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『WONDER BOX @ 2007 』
シュライン・エマ0086

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OPENING

十二月二十五日、クリスマス。
草間興信所では毎年、クリスマスパーティを開催している。
無論、主催は零。今年も、ノリノリだ。
大勢で騒ぐ事に抵抗がある武彦も、今日だけは特別。
クリスマスの雰囲気に、見事に飲まれているようだ。

「みなさん集まりましたかぁ?」
リビングソファの上に立ち、大声で言う零。
その声を聞いたパーティ参加者達は、皆一斉に零を見やる。
自分に向けられる幾つもの視線に、零はフフフと満足気に笑って、
「じゃあ、始めますよ〜!ワンダーボックス2007〜!」
大きな箱を持ちつつ、楽しそうに言った。

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武彦の知り合いや零の友達、過去に依頼をしてきた人など。
たくさんの人が草間興信所に集結。
今宵はクリスマス。
パーティも終盤。
いよいよ、メインディッシュだ。
「っとと…もう、そんな時間だったのね」
来訪者達へ飲み物を注いだり、ケーキを取り分けたり、
甲斐甲斐しく働いていたシュラインは、
用意していた赤いシートをテーブルの上に敷く。
そこへ、ドン、と置かれる大きな箱。
箱を置いて、零はニッコニコと満面の笑みを浮かべている。
傍にいる武彦も、何だか楽しそうだ。
(ふふ…二人が嬉しそうだと、伝染っちゃうのよね)
楽しそうな武彦と零に感化され、シュラインもクスリと笑う。

ワンダーボックス。
そう呼ばれるメインディッシュは、
この大きな箱の中に手を入れ、
中のものを一つだけ贈呈する、というシンプルなもの。
箱の中に入っているプレゼントは、
毎年、武彦と零が、あらゆる店で買ってきたもので、
高価なものもあれば、がらくた同然のものもある。
武彦と零は勿論、パーティに出席した者も、
毎年、何を掴むか…と楽しみにしているイベントだ。
「じゃあ、整理番号1の人から、どうぞ〜」
テキパキと進行する零。
零が言ったとおり、パーティ出席者には、
招待状と共に、ワンダーボックス用の整理券が配布されている。
何というか、ここまでくると立派なイベントだ。
「よぉ〜〜っしゃ!今年は大物を釣るぜ〜〜!」
整理番号1の男性が腕まくりをして意気揚々とボックスの前へ。
後に控える出席者達からは、
頑張れ・いってらっしゃい!といった類の声援や、
がらくたを釣れ、という意味合いの”がらくたコール”が飛ぶ。
ズボッと箱の中へ手を入れ、男性はムムゥと思案。
当然だが、箱の中を覗き込むことはできない。
手にあたる感触のみで、取り出さねばならないのだ。
何が入っているかわかれば、形を記憶して狙うことができるが、
毎年、何を入れたかは決して口外されない為、それは出来ない。
「よし、これだ!!」
バッと男性が手を抜く。
場に居合わせる者の視線は、一斉に男性の手へ。
男性の手にあるものは…。

DVDの三本パック。

それも、エッチなDVDだ。
「…あっ、ある意味、大物ぉっ!!」
男性の言葉に、ドッと会場が湧く。
クックッと肩を揺らして笑う武彦の背中を、シュラインはパシンと叩いた。
「あれ買ったの、間違いなく武彦さんね」
「正解」
「んもぅ」
「喜んでるから無問題だろ。くく…」
そんなこんなで、イベントはサクサクと進む。
貰って嬉しいものを手に入れて、大喜びする者もいれば、
こんなものいらねー!と文句を述べる者まで、実に様々。
何だかんだで、皆楽しんでいるようで、
その光景に、シュラインは微笑みを浮かべた。
「おい、最後は、俺等だぞ」
武彦に小突かれ、ハッと我に返るシュライン。
毎年そうだが、武彦・零・シュラインの三人は、最後に手を入れることになっている。
箱の中に残されたプレゼントは、三つ。
三人は、同時に箱の中に手を入れる。
箱内で繰り広げられる戦い。
触った感触で、自分がイイと思ったものを掴もうと三人とも必死だ。
ささやかでありながら激しい戦いを終え、三人が箱から手を抜いた結果。

武彦が掴んだのは… ”ひげめがね”
零が掴んだのは… ”CDプレイヤー”
シュラインが掴んだのは… ”コスメセット”

「おま…ひげめがねって…」
ズーンと肩を落とす武彦。出席者達は爆笑。
零は、丁度欲しかったものだったらしく大喜びだ。
シュラインは、手に入れたコスメセットの中身に満足。
ファンデーションからグロス、チーク、アイシャドウ、
一式、全てシュラインが大好きなブランド”NOKK”のものだ。
どうやら、今回一番のハズレというか、がらくただったのは、
武彦が(箱内戦に敗れて)手に入れた、ひげめがねだったらしい。
買ったのも、武彦というオマケ付きだ。
「ドンマイ」
武彦は、ひげめがねを着用しながら己を慰めた。



パーティを終え、後片付けをするシュライン。
それを手伝おうと寄ってくる武彦と零。
武彦は、まだ、ひげめがねを着けたままだ。
シュラインは、そんな武彦にクスクス笑いつつ、
皿を重ねて、二人に言った。
「さっき、サンタクロースが来てたわよ」
シュラインの、その言葉にピクリと反応し、
武彦と零は短距離走のごとく、自室へと向かった。
バタバタと戻ってきて、二人は喜びを露わにする。
サンタクロース・シュラインから、二人へ。今年のプレゼント。
零には、ティーンズに大人気の香水 ”アクアノイス”を。
武彦には、有名ブランド”AG”のライターと、”何でも一つ、無条件で いうこときいちゃいます券”をプレゼント。
「これ!すごい欲しかったんですっ!ありがとうございますぅ!」
香水を手に、ピョンピョンと飛び跳ねる零。
シュラインは微笑みつつ、デートに使ってね、と零に耳打ちをした。
零は、そのつもりだったらしく、照れくさそうに笑う。
「これ、高ぇんだよなぁ」
ライターを眺めつつ言うのは武彦。
シュラインは皿をキッチンへ運びつつ言った。
「サンタクロースは太っ腹なのよ」
武彦はフッと微笑み、もう一つのプレゼントをヒラヒラと揺らして不敵な笑みを浮かべる。
「どうしようかなぁ、これは」
「お任せしますよ」
笑いながら、シュラインは返した。
いつもと何ら変わりなく片付けをするシュラインを見て、
武彦と零は顔を見合わせ、頷き合う。
二人の姿に、ん?と首を傾げるシュライン。
すると、武彦と零が言った。
「俺も、さっきサンタ見たな、そういえば」
「私も見ましたねぇ」
二人の言葉に、一瞬キョトンとしたシュラインだったが、
武彦と零の、揃って何かを求めるような視線に、あっと気付くと、
先程駆けていった二人に負けないくらいの速さで、自室へと向かっていった。

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■■■■■★ THE CAST ★■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員

NPC / 草間・武彦 (くさま・たけひこ) / ♂ / 30歳 / 草間興信所所長、探偵

NPC / 草間・零 (くさま・れい) / ♀ / --歳 / 草間興信所の探偵見習い


■■■■■★ ONE TALK ★■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは。いつも、発注ありがとうございます。心から感謝申し上げます。
気に入って頂ければ幸いです。また、どうぞ宜しく御願いします。

メリー・クリスマス☆ ゝ(▽`*ゝ)(ノ*´▽)ノ

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2007.12.25 / 椎葉 あずま(Azma Siiba)
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WhiteChristmas・聖なる夜の物語 -
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2007年12月25日

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