▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『2007・今年の夏の涼み方 〜KALEIDOSCOPE〜 』
セレスティ・カーニンガム1883)&モーリス・ラジアル(2318)&マリオン・バーガンディ(4164)&真咲・誠名(NPC0469)

 今年の夏もまた暑くなりそうです。
 …と言うか既に実際に暑いです。
 湿気ます。
 蒸します。
 幾ら空調完備なカーニンガム邸の屋内で、実際に体感しているだろう温度湿度からしてそれなりに涼しい筈であろうと、窓から差してくる強烈な陽の光を見る――と言うか感じ取るだけでもへばってしまうものです。
 そう、夏であるだけで何をどう理屈をこねくり回そうと暑い事に変わりはないのです。
 カーニンガム邸の主人、セレスティ・カーニンガムにしてみれば余計にそうです。そう、アイルランドの人魚に日本の…それも異常気象真っ只中の東京の夏は正直、かなりキツいです。
 まぁ、そんな真夏の暑さを軽減する為、セレスティも室内での涼しい寛ぎ方は色々と考えていたりするのですが…こう毎年暑いと結局涼の取り方も毎年同じようになってくる訳で、そろそろ飽きても来ています。

 …そんな訳なので。
 ちょっと他の凌ぎ方を考えてみました。



 今年は。
 …アイスを食べつつ、
 …冷たい飲み物で喉を潤し、
 …真夏の光を見る――代わりに。

 ――――――…手に入れてみたのは万華鏡で。

 セル――ビーズや宝石を入れたプレート――を交換する事で様々な模様を堪能する事の出来る万華鏡は涼しさ満点でしょう。そう思い、例に漏れずオークションで落としてみました。
 …と言うか、とあるオークションのカタログでこの万華鏡の出品を見つけ、これで遊ぶのも涼しそうに思えた、と言う順番が正しかったりしますが。
 オークションで落としたのはただの万華鏡では無くアンティークの万華鏡。
 万華鏡の発明者、デビッド・ブリュースターの万華鏡、一セット。
 小さな望遠鏡のような円筒――本体のスコープと、セルが幾つも並べて収められている箱。
 まずはスコープを取り出して見、元々用意されているセルを寒色系のもの中心に色々交換し、くるくる回しながら取り敢えず試しに覗いて見ます。
 きらきらと透明感溢れる光が涼感を得られます。
 やはり私の考えに間違いは無かったようです。
 が。
 やっぱりこういった物は一人でいじくってみているより他の方々も呼んだ方が楽しいでしょう、とも思います。

 …そんな訳で。



 まずセレスティはマリオン・バーガンディを呼んでみました。
 …と言うか元々、マリオンはセレスティの書斎の外、扉の前で密かに中の様子をじーっと伺っていたりしたので呼ぶまでもなかったとも言えますが。どうやらマリオンはお呼びがかかるのはいつかなまだかなとそわそわしていた模様です。…そう、セレスティの所有する美術品を全面管理している、と言う立場からしてそもそも万華鏡入手のオークションの時から直接関わっている身です。当然競り落とした品には、それも万華鏡などと言う色々遊べる綺麗な模様が見られるもの、しかもアンティーク品ともなれば興味津々になる訳で…その万華鏡、覗いてみたくもなるものです。
 でも一応、待ってみる訳です。
 一緒に遊びましょう、と主様に呼んでもらえるのを。

 暫し後。
 先程のセレスティ同様、幾つかセルを交換し、万華鏡を借りてくるくる変わる模様を見させてもらってから――マリオンの視線がセレスティとふと合います。
 …どうやらお互い、考えている事も同じようです。
 セレスティが先に口を開きました。
「…プレートの中身、色々と変えてセルを作ってみたくはありませんか?」
「はい! 私もそう思うのです! きっとまた色々違った模様が楽しめそうな気がするのです!」
 確かちょうど良さそうな粒の宝石は幾つかあったと思うのです、とマリオンは早速空間に穴を開け。無造作にその中に手を突っ込みごそごそ――幾つか宝石入りのケースを選んで取り出してみます。それからアンティークビーズもあったかなと思い出しそれもまた空間の穴から取り出します。

 と、そんなタイミングで。

 書斎の扉がこつこつと叩かれました。
 部屋の主がどうぞと入室を促すと、開かれた扉の向こうに居たのは――モーリス・ラジアルと、もう一人。
 セレスティとは公私共に色々と付き合いのあったりする画廊経営者の真咲誠名の姿がありました。
 …そう、マリオンを呼ぶのと前後して、セレスティは誠名の事も一緒に遊ぼうと呼び出していたのでした。美術的センスをお持ちの方なので巻き込み甲斐があるでしょう、と言う建前で。
 一方のモーリスは来訪した誠名をセレスティの書斎まで連れてきたと言うところで――実はモーリスの方は主のセレスティが今何をしているのかよく知りません。
 が、扉を開き、机の上に目が行けば…モーリスにしてみれば一発で状況の判断は付きます。
「誠名さんをお連れしましたが…また何かに嵌っているのですか」
「また、ってそんな風に言わないで下さいよモーリス。それより一緒にどうです?」
「…まぁ構いませんけどね。もう諦めてますから」
「お、確かに良さそうな保存状態の奴見付けたみたいですね」
 万華鏡。
「ええ。で、ちょうど今交換用のセルを新しく作ってみようと言う話になったところなんですよ」
「お手製でですか」
「面白そうだと思いましてね。…マリオンが色々手頃な宝石やらビーズを持ってきてくれましたし」
「はい♪ 小粒な物だと少し所蔵が限られてしまうんですが――あんまり大きいとプレートに入りませんし――、アクアマリンとかサファイア、アメシスト、タンザナイトがありますね。それと…ブルーオパールは使えないでしょうかと思ったり…トルマリンのウォーターメロンとか使っても夏らしくて面白そうな気がするのです。寒色系でキャッツアイ効果やスター効果、それから模様が入っている石もありますし、それとかクリソコラ、光を通すタイプのターコイスとかの細かい粒が結構あるのです♪ ダイヤモンドとかクリスタルも良いと思いますし♪」
「…やっぱ総帥様の所蔵は『涼しそう』な奴押さえてるか」
「まぁ、色々やってみてますから」
 暑さ対策に関しては。
 言いながら、セレスティは早速幾つか石を選んでプレートに詰めている。石の一つ一つを室内の照明に翳してためつすがめつ。どんな色が出るか、カットによる屈折率や光のスペクトルの反射、吸収の程度を見極めつつ。石自体の大きさや形もまた拘ってみる。詰めたり出したりと時々考え込んで、石の数も増やしたり減らしたり。スコープにセットして覗いて少し確認して、また外してちょっと足したり減らしたり。
 …何だか凝り性である。
「えー、プレートに入れられそうな小粒の石と言うだけなら、寒色系の物以外にも一応ありますよ。ムーンストーンとかアンバーもあります。ルビーとかファイアーオパールみたいな暖色系になる色も一応用意しておきましょうか?」
 と、マリオンはまた空間に開けた穴から宝石入りと思しきケースを幾つか取り出し、机へ。
 いつの間にやら誠名がすぐ側まで来てマリオンの手許を覗き込んでいる。
「そーだな、青系の石の中にオレンジ系の石とか混ぜてもまた色が映えるよな。対比する色のアクセントって結構効くし。また違った表情が出る」
 うんうんと頷きつつ、誠名は空のセル用プレートを一つ手に取っている。その横ではセレスティがまた万華鏡を覗いている――今度は覗いている時間が結構長い。…見える模様に納得が行ったらしい。
 ちょうど海みたいな模様が出来ましたよ、とセレスティは自分で覗くのを止めて今度はマリオンや誠名に勧めている。んじゃ失礼してと先に誠名が借り受ける。ダイヤの光が効いてるのかな? 波打つ海面下から見た、って感じになってる、と評。私も私もとマリオンが次に借りて覗いて見ている。わー、と嬉しそうにくるくるくる。
 その様子を見、モーリスは小さく溜息。
 …いつものセレスティとマリオンだけでは無く『一人増えてる』気が。
 類が友を呼んでいる。
 とは言えまぁ、いつもの事と言えばいつもの事で。無理をしている等、セレスティの身体に悪い影響がないならば構いません。
 モーリスにしてみれば結局そうなる訳で。
 特に反対をするでもありません。
 折角万華鏡を入手したと言うのなら、涼しげな綺麗な光を見るのもまた一興とは思います。
 実際に、モーリスもどうですか? などとセレスティから直接万華鏡を渡され、渡された通り素直に覗いて見たりもしています。
 少し見てから、モーリスは万華鏡を返そうと当てていた目から離します――他の三人は交換セルの中身をやけに真剣に吟味している真っ最中です。
 …それは確かに綺麗は綺麗ですが。
 だからと言ってあまりに熱心な姿を見てしまうと、逆に別の事が頭に浮かんでもくるもので。
「筒の中の小宇宙も良いですが、天体望遠鏡で星を観るのも万華鏡のように綺麗だと思いますが」
 如何でしょう?
 と、似ているけれど違うものをちょっと思い付いたので、モーリスはセレスティに勧めてみます。
 が。
 セレスティは少し困ったような顔で、それも良いのですけれど、とぽつり。
 ただ。
 今の季節は何処も暑いですから――夜になっても。
 と、そう続きます。
 つまりは珍しくモーリスから勧められた事は嬉しいし勧められた事に興味もない事はないけれど、何よりも『こんな暑い陽気の中、外に赴き』天体望遠鏡――と洒落込むつもりは無い訳で。
 …まぁ結局、出不精って事なんですが。

 そう、こんな季節は幾らかでも涼しい家の中が一番です。

【了】
PCシチュエーションノベル(グループ3) -
深海残月 クリエイターズルームへ
東京怪談
2007年07月18日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.