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『「サンタがキューッピット?合コンへGO!!」 』
藤田・あやこ7061

「人間がいちばん喜ぶプレゼント……ん〜。。。あっ!!そうだ!!」

エファナは、夢の世界についたその瞬間、とっても素敵なプレゼントが
閃いたのだった!!

「合コンだ〜!!」

エファナの両親が「サンタ合コン」で出会って恋に落ち結婚したという
話は耳が腐るほど聞いた昔ばなし。
そのことを思い出したエファナは
 
「とにかく誰でもいいから集めちゃえ〜」

とランダムに人を集め、「クリスマス合コン」をセッティングするのであった――。

***

エファナが猛烈な<マイナスオーラ>を発している藤田・あやこを発見したのは
渋谷の奥座敷ともいえる松見坂交差点近くにあるフレンチレストラン「ミラヴィル」だった。
座席20席ほどの隠れ家的なそのフレンチレストランで、ひとり寂しく創作フレンチを涙目で貪るあやこ。
あやこのテーブルにはフォアグラと和牛の舌(タン)をあわせ、
サンマルクと言うケーキに見立てたオードブル
“和牛舌とフォアグラのサンマルク仕立てセミドライイチジクのソース”や、
瀬戸内の産物である大穴子、ハリイカを使いフレッシュグレープフルーツをふんだんに使い、
オマール海老で香りをつけたオイルで軽く仕上げたソースを合わせた
“大穴子とレタスを詰めたハリ烏賊のグリエ、グレープフルーツ風味”などの
オリジナリティー溢れるシェフのこだわりの料理が並んでいたが
あやこは時折、小さな窓に映る自分の姿を見ては、ため息交じりの寂しい表情を浮かべていた。

エファナがじっとあやこを覗いているとシンクロするようにあやこの気持ちが伝わってきた――。

友達とバカ騒ぎしているあやこ。
ひとり暗い部屋に帰るあやこ――。
祭りのあとほど人をむなしくさせるものはない。

エファナがそんなあやこの切ない気持ちを受け取ったその時!!

「あんた誰?」

とエファナにあやこが話しかけてきたではないか!!

「あっあの〜」
「突っ立ってないで入ってきなさい!!寒いでしょうが!!」
「…あっ。はい〜」

あやこに言われるがまま、そそくさと店の中に入るエファナ。
エファナがあやこの席につくと

「っで誰?死神?」
「ちっ違います〜。えとっエファナです。サンタです!!」
「はっ?!サンタ??何々〜新人さん?」
「はい!!」
「へ〜。アイドル?お笑い?…お笑いでしょ?」
「えっ?」
「うちの事務所も大変よ〜」
「あの…あたし本物のサンタクロースなんです…よ」
「は?売り込みにきたんでしょ?」
「違います!!あなたにプレゼントを渡したくてここにきたんですぅ」
「…またまた〜」
「本当ですって!!」
「……」
「…あやこさん。あやこさんにあたしからとっておきのプレゼントがあるんですよ〜」
「えっ?」
「合コン!!」
「はっ?」
「今から<合コン>行きましょ!!」
「合コン??」
「はい!!」
「いっ行かない行かない!!そんな〜今更…」

エファナはあやこに夢の世界ではどんな世界のひととでも出会えることや
結構イケメンもそろえたことや
とにかく楽しいクリスマス・イヴにしようと説得をしたのだった。
あやこもはじめは自分の生い立ちやルックスを気にしていたが
シャンパンの勢いも手伝って最後には

「この際<脚フェチ>でいいや〜DVじゃなきゃいいや〜」

と合コンへの参加を快諾してくれたのだった。

「あやこさん!!いきましょ!!」
「いい男じゃないと恨むわよ〜新米サンタさ〜ん」

エファナとあやこは京王井の頭線神泉駅から電車に乗り合コン会場のある<渋谷>へ
向かうのだった。

「サンタさん〜。こことか普通ワープ的なとこじゃないの?」
「あやこさん!!やっぱりここんとこはリアルにいきましょ!!」
「……だったらタクシー拾えばよかった…」
「……」


***

「やっぱっ……こなきゃよかったかな……」

あやこがレッド・アイを飲みながらひとりダーツをしていると
後ろからオレンジジュースを持ちながら話しかけてくる一人の男がいた。

「ああああやこさんはっっ<ハイソックス>とかはかないのですかっ??」

あやこが振り向くとそこには、完全体の萌え属性のやや小太りでピチピチの
Tシャツが眩しい、森沢直樹が立っていった。
あやこがいちばん<なし>と思っていた相手だった――。

「別に」
「……お酒強そうですねっ」
「ま〜」
「皆と話したりしないんですか?」
「……つまんないし、人に合わせるのってやっぱり苦手だし」
「ぼぼぼくもそうですっっ。夢の世界だからって自分の本質は隠せないですよねっ」
「……」
「サンタちゃんも大変だな」
「えっ?」
「人が求める幸せの形は人それぞれ…ですもんね。それを叶えようとしてる姿…萌え意外の
なにものでもないですよっ!!」
「あっそ」
「でもぼくは<姉萌え、ツンデレ>大好物なんで趣味はちがうんですけどね」
「……」
「あっちは盛り上がってカラオケ行くみたいですよ」
「……私帰るわ」
「えっ」
「あのエファナって子に伝えといて……ありがとうって」
「でも」
「じゃ」

あやこがダーツをサイドテーブルに置いて店を出ようとしたとき
森沢があやこのあとを追いかけてきた。

「あああああやこさん!!おおおおおお送りますですハイ」
「いいよ〜。気持ち悪いし」
「……」

森沢の落ち込みっぷりにあやこも少し良心が咎めたので

「……じゃ〜あんたがよく行く店とかに連れてってよ」

と一応森沢に尋ねてみたのだ。
すると意外にも森沢は、

「あっハイ。じゃいきましょ!!」

と笑顔であやこに応えたのだった――。


***

森沢があやこを連れてきたのは、恵比寿にあるピアノバーだった。
お洒落な大人が楽しむバーの従業員は森沢に頭を下げ、
あやこたちのためにVIPルームを空けてくれたのだ。
スタンダードジャズの流れる店内に相応しくない森沢が
どうしてこんな素敵な店の常連なのか不思議でしかたのないあやこ。
森沢は店員に

「オレンジジュースとあやこさんは何飲みますか?!」
「……じゃ、ブラック・アイ」
「じゃブラック・アイ。でピアノいい?」

と尋ねた。

「ピアノ?」
「あっハイ。あああやこさんにプレゼントしようと思って」
「プレゼント?」
「あやこさんの好きな曲ってなんですか?」
「…急に言われても」
「……じゃ、あやこさんをイメージして弾きますね」
「えっ」

そういうと森沢はピアノのほうへ向かった。
店員がブラック・アイをあやこに持ってくると

「素晴らしいクリスマスイヴですね」

と声をかけてきた。

「えっ?」

その時、あやこには信じられない光景が目の前に広がった。
森沢がピアノの前に座り、深呼吸を一度した。

それからしばらくして森沢は、ゆっくりとピアノを奏で始めたのだった――。

森沢の奏でる旋律はあやこの胸に響きわたるのだった。
幼い頃に両親を失った悲しみやひとりの夜を過ごす空しさを
優しくそっと包んでくれるようだった。

あやこの目からは涙がこぼれていた。
でもそれはとても温かな涙で、森沢の優しい気持ちが
あやこに伝わったからだった。

「ありがとう…メリークリスマス」

森沢の素晴らしい曲が終わると
あやこはそうつぶやいて、店を出ようとした。
すると、森沢が

「あやこさん!!夢が醒めても待ってます!!明日ここで待ってます」
「……」
「友達…でしょ?!」
「友達?」
「そう友達です」
「友達ね」
「待ってますね。きっと明日、ここに来てください」
「……ありがとメリークリスマス」
「メリークリスマス!!あやこさん」
「…とっても素敵なプレゼントだった」
「あやこさんにならいつでもプレゼントしますよ」
「……」
「ぼく<姉萌え>ですから」
「……バッカじゃないの?あはは」
「あはははそうでしょ?…待ってますから、ね」
「期待しないでね」
「ハイ」


***

エファナはあやこの後ろ姿を見送っていた――。

あやこの背中は、明日への希望に溢れていた。

<きっとあやこさんは、何かを見つけてくれた…>
そうエファナは確信していた。

「だけどびっくりするかもな〜あやこさん。森沢さんの現実の姿みたら……うふふ」

エファナはそういって悪戯な笑顔であやこにつぶやいた。

――「ハッピーメリークリスマス♪あやこさん」



現実の世界で森沢とあやこに何が起きたのかは……また別のお話で――。
  

*** happy end  ***



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
【7061/藤田・あやこ/女性/24歳/IO2オカルティックサイエンティスト】

【NPC4917/森沢直樹/男性/33歳/作曲家】

【NPC/エファナ/女性/外見年齢12歳/見習いサンタ】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
メリークリスマス☆藤田・あやこ様

今回、ライティングさせていただきましたライター美浦リンゴです。
あやこ様の心が少しでも「ほっこり」してもらえていたら嬉しい限りです。
夢の世界に出てきたお店はすべて実在にあるお店です(笑)
もし機会がございましたら、お立ち寄り頂き
夢の世界の思い出を振り返っていただけたらと思います。
もしかすると森沢がいるかも…???(笑)
森沢もあやこ様と同じ世界に住んでいますので、またいつか出会えると期待しています♪
それでは、来年も宜しくお願いいたします。
そして幸せな日々があやこ様をつつみますように……。





WhiteChristmas・聖なる夜の物語 -
美浦 リンゴ クリエイターズルームへ
東京怪談
2008年02月15日

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