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『【恋する漢女】この世で誰よりもたくましく! 』
ロック・スティル0709

「君よりたくましい人は他にもいっぱいいたよ」

 クスリと、リゼルは林に負けない微笑みを返す。

「そうか、そんなのはいらないよね。僕はこの世で誰よりもたくましいんだ!」

 はちきれんばかりの体で木佐屋 林は激走した。

 リゼルはその様子をみながら、林と戦わせる遊び相手をもっと探してくることにする。
「今夜は楽しくなりそうだよ」
 さまざまな世界へリゼルは旅立った。



〜戦場で、一瞬の隙は命取りだ〜

 南米のマフィアの抗争は日常茶飯事だった。
「まったく、毎日飽きないな……」
 抗争の先人を走るのは、『自称』指揮官、ロック・スティル。
 小規模マフィアの首領となった今でも戦場の真ん中に走りたがる。
 下っ端が止めようも、止まらない。
 本能が『戦え』といってるようなものだ。
「だが、俺はこの方が性に会っている」
 誰になんと言われようと、ロックの美学は変わらない。
「ちょっとお疲れもーどかな?」
 そんな戦場に素っ頓狂な声が聞こえた。
「誰だ!」
 振り向いたところにはオレンジ髪の戦場には不釣合いな人物がいた。
(気配がなかった……何者だ?)
「そんなに怒らないで、ほらほら。疲れた体にクッキーだよ」
 ひょいと投げられるクッキー。
 思わずかみ締め、租借する。
「な、なんだ!?」
 思わず飲み込んでしまったクッキーの味は苦い。
「トリック オア トリート。いい夢を」
 それだけ述べてロックにクッキーを食べさせた人物―リゼル―は姿を消した。
 そして、目の前には敵。
「油断したな、『フルメタル・ロック』!」
 ずがっという蹴りをうけ、ロックは気を失った。
 
〜ザ・マッスルブラザーズ(仮)〜

 リゼルの行ったとおり、筋肉に自身のありそうな人たちがいた。
 だが、そのすべてを林は倒していく。
 服は腰に布をまいただけ、それだけ自分の体のすばらしさをアピールしたくてたまらなかった。
 そんなとき、目の前に倒れている男達がいた。
 どちらも林に負けないたくましい体をしている。
「どちらも目障りだよ……目障りなものは潰してしまえばいいんだ」
 何かに取り付かれているかのように林は倒れているロックと破壊武士・風閂に近づいた。
 そのただならぬ気配にロックはたちあがる。
「つぶれてしまえっ!」
 巨大な肉食獣のような勢いで二人へと襲い掛かる。
「起きろ、やられるぞ!」
 ロックの声に目を覚まし、風閂は林の拳をよける。
 ズガァンと地面を砕き、破片が飛ぶ。
「もう、一発で終わらせてほしいな。この体が汚れてしまうじゃないか」
 巻き上がる砂煙のなか、林はその姿を現す。
「俺はロック・スティル。どうやら、アンタも変なヤツのお菓子にやられたか」
 ロックはキャップをかぶりなおし、自己紹介をすませて林へと向き直った。
「今回はオカマじゃないか……俺は風閂だ」
「『今回は?』」
「気にするな、今はあいつの相手をすることが先だ!」
 ぐっと構えて、林へ向きなおす。
「そうだな、お前もあいつもそこまで鍛え上げるには苦しいこともあっただろうに……」
 ロックは訓練時代を思いだしながら、戦闘態勢に入る。
「誰よりも、何よりも逞しいのは僕だけで十分だよ」
 ギリシャ神話にでてくる人物の彫刻のような体を高揚させ、林は二人をにらんだ。
 気迫がぶわぁっと広がったかのようにロックと風閂は感じた。
 背筋に冷たい物が流れる。
「時間があれば真剣勝負を一対一でしたいものだ」
 風閂は呟き、林へ攻撃を仕掛ける。
 胸板への一撃をそのまま林は受け止めた。
「なんと!」
「お返しだよっ!」
 掬いあげるようなアッパーを風閂にすると、風閂の体が宙に舞った。
「おっと、悪いが二人いること忘れちゃいないか?」
 風閂を前に立たせ自分を隠して接近していたロックは林の顔面に肘うちを食らわせた。
 ベキリと嫌な音がし、林の鼻がおれる。
 風閂はその間にも受身をとり、林の背後へと回っていた。
「いいパンチだったが、腕はそれほどでもない」
 よろけた林を足払いし、倒す。
「ぐぅわぁぁ、僕の顔がぁぁぁぁ!?」
 倒されて苦しそうにもがく林。
「たかが顔面くらいで、うだうだ抜かすな」
 ロックが、着地しもがく林を一瞥した。
「ゆるさない、ぐちゃぐちゃにしてやるぅぅ!」
 鼻がまがり、そこから鼻血をだしている林が怒りにほえた。
 筋肉がさらに盛り上がり、熱い蒸気を発しだす。
 立ち上がった林はロックに向かって突撃をする。
「訓練じゃなくて、ドーピングか……どうりで動きが素人なわけだ」
 ロックが呟く。
「真の男とおもっていたが、そうではないか……倒させてもらう」
 風閂もせっかくの好敵手と思っていた相手がクスリによる強化と聞き、嘆いた。
 林の攻撃をロックが、ガードする。
 しかし、それでもズザザザと後ろへ下げれられた。
「何てパワーだ。手がしびれる」
 ジーンと来る痛みにロックは口元を歪めた。
「先ほどのが渾身と思うな!」
 風閂も林の背後から拳と蹴りの連続攻撃をくりだした。
 だが、本気であるにも関わらず、林の体への手ごたえを感じない。
「く、見た目だけではないか……」
 すぐさま距離を開けようとするも振り向きざまの張り手をくらい、吹き飛んだ。
 体が回転するも、受身をかろうじてとる。
 片腕と両足によるバランスをとるも、腕が肘がかぶるくらい土に埋まった。
「ロック殿、同時にかかるしかないか」
「おう、タイミングは任せる」
 風閂とロックは声を合わせ、半ば狂乱している林に対して、動いた。
 初めてだというのに、風閂と蹴りとロックのパンチがそろう。
 蹴りでバランスを崩した林にロックの追い討ちのラリアットが続く。
 そのままロックがとどめの投げを決めた。
 腰の布が落ちるも、風閂がそっと倒れた林にかけなおした。
「せめてもの情けだ……本当にたくましくなるための鍛錬を忘れるでないぞ」
 風閂はそれだけいうと、ロックに向き直る。
「そちらは本当の武人のようだな」
「ただの、軍人くずれさ」
 キャップをかぶりなおし、ロックはいう。
「いつか、真剣勝負をしたいものだ」
「そうだな、機会があれば……だ、くっ」
 突如、ロックの頭にもやもやしたものが覆ってくる感覚にとらわれた。
「どうした!? うぅぅ」
 風閂の足取りがふらつく。
 そのまま目の前が真っ白になり、ロックの意識は途絶えた。
 
〜戦場へ戻る〜

「首領! 大丈夫ですか!」
 下っ端の怒鳴り声のようなもので、ロックは目覚めた。
 銃声と男達の声が響き渡る。
「俺のことは指揮官と呼べといっているだろうが……」
 頭を振りつつ起き上がる。ロックを攻撃した敵が目の前に蜂の巣になった死体が転がっている。
「前線にですぎだとなんども……」
「俺は前線のほうが性にあっている……面白いやつにも出会えたしな」
「は?」
「なんでもない、このくだらない戦いを終わらそう。明日もまたやるだろうが」
 キャップをかぶりなおすロックの顔はどこか楽しそうだったという話だが、真実は定かではない。



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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
w3g785ouma/ 破壊武士・風閂 / 男 / 35歳 / レプリカント
0709/ ロック・スティル / 男 / 34歳 / 一般人

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 はじめまして、橘真斗です。
 軍人らしい感じできめてみましたがいかがでしょうか?
 渋いキャラは大好きです。
 一般人であるところがさらにいいですね。
 
 また、どこか機会があればよろしくお願いします。
Trick and Treat!・PCゲームノベル -
橘真斗 クリエイターズルームへ
PSYCHO MASTERS アナザー・レポート
2007年11月19日

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