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『 始まりは突然に 』
赤羽根・灯5251)&黒崎・潤〈暗黒騎士化〉(NPCA051)


 どんな事でも『始まり』は存在する。
 それが『良い事』であろうとも『悪い事』であろうとも‥‥それを望むべくして始まりは得る事は出来ない。
 それを決める事が出来るのは――自分に課せられた『運命』のみなのだから。
 決められた運命に抗えるのは『力』を持った人間だけ‥‥。
 力を持たぬ、意思を持たぬ者は運命という大きな波に流されていくだけ――。


「ただいまぁ、今日も頑張ったな〜私」
 赤羽根は靴を脱いで、玄関にバッグを置いて冷蔵庫を開けて乾いた喉を潤す為にミネラルウォーターを口に含んだ。
 12月に入り、クリスマスも近いせいか街の中は何処か浮き足立った雰囲気を赤羽根は感じていた。
「クリスマスイヴとかになれば、きっと売り子業の人は軽く倒れちゃうね」
 苦笑しながら赤羽根はコップをテーブルに置いて、パソコンの電源を入れてネットサーフィンをしていた。
 そこで『白銀の姫』というネットゲームを見つけて、赤羽根は「へぇ、面白そう」と呟きサイト内を見る。
 しかし、そこで異変が起きた。
 突然『ブツン』という音が響いたかと思うと、画面が真っ暗になって赤羽根は少しだけ慌てたように「え、え?」と前のめりになって画面を覗き込む。

『――ログインを確認しました。 アスガルドの世界をお楽しみ下さい』

 真っ暗な画面に白い文字で表示され、赤羽根は驚いたように「どうなってるの‥‥?」と小さく呟く。
 もちろん彼女はログインなどするはずもない、サイトを見ていただけなのだから‥‥。
「あ、れ――なんか‥‥急に眠気が‥‥」
 赤羽根は小さく視界がグラつくのを感じ、倒れないようにテーブルに手を付くが、襲い来るそれを抑える事が出来ずに、彼女は床に倒れてしまった。
 そして彼女が意識を失った後、画面は別の文字を表示していた。

『イケニエ ニ サレル ソノヒマデ――――』


「ちょっと、ちょっとアンタ大丈夫?」
 頬を奔る痛みと中年女性の声に赤羽根の意識は浮上していき、ゆっくりと瞳を開く。
「‥‥ん‥‥わっ!」
 目を開くと同時に赤羽根は驚き、後ろへと後ずさった。彼女が驚くのも無理は無い。視界いっぱいにおばちゃんの顔が広がっていたのだから。
「ああ、目を覚ましたね。大事無いようでよかったよ」
「え? え? ‥‥って言うか近寄りすぎてびっくりしちゃった」
 ドキドキと鼓動の激しくなる自分の胸を抑えながら赤羽根は深呼吸を行う。それと同時に違和感を覚えて周りを見渡した――‥‥。
 見慣れない景色、見慣れない人――明らかに今さっきまで自分がいた所とは異なる場所に赤羽根は驚きを隠せないでいた。
「ここ何処??」
 赤羽根は周りを見渡しながら小さく呟く。
「こんな所で寝ているなんて随分のんびりさんなのね、少し歩けば兵装都市ジャンゴがあるんだから、其方で寝なさいな。こんな所で寝てたらモンスターに襲ってくださいって言ってるようなものだよ」
 中年女性は豪快に笑いながら、そのまま兵装都市へと向かっていく。
「そういえば服装も変わってる」
 はっとしたように赤羽根は自分の服装を見て目を瞬かせる。彼女の服装は『朱雀の巫女』という彼女に相応しい巫女装束のようなもので、手には刃部分が炎という珍しい薙刀を持っていた。
「と、とりあえず何で此処にいるか分からないけれど‥‥兵装都市って場所に行けば何か分かるかな?」
 赤羽根は小さく呟き、先ほどの中年女性が指した方角に向かって歩き出して兵装都市へと歩き出した。


「それにしても‥‥何でこんな所に来たんだろう――」
 赤羽根は歩きながら考えていたが、さっぱり見当がつく筈もなく「街で何か分かる人がいればいいけど」と少しだけ不安を瞳に揺らがせていた。
「そこのお前――赤羽根・灯だな?」
 歩いている途中で赤い瞳の男性に声をかけられ「え?」と赤羽根は振り返りながら呟くと、自分に向けて攻撃を仕掛けようとしている姿が視界に入り、咄嗟に『紅蓮の翼』で攻撃を受け流す。
「な、何なの‥‥」
 かきん、と金属同士がぶつかり合う音の後に赤羽根が呟くと「合格だな」と男性・暗黒騎士――黒崎・純は不敵な笑みを浮かべて吐き捨てるように呟いた。
「ちょ、止めてっ! 何で攻撃を――」
 赤羽根が攻撃を受けながらも黒崎に問いかけるが、彼から問いに対する答えが返ってくる事はなかった。
 いきなり攻撃をされ、戸惑いながらも赤羽根は攻防を繰り返していたがクロウ・クルーハの力を凝集した『クロウの剣』を携えて攻撃を仕掛けてくる黒崎に成す術もなかった。武器の力――というよりは黒崎の方が赤羽根より剣の腕があるせいなのだろう。
「剣が駄目でも、これなら――っ!」
 赤羽根は呟きながら『紅蓮の翼』から朱雀の聖なる炎で黒崎に攻撃を仕掛けた――だが、朱雀の炎は黒崎が纏う灼熱の黒い闘気に飲み込まれてしまった。
「そ、そんな‥‥朱雀の炎も効かないなんて――‥‥」
 赤羽根は驚愕の表情で黒崎を見ると「この程度か?」と彼は呟いて『クロウの剣』で赤羽根の身体を斬りつける――斬りつけるとは言っても重傷を負うものではなく、一時的に赤羽根の意識を奪う為のものだった。
「‥‥う‥ぅ‥‥」
 ガクリと膝をつき『紅蓮の翼』も手から滑り落ちてカランと静かな音をたてて地面へと落ちる。
「殺しはしない――あんたは邪竜に差し出す生け贄なのだから」
 黒崎が倒れる赤羽根に言葉を投げかけるが、既に意識を失っている彼女に黒崎の言葉が届く事もなかった。
 そして黒崎は『紅蓮の炎』を拾い、倒れている赤羽根を抱き上げてゆっくりと足を進める。
 意識を失った彼女が何処に連れて行かれ、何をされるのか――それは黒崎にしか分からない‥‥。


TO BE‥‥?


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名     / 性別 / 年齢 / 職業】

 5251 / 赤羽根・灯   / 女性 / 16歳/ 女子高生&朱雀の巫女
 
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PCシチュエーションノベル(シングル) -
水貴透子 クリエイターズルームへ
東京怪談
2008年12月12日

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