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『お菓子な戦い 』
ラン・ファー6224



☆♪☆


 甘いクッキーの兵隊は優しい心の持ち主だから、決して彼らをいじめてはいけないのよ。
 でもね、ビスケットの兵隊は厳しい心の持ち主だから、もし貴方が彼らを敵に回したのならばすぐに逃げなくてはならないのよ?
 彼らは手に銃を持っていて、そこからチョコレートの弾が飛び出すの。
 キャラメル箱の戦車を持ってこられたら大変だわ!
 なにせ、キャラメル箱の戦車から撃たれる大砲は、大抵ガムなんですもの。
 それに当たるとね、ガムがくっついて動けなくなってしまうのよ。
 もし困ったことがあったなら、金平糖の妖精に助言を求めなさい。
 あの子達は何でも知っていて、とても素直で賢いからきっと貴方の力になるわ。
 でもね、丁寧な態度を心がけないといけないのよ。そうでないと、欲する言葉をくれないわ。
 気をつけて欲しいのが、飴の欠片の妖精。
 とても金平糖の妖精と似ているのだけれど、飴の欠片の妖精は意地悪で素直じゃないから必ず嘘を言うの。
 最後、マシュマロの猫には優しくしてね。マシュマロの猫はああ見えてとっても勇敢なのよ。


 アリス・ペンデルトンは王女様から言われた言葉を思い出しながらおかしの城へと続く道を歩いていた。
「な・・・なんとしても、あの城に住む魔女を・・・た・・・倒すのぢゃぁっ!」
 ぜぇはぁと荒い呼吸を繰り返しながらそう言って・・・ばたりとその場に倒れこんだ。
 先ほどから行けども行けども城は近づかない。これも魔女のせいなのだろうか?
 ・・・いや、違う。
 アリスの歩行速度が遅すぎて全然近づかないだけだ。
「むぅ・・・なんとしてもあの城に住む魔女をやっつけねば・・・そうでないと・・・」
 草むらからひょこっと顔を出したウサギがトントンと軽快に飛び跳ねて行く。
 ぴょこん・ぴょこん・・・水あめロケット・・・!!!
 ウサギの足から噴射した透明な水あめがアリスの顔にかかり、慌てて立ち上がる。
「わたしはお菓子じゃないっ!!まったく、やりたい放題ぢゃなっ!!やはりどうにかしないと・・・」
 1歩2歩、意気込みとは違いノロノロと動かされる足元、突然ベチャリと嫌な感触がし、見ればチョコレートの沼の中に片足が埋まっていた。慌てて引き抜こうとしても、さらにズブズブとはまって行ってしまう。
「だ・・・誰かっ!!誰か助けるのぢゃっ!」


★♪★


 アリスの悲壮な叫び声を聞き、ケヴィン フォレストは首を傾げながらも声のした方へと歩いて行った。
 ゆっくりとした歩調で数歩歩き・・・靴の裏で何かがつぶれた感触がした。見ればグミで出来た花が潰れてしまっている。グチャリと潰れた花は、色が混ざり合ってしまってなんだか悲惨だ。
「・・・・・・」
 どうしようかと考え込むケヴィンの耳に、再びアリスの叫び声が聞こえて来る。
「誰か!誰かいないのかっ!?」
 ・・・あぁそうだ。声の方に行こうとしていたんだと、甘ったるい匂いにほんの少しだけ眉を顰めながらも歩き出す。
 別に甘いものが好きと言うわけではないケヴィンにしてみれば、これだけ甘ったるい空間だと一種の拷問のような気さえもしてくる。
 げんなりとしながら飴細工の茂みを掻き分け、チョコレートの沼に片足を膝まで埋めたアリスが今にも泣きそうな様子で立っていた。
「あぁ、良かった。助かったのぢゃ。そこのお前、少し手を貸してくれぬか?」
「・・・・・」
 コクリと頷いたケヴィンがアリスに手を差し出し、華奢な腕を掴むとグイと引っ張り上げる。
 ズボリと音を立てながら足が抜け、アリスが安堵の溜息を洩らす。
「ふぅ、助かった。すまなかったな、ちょっとしたアクシデントがあったのぢゃ」
 苦笑しながらそう言うアリスに首を傾げ・・・
「うむ、なんと美味しそうな世界だ!ムシ歯に気をつければ極楽とも言えよう」
 ゆっくりと、茂みの中から出てきたラン ファーは目の前で佇む少女と青年を見つけ、目を見開いた。
「ほう、人がいたのか」
「なんぢゃ?お前は」
「私はラン ファー。何故かこの世界に飛ばされてきたんだ」
「わたしはアリス。アリス ペンデルトンぢゃ。魔女見習いをしておるのぢゃ。突然飛ばされてきたと言う事は、もしや成功したのか・・・?」
「成功?」
「使い魔の召喚ぢゃ」
「・・・使い魔って、私がか!?」
「そうぢゃ。何か問題でもあるか?」
 何でこんな子供の使い魔なんて・・・と溜息をつきそうになった時、ふと目の前に立っている青年の存在を思い出して視線を上げた。
「あんたは?名前は?」
「・・・・・・」
「へぇ、ケヴィン フォレストって言うのか」
「な、なんで分かるのぢゃ!?」
 一言も発していないケヴィン。にも拘らず、ランは普通に名前を言い当てた。
「長年の勘だ」
「ふむ、長年の・・・」
 純粋な性格のアリスが真面目な顔で頷き・・・ポンと手を打つと2人を交互に指差した。
「そうぢゃ、わたしの頼みを聞いてはくれないか?」


 RED FAUSTはバームクーヘンの木の陰から一部始終をじ〜っと観察していた。
 チョコレートの沼にはまって慌てているアリスの様子も、それを助けたケヴィンのことも、唐突に現れたランのことも、全て木の陰からじ〜っと見ていた。
「何だカ、面白そウ。ねぇ・・・まりもちゃん・・・」
 首にかけた鎖付きのビンの底でジっと大人しくしているまりもに話しかけるRED。ラベルに書かれた“メリーハロゲン”の文字が目を引く。
 アリス達が何かを話し合い、暫くしてから歩き出す。
 REDは息を潜めてそろそろとその後に付いて行くことにした。


☆♪☆


 樋口 真帆は途方に暮れていた。
 何故か魔女に召喚されてしまった真帆。黒のスカートにワインレッドのジャケット、白のブラウスと言うロリータ風の衣装とともに無言で渡されたのはブラウスと同じ目に痛いほどの白のフリルエプロン。
「さぁ、さっさと働きなさい!」
 女王様よろしく高らかにそう言う子供と、その隣に立つグラマーな美女。
 きっと美女が真帆を呼び出した魔女で、その子供があの小さな子なのだろう。ゆっくりとそう考えていた時、真帆は美人な魔女に外につまみ出されてしまった。
 真帆がやる事は、お菓子作りの雑用とお城のお掃除。
 報酬が出るわけではなく、ただ同然でこき使われていた。
「シンデレラじゃあるまいし、どうして・・・」
 ブツブツと文句を言うが、文句を言って改善されるわけではない。虚しさが心に積もってきた時だった。突然足元で「わんっ!」と声がして、下を向けばブラウニーの番犬が尻尾を振りながら回っていた。
「はぁ・・・王子様でも勇者様でも、魔王様でも何でも良いです!誰か・・・」
 王子様から勇者様を経て、魔王様に至る真帆の思考回路は限界ギリギリまで追い詰められていた。


 魔女のお城の扉を開ければ、真っ赤な毒々しい色をした絨毯が敷いてあり・・・アリスはふむと考えた後で絨毯に足を乗せた。
 ・・・ズブリ
 嫌な音とともに飲み込まれていく足。真っ赤な毒々しい色をしたコレは絨毯などではなく、柔らかいゼリー質の“何か”だ。
「わ・・・わぁぁぁぁっ!!!」
「一筋縄ではいかないようだな」
 ランがそこから何かを悟ったように頷き、ケヴィンがズブズブと飲み込まれていくアリスを興味深げに眺めている。
「お前!お前、見ていないで助けないかっ!!うわっ・・・うわぁぁぁっ!!」
 アリスの言葉を受け、ケヴィンが素直に従う。
 振り回される腕を取り、一気に持ち上げる・・・
「はぁ・・・驚いたのぢゃ」
「絨毯が通れないとなると、どうやって進めば良いのか」
「壁を伝うしかないのぢゃろうか?」
 壁を伝うとは言っても、2階の窓までは相当な高さがある。
 クッキーやビスケットで出来た外壁は足をかけるところはあるものの、その強度は信用におけない。
「2階の窓が開いているとは限らないしな。窓を破ったところで、その先に何があるかは分からない」
 ランがもっともな事を言い、それではこの先どうしたら良いのかと考え込もうとした時だった。
 パタパタとお城の中から真帆が走って来て・・・首を傾げる。
「お客様ですか?」
「なんぢゃお前は!?魔女の城に元からいた者か?」
「いいえ。話せば長いのですが・・・かくかくしかじかで・・・」
 かくかくしかじか。それは長い経緯を省略するとても便利な言葉だったが、省略のし過ぎと言うものだ。
 何があったのか全然伝わらない。
 ・・・だが、ケヴィンとアリスだけは真帆の言いたい事をしかと受け取ると頷いた。
「わたし達は今からその魔女を倒しに行くところなのぢゃ」
「まぁ、私は魔女なんかどうでも良いが」
 アリスの言葉に間髪いれずにそう言い返すラン。
「魔女なんかよりも、この城だ。拘りの菓子・・・これは食うしかないだろう!」
 玄関の取っ手部分をもぎ取ると口の中に入れるラン。
「・・・ご、豪快な食べ方ぢゃな」
 呆れるアリスの隣では、ケヴィンがその裾をツンツンと引っ張る。
「なんぢゃ!先ほどから思っているが、ケヴィン、なんでお前は何も喋らな・・・」
 アレと指差された先には、ブルブルと震えている真帆の姿。
 俯いたその表情は見えないが・・・淡い色をした唇が薄っすらと開く。
「ゆ、勇者様ですっ!」
「はぁ!?」
「アリスさん達は魔女を倒しに来て私を救ってくださった、勇者様ですっ!」
「や、お前を救うのは予定には入っては・・・」
「私、1階の罠の位置はいくつか把握してます!」
「なんとっ!!」
 助けるつもりはないと言いかけていたアリスは言葉を飲み込むと、真帆の手を握った。
 罠の位置を把握している人間が味方についたとなれば、それこそかなり心強い。
「この絨毯、実は通れる道があるんです。まず右端によって、3歩歩いて左に2歩・・・」
 真帆の導きに従って絨毯の上に足を乗せるが、沈み込まない・・・!
「ラン!いつまで食べておるのぢゃ!」
 もさもさと壁を切り崩しては食べていたランが、口の中にお菓子を詰め込みながらついて来る。
「あの、あの方は宜しいんですか?」
「ん?これで全員ぢゃが?」
「え!?それじゃぁ、あそこの人は・・・?」
 真帆が指差した先には、黒いサンタ服のような衣装にオレンジの模様入りの黒マント、黒のサンタ帽子を被った男性が1mはあろうかと言う巨大な注射器を片手に木の陰に立っていた。
「な・・・なんぢゃアヤツはっ!?怖っ!!」
「み・・・見つカっちゃったね。・・・まりもちゃん・・・」
 ビクッ!と肩を震わせたREDが首から下げたお菓子入れのようなビンに話しかけている。
「・・・まりもが入っているんでしょうか」
「問題はそこぢゃないぢゃろっ!」
 深刻な顔で呟いた真帆の言葉を切ると、アリスがズカズカと赤絨毯の上を戻ってREDの傍に近寄った。
 驚いて後ずさり、木の陰に隠れようとするRED。
「既に見えておるのぢゃ!今更そんなことしても・・・」
「ピ・・・ピンチだね・・・まりもちゃん・・・」
「ええいっ!お前、魔女の手先かっ!?」
「ま・・・魔女の手羽先っテ・・・なんだろうね、まりもちゃん・・・・」
「手羽先ぢゃないっ!!てーさーきーじゃっ!てーさーきっ!!」
「て・・・手先だっテ言ったら・・・まりもちゃん、どうスる?」
「わたしはまりもじゃないっ!!そして、お前が魔女の手先だった場合、お前を倒すっ!」
 ズビシっと指差されたREDが恐怖に木の陰に隠れようとするが、1m注射器が邪魔している。
「じゃ、魔女の手先じゃナいって・・・言ったラ?まりもちゃ・・・」
「まりもと話すのヤメっ!!」
 オドオドと、此方を見もしないREDの様子にイラっとしたアリスが大声をあげ、尚更REDを怯えさせる。
「ダメですよ、アリスさん。もっとこう・・・優しく接しないと」
 何時の間にか背後に来ていた真帆がそう言って、右手を差し出し「怖くないですよ〜?」と笑顔で言いながら近づいていく。
 ・・・とんだ動物扱いだ。
「真帆、なにかそれは間違っているような・・・」
「ボク達に、何カ用がアルの・・・?ねぇ、まりもちゃん?」
「僕達って、お前1人しかいないぢゃろうがっ!」
「アリスさん!まりもさんだって生きてるんですっ!」
「まりもを数にいれようとするなぁっ!!」
「・・・まぁ、手っ取り早く言えば仲間になれと言う事だな」
 中々話しの終わらない3人に呆れたランが此方にやって来て、REDをジロジロと見詰める。
「これから私達は魔女を倒して城を食いに行く」
「城を食うのはランだけぢゃろっ!!」
「そこで、城を解体する手伝いをしてもらいたい」
「魔女はどうしたのぢゃっ!!」
「城の・・・解体・・・どうする?まりもちゃん・・・」
「だぁぁあああぁぁあああっ!!!!城の解体のために行くのではないっ!」
「そうですよ!魔女さんにお給料を貰いに行くんですからっ!お菓子の国でもただ働きは許されませんっ!」
 真帆がそう言って、フンと拳を握る。
「給料を貰いに行くためでもないっ!!」
「・・・助けテ欲しケれば、下僕になレ!火をふケ、ねぇ・・・まりもちゃん・・・」
 まりも片手にポツリと呟いたRED。
「げ・・・下僕はお前ぢゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「私にそんな口をきいて、無事でいられると思うなよっ!?」
 アリスとランがそう叫び、REDを捕獲すべく飛び掛る。
「あぁぁっ!!ちょっと皆さん、落ち着いてください!」
 とたばた騒ぎになった3人を落ち着かせるべく真帆がそう声をかけるが、誰も聞いてはいない。
 どうしたものかと頭を悩ませようとした時、騒ぎに加わっていなかったケヴィンが真帆の傍にゆっくりとした歩調で歩いてくると何かを言いたげにお城と真帆のポケットを交互に指差した。
「え?・・・あー、もしかして鍵の事ですか?」
 コクコクと頷くケヴィン。
「はい、これです・・・」
 真帆が鍵を手渡し、この3人をどうにかするように助けを求めるが・・・
 きっと時が解決してくれると言うケヴィンの声ならぬ視線の悟りによって、2人は暫く追いかけっこを繰り広げる3人を黙って見詰めていたのだった。


★♪★


「まったく、時間を損してしまったではないか」
 真帆の的確な導きによって何とか1階を通り抜けられたアリスが、ブツブツと小言を言いながら歩く。
「まぁ、過ぎてしまったことは仕方がないですよ」
 時が解決してくれると言う真帆とケヴィンの考えはある意味では正しかったが、費やす時間はあまりにも長かった。
 2階の罠は分からないからと、慎重に進む真帆の隣ではアリスがズンズンと歩を進めている。
「あの上にぶら下がってるシャンデリアは美味そうだな」
 周囲を物色していたランがそう言ってシャンデリアを指差す。
 キラキラと光ったソレは、飴ででも出来ているのだろうか・・・。
 REDがポケットからはみ出したお菓子を取り出しては口に運び、目ざとくそれを見つけたランが手を出す。
「それにしてモ、随分と何もナイね、まりもちゃん・・・」
「そうですね、もっとこう、ぐわっと罠が仕掛けられているのかと思ってたんですけれど」
 1階に仕掛けられていた罠の多さを思い出した真帆がそう言い、それこそ2階は1歩進むごとに天井からゼリーがうにゅりと落ちてきたりするのかと・・・と、不思議な擬音語を使う。
「1歩毎なんて、危なっかしくて住めたものではないな」
「そうぢゃな。そもそも、魔女は・・・」
 何かを言いかけたアリスが、ふと足を止める。
「まりも男はどうしたのぢゃ?」
「アリスさん、まりも男さんじゃなくて、REDさんですよ」
 先ほどまで後ろを付いてきていたはずのREDの姿が見当たらなくなり、アリスが首を傾げる。
「ん?そう言えば姿が見えないな。罠にでもかかっているのか?」
「そんな、先を歩いてた私達がかかってないのにREDさんがかかるなんておかしいですよ」
 反論する真帆の袖を、ケヴィンがグイグイと引っ張る。
 何が言いたいのかと、ケヴィンの真意を探ろうと真帆がその視線の先を追い・・・
「・・・何してるんですか、REDさん・・・」
 ケヴィンに引きずられてきた先、曲がり角のところで立ち止まるREDの後姿を見つけて声をかけた。
 ビクリと怯えたようなREDの背中越し、オレンジ色の液体の入った巨大注射器の針先に何かがあった。
 クシャリとオレンジ色に濡れたそれは・・・
「ウサギさん、ですか?」
「わたあめの・・・ウサギ、だよネ?まりもちゃん・・・?」
「そのウサギさんに何を・・・」
 ジュースをかけて小さくするという遊びをしていたRED。
 ふわふわであま〜い味のするわたあめ。真っ白な毛並みがチャーミングでしょ?とでも言いた気な可愛らしいわたあめウサギ。それなのに、REDのせいでふわふわの毛並みはくしゃくしゃのグシュグシュ、真っ白な天使を思わせる色は今やオレンジ色。
 わたあめウサギの我慢は限界まで来ていた。
「たく、そこのまりも男!なにをやっているんぢゃ!わたあめのウサギなんぞにうつつを・・・」
 説教をし始めたアリスに、REDの注意が向けられたその時・・・
 ウサギは足から真っ白なもこもこわたあめを大量に出すとREDの顔に投げつけた。
 勿論、わたあめを投げられたからって痛みはない。
 ただ、顔面がベタベタするだけだ。しかも、ほんのりとオレンジジュースの匂いがする。
「わっ!!REDさん、大丈夫ですか!?」
「い・・・いきなりの攻撃・・・予想外だったネ、まりもちゃん・・・?」
 REDが顔に付いたわたあめを取ろうとするが、ベタベタが手についてしまい尚更悪化する。
 オレンジ色のわたあめウサギは既に逃走しており、真帆がポケットの中からハンカチを出して差し出すが、ベタベタを取れるだけの効果はない。
「ふむ、食べ物は粗末にしてはいけないと言う事だな」
「何か違うと思うのぢゃが・・・」


 魔女の住むと言う部屋に向かう途中、罠らしい罠はなかった。
 ラン曰く
「1階は侵入者防止のためであって、2階は自分が住むところ。わざわざ住みにくくする必要もないだろう」
 だ、そうだ。かなり核心を突いている気がする。
 ウサギの反撃に懲りたREDが、お城の中の装飾品で気に入ったものがあればサンタの袋へと放り入れていく。どれも動きそうもないもので、オレンジジュースをかけてもわたあめキックなどはしてこなさそうだ。
「そう言えばアリスさん、先ほど言いかけた言葉の先は何ですか?」
「ん?なんのことぢゃ?」
「ほら、REDさんがいなくなる前“そもそも魔女は”って言って止めたじゃないですか」
「あぁ、アレか。ここの魔女は子供なんぢゃよ」
「・・・え?」
「我侭に育てられて、城もこんなことにしてしまって・・・」
「ちょっと待ってください!だって私、魔女さんに会いましたよ?色っぽい雰囲気で、なんと言うか・・・私が法律よ!みたいな雰囲気の人だったじゃないですかっ!」
「それはアヤツの使い魔ぢゃろう。まぁ、使い魔と言うかお守と言った感じぢゃが」
「って事は、あの女王様みたいな小さい子が魔女だったんですか・・・?」
「・・・ふむ、子供がここの主なのか?」
「そうぢゃ。我侭で悪戯好きで・・・」
「私と魔女、どちらがより多く菓子を食えるのかが問題だな」
「なんの問題ぢゃっ!!何を争おうとしているのぢゃっ!!」
「こ・・・子供を退治すルなんて、鬼だ!悪魔、だっ!・・・ねぇ、まりもちゃ・・・」
「うるさい!まりも男!」
「ボ・・・ボクはまりも男じゃ、ナイ、よね?まりもちゃん・・・?」
「えぇいっ!こっちを見て話さぬかっ!」
 キィっとなったアリスがREDに掴みかかろうとするが、なにぶん身長が全然違う。
「第一、魔女を放っておいたからこんなわけのわからぬお菓子の動物が増えたのぢゃ。どれもこれも悪さばかりしよって」
「ブラウニーちゃんは悪さなんてしないですっ!」
 アリスの視線の先にいたブラウニーの犬を抱き上げる真帆。
「いつの間に名前までつけておったのぢゃ・・・」
「と言うか、そのまんまだな」
 呆れるアリスと鋭いツッコミを入れるラン。
 REDがブツブツと「ボクは、まりも男じゃない・・・よね、まりもちゃん?」と言う中、ケヴィンははたと足を止めると何かを言おうとして口を開き・・・・
 ばっしゃーんと、アリスの頭上から着色料のたっぷり入っていそうなグロテスクな色をした清涼飲料水が降って来た。
「うわ!?なんだ!?」
 驚いて飛び退くラン。真帆がブラウニーの犬が濡れないようにと抱き上げながら横にずれ、REDが「ひっ」と小さな声を上げながらもなんとか危機を脱する。
 アリスを助けようかどうしようかと、一瞬躊躇したケヴィンがアリスとともにジュースを浴びてしまう。
「だ・・・大丈夫ですか!?アリスさんにケヴィンさん!」
「これは・・・炭酸か!?」
 ブラウニーの犬を安全な場所に避難させた後で、真帆が2人の傍まで走る。
 ランが足元でシュワシュワと音を立てているジュースに顔を近づけ、眉を顰める。
「炭酸は、目に入っタら、痛い・・・よネ、まりもちゃん・・・?」
 REDが再び天井から何か降って来ないかと心配そうに見上げる。
「いった・・・たたた・・・」
 炭酸が目に入ってしまったらしいアリスが、俯きながらポロポロと涙を零す。
「アリスさん!?アリスさん、大丈夫ですか!?」
「わ・・・わたしは、大丈夫ぢゃ・・・」
「・・・流石にこれはやりすぎだな」
 必死に目を擦るアリスの様子を見ながら、ランが溜息混じりに言葉を紡ぐ。
「ケヴィンさんは大丈夫でしたか?」
 コクコクと頷きながら、ケヴィンがアリスの手を引いて廊下の端に置かれていた椅子の上に乗せる。
 真帆が適当な部屋に入り、部屋に備え付けられていたタオルを水で濡らすとアリスのところに持っていく。
「だ・・・大丈夫ぢゃと言っているのに・・・」
「ダメです!目を悪くしたらどうするんですか!」
「そうだぞ、年長者の言う事はきくものだ」
「って、私が年長者ですか!?」
 ランの言葉に驚いて顔を上げる真帆。
 アリスを抜かせばこの中では真帆が1番年下だ。
「ふっ・・・どう見ても真帆がこの中では最年少ぢゃろう」
「アリスさんに言われたくないです!」
 んもう、今度は子供扱いですか〜!?と、頬を膨らませる真帆。その足元に擦り寄ってきたブラウニーの犬が、真帆に抱っこをするようにせがむとアリスの頬をなめる。
「これっ!くすぐったいではないかっ!」
 キャッキャとはしゃぐアリス。その明るい声を聞きながら“魔女・リシェル”はギュっと唇を噛み締めた。
 吹き抜けの階段を颯爽と走って行き、豪華なクッキーの扉から中に入る。
 カチャンと言う音に顔を上げたケヴィンが、無言で今しがたリシェルが入っていった部屋の扉を指差した。


☆♪☆


 リシェルは部屋の中で優雅に泳ぐグミの金魚を掴むと、ポイっとマシュマロのベッドの上に投げ捨てた。
 次から次から、部屋の中を泳ぐ金魚を掴んでは捨て、掴んでは捨てて行く。
「なによなによっ!アリスのクセにっ!アリスのクセにっ!!」
 グスグスと鼻をすすりながら、流れる涙を乱暴に袖で拭う。
「あんな変な人達まで連れてきて!なによなによっ!アリスのクセにっ!」
 マシュマロのベッドを踏みつけるが、ポニャンとした感触はリシェルの足を跳ね返してしまう。
「・・・あんなに大切そうにされちゃって!なによなによっ!アリスのクセにっ!」
 リシェルが八つ当たり気味にマシュマロのベッドを殴り・・・
 扉の前まで迫ってきているアリス一行の気配を感じ、リシェルはパチンと指を鳴らすと使い魔を呼んだ。そして、キっと鋭い瞳で扉を睨みつけた。


 リシェルの部屋の扉は簡単に開いた。
 開いた扉の先にはグラマーな美女の使い魔と、その背後でブスっとした顔をしている小さな子供・・・
「魔女さん!お給料貰いに来ました!!」
「五月蝿い小娘っ!」
「・・・お前のが小娘ぢゃろう」
「五月蝿いのよ!アリスのクセにっ!アリスのクセにっ!」
 ブルブルと震えながら、リシェルが右手を高く上げる。
 その合図で、使い魔が何かを唱えながら薄っすらと笑みを浮かべる。
 最後の言葉が紡ぎ終わった時、ビスケットの兵隊がキャラメル箱の戦車を引きずりながら何処からともなく現れた。
「た・・・大変ぢゃ!逃げるのぢゃ!ガムの大砲を避けるのぢゃっ!」
 アリスの言葉に、一斉に身を翻す。
 パンと言う乾いた音が響いた先、床に赤い色のガムがベシャリとくっついている。
「チョコレートの鉄砲にも気をつけるのぢゃ!」
 構えられた銃口から飛び出すのは、小さなチョコレートの弾だ。
 ピシピシと短い音を立てながらそこら中に茶色いシミを作っていく。
「こんなに速いと、食えないな」
「食べようとするでないっ!!」
「もう、食べ物が勿体無いじゃないですかっ!」
 鍋の蓋を盾がわりにしながら、真帆が何とか銃弾を逃れる。
「チョコがつかないように・・・気をツけようネ、まりもちゃん・・・」
 REDが身のこなしだけは軽やかに、口調は湿っぽくそう言う・・・が、既に服の裾が茶色くなっている。
「何よ何よっ!アリスのクセにっ!こんなわけの分からない連中と遊んでっ!!何よっ!!」
 リシェルの気持ちの高ぶりに反応するかのように、ビスケットの兵隊がどんどん鉄砲を撃って来る。
「こんなの、避けられないですっ!!」
 真帆がそう言って一度外に出ようと提案しようとした時だった。視界の端に、真っ白な猫が映ったのだ。
 ふわふわとした柔らかそうなその猫にビスケットの兵隊が気付き、そちらに銃口を向ける・・・
「あ!!危ないっ!!」
 助けようと駆け出すが、床にへばりついたガムに足を取られ、転びそうになる。なんとか体勢を整えるが、猫を助けるまではいかない。
 猫さん・・・!!!ギュっと瞑った視界の外で、なにかが颯爽と現れる気配を感じ、目を開いた。
「ケヴィンさん・・・?」
「ふむ、素晴らしい身のこなしだな」
 ランが感心したようにケヴィンと腕の中にいる猫を交互に見比べている。
「猫さん、大丈夫ですか?」
 真帆の言葉に頷くと、ケヴィンがそっと猫をその手に渡す。
 そんなほのぼのとした空間を切り裂くように、アリスの怒鳴り声が響いた。
「ぢゃから、お前は何がそんなに気に食わぬのぢゃ!」
「だって・・・だって・・・」
「えぇいっ!!言い訳をするでないっ!ビスケットの兵を止めるのぢゃ!」
「う・・・五月蝿いっ!!アリスなんか、アリスなんか・・・大嫌いっ!!!」
 爆発したリシェルの感情。
 一斉にアリスに向けられる銃口・銃口・銃口・・・・・・
 アリスの一番近くにいたREDが咄嗟にソノ腕を引っ張り、柱の陰へと逃げ込む。
「だ・・・大丈夫、だっタ?まりもちゃ・・・」
「ぢゃから、わたしの名前はアリス!まりもぢゃないっ!!」
「し・・・知ってルよ、ね?まりもちゃん?」
「あぁぁっ・・・もう分かった。まりも男、お前の性格はよく分かった」
「ボ、ボクはまりも男じゃナいよ・・・ネ?まりもちゃん?」
「分かっておる、REDぢゃろ?」
 アリスが初めて笑顔を見せ・・・チラリと、REDはその笑顔を視界の端に止めた。
 激しくなった攻撃に、REDとアリスとは別の柱に身を隠した真帆とケヴィン、ランが何とかリシェルを言いくるめられないかと頭を悩ませる。
「おい、魔女とやら。そろそろ話し合いに応じて降伏しないかっ!」
「五月蝿い!降伏するのはアンタ達よっ!なによ偉そうにっ!!」
「ダメですよランさん、もっとこう・・・マイルドに言わないと・・・」
「マイルド?」
「えっと・・・ま、魔女さん、そろそろ疲れてきませんか?お茶にでもしません?」
「疲れてるのはあんた達の方でしょ!?」
 ・・・真帆の説得も失敗だ。
 ケヴィンは全然喋らないから、説得は出来ないだろうと肩を落としかけた時、ケヴィンがそれまで閉ざしていた唇をほんの少しだけ開いた。
「何が不満なんだ?」
 その短い言葉の中、何故かズシリとした重みを感じ、真帆とランが視線を合わせる。
「何か不満があるんじゃないのか?」
「不満なんて・・・。・・・だって、だって・・・アリスが・・・」
 攻撃が止み、恐る恐る柱から顔を出す。
 グシャグシャになった部屋の中、ビスケットの兵隊達は固まっている。
 使い魔は相変わらず真意の読めない無表情で固まっており・・・ただ、心なしか口角がほんの少しだけ上がっている。
「前まではあんなに一緒に遊んでくれたのに・・・忙しいって言って、遊んでくれないから・・・」
「わ、わたしのせいぢゃったのか・・・?」
 眉根を寄せたアリスが、リシェルに駆け寄る。
 使い魔の隣を通る時は意識しているかのように視線を上げたが、それ以外ではエグエグと泣きじゃくるリシェルに向けられていた。
「1人で遊んでても、つまらないし・・・っく、いろいろ、困らせれば・・・またアリス、かまってくれるかも・・・って、ひっく、思って・・・えっく・・・」
「ぢゃからと言うて、やりすぎぢゃろう?王女様を城に幽閉したり、姫様を攫ったり・・・」
「え?何の事よ?」
 キョトンとしたリシェルの隣で、ジっと成り行きを見守っていた使い魔が突然笑い出した。
 驚いて首をすくめるリシェルを、何のことだか分からないながらも自分の後ろに隠すアリス。
「アリス、この子供に王女や姫をどうこう出来るような力があると思えるか?」
「お前は誰ぢゃっ!」
 キっと鋭い視線を向けるアリス。
 ランと真帆が視線を合わせ、ケヴィンが緊張した面持ちで成り行きを見守っている。
 ・・・REDだけはメンバーから少し離れた位置で、心の友まりもちゃんと何やらブツブツと語らっている。
「誰とは、酷いではないかアリス。・・・まぁ、この姿なら仕方ないな」
 使い魔はそう呟くと、パチンと指を高らかに鳴らした。
 豊満な肉体を持つ官能的な美女が、落ち着いた雰囲気の穏やかな女性へと姿を変えていく・・・
「せ・・・先生!?」
「アリスさん、こちらは?」
「わ、わたしの魔法の先生ぢゃ。如何して先生が使い魔に・・・?」
「アリス、魔法試験見事合格おめでとう」
「試験・・・?と、言う事は・・・全部・・・試験内容ぢゃったのか・・・?」
 ジロリとした視線を向けられ、リシェルが涙目で頭を振る。
「全部が試験内容と言うわけではない。この子の悪戯に、こちらが便乗した形だ」
「と言う事は、王女様も姫様も・・・!?」
「協力していただいた」
 サラリと言われた言葉に、アリスがガクリと膝を折る。
「と、言う事は何ぢゃ?王女様の幽閉も姫様の誘拐も、本当ではないと・・・?」
「あぁ。両人とも元気でアリスの試験の結果を楽しみに待っておられるぞ」
「あ、アリス・・・言っとくけど、私は試験のことは知らなかったんだからね!?」
 必死に弁解するリシェルに、分かっていると言うかのように右手で言葉を遮るアリス。
「それにしても、試験って何の試験だったんですか?」
「魔女の怒りを静めるのが試験だったとか・・・?」
 真帆の言葉に、ランが右手に持ったドーナッツを頬張りながら首を傾げる。
「良い使い魔を召喚する試験だ」
「・・・良い使い魔・・・?」
「皆、心優しく勇敢ではないか」
「・・・真帆はわたしが呼んだのではないのぢゃが?」
「私が使い魔・・・っと、先生と一緒に召喚したんだけど・・・まだまだだな。だって、アリスの所に行っちゃったんだもん。まぁ、貴方がアリスの方に行くのも無理ないか。だって、こき使っちゃったしね」
「使い魔もキチンと意思を持った1人の存在ぢゃ。ぞんざいに扱ってはならぬ」
「・・・十分、ボク達の扱いモぞんざいだったト思うケど・・・ねぇ、まりもちゃん?」
「ソコ!五月蝿いのぢゃっ!少しは空気を読んで発言せぬかっ!」
 アリスが傍らにあった飴をREDに投げ、一瞬反応が遅れたその頭にコツリと当たる。
「ぼ・・・暴力、ハンターイ・・・へんたーい・・・」
「誰が変態ぢゃっ!!」
「平和的解決・・・を、望みマす。ねぇ、まりもちゃん・・・?」
「えぇいっ!!五月蝿いっ!!」
 アリスとREDの様子に、クスリと笑みを浮かべるリシェル。その様子に、真帆が表情を緩ませる。ランもお菓子を食べていた手を休め、ケヴィンも穏やかな瞳で言い争うアリスとREDを見詰めている。
「・・・アリス、えっと・・・その、試験合格おめでとう」
「なんぢゃ、気持ち悪い」
 リシェルが恥ずかしそうに頬を染めながらそう言い、アリスも少し恥ずかしそうに目を伏せる。
「ねぇ、アリス・・・今度一緒にお茶しない?私がお菓子作って、ご馳走するから」
「変な細工をしないと言うのなら、それも良いな」
「私は使い魔の召喚はアリスに敵わないけど、お菓子を作る魔法の才能はアリスよりあるからね」
「な・・・なんぢゃとっ・・・?!」
「アリスのは、美味しいのかまずいのか微妙なセンになるし・・・」
「う、うるさぁぁぁいっ!!やっぱり退治ぢゃっ!悪戯者の魔女を退治するのぢゃっ!」
「アリスさん、頑張ってください!」
「うむ、私はここのお菓子を食べるのに精を出すから、そっちはそっちで頑張ってくれたまえ」
「ラブ&ピース、だよね、まりもちゃん・・・?」
「えぇぇいっ!!何て使い魔達ぢゃっ!まったく、全然・・・役に立たない・・・。・・・でも、会えて良かったと思うのぢゃ」
 少しだけ寂しそうなアリスの表情に感じる、別れの時間。
 ケヴィンがそっとアリスの頭を撫ぜ、真帆がブラウニーの犬とマシュマロの猫に別れの挨拶を告げる。
 ランが目に付いたお菓子は全て胃の中におさめ、満足そうに息を吐き出す。REDが傍にあったお菓子を袋の中に入れて、口をキュっと縛った。
「さて、皆はもうそれぞれの世界に帰る時ぢゃ。本当に楽しかった。魔女も止められたし、王女様も姫様も無事ぢゃと分かった。試験も無事合格したし・・・本当に、有難う」
「何ですか、アリスさんらしくない。もっと笑ってください!ね?」
「そうだぞ、別れは必ずしも悲しい事ばかりではないしな。私もここに来れて良かった。美味いお菓子も沢山食べられたしな」
「ボ、ボク達も・・・楽しカったよね、まりもちゃん?」
「・・・また逢おう」
 ケヴィンの言葉に、アリスが大きく頷く。
「それでは皆の者をそれぞれの世界に送り返す。皆も知っているであろう“合言葉”を唱えて欲しい」
 アリスの言葉に、それぞれが少しだけ考えを巡らせ・・・あぁと口の中で呟く。
 いまいちよく分かっていないらしいケヴィンに真帆が耳打ちをし、頷いたのを確認するとランが「せーの」と小さく声をかける。

   『Trick or treat!』

「楽しいハロウィンを・・・」
 アリスの声が遠くなって行き、だんだんと視界に靄がかかっていく。
 ふっと目を閉じて、開けば見慣れた場所で・・・目の前に置かれたジャック・オ・ランタンのお菓子入れの中にはギュウギュウに詰め込まれた色取り取りの美味しそうなお菓子。
 ポケットの中にも飴やらマシュマロやらクッキーやら、目一杯詰め込まれてあった。
 甘い香りを感じながら、そっと目を閉じる。
 全てがお菓子で作られたあの場所で起こった事を、あの場所で出会った人々の事を、ゆっくりと思い出しながら・・・・



               ≪ E N D ≫



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
 登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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 【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】


  3425 / ケヴィン フォレスト / 男性 / 23歳 / 賞金稼ぎ


  6224 /  ラン  ファー   / 女性 / 18歳 / 斡旋業


  6458 /  樋口   真帆   / 女性 / 17歳 / 高校生 / 見習い魔女


  3787 / RED FAUST  / 男性 / 32歳 / MASAの会長(ゾンビ)


 ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 この度は『お菓子な戦い』にご参加いただきましてまことに有難う御座いました。
 お菓子の国と言う事で、楽しく可愛らしい雰囲気になるようにと思いながら執筆いたしました。
 ドタバタコメディを基準に、最後はしっとりとした雰囲気になっていればと思います。
 行ってみたい!と、思っていただけるようなお菓子の国の世界を描けていれば嬉しいです。

 ランちゃん
 初めましてのご参加まことに有難う御座いました!
 偉そうにと言う事で、偉そうにしつつツッコミボケと言うか、ボケツッコミと言うか・・・
 どちらも器用にこなせる存在になっていましたが、如何でしたでしょうか?
 ランちゃんと書きつつ、心の中ではランさんと呼んでいたりします(苦笑)
 ランちゃんの雰囲気を損なわずに描けていればと思います。


  それでは、またどこかでお逢いいたしました時は宜しくお願いいたします。
お菓子の国の物語 -
雨音響希 クリエイターズルームへ
東京怪談
2006年12月05日

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