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『LOVER NIGHT 』
葉山鈴音(mr0725)&葉山龍壱(mr0676)&(登場しない)

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OPENING

色鮮やかに、聖なる夜。
あなたが待つは、愛しき人。
粉雪舞う中、贈り物を手に。
あなたが待つは、愛しき人。

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十二月二十五日、クリスマス。
粉雪舞う中、とある男性を待つ少女が一人。
(ホワイトクリスマスだぁ…)
空を見上げ、幸せそうに微笑む少女の名は、葉山鈴音。
鈴音は、黒い紙袋に ふっと視線を落とし、
袋の中に在る贈り物に積もった雪を慌てて払う。
(まだかな…)
はぁ、と掌に息を吹きかける鈴音。
白い息が、煙のように空に舞う。
「鈴音」
聞き慣れた、そして待ち焦がれた声。
鈴音はパッと振り返って言う。
「お兄ちゃ…きゃ」
足を滑らせ、転びそうになる鈴音。
そんな彼女を、がしっと抱きとめ優しく微笑む男性。
「…大丈夫か?」
男性の名は、葉山龍壱。
鈴音の実の兄だ。
「えへへ…ごめんね。大丈夫っ」
龍壱にギュッと抱きつきながら言う鈴音。
鈴音の頭を撫でて、龍壱は言った。
「…じゃあ、行こうか」
「うん!」


二人が歩くのは、街が見下ろせる高台。
絶景だが、あまり人に知られていない隠れ名所だ。
周りに、二人以外の姿はない。
「…寒いな」
軽く鼻をすすって言いつつ、
龍壱は、自身が巻いていたマフラーを鈴音の首へ巻く。
「いいよ!お兄ちゃん寒いでしょ」
巻かれたマフラーを取ろうとする鈴音に、
龍壱はクスクス笑って言う。
「…いいから」
龍壱の、優しい笑顔。
それに見惚れて、鈴音は頬を赤らめた。
(お兄ちゃんって…やっぱ、かっこいいな)
再認する、兄への想い。
鈴音は兄の言葉に甘え、マフラーを愛しそうに巻きなおした。
高台のベストスポット。
街が一番綺麗に見える、その場で二人は足を止める。
街を彩る灯りと、そこに降る粉雪が、とても幻想的で。
鈴音は「ふわぁ…」と声を漏らした。
いつも見てる景色だ。
暇があれば、鈴音は、一人でもここに来る。
もう何度も見た景色。
けれど、今日は格別。
まるで、宝石箱。
美しい景色にウットリする鈴音に、龍壱は笑う。
「…口、開きっぱなしだぞ」
「はわ」
ハッと我に返り、恥ずかしそうに口元を隠す鈴音。
そんな鈴音の頭をポンポンと軽く叩き、
龍壱は懐から、小さな箱を取り出した。
それにハッとして、鈴音は慌てて紙袋を龍壱に差し出して言う。
「えへへ。メリークリスマス」
龍壱は、ニコリと微笑んでそれを受け取ると、
「メリークリスマス」
そう言って、小さな箱を鈴音に差し出した。
交換される贈り物。
二人は声を揃えて言った。
「「開けてもいい?」」
揃う声にクスクス笑い、二人は同時に贈り物を確かめる。
鈴音が龍壱にプレゼントしたものは、ブレスレット。
シルバー製で、シンプルだが、とても御洒落なものだ。
龍壱が鈴音にプレゼントしたものは、指輪。
こちらもシルバー製で、猫が刻まれている。
「わぁ…。可愛い」
小さな箱の中、指輪の中で座る猫に微笑む鈴音。
龍壱は、箱から指輪を取ると、
鈴音に手を出すよう促しながら言う。
「…ありがとう。かっこいいな、これ」
「えへへ。お兄ちゃんに似合うと思ったんだ」
ニコニコと微笑みながら、龍壱に右手を差し出す鈴音。
すると龍壱はフルフルと首を振って、鈴音の左手をスッと取る。
「へ…」
キョトンとしている鈴音。
龍壱は、鈴音の左手薬指に、プレゼントした指輪をはめた。
「………」
薬指に輝く可愛い指輪に、鈴音は言葉を失う。
少しずつ俯いていくのは、溢れそうな涙を堪える為だろう。
俯いたまま、鈴音は小さな声で言葉を発する。
「ね、ねぇ。お兄ちゃん」
「…うん?」
「わ、私ね、お兄ちゃんのこと、好きだよ」
「…うん」
「あのね、兄妹としてじゃなくてね、その…一人の、男性として…」
俯く角度が増していき、どんどん小さく篭っていく声。
けれど、この静寂。聞き取るのに、難はない。
鈴音の言葉、想いを聞いた龍壱は、ギュッと鈴音を抱きしめた。
「はぅ」
突然抱きしめられ、驚く鈴音。
鼻をくすぐる、少し甘い、香水の香り。
自分を丸ごと包んでしまう腕。
鈴音は、キュンとする痛みに酔いしれながら、龍壱の背中に腕を回す。
呼吸の音が、はっきりと聞こえるだけ。
ほかには、何も聞こえない。
まるで、時が止まったかのような感覚。
目を閉じて、鈴音は想う。
(このまま…時間が止まればいいのにな…)
目を閉じたまま、そう願う鈴音に、龍壱が声をかける。
「鈴音」
名前を呼ばれ、フッと顔を上げた瞬間。
重なる、唇。
「………」
頬に落ちて溶ける雪の冷たさを忘れさせてしまうほどに、高鳴る鼓動。
十秒間の、甘い口付け。
重なる唇に、大きな雪が落ちて溶ける。
冷たい、と ようやく感じて二人は目を開いた。
交わる視線。大好きな人。
誰よりも愛しく、誰よりも大切な人。
「お兄ちゃん…」
瞳を潤ませる鈴音に、龍壱は告げる。
「…大好きだよ。鈴音」
耳元で囁かれる、愛の言葉。
紛れもなき、愛の言葉。
鈴音はポロポロと涙を零しつつ、龍壱に抱きついた。
「私も。私もだよ、お兄ちゃん。私も…大好きだよ」


粉雪舞う中、二人は手を繋ぐ。
互いの想いを確かめ合うように。
温もりと共に、交わる幸せ。
鈴音はポツリと小さな声で呟いた。
「お兄ちゃん。私は、ずっと。傍にいるよ…」
鈴音の言葉に微笑んで、龍壱は優しい声で告げた。
「…風邪ひかないように。今夜は一緒に眠ろうか」

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 種族 】

mr0725 / 葉山鈴音 (ハヤマスズネ) / ♀ / 18歳 / 人間
mr0676 / 葉山龍壱 (ハヤマリュウイチ) / ♂ / 24歳 / 人間


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは。はじめまして。
クリスマスノベル・LOVER NIGHTをお届けします。
とても可愛らしいプレイングで、キュンとしました。
気に入って頂ければ幸いです。機会があれば、また。
是非、お二方の物語を紡がせて下さいませ^^

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2007.12.19 / 椎葉 あずま(Azma Siiba)
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2007年12月20日

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