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『LOVER NIGHT 』
望月・葵(w3l437)&エスティナ(w3l437)&(登場しない)

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OPENING

色鮮やかに、聖なる夜。
あなたが待つは、愛しき人。
粉雪舞う中、贈り物を手に。
あなたが待つは、愛しき人。

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十二月二十五日、クリスマス。
粉雪舞う中、とある女性を待つ青年の姿。
彼の名前は望月・葵。
葵は、時計を確認し、思う。
(そろそろ…かな)
葵の予感は的中し、彼の待ち人が駆け寄ってくる。
「あ、葵様。お待たせして、申し訳御座いません」
息を切らして言う、女性の名はエスティナ。
葵の、大切な…かけがえのない人だ。
また、エスティナにとっても、葵は大切な存在。
魔皇と逢魔という関係ではあるものの、
彼等は、それ以上の…深い、深い関係にある。
「大丈夫。そんなに待ってないよ。行こうか」
微笑み言う葵。エスティナは、微笑みを返してハイ、と頷いた。

「どうだった?講義は」
「あ、はい。とても勉強になりました」
「そうか。良かったね」
「はい」
「しかし君は…何というか、本当に勉強熱心だな」
「え。い、いけないことでしょうか?」
「いいや。立派だよ」
「…そ、そんな」
照れて俯くエスティナ。
彼女が大学で講義を受けるのは、自身の為…というのも勿論だが、
それよりも何よりも、彼女は葵の役に立ちたい。
少しでも博識になり、彼のサポートに役立てたい。
エスティナは、いつでも、そう思っている。…決して、口にはしないが。
並んで歩きながら、エスティナは ふと葵に問う。
「葵様。どちらへ向かわれるのですか?」
「内緒」
「え…?」
「今日は黙って、ついてきて」
微笑み言う葵。エスティナにとって、葵の笑顔は凶器。
ドキドキする心を落ち着かせながら、
エスティナは、葵に言われたとおり…彼についていく。

十五分ほど歩いただろうか。
ピタリと葵が足を止めた。
「ついた。ごめんな。寒かっただろ」
エスティナの頬を撫でながら言う葵。
「いえ。大丈夫です。…ここは?」
エスティナが見上げる建物。
色鮮やかな装飾が施された そこは、有名なアクセサリーショップだ。
「一緒に来たかったんだ。さぁ、入ろう」
葵はエスティナの手を引き、店内へ入っていく。
クリスマスということもあり、店内には、カップルが多い。
どのカップルも、ショーケースに並ぶアクセサリーに夢中だ。
「わぁ…綺麗ですね」
並ぶアクセサリーの美しさに、喜ぶエスティナ。
葵は、そんなエスティナに微笑みつつ尋ねた。
「どれが一番、キミの好みかな?」
「えーと…そうですね…」
エスティナは、並ぶアクセサリーを眺める。
少し前のめりになって吟味する その姿は、真剣そのものだ。
「えと…これ、ですかね」
ピッと指差すエスティナ。
エスティナが示したアクセサリーは、華モチーフのリング。
葵はクスクス笑って言う。
「あぁ、やっぱりそうか。よかった」
「え?」
葵の放った言葉に首を傾げるエスティナ。
まぁ、無理もない。
葵は、キョトンとしているエスティナを他所に、
店員を呼ぶと、エスティナが示したリングをショーケースから出してもらい、
それをエスティナの指へはめた。
「うん。似合ってるよ」
「…?あ、ありがとうございます…?」
依然、首を傾げたまま御礼の言葉を、とりあえず述べるエスティナ。
「じゃあ、上行こうか。暖かいものでも飲もう」
「え?あの…これ…」
指にはめられたままのリングを外そうとするエスティナ。
そんなエスティナの手を引き、葵は歩き出す。
「あっ、あの…葵様。これ…」
戸惑うエスティナだったが…。
「ありがとうございました」
そう言って揃って礼をする店員を見て、彼女は理解する。
そう、リングは既に、支払いが済まされていたのだ。


「びっくりしました…」
紅茶に砂糖を入れながら、微笑んで言うエスティナ。
「キミが、違うのを選んだら…どうしようかと思ったけどね」
葵は、コーヒーを飲みながらクスクス笑う。
この店の二階には、喫茶店がある。
とてもお洒落な内装で、カップルに人気の店だ。
葵は抜け目ない。この日の為に、ここを貸切にまでしていた。
次から次へとサプライズ。
驚くものの、やはり、嬉しい。
自分との時間を、ここまで考えて作ってくれるなんて。
エスティナは、感激で、うっかり泣いてしまいそうだ。
俯くエスティナを見て、彼女が涙を堪えていることを理解する葵。
葵は微笑みつつ、エスティナへ静かに告げた。
「なぁ、エスティナ」
「…は、はい」
エスティナは、俯いたまま、小さな声で返す。
「僕にとって、キミは…かけがえのない存在だ。失いたくない」
「…はい」
「来年も、こうして…一緒にクリスマスを迎えような」
「…勿論です」
顔を上げるエスティナ。
途端に、涙が頬を伝う。
慌てて涙を拭おうとするエスティナ。
葵はクスリと笑い、席を立って彼女の傍へ歩み寄ると、
「何、泣いてるんだよ」
笑いながら、エスティナの頬を濡らす涙を指で拭った。
「葵様…私、幸せです」
震えた声で言うエスティナ。
葵は、テーブルに手をつき、エスティナにキスをした。
高鳴る鼓動。感動と幸せ。エスティナは、あまりの幸福に恐怖さえ覚える。
葵が唇を離したと同時に、エスティナは慌てて…彼に自らキスをした。
何というか。不思議な…衝動だった。
何故か、彼が消えてしまうのではないか、と唐突に不安になったのだ。
葵は微笑み、エスティナの耳元で囁く。
「大丈夫。どこにも、行かないよ」
葵の言葉に払拭される不安。
エスティナはコシコシと涙を拭い、微笑んだ。
「葵様」
「ん?」
「これ…私からのプレゼントです」
持っていた紙袋から、黒い帽子を取り出して、葵に差し出すエスティナ。
ところどころ…解れている。どうやら、彼女の手編みのようだ。
葵は子供のような満面の笑みを浮かべ、
受け取った帽子を被り、エスティナをギュッと抱きしめる。
「ありがとう」
「いいえ…こちらこそ、です…」
葵の背中に腕を回し、幸せに酔いしれるエスティナ。
二人だけの、甘い ひと時。
そんな二人の耳に届く、拍手。
ハッと我に返ると、店員たちが微笑ましく こちらを見やっていた。
中には、口笛を鳴らして祝福する者もいる。
葵とエスティナは急に気恥ずかしくなり、離れようとしたが…。
それを止めて、二人の時間に酔いしれる。
「もう少しだけ…恥ずかしい思いしようか」
「はい。喜んで…」

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 種族 】

w3l437maoh / 望月・葵 / ♂ / 21歳 / 魔皇
w3l437ouma / エスティナ / ♀ / 18歳 / 逢魔


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは。はじめまして。
クリスマスノベル・LOVER NIGHTをお届けします。
遅れてしまい、申し訳御座いません。。気に入って頂ければ幸いです。

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2008.01.01 / 椎葉 あずま(Azma Siiba)
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