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『 出雲のバストアップ日記 』
猿渡・出雲7185)&柴樹・紗枝(6788)&(登場しない)

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 それは、3ヶ月前の出来事。
 出雲は、紗枝に相談を持ちかけた。
「ねぇ、紗枝……。ちょっといいかな」
「うん? どうしたの。眠れないの?」
「えっとね……」
「いいわよ。一緒に寝ましょ」
「ううん。そうじゃなくて」
「ん?」
 相談したいこと、それは "身体の発育" について。
 コンプレックスとまではいかないけれど、出雲は気掛かりだった。
 他の団員と比べて、自分には "色気" が足りないような気がする。
 色気がないと駄目だなんてことはないけれど、
 なにぶん、サーカスを観に来てくれるお客さんは男性が多い。
 それも、目の肥えた男性が多い。
 彼等からすれば、可愛いというのは当然の条件。
 そこで、彼等は "色気" を上乗せするようにして求める。
 あからさまにセクシー・妖艶である必要はないけれど。
 それでも、出雲には難しい。団長にも相談してみたけれど。
 幼児体型がツボの客もいるから問題ない。お前は、そのままで良いと言われてしまった。
 確かに、いつも観に来てくれて、応援してくれて、差し入れをくれるお客さんはいる。
 いわば、ファンというやつだ。嬉しいし、ありがたいことだとは思ってる。
 でも……ファンの数は、ずっと固定。減ることはないけれど、増えることもない。
 紗枝を始め、他の団員は次々とファンを獲得している。
 団長が、あれこれとやらせるからなんだろうけれど。
 出雲には、そういう依頼もない。
 今のままで良い。そうとしか言ってくれない。
 ファンをもっと獲得したいという気持ちに偽りはない。
 でも、ただ純粋に年頃の女の子としての悩みでもある。
 団員だけじゃなく、友達とも比較してしまう。
 どんどん大人の体つきになっていく友達。
 それを痛感する度に、どうしたものかと悩む。
 この幼い体系を何とかしたい。
 紗枝に相談したいことの内容とは、つまりそういうこと。
「う〜ん。私も、今のままでいいと思うけど」
「嫌なのっ」
「…………」
 首を振る、必死な出雲の姿に紗枝はクスクス笑った。
 そのままで、今のままで、じゅうぶん可愛いし魅力的だと言いたかったんだけど。
 どうやら、何を言っても無駄のようだ。相談というよりは、お願いに近い。
 私の身体を、オトナっぽく色っぽくして。そういう、お願い。
 必死な姿に笑いながら、紗枝は協力してあげることにした。

「……これ、意味あるの?」
「あるわよ。もちろん」
「全然、変わってる気がしないんだけど……」
「そりゃあね、すぐには変わらないわよ」
「ん〜……」
「身体は、地道に時間をかけて作っていくものだからね」
 素敵なボディラインをゲットするには、努力が一番の近道。
 楽しようだなんて考えちゃダメ。毎日の繰り返しが実を結ぶ。
 一見、何の効果もなさそうに見えるエクササイズこそ、大変身の可能性を秘める手段。
 紗枝は、あれこれアドバイスしながら、一緒にエクササイズに励んだ。
 ダンベルを用いた、独創的なシェイプアッププログラム。
 ゴムボールを用いた、定番のプログラム。
 言われるがまま、出雲はエクササイズに励んだ。
 本当に変われるのかなぁ、と不安を抱きながらも。
 たくさん身体を動かして良い汗を流したら、次はリラックス。
 頑張ってくれた身体を気遣って、優しいマッサージを施す。
「あっ……。っきゃ……っ……あっははははっ!」
 我慢できなくなり、大笑いしながらマットの上でジタバタする出雲。
「駄目よ、動いちゃ。ジッとしてて」
「だって、くすぐったい〜」
 クスクス笑いながら、再びマットの上に仰向けに寝そべる出雲。
 紗枝お得意のマッサージ。
 何やら怪しいボディローションを用いるのだが……。
 上半身、特にバスト周りに重点を置いて、念入りに。
 紗枝は、至って真剣。真面目な顔でマッサージしている。
 でも、これがまた、どうしようもなく、くすぐったい。
 気を紛らわそうと、どうでもいいことを考えてみたりするけれど、無駄。
 大笑いして暴れるために、マッサージは、なかなか終わらなかったけれど。
 優しく、思いやって揉みほぐしてくれる紗枝の手指に、いつしか出雲は、うっとり夢心地。
「はい。終わり。今日は、ここまでね」
「……ふにゃ」
 うとうとしていた出雲は、ボーッとしながら紗枝を見つめて言った。
「ねぇ、もう一回……して」
 甘えるような口調で言った出雲に、紗枝はタオルで手を拭きながら笑う。
「やり方、教えたんだから、もう自分で出来るでしょ?」
「む〜……。ねぇ、もう一回だけ。気持ちいいんだもん〜……」
 やれやれと肩を竦めながらも、紗枝は出雲の要望に応じてあげた。
 この調子だと……多分、説明も頭に入ってないんだろうなぁなんて思いつつ。

 *

 シャワーを浴び終えて、脱衣所に戻った出雲。
 おもむろにバスタオルを外し、鏡に映る自分の身体をジッと見つめる。
 あれから3ヶ月。出雲の身体は、劇的な変化を遂げた。
 バストアップはもちろんのこと、下半身のラインも、くっきり。
 完璧なボディラインだと胸を張って言えるようになるには、
 もうちょっと努力を続けないといけないだろうけれど。
 以前は、団員服に着替える際、胸パッドの詰め込みが絶対だった。
 ステージ前、何よりも、真っ先に実行していた作業だった。
 でも、今はもう必要ない。
 パッドなんぞ詰めずとも、立派な胸があるから。
 成長期だったからっていうのもあるんだろうけれど。
 衣服を纏いながら、出雲はポツリと呟いた。
「紗枝のマッサージ……。何か秘密があるんじゃないかなぁ……」
 出雲の呟きに、応じる声。
「どうしてそう思うのかしら?」
「きゃ! ビ、ビックリした……」
 気付けば背後に立っていた紗枝に、少々大袈裟気味に驚いた出雲。
 どうやら、隣のシャワー室を使っていたのは、紗枝だったようだ。
 出雲は、ちょっと照れ臭そうに笑って言った。
「ん〜。どうしてって言われるとなぁ……。何となく、としか」
「何なら、もっと大きくする? 胸」
 何やら妖しげな笑みを浮かべて言った紗枝。
「あっ。やっぱり、何か秘密があるんだね!」
「ふふっ。さぁ? どうかしら」

 女性らしい、色っぽいボディラインをゲットした出雲。
 彼女の変化(というか成長っぷり)には、誰もが驚いた。
 ファンの反応はどうだろう。もしかすると、そっぽを向かれてしまうかもしれない。
 セクシーになってくれだなんて、ファンは一言も言ってなかったから。
 自ら望んだ変化ではあったけれど、いざステージに立つとなると不安になる。
 でも、その心配は無用だった。
 いつも応援してくれているファンは、更にヒートアップ。
 まぁ……。確かに体つきは色っぽくなったんだけど。
 身長は、相変わらず。ちんまりサイズ。
 小柄なのに、ナイスバディ……。
 彼等が、食いつかないわけがない。
 この先、ファンはもっと増えることだろう。
 ステージの上、嬉しそうに笑う出雲。
 イキイキしている、その表情をステージ袖で腕を組みながら見やりながら紗枝は呟いた。
「逆に、手に負えなくなるかもしれないわねぇ……」

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 ■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

 6788 / 柴樹・紗枝 / 17歳 / 猛獣使い&奇術師(?)
 7185 / 猿渡・出雲 / 17歳 / 軽業師&くノ一・猿忍群頭領

 こんにちは、シチュエーションノベル発注ありがとうございます。
 アイテムの件ですが、シチュノベではアイテム贈呈が出来ませんので
 割愛とさせていただきます。御了承下さいませ。
 不束者ですが、是非また宜しくお願い致します。
 参加、ありがとうございました^^
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 櫻井かのと (Kanoto Sakurai)
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PCシチュエーションノベル(ツイン) -
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東京怪談
2009年05月14日

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