『Monastery of the blood.?W 』

高科・瑞穂（6067）＆鬼鮫（NPCA018）

　まだ立ち上がるだけの気力があるのか。
　鬼鮫は目を細め、目の前でよろめきながらも壁を頼りに立ち上がる瑞穂の姿があった。
「は…はぁ…はぁ…」
　何度も受けた鬼鮫の攻撃に、瑞穂の体力はほとんど奪われてしまっている。立つのもやっと。限界に近い状態だと言うことが見て取れた。
「どうした？　立つので限界か？」
「……っくぅ…。ま、まだ…よ」
　あばら骨を折られた激痛が、脳天まで行くのか眉間に深い皺を寄せたまま腹部を押さえて細い肩を震わせていた。
「そうこねぇとな」
　鬼鮫はニヤリ、とほくそえむと攻撃の姿勢を取る。
　大きく足を開き再び腰を低く保つと、一度グッと足を踏み締めザッと地面を蹴り上げて瑞穂の胸元に拳を喰らわせる。
「………!?」
　大きな胸すらも押し潰す勢いに、通常なら到達するはずのない胸骨に鬼鮫の拳がめり込みゴリン！　と鈍い音が鳴り手を伝わってくる。
「ぐぎゃあぁあぁあぁあぁッ！」
　壁を頼りにして立っていた瑞穂は、その壁と鬼鮫の拳との間に挟み撃ちされた。
　壁に背を押し付けられるように前から胸を強打され、瑞穂は大きく口を開き悲鳴を上げる。瑞穂の形の整っていた胸は、鬼鮫の痛烈な拳がめり込んだ事で変形してしまい、重い圧迫からか胸元の修道服が横に一筋裂け目が出来、瑞穂の着けている白い下着の一部が見えた。
　鬼鮫はその胸倉を掴み上げると瑞穂の身体は軽々と宙に浮き、鈍痛に耐える瑞穂の歪んだ顔が天を向いた。
「もう駄目なのか？」
「…う、ぐ…。ふ、ふざ、けんじゃ…ない、わ」
　瑞穂は打ち震えながらも、目の前の鬼鮫を睨みつけた。そして鬼鮫の胸倉を掴み上げる手に、瑞穂は爪を立てるように掴みかかる。が、その抵抗は鬼鮫になんの傷も負わせない。
　っち。気の強い女だ。
　苛立つ鬼鮫はピクリと眉を上げると、大きく手を振り上げると瑞穂の顔面にビンタを繰り出した。
　バチン！　ドシン！　と大きな音を立てながら、瑞穂の苦痛に歪む顔は左右に激しく振られる。
　瑞穂は泣くつもりはないのだが、頬を打ち上げられる痛みに涙が流れその雫が宙を舞った。殴り上げられる度に細表の綺麗な瑞穂の顔はみるみる内に大きく膨れ上がり、色白の肌は赤青く染まっていく。
　打たれる度に、身動きの取れない瑞穂の両足が擦り寄るように捩られ、白い大腿部が惜しげもなく見え隠れした。
「オラオラ、どうした。お前の超能力をもう一度使ってみたらどうだ？」
「…ひ…ぐぅ…」
　瑞穂は鬼鮫の言葉に返す気力はない。パンパンに膨れ上がり醜くひしゃげた顔に涙を行く筋も流したまま、眉間に皺を寄せて苦しそうに呻くだけだった。
　鬼鮫は瑞穂の様子に、舌打ちをすると、まるでその場にゴミを捨てるかのように瑞穂を放り投げる。ザリザリザリッ！　と音を立て砂埃を巻き上げながら瑞穂の身体は地面を激しくスライディングした。
　強く引きずった為に瑞穂の修道服は所々ビリビリと破れ、長い袖の部分からは擦り傷の出来た白く細い二の腕が、ウエストから覗く細い脇腹にも無数の擦り傷を痛々しく残した。
　鬼鮫に背を向けた状態で倒れ込んだ瑞穂は何度もその身を縮こませ低く呻く。
　そんな瑞穂の臀部に鬼鮫は痛烈な蹴りを加える。
「が、ぎゃあぁぁッ！」
　ガズン！　と激しく蹴り上げられ、瑞穂の身体は頭を軸にザリザリと回転してしまう。
「おい、起きてみろ。まだやれるんだろう？」
　冷たく瑞穂を見下ろしながら鬼鮫は吐き捨てるように言う。
　瑞穂は大きく息を吐きながら、全身を打ち振るわせつつ腕に力を込め立ち上がろうとした。
　上体がゆっくりと持ち上がり、肘を着いてようやくその状態を保てる程度。瑞穂は苦痛に呻きながらも奥歯をギリギリと噛み鳴らしながら悔しさを露にしている。
　更に立ち上がろうと試みるが、鬼鮫はそんな瑞穂の脇腹を力いっぱい踏み込んだ。
　ゴスッ！　と音を立て、起き上がろうとした瑞穂の上体がその衝撃に耐えられずその場に崩れ落ちる。　
　イライラする。こんな小娘ごときに、少しでも翻弄した事も、小生意気な発言も…。
　鬼鮫は繰り返し、瑞穂の脇腹や臀部に蹴りを加えた。
「ひぃ！　ぐぁ！」
　ズン！　と響くような蹴り。ドス！　と圧し掛かる重圧的な踏みつけ。
　その度に瑞穂は潰れた声で何度も鳴いた。
　一度その攻撃の手を止めると、瑞穂は痛む場所を押さえる事もせず肩で荒く短く呼吸を吐きながら上を向いて倒れこんでいた。
　動けなくしてやる。
　鬼鮫は一度瑞穂の身体をズン！　と蹴る。「ひぃっ！」と悲鳴を上げながら瑞穂の身体はうつ伏せにひっくり返った。
　そんな瑞穂の上に鬼鮫が跨ると、曝け出された両方の白い美脚の足首を掴み思い切り引上げる。
　ミシミシ…と骨の軋む感覚が瑞穂の体中を駆け抜けた。
　足を大きく開かれ、足の裏が背中に着くほどに勢い良く引上げられた瑞穂のあられもない姿。
　背骨が悲鳴を上げ、股関節も悲鳴を上げる。瑞穂は無意識に地面を強く叩いていた。
　鬼鮫はそんな瑞穂の身体を横向きに首の後ろに担ぎ上げると、腰周りと腕に手を引っ掛け力をかける。
　反り返る瑞穂の身体はまたも悲鳴を上げた。肩の関節と背骨がピキピキと小さく鳴く。
「あぎゃあぁぁぁぁあぁぁッ！」
　耳元で大きく叫ぶ瑞穂に、鬼鮫は更に苛立った顔を浮かべると地面目掛け軽々と放り投げてしまう。
　ズシャ！　と音を立て、倒れこんだ瑞穂の身体はヒクヒクと痙攣を繰り返し、２度、３度と身体を捩った。
　大きく捲れ上がった修道服の後ろの裾は完全に背中辺りまで上がり、打たれて青く変色した臀部と程よく引き締まった白い美脚を曝け出している。
　鬼鮫はその瑞穂の前に回りこむとその場にしゃがみこみ、意地悪くほくそえんだ。
「……て…」
　瑞穂は苦痛に顔を歪め、うっすらと目を見開きながら消え入りそうな声音で声を発する。
　鬼鮫は何かを訴えたがっているその言葉を聞き取ると表情を固くし、冷たい眼差しで瑞穂を何も言わず見下ろしていた。
「た…ひゅけ…れ…」
　痛みと顔を強打され続けた事で、瑞穂の言葉は呂律が回らなくなっている。

　―――助けて。

　懇願するような、許しを請うその言葉に鬼鮫は瞬間驚いたような表情を浮かべるが、そのすぐ後にくっと腹の底で笑いゆっくりと立ち上がった。
「くっくっくっく…。助けて、だと？」
「………っ」
　瑞穂自身もこんな言葉を言うのは屈辱的だった。
　心の奥底では煮えくり返りそうなほど苛立ちに包まれ、そして自分の力の無さに落胆していた。
　こんな風にやられるなど、屈辱的で仕方が無い。その瞳の奥はまだまだ諦めていない強い光を込めている。
　鬼鮫は、瑞穂の中に眠るその強い光に気づいていなかった。
　鬼鮫は目を見開き、口元を大きく引上げながら冷たく言い放つ。
「…残念だが、そいつは聞けない願いだな」
　冷酷な微笑みを浮かべ、見下すようにこちらを見上げている瑞穂を見下ろした。
　イライラする。その顔も、癇に障って仕方が無い。
　あまりの苛立ちに、鬼鮫の血管の浮き出た額が微かにヒクつく。
　大きく足を振り上げ、鬼鮫は瑞穂の腹部に今一度攻撃を加える。固い靴のつま先が、ゴリッと音を立て瑞穂の鳩尾に食い込んだ。
「ぐふッ！」
　瑞穂は血反吐を吐き、大きく目を剥いて仰け反るように身体をしならせる。
　瑞穂の身体はドサリと音を立て天を向く。腹部を押さえながら両膝を立て何度もその身をくねらせた。

PCシチュエーションノベル（シングル）

りむそん

東京怪談

2009年04月13日