浮かび上がる。
 仕掛け花火だ。
 今度は花ではなくて、ピンク色の多数のハートマークだった。小さなハートマークがハート型に散りばめられている。
「あれ俺、俺が依頼しといたやつ!」
「ジェイリーらしいね」
「ほんと……」
「花火のテーマが愛だったからな、直球勝負だぜ〜っ」
 花火を指差してはしゃぐジェイリーに、アークとリリーは笑みを見せる。
 夜の街に続いて浮かび上がった模様は、黄色のガザニアの花だった。
「……実は俺も、依頼してあったりして」
 アークが悪戯気に笑う。
「カザニア、ですか」
 リリーはぐっと手を伸ばして、それから手すりの上で両手の指を絡めた。
「私もこっそり、依頼してあります」
 少しはにかんだ様子に、左右の男性は期待した。
 幾つかの仕掛け花火の後、夜空に大きく浮かび上がったのは――。
 大きな三毛猫の顔だった。
「あれ? 俺じゃねぇの、リリーちゃん!?」
「猫の姫様、だね」
「はい」
 アークの言葉に微笑んだリリーの肩に、ジェイリーの腕が回される。
 アークの肩にも腕が回されて、2人とも強く引き寄せられた。
「テンション上がってきたぜっ」
 ジェイリーは2人の肩に腕を回したまま、ぎゅっと目を閉じて嬉しそうに叫んだ。
「よぉぉーし、2次会に行くぞー!!」
「行きません。また飲む気ですか」
「う……っ、遠慮しておく」
 顔を合わせて、3人は笑い合った。
 続いて――白い光の花が夜闇に浮かび上がる。
(これも私の依頼だと、気づいて下さいますか?)
 リリーはそっと、2人に目を向けた――。

 花火の音が響き渡る。
 夜空に沢山の花々が咲いていく。
 人々の歓声も。
 喜び、笑い合う声も一緒に。
 夜の浜に響き渡り、華を咲かせている。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / クラス】

【ha1286 / リリー・エヴァルト / 女性 / 21歳 / ハーモナー】
【ha0721 / アーク・ローラン / 男性 / 19歳 / 狙撃手】
【hz0011 / ジェイリー・ベイガー / 男性 / 25歳 / ハーモナー】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ライターの川岸満里亜(マスターの沢渡 心)です。
なつきたっ・サマードリームノベルにご参加いただき、ありがとうございました。
酒癖暴露を描かせていただけて、嬉しいです(笑)。

ご一緒に参加された、リリーエヴァルトさんのノベルの方と、2箇所ほど視点の違いが出ている場所があります。
是非、リリーさんのノベルの方もご覧下さいませ。

またどこかでお会いできましたら、とても嬉しいです。
本編の方では大変お世話になりました。陰ながら応援しております。

お2人に良い未来が訪れますように――!
なつきたっ・サマードリームノベル -
川岸満里亜 クリエイターズルームへ
The Soul Partner 〜next asura fantasy online〜
2009年07月31日

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