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『【桜蘭】恋人達に一期一会の食卓を 』
志羽・咲流(mr0308)&志羽・咲流(mr0308)&(登場しない)

「ちょっと、そこの人待つアルよ!」
「ほぇ?」
 エファナは奇妙なイントネーションの口調の女性に声をかけられ、立ち止まった。
 振り向けば、お団子頭に赤い服を着ている、元気そうな人物だった。
「アナタ可愛いアルね。忙しいから、ウチの店でちょっと働いて見ないアルか?」
 見上げればそこには『大熊猫飯店』と書かれた看板が自己主張をしていた。
「えっと、あたしには人を幸せにするって言う仕事が……」
 事情が飲み込めず一歩下がるエファナ。
 しかし、声をかけた女性。
『大熊猫飯店』のチャオ・ファンはそれで引き下がるようなタマではない。
「それなら、ますます丁度いいアルよ。幸せにするのは美味しい料理アル! ささ、こっちへこっちへ〜」
「うわわわわぁ〜」
 ずるずると引きずられ、エファナは大熊猫飯店にて、恋人達へおもてなしをすることとなったのである。
(ま、これで人を幸せにできるのならいいかな?)
 エファナはいい匂いのするお店へひきづられながらもそう思った。
 その一方で、新たな恋が動きだしていた……。
 
〜いざ、クリスマス〜
「さて、会長はいるかな……」
 志羽・咲流は紙袋に包んだプレゼントを持ちつつ、ヒーロー同好会会長を探していた。
 部室にも世界浴場にも姿はなく、あとはウルドの門だけだった。
「やれやれ、世の中みんなクリスマスか」
 咲流がそっと覗くと、セフィード・ギャバノンが門の前で両腕を組んで、中に行く学士達を見守っていた。
 ウルドの門が<夢の世界>とつながって、カップルで学士達がユグドラシル学院より出かけていく。
 ヒーロー同好会員もほとんどいない……。
「会長、偶然だね〜一人で何やってるの?」
 探していたとはいえず、偶然を装って、咲流はギャバノンに声をかけた。
「門からくる脅威に対して警戒中だ……」
 ちょっと顔をそらしてからギャバノンは答えた。
「クリスマスだってのに一人は身は辛いよね……。カップルでクリスマスを過ごす人達が羨ましいよ」
 紙袋をちょっと背に隠しながら、咲流は苦笑した。
「そうだな……あ、いや、羨ましくはないぞ」
 一瞬本音が漏れ、それを否定するギャバノン。
(意外と可愛いかもしれない、会長って……)
「何をにやにやしている、何かようがあるんじゃないのか?」
 ギャバノンに聞かれ、後ろに隠した荷物をぎゅっと握り締める咲流。
 心臓の鼓動がいつもより高まっていくのを自分自身で感じていた。
「えっとさ……もし、ようがないならあたしと一緒にクリスマスを過ごさない?」
 その誘いにギャバノンは驚いたのか目を見開き、口がぽかーんと空く。
「用はない……いや、俺には平和を守るという使命がっ!」
 一度了承しかけ、それを否定するギャバノン。
「ほら、男だったらぐずぐずしないんでしょ! いこ?」
 咲流は自分から手を差し出すと、ギャバノンはそれを素直に握り返した。
 
〜おいでませ、大熊猫飯店〜

 ウルドの門をくぐると、そこは雪化粧に覆われていた。
「きれい……本当に夢の中みたい、くしゅんっ!」
 咲流はくしゃみをする。
 夢の世界が冬景色ということをすっかり忘れていたため、学生服のままできてしまったのだ。
 そんな咲流にギャバノンは、マントをかけた。
「そんな格好じゃ冷えるだろ?」
「ありがとう、あったかいね……会長のマント」
 何気ない動作に咲流は嬉しさを感じずにはいられなかった。
「ふふ、いつも格闘技をしている姿ばかりしか見ていないから新鮮だな」
 ギャバノンは微笑んだ。
(会長のそんな顔をみるのも、新鮮だよ)
 いいたかったけれど、あまりにも恥ずかしい言葉だったので、咲流は胸の中にしまいこむ。
「あ、そこのお二人さ〜ん、中華はいかがですか〜?」
 金髪の少女―エファナ―がチャイナドレスで売り込みをしていた。
「え、中華?」
「いいんじゃないか? 腹持ちするし」
 色気より食い気。
 それは咲流もギャバノンも一緒らしい。
「会長なら、そういうと思ったよ、それじゃおじゃましまーす」
 店内は外の違ってとてもあったかい。
 室温だけでなく、雰囲気がそうなのかもしれない。
 にぎやかな厨房が見え、忙しそうに働くウェイトレスたちがいる。
 床は絨毯が引かれていて、明かりはすべてロウソクや灯篭だった。
「いい雰囲気の店だな」
「そうだね」
 テーブルに二人で座る。
 金髪の少女から、メニューをもらった。
「メニューがいっぱいあるな〜。あ、大盛や特盛もある!」
 咲流はメニューだけでおなか一杯になるほどぺらぺらとめくり、どうしようかと悩む。
 そんな咲流を見ていたギャバノンはくすりと笑った。
「な、なに?」
「いいや、面白いなと……支払いは俺が持つから遠慮しなくていいぞ」
「そんな、率直に言わなくたっていいじゃないっ」
 じっと見つめられ、咲流の頬が火照りだす。
「そ、そう? じゃあね……五目チャーハン大盛とエビチリ、デザートは杏仁豆腐♪ 食後にジャスミン茶♪」
「俺は小龍包に、肉まん3つ。あとは天津飯に餃子2人前で」
「会長も結構食べるね」
「自分で払うからな、遠慮なく食べたい」
 その後、二人で笑いあう。
 そんな二人をみていたエファナは少しだけ、チャオのいっていた『料理が人を幸せにする』という言葉がわかったようなきがした。
「エファナちゃ〜ん、4番テーブルに料理運んで欲しいアル! あと、今のテーブルの注文を持ってくるアルよー」
 厨房のほうから妙なイントネーションの女性の声が聞こえると、金髪の少女のエファナはパタパタと駆け出した。
 
〜クリスマスの終わりに……〜

 食事も終え、二人は店の外へでた。
 長時間いたためか、外は粉雪がふり冷え込んでいる。
 それでも、咲流は料理のせいかわからないが、寒さは余り感じていない。
 食事中に何を話したのかも忘れてしまったが、とても楽しかったことだけは覚えている。
 あと、ギャバノンのいろんな顔も……。
「雪が降ってきたな、学園に帰ろうか?」
 ギャバノンからそういわれると、あわてて咲流は手に持っていた紙袋から贈り物を取り出した。
「えっとね……これ、クリスマスプレゼント」
 咲流が広げて見せたのはお手製の胴着だった。
「あ、ああ……けど、俺がもらってもいいのか? 他に好きなやつとか……」
「好きだから、会長にあげたんだよ……」
 ギャバノンに答える声は小さく、店からの喧騒に消されていく。
「まぁ、ありがとうな。大切にボロボロに着こなさせてもらうぜ」
「言ってることが矛盾してるよ、会長」
 咲流は笑う、ギャバノンもつられて笑いだす。
 今は、この幸せがずっと続けばいいなと、咲流は思っていた。
 
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
  mr0308 /志羽・咲流/ 女  /18歳 /気操学学士

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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このたびは、恋人達のピンナップにご参加ありがとうございました。
この手のイベントでははじめての恋愛モノリプレイなのですが、いかがでしたでしょうか?
咲流さんの少女っぽい部分が出ていれば幸いです。

こちらも中々シナリオリリースできませんが、お時間がありましたらマギラギ本編でも参加していただけたら幸いです。

それでは、また運命の交錯するときまで、ごきげんよう。
WhiteChristmas・恋人達の物語 -
橘真斗 クリエイターズルームへ
学園創世記マギラギ
2007年12月25日

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