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『夢幻月夜・美しく咲く花の火 』
レイン・シュトラウド(ga9279)

夏の風物詩とも言えるイベント、祭り。
今日は小さな神社での祭りが予定されており、中でも花火は特に評判が良かった。
きらきらと輝く花火が川の水面に映って、夏を特に感じさせるのだと言う。


――夏祭りのご案内――

毎年恒例となっております『夏祭り』を今年もする事になりました。
夜店などは午後5時から開催される事になっております。
金魚すくい、クレープ、射的、祭りの醍醐味である夜店が揃っております。
中でも祭りのメインと呼べる花火大会も開催予定ですので、皆様ご都合が合いましたら
花火を見て、夏を感じて見ませんか?

この夏の思い出が、花火が皆様の思い出となる事を花火大会スタッフ一同心より願っております。


視点→レイン・シュトラウド

「今日は花火大会だよ、あんたも暇なら行ってみたらどうだい? 結構綺麗だし、ほら、これがチラシ」
 買い物に行った先でレイン・シュトラウドは店から出る時に店のおばちゃんに呼び止められて花火大会のチラシを貰って店を出た。
「水面に映る花火ですか‥‥きっと綺麗なんでしょうね」
 レインはチラシを見ながら小さく呟く。チラシに使われているのは去年の花火大会の様子なのかとても綺麗な花火が写っている。
「誘って、見ようかな‥‥」
 ポツリと呟き、レインの頭の中に浮かんだのは――最近週刊記者からオペレーターへと転向した少女、室生 舞の事だった。
 まだオペレーターとしては活動していないけれど、現在はオペレーターの仕事を覚える事で毎日夜遅くまで勉強している事を人づてに聞いた。
「気分転換にもなるだろうし、うん、誘ってみよう」
 レインは呟きながら携帯電話に登録してある舞の番号にあわせて通話ボタンを押す。
「もしもし? 舞です」
 数回のコールで舞が出た後「こんにちは、レインさん」と言葉が付け足された。
「こんにちは、近くでお祭があるみたいなんですけど、良かったら一緒に行きませんか?」
 レインの誘いに「え」と舞は驚いたような声で言葉を返す。
「ダメ、ですか?」
 その驚いた声をレインは『ダメ』という方向に取ってしまったのだろう。
「あ、違うんです。ちょっと驚いただけで‥‥ボク、一緒に行きたいです」
 少し照れたような口調で言葉が返され、レインは待ち合わせ場所と待ち合わせ時間を決めてそのまま電話を切った。
「良かった」
 電話を切った後にレインは小さく呟き、早く待ち合わせ時間が来ないかなと心の中で呟いたのだった。


 待ち合わせ場所として決めたのは神社の入り口にある狛犬の石像のところ。レイン以外にも待ち合わせ場所に使っている人が多いのか、彼の他にも時計を気にしている人が数名存在する。
 レインも時計を気にする一人。待ち合わせ時間から既に15分が経過している。
(「何かあったんでしょうか‥‥」)
 少し心配になっていた所に「ごめんなさいっ」と小走りで駆けてくる舞の姿があった。
「遅れてごめんなさい、浴衣着せてもらってたら時間がかかっちゃって‥‥」
 舞が着て来たのは紫陽花の模様の入った薄紫の浴衣、からころと下駄の音が心地良くレインの耳に響いてくる。
「あの‥‥似合ってない、ですか?」
 何も言わないレインに舞が不安そうに声をかけると、ハッとしたようにレインは舞を見据え、そして頬を紅潮させながら小さく呟く。
「‥‥よく似合ってますよ‥‥その‥‥凄く可愛いです‥‥」
 レインの言葉に舞は嬉しくなったのか、花が咲いたような笑顔で「ありがとうございます」とお礼を言った。
「忙しかったのに、呼び出してしまってすみません」
 レインが申し訳なさそうに謝ると「いいえ、気にしないで下さい」と舞も赤く顔を染めながら言葉を返した。
「ボクもお祭楽しみでしたし、行きましょ」
 舞はレインの手を引っ張りながら夜店が並ぶ場所へと移動したのだった。
「あ、射的屋――‥‥」
 舞がぴたりと足を止めたのは射的屋、何か欲しい景品でもあるのかじぃっと見たまま動かない。
「何か欲しい景品はありますか?」
 レインが店のおじちゃんにお金を払って玩具の銃を借りると舞の方を見ながら問いかける。彼はスナイパーなので射的などお手の物なのだろう。
「‥‥あの、大きいうさぎのぬいぐるみが欲しいです‥‥」
 遠慮がちに舞が呟く、彼女が欲しているのは一番難しいとされる小さな的に当てなければ貰えないものだった。
「ちょっとお嬢ちゃんには無理だろうなぁ」
 豪快に笑うおじちゃんに「ボク、男なのに‥‥」とがっくりと肩を落としながら言葉を返した。
(「間違えられやすいのは分かってるけど、何もこんな時まで間違われなくても‥‥」)
 レインはちらりと舞を見ながら大きくため息を吐く。そして再び大きく息を吐いた後に玩具の銃を構えて、一番小さな的を狙う。
 ――――トンっ
 軽快な音と共に「おおお」とおじちゃんの驚いた声も響き渡る。
(「伊達でスナイパーしてるワケじゃないですしね」)
 レインは心の中で呟き、玩具の銃をおじちゃんへと返して代わりに大きなうさぎのぬいぐるみを手に入れる。
「はい、どうぞ」
 レインはぬいぐるみを舞に渡すと「ありがとうございますっ」とぬいぐるみに顔を寄せながら嬉しそうに礼を言う。
「あ、そろそろ花火の時間みたいですね。カキ氷でも買ってから移動しましょうか」
 レインがふと時計に目をやると、花火が始まる九時の10分前だった。
「そうですね、行きましょ」
 舞が言葉を返し、それから二人は川の土手へとやってきた。一番人気の場所は人が大勢賑わっていて、落ちついて花火が見れない事から少し離れるけれど人の少ない土手へとやってきたのだ。
「そろそろでしょうか」
 レインは呟いた瞬間、花火が上がる独特の音が響き、空に大輪を咲かせる。
「そういえば、一つ聞きたい事があるんですが‥‥」
 花火が上がる中、レインが少し聞きにくそうに舞へと問いかけた。
「はい?」
 空からレインへと視線を移し、首をカクリと傾げながら聞き返す。
「この前の依頼の時、何を言いかけたんですか?」
 この前、レインの言葉に心当たりがあるのか舞は顔を赤くしながら「えと、その‥‥」と俯きながらしどろもどろとしている。
「もしかして、何か文句とか‥‥ボク、何かしちゃいましたか?」
 レインが少し眉をさげて悲しそうな表情になる。表情の変化が乏しい彼だったが僅かな変化に舞は焦って「違います」と言葉を返す。
「その‥‥別にレインさんの悪口じゃ、ないです。で、でもいきなり言えないですし、その‥‥」
 言葉を捜しながら話す舞だったけれど上手い言葉が見つからずに「あう、えと」と言葉にならない言葉を発している。
「ごめんなさい。困らせるつもりじゃなかったんですけど‥‥」
 レインが呟くと「レインさんは謝らないで下さい」と舞が困ったように笑う。
「あの、もし良かったら、またこんな風にボクとその‥‥デートしてくれませんか?」
 レインの言葉に舞は目を瞬かせながら「でーと‥‥?」と聞き返し「デートです」とレインも言葉を返す。
「‥‥あの、ボクで良かったら、その‥‥喜んで」
 暗がりで分からなかったけれど、きっと舞は真っ赤な顔をしていた事だろう。
 そして二人の淡い恋心を祝福するかのように、ひときわ綺麗な花火があがったのだった。
そしてレインはその約束の印としてシャムロックのペンダントを舞へとプレゼントしたのだった。


END


――出演者――

ga9279/レイン・シュトラウド/15歳/男性/スナイパー

――特別出演――

gz0140/室生 舞/15歳/女性/週刊記者

――――――――

レイン・シュトラウド様>

こんにちは、いつもお世話になっています。
今回は「なつきたっ」の執筆をさせていただき、ありがとうございました♪
内容の方はいかがだったでしょうか?
少しでも面白いと思ってくださったら幸いです♪
それでは、今回は書かせて頂き、本当にありがとうございました♪

2009/7/24
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