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『エンジェル・トラブル 』
紫藤・陽7269


「ああ、どうしましょう。どうすれば良いんでしょう」
 聖なる日の前夜――クリスマス・イブ。往来を見れば幸せそうに笑う人々がおり、朝になれば目に出来るだろうプレゼントに思いを馳せる子供達が眠りにつこうとしている。
 そんな日に似つかわしくない、とても困った顔をした人物が、上空を彷徨っていた。
 いや、『人物』というのは正しくないかもしれない。何故ならその人物の背には、ヒトの持ち得ない純白の羽根があるのだから。
 ――そう、上空を浮遊している彼…リアン・キャロルは、天使だった。美しい金の髪が風に煽られ、乱れるのも構わずにただひたすら地上を見る。両性でも無性でもあるリアンは、ある目的を持って地上へ来ていた。
「ティル・スー…どこに行っちゃったんですかぁ…」
 覇気のない、弱りきった声で呟くのは、彼が懇意にしていた天使の名。クリスマスを目前に控えた、天使が最も忙しい時期に突如姿を消してしまった天使――ティル・スーを探すのが、リアンに課せられた使命だった。
「うう、なんでわたし一人で探さないといけないんですか。無理ですよぅ、クリスマスの時期は他の天使も地上に来てるじゃないですか。気配とかごちゃまぜになっててさっぱりです…」
 ブツブツと愚痴らしき言葉を零しながら、当てもなく上空を彷徨う。
「そもそもティル・スーが羽根をしまって人間の中に紛れ込んでたら分からないし…やっぱりわたし一人で探すなんて無謀です、無理です、有り得ません。人手不足だからって酷いです神様…」
 と、そこまで呟いて、はたとリアンは気が付いた。
「そうです、別に他の天使に手伝いを頼めないからってわたしだけで探す必要はないはずです…人間とか動物とかに手伝ってもらえないでしょうか。地上のことは地上に住むものの方が詳しいでしょうし…」
 何故今まで気付かなかったんでしょう!わたしの馬鹿!…と自分の頭をポカポカ叩きながら、リアンは地上へ向けて急降下した。


 リアンが上空でブツブツ独り言を零しているころ。人気のない路地で、ひっそりと溜息をつく人影があった。
 銀色の髪が月の光をうけて静かに煌めき、青灰色の瞳は憂いに染まっている。彼こそリアンの探しているティル・スーだった。
「ああ、どうしよう。誰か探しに来てるかなぁ。リアン・キャロルじゃないといいんだけど」
 また深く溜息をついて、壁に寄りかかる。それなりに高位である天使の彼は一応目的があって地上に来たのだが、間違いなく探しに来ているであろう他の天使に見付からずにそれを成し遂げられるかは五分五分の賭けである。なかなか行動に移せず、このような路地でぼうっとしていたのだ。
「とりあえず、こうして隠れててもどうにもならないし…行動開始としようかなぁ。ああ、まったくどうしよう…」
 ともかくも、ティルはのろのろと路地を歩き始めた。

★ ★ ★

 クリスマス・イブと言えど、特に予定のない紫藤陽は、当てもなくふらふらと歩いていた。
 高校生ほどに見える容姿ではあるが、陽は20歳である。職業はフリーターで孤児院手伝い。
 小学生の時に、何がどうなってか異世界へ飛ばされてしまったのだが、20歳になった時、またこの世界に舞い戻って来た。
 当然だが異世界での資格や現金は紙切れ同然で、食うにも寝るにも困る始末。そうして放浪していたとき、孤児院を経営している老夫婦に拾われ、彼らの養子となったのだ。なので今は、その孤児院のお手伝いをしている。
 彼女なんて出来ようはずもなく、クリスマス・イブであっても予定は丸々空いている。別に彼女が欲しいと思っているわけでもないが。
「うわわわわそこの人ちょっと危ないです避けてください―――!!!」
「は?」
 突如聞こえてきた声に驚き、陽は思わず立ち止まった。辺りを見回すが、大通りから少しばかり離れたここは異様なほど静かで、陽以外に誰がいる様子もない。
 一体なんだ、と内心首を傾げる。と、再び声が聞こえた。
「だから危ないですってば―――! ってあ、いた、いたいいたいやめてくださいつつかないでっ! わたし食べ物じゃないですおいしくないです――!!」
 ……気のせいだろうか、なんだか頭上から聞こえた気がする。そんなまさか、と思いながらも上を見上げれば。
 すごい速さで地面に向かって落ちてくる、ヒトらしきものが目に入ったのだった。
「なっ……!?」
 色々予想外のことに驚きを隠せない陽をよそに、そのヒトらしきものは重力にしたがって落ちた。その速さと障害物が無いことからして、そのまま地面と激突するのは必至だった。
 しかし、そのヒトらしきものは地面に激突する一瞬前にふわりと失速し、陽の目の前に降り立った。その通常ありえない出来事に驚きながらも降り立った者を見てみれば、その背には一対の純白の翼が。
「天使……?」
 人型で、背に純白の翼を負うモノ――といえば真っ先に浮かぶ言葉を無意識に口にする陽。
 ふうなんとか無事に着陸できましたー、神様ありがとうございます!などと独り言のように口にしていたその人物は、陽の言葉ににこっと笑って、答えた。
「はい、そうですー。わたしは天使です」
「…………………は?」
「だーかーらー、天使ですってばー。そりゃあ普通天使は鳥につつかれて落ちてきたりしないかもしれませんけど、わたしは立派な天使ですっ!」
「鳥に、つつかれて?」
「そうなんですよぅ、鳥って普通夜飛びませんよねぇ? まったく非常識です」
 そう言ってむくれる自称天使。夜飛ぶ鳥と、鳥につつかれて落ちてくる天使。どちらがより非常識だろうか、と陽はぼんやり考えた。そもそも、陽が生まれ小学生まで育ったこの世界は、天使とかそういうものがその辺にいるような世界だっただろうか。
「あれ、どうしました? なんか難しい顔になってますよ?」
 つい真面目に考え込んでしまった陽は自称天使に不思議そうに顔を覗き込まれて、とりあえずこの世界の生態系に思いを巡らすのを止めた。
 自分が異世界に行ってしまったくらいだし、意外とこの世界には不思議がいっぱいなのかもしれない。
「で、天使がなんで鳥につつかれてこんなところに落ちてくるような羽目になったんだ?」
 陽の至極真っ当な問いかけに、自称天使はそれまでのぽやぽやした顔でなくきりっとした顔で――と思えばすぐに今にも泣きだしそうな情けない顔になって話し出した。
「それがですねぇ、わたしの友達にティル・スーって言うかなり高位の天使がいるんですけど、その天使がいなくなっちゃったんです。クリスマス前後って天使はすごく忙しいんですよ。なのにティル・スーはいなくなっちゃうし、探しに行ける天使もいないし。仲が良かったってだけの理由でわたしひとりに探すの押し付けられて。そりゃわたしだって仕事ですしティル・スーのこと心配ですし真面目に探しましたよ? でもこのあたりまで気配を追ったらわからなくなっちゃって…うう、神様酷いです、無理に決まってるじゃないですかー! 私探索とか大の苦手なのにっ…!!」
「へー…」
 後半はなんだか愚痴になっていた気もするが、事情はわかった。
「それでですね!」
 突然勢い込んで自分を見つめる天使に、ちょっと気圧されながらも向き直る。
「やっぱり地上のことは地上にいる人――いや別に動物とかでも構わないんですけど!――が一番よく知ってると思うんですよね!あ れです、餅は餅屋ってやつです」
 何か間違っているような。しかし勢いにのまれている陽にはつっこめない。
「…なに?」
「お願いです、ティル・スー探すの手伝ってください!!」
 がばっと頭を下げる天使。背の一対の羽根がぴこぴこと揺れていた。
「…………」
「…………………」
「……………………………」
「……………………………………やっぱり駄目ですか…?」
 陽が思わず反応を返しそびれ沈黙を生み出してしまった後、しゅん、と飼い主に叱られた犬のように――ぺたんと垂れた犬耳の幻覚が見えるようだ――天使はチラリと陽を伺い見る。
「や、別にいいぜ。特に用事もないし」
 結構あっさりと承諾した陽に、天使はぱあっと顔を輝かせた。
「本当ですか!? うわぁありがとうございます、このご恩は一生忘れません!!」
「別に気にすんなって。……で、もうちょい詳しく話聞きたいんだけど……」
 とりあえず、落ち着いて話せそうな場所に向かいつつ、陽は天使に尋ねたのだった。

★ ★ ★

 近くにあった公園のベンチに座って、陽は天使――リアン・キャロルに視線を合わせる。ちなみに公園に辿り着く前に自己紹介は済ませた。
 色々尋ねてみたところ、リアンが探しているという天使――ティル・スーは何か目的があって地上に来たらしい。その目的のために有給申請を出したらしいが、繁忙期な上に位の高い天使が居なくなったら仕事が滞るという理由で却下されたそうだ。そして数日前、忽然と姿を消したとか。
「とりあえずさ、どうしてそのティル・スーがいなくなったかってのが分からないと探せないよな。……俺としては仕事が嫌になったからじゃねーかと思うけど。有給申請して受理されなかったんだろ? だから仕事放棄して逃走みたいな」
「それはありそうですけど〜…でも、それなら地上に降りる理由はないんじゃないかと思うんですよねぇ。ティル・スーは無駄な労力使うのって嫌いですし…」
 リアンの言葉を受けて、尚も陽は考えてみる。
「そっか? ……だったら――そーだな、何か欲しいものとかあってこっちに来たのかもな。わざわざ地上にくる理由っつったらそれくらいじゃねーの? お前、何か思い当たることないのかよ?」
 とりあえず尋ねてみれば、リアンはむむむ、と唸りつつ考え込む。
「ティル・スーに物欲ってあんまりなさそうなんですよねぇ…この間『クリスマスにプレゼント交換しましょう!』って私が言ったときも、『別に欲しいものないんだけど』って言われましたし」
「『プレゼント交換』?」
 何となく引っかかって、陽は鸚鵡返しに尋ねた。
「そうですー。もともとは私の間違ったクリスマスの知識をティル・スーが正してくれたのが発端なんですけど、面白そうだなって思ったから提案してみたんです。だってせっかくですし、『クリスマス』を体験してみたいじゃないですか! で、ティル・スーもそんなに乗り気じゃなかったですけど、了承してくれまして…」
「………もしかして、それじゃねーの?」
「はい?」
 間抜けに首を傾げて自分を見るリアンに、陽は溜息をつきながら続ける。
「だから、ティル・スーが地上に降りた理由。その『プレゼント交換』のプレゼント買うために地上に降りたんじゃねぇ? 時期的にもそれっぽいし」
「…………ああ、なるほどっ!!」
 数秒してやっと陽の言う意味が理解できたらしいリアンが、ぽんと手を打って声を上げた。
「天界の店って品揃え悪いですからね〜。確かにそれはありそうですっ!」
 うんうんと何度も頷くリアン。そんなリアンに、陽は提案する。
「んじゃ、この近くの大通りとか行ってみねぇ? ティル・スーは一応この辺にいるっぽいんだろ? だったらなんか買うとしたらそういうとこだろ。結構いろんな店があったはずだし」
「行ってみましょう! ……えーと、案内お願いしますー…」
 やる気満々で拳を振り上げた後、「そういえば場所分からないんでした!」とばかりに情けない顔で自分に頭を下げたリアンに、陽は思わず笑ってしまったのだった。

★ ☆ ★

「ってもなー…人多いし広いし、地道に探すのって大変そうだな。大体どの辺かとかわかんねーの?」
 辿りついた大通りのあまりの人の多さに、陽はそうリアンに尋ねた。その返答はというと。
「なんかもやーっとしててわからないです〜…私、気配を探るとかそういうのあんまり得意じゃないですし。でも、この通りに居るのは確実っぽいですよ!」
 という、役に立つのか立たないのか、というか役に立たない言葉だった。
 仕方ないので、どういう店があるのかを把握するためにも一度通りを歩いてみることにする。
「あ!」
 てくてくと歩いていたら、リアンが唐突に声を上げた。ティルを見つけたのかとリアンを振り向いた陽だったが、リアンは何かキラキラした目である店を凝視しているだけだった。
「どうしたんだ?」
 何となく先が読めつつも、一応尋ねてみる。
「あのお店、なんかよくないですか?! あの静かな佇まいとか!」
「……はぁ?」
 なんかよく分からないことを言われ、つい間抜けた返事をしてしまう。
「ああいうお店って掘り出し物とかあるんですよねっ! 行ってみていいですか!?」
「い、いいんじゃねーの?」
「やったーっ!」
 ててて、とリアンがその店に向かって走っていく。
 おいおいティル・スー探しはどうしたよ、と思いながらも、まあいいかとリアンの後をのんびりとついていく陽。
 リアンが嬉々として駆け込んでいった店は、どうやら個人が趣味で経営している感じの雑貨店だった。手作りらしき小物から、骨董品っぽい価値のありそうなものまで色々と揃っている。
 自分も何となく店内を物色しつつ、子供のように落ち着きのないリアンがうっかり棚とかにぶつからないように注意しておく。彼ならやりかねない。
「これ! これいいと思いません!?」
 勢い込んでリアンが言ってきたので、その手の中にあるものを見た陽は、思いっきり眉を顰めた。
「……お前趣味悪いんじゃねーの」
「そんなことないですよっ!」
「いや絶対趣味悪ぃって。間違いねーよ」
「ええ〜?? これ、いいと思うんですけど…」
 そんな会話を交わしていると、からんからん、と店のドアに取り付けられたベルが鳴った。何の気なしに振り向いた陽とリアンは、入ってきた新しい客の姿を見た瞬間、ぽかんと口を開けた。
「リアン・キャロル…?」
「ティル・スー?!」
 ほぼ同時にお互いの名を呼んだ銀髪と金髪の天使。そして先に動いたのは、ティルのほうだった。
 くるりと無駄のない動きで踵を返し、そのまま雑踏の中へと逃走する。
「え、ちょっと待ってくださいよ、ティル・スー!」
 慌ててティルを追いかけようとしたリアンを、笑顔で止める人物が居た。背中に龍の翼、頭に小さな白い天使の翼を持ち、蜂蜜色の腰まである髪を風に揺らす少女――ビースト化した雛である。
「悪いけど、そう簡単に追いかけさせるわけにはいかないんだ♪ ごめんね?」
 ごめんと言いながら、その顔は全く悪びれた様子はない。
「ええええええ!? 何でですかぁ〜?!」
 何かもう既に半泣き状態のリアン。そんなリアンより一歩前に出たのは、ようやく面白い感じになってきた、と胸を躍らせている陽だった。
「邪魔するってんなら、こっちにも考えがあるぜ?」
 言いながら、内心ちょっと首を傾げる。雛の顔に見覚えがあるような気がしたのだ。
 しかしそれについて深く考える前に、別の声が陽の耳に届いた。
「若者が元気なのは、大変結構結構。ですが、私もまだまだ若者には負けませんぞ」
 こんな場には似つかわしくない笑みを浮かべた老人――清泉が、手にしたステッキを構えて陽の前に立った。
「やるつもりか?」
「状況が状況ですからな」
 清泉がただの老人ではないと直感した陽は、にっと楽しげな笑みを浮かべる。
「じゃ、手合わせ願おうか」
「お手柔らかに頼みますぞ」
 言うや否や、2人は同時にドアをくぐり外へと飛び出した。
「ああぁああっ! 紫藤さん〜…」
 唯一の味方が居なくなって、へにょっと眉根を下げて情けない声を上げるリアン。そんなリアンに、雛はにっこりと笑いかける。
「君はどうする? ティルさんを追いかけるなら、私を倒していってもらわないとだけど」
「うううう……」
 情けない顔で唸るリアン。しばらくの後、きっ、と雛を見据えて言った。
「意地でも追いかけさせてもらいますっ! このままじゃ減棒になっちゃうんですよ〜っ!!」
 …………やっぱり情けない動機であった。
 雛とリアンはほぼ同時に店を出、そして上空へと飛び上がった。


 4人が店を出て行ってから数分後。
 からんからん…、と店のベルが鳴った。
 ドアからひょこりと顔を覗かせたのは、真っ先に店から出て行ったはずのティル・スーだった。
 彼は店内にリアンたちが居ないことを確認すると、のんびりと商品を物色する。
 そして、慌てて棚に戻されたのだろう、手のひらに乗るほどの小物を手にし、ひっそりと笑う。
「ほんっと趣味悪いなぁ、リアン・キャロルは」
 苦笑しながら呟いて、そして店の奥の店員を呼んだのだった。

★ ☆ ★

「なかなかやるじゃん」
「そちらこそ、なかなかの技術ですな」
 清泉の得物がステッキだったため得物のない陽が不利になるかと思われた二人の勝負だったが、意外にも実力は拮抗していた。
 リーチの差はあれど、すばやく動く陽になかなかステッキは当たらず――まあそもそも双方とも牽制し合っているに近いので当たることもないだろうが――舞うような二人の戦いは、周りを巻き込まぬために寂れた路地へと舞台を移していた。
 どちらも相手が本気で自分を害そうとしているわけではないことは既に察していたが、何となく楽しかったのでそのまま勝負を続けている。一応それぞれ天使に協力を約束した身であるし。
 そんなこんなで微妙な戦いを続けること数分。
 自分達以外の気配が路地に現れるのを感じて、二人は技の応酬を止めた。
 現れたのは、ティルとリアン、そして雛の三人だった。
「問題も片付いたので、もういいですよって言いに来たんですけど……」
 雛に続けてティルが言う。
「もう止めてましたか。とりあえず、ご迷惑をおかけしたお詫びとして、天界の料理でもご馳走しようかと思うんですが」
「神様にも連絡して許可貰ったので、私の家にご招待します〜。どうですか?」
 問われ、清泉と陽は顔を見合わせる。知らないうちに事態は進行していたらしい。
「別にかまわねぇけど」
「招待していただけるのなら喜んで、ご相伴に預かりましょうぞ」
 そういうわけで、勝負は決着のつかないままなし崩し的に終わったのだった。

★ ☆ ★

 天界の門を開く座標として指定した近くの公園で、五人は改めて自己紹介をすることにした。
「名前はティル・スー。職業は天使、かな。年齢は秘密で」
「リアン・キャロルですっ! ティルと同じで職業は天使です。年齢は……忘れましたぁ…」
「占見清泉と申します。職業は『御隠居』ということでひとつ。年は70ですぞ」
「美景雛です。職業は……えーと高校生で、15歳です」
「紫藤陽。職業はフリーターで孤児院手伝いをしてる。一応20歳だ」
 清泉とは戦ったこともあって、比較的すぐに打ち解けた。……自己紹介の『70歳』は絶対嘘だ、とこっそり思っていたが。
 そして雛とは――。
(やっぱりどこかで見たことある気がするんだよなー)
 じぃっと雛を見つつ考える。可愛い子だな、と思うので、どこかで見かけたのを覚えているだけなのかもしれないが。
「? どうしました?」
 不思議そうに言われて、陽は「や、なんでもない」と手を振って応える。すると、雛がにっこりと笑って言葉を紡いだ。
「あの、こうして会ったのも何かの縁ですし、よろしくお願いしますね!」
 その元気いっぱいで可愛い笑顔に暖かい気持ちになりながら、陽も前回の笑顔で応えた。
「ああ、よろしくな!」

 ちなみにリアンと雛、清泉と陽の戦い(?)がちょっとした騒ぎになり警察などもちょっと動きそうだったのだが、そのデータを陽がこっそり改竄したというのは、誰も知らない秘密である。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【7284/占見・清泉(うらみ・せいせん)/男性/70歳/御隠居】

【7092/美景・雛(みかげ・ひな)/女性/15歳/高校生・アイドル声優】

【7269/紫藤・陽(しどう・ひなた)/男性/20歳/フリーター:孤児院のお手伝いさん】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 初めまして、またはこんにちは。ライターの遊月と申します。
 「エンジェル・トラブル」にご参加くださりありがとうございました。
 お届けが大変に遅くなりまして申し訳ありませんでした…!
 その分楽しんでいただけるものになっていることを願います。
 ところどころ個別だったり共通だったりするので、他の人のノベルを見てみると面白い部分があるかもしれません。

★紫藤陽さま
 初めましてですね。
 口調とかちょっと悩みつつ、リアンのお手伝いをしていただきました。
 能力とかはあまり盛り込めなかったのですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
 『ともだち』の足がかりになるといいなあ、と思いつつ。

 ご満足いただける作品に仕上がっているとよいのですが…。
 リテイクその他はご遠慮なく。
 それでは、本当にありがとうございました。

WhiteChristmas・聖なる夜の物語 -
遊月 クリエイターズルームへ
東京怪談
2008年01月15日

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