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『キング・オブ・トーキョー'06〜ハルピュイア、出撃〜 』
海原・みあお1415)&瀬名・雫(NPCA003)








「やっほー! みあおちゃん、いらっしゃーい」
 髪を肩の上で切りそろえ、天真爛漫というべき笑顔を振りまきながら、周囲の注目をものともせずにブンブンと大きく手を振る少女、瀬名雫。そんな雫に駆け寄ってくるのは、まだ小学校低学年程の年齢と思しき少女。雫同様に真っ直ぐに伸びた髪を肩あたりで揃え、ぱっちり開いた大きな瞳に放射線状に伸びた長い睫毛、華奢な手足、と三拍子揃った美少女である。
 少女、海原みあおは雫の元に到着すると、全くそのケのない成人男性でもころっとまいってしまいそうな笑みを浮かべ、小首をかしげて見せた。
「こんにちは、雫。今日は誘ってくれて、どうもありがとう」
「いいえ、どう致しまして! みあおちゃんが来てくれて助かったよ。みんな胡散臭がって、相手にしてくんないんだもん」
 雫はそう言って、ぷくぅと膨れてみせる。そんな雫を慰めるようにみあおは言った。
「うん、みあおがちゃんと付き合ってあげるから、大丈夫だよ。安心してね。で、そのゲームってどこにあるの?」
 単刀直入に切り出すみあおに、慣れているのは雫は驚くことなく、ぱっと表情を変えて自分の背後の建物を指差す。
「この中だよー。新作だから注目も高いんだけど、今日は特別、貸切状態! へへ、実はこのゲーセンの人と、ちょっとコネがあってね」
「ふぅん、よくわかんないけど、並ばなくていいのは嬉しいよね」
「でしょー? ささっ、レッツプレイ!」
 雫は声高らかに叫び、みあおの背を押し、建物のドアを押した。







 瀬名雫は、名実共に、某ネットカフェの主である。経営者ではないが、彼女が主だということを疑うものはいない。だが今日、雫がみあおを誘った場所は、自分が根城にしているネットカフェではなかった。
 それは都内某所にある、とあるゲームセンター。繁華街のど真ん中に位置し、そんじょそこらの同施設とは比べ物にならないほどの規模を誇る。だがどんなにでかかろうと、所詮はゲームセンター。建物内に射撃場やら屋内プールやらがあるわけではない。
 ゲームセンターというものは、その規模に比例して、設置してあるゲームの種類や質も変わるが、大抵似たような光景なのである。
「そんで、どこにあるの?」
 始終鳴り響く、けたたましい程の電子音の波を掻き分けるようにしてみあおは進む。
 みあおの前を先導して歩いていた雫は、振り返ってニッと笑った。
「あれだよ、あれ」
 みあおはきょとん、とし、雫の横をすり抜けて、彼女の指差すほうへ行く。するとみあおの目の前に、彼女の背丈の倍はあろうかと思う程の巨大な薄型テレビがそびえた。
「……でかいねー」
 ぽかん、と口を半開きにしてみあおはテレビを見上げる。大きなゲームセンターならば、巨大なテレビはあちこちに設置してあるもの、と思っていたが、これだけ大きな画面は想像以上だった。
 そんなみあおを雫はご満悦の表情で見つめながら、テレビの脇に設置された機械を指した。巨大なテレビと比べると、明らかにこじんまりとしている。家庭用ゲームのハードといわれても納得してしまいそうだ。
「これがねー、本体。お金はいいよ、呼び出したんだから、今日はあたしのおごりっ。このゲーム、どういうのか知ってる?」
 雫の言葉に、みあおはふるふると首を横に振る。雫は待ってましたとばかりに頷き、
「ふふ。キング・オブ・トーキョー'05って知ってる? これはその続編、06バージョンなの。いわゆる体感型ネットゲームね。ちなみにジャンルは格闘ゲーム。05はキャラや設定は割りとごっちゃ煮な感じで、なんでも有りだったんだけど、06のほうは神話をベースに作られてるんだ。だからキャラも割りとそっち系が多いの」
 雫の説明に、みあおはふぅん、と適当な相槌を打つ。無論、それだけの説明で終わるわけがない、と知った上での相槌なのだが。
 ここまでの説明では、この巨大なテレビ画面の必要性がないし、それに何より、わざわざゲームをプレイさせるために雫がみあおを呼び出した意図が掴めない。
 そんなみあおの心境を察してか、それともやっと本題に入れる嬉しさか、雫はにやりと笑った。
「そんでね、ここからが重要。このゲームの売りは、ストーリーやキャラなんかじゃなくって、その体感型格闘っていうところにあるんだけど―…これが曲者でね。霊力も魔力も超能力もなーんも持ってない普通の人がプレイすると、単なる360度展開の迫力あるゲームってだけで終わるんだけど、”普通じゃない”人がプレイするとね、ゲームの中に意識が取り込まれちゃうんだって」
「…へぇ」
 みあおは雫の言葉に、初めて片眉を上げた。ようやく彼女の関心を惹く事象が出てきたわけだ。
「つまり、あれだよね。雫はみあおが”取り込まれる”ところを見たい、ってわけだ」
「ま、有体に言えばそうなんだけどっ」
 探るようなみあおの視線に、雫は元々開き直っているのか、それとも全く罪悪を感じていないのか、うきうきと弾む仕草を見せる。
「どぉ? 結構楽しそうだと思わない?」
「うーん。そういえば、前にお姉さんも似たようなこと言ってたなぁ。別に構わないけど―…痛くないよね?」
「さぁ、どうなんだろ。あたし、取り込まれたことないからなぁ。あっ、でも前にプレイした人は、みんな五体満足で戻ってきたよ」
「ふぅん、じゃあ大丈夫かな。でもみあお、コマンドとか分からないから、ちゃんと教えてね?」
 雫の言葉に、みあおは恐怖心を全く感じさせずに、けろりとしてそう言った。みあおの価値観では、”取り込まれるかもしれない”ということは、大した問題ではないようだ。
「うん、オッケー! 任せといて!」
 雫はにっこりと笑みを浮かべ、専用のゴーグルをみあおに手渡した。
「そんじゃま、レッツダイブ★」










 目の辺りをぐるりと覆う大きなゴーグルを身に着けたみあおの前に、CGで作られた3Dの世界が広がった。まずは操作するキャラクターを選ぶ必要があるらしく、何人もの男女が並んでいる。
「みあおちゃん、どれにする?」
 操作が分からないみあおの代わりに、雫がコントローラーを操り、円形に並ぶ男女をぐるぐると位置転換させていく。みあおは「うーん」と唸っていたが、やがてお目当てのキャラクターを見つけ、雫にストップをかけた。
「雫。みあお、これがいい。この鳥っぽいおねーさん」
「オッケー、ハルピュイアだね? ぽちっとな」
 みあおの言葉に頷き、雫がコントローラーのボタンを押す。するとみあおの視界に、彼女が選んだ”鳥っぽいおねーさん”のファイティングポーズが映し出された。みあおのゴーグルと巨大なスクリーンは連動しているようで、コントローラーを握る雫はうんうん、と頷いている。
「なるほど、みあおちゃんっぽいね。ストーリーモードでいい?」
「うん」
 良くわかんないけど。と心の中で呟き、みあおは頷く。すると雫の操作により、みあおの視点が暗転した。
 …と同時に、みあおの意識もまた、闇に沈んでいった。







 次にみあおがぱちりと目を開けたとき、眼前に広がるのは、擬似的に作られたCGではなかった。
 立っているのはごつごつとした岩肌、吹き付ける風には強い潮のにおいが含まれている。一歩前に踏み出すと、うっかり岩肌から落下しそうになった。どうやら場所は、海辺の崖らしい。
 それを確認すると、みあおは自分の姿を見下ろした。
 華奢だった両腕は逞しい筋肉を持つ鳥の羽根、胸から下は白銀の羽毛に覆われ、足は無論鳥のそれ。羽根でぺたぺたと頬、首元から胸と触ってみると、ちゃんと人肌の感触がした。どうやら胸から上は人間、それ以外は鳥そのもの、というキャラクターらしい。
「うん、ハルピュイアみあお、だ」
 自分が”取り込まれる”ことは半分予測していたのか、みあおは異常事態にも関わらず、嬉しそうに呟く。
 そのとき、どこからか雫の声がした。
『みあおちゃん、ナイス! 頑張ってねっ』
 大雑把なエール。どうやらゴーグルに付属しているインカムから、雫の声が聞こえているようだ。本来はボイスチャット用なのだが、こういう使い方もあったらしい。まるで操縦者とオペレーターだ、とみあおは嬉しくなり、雫に返す。
「雫、ちゃんとサポートしてね。みあお、痛いのイヤだから」
『うん、だいじょーぶ。ハルピュイアはあたしプレイしたことあるから―…あっ、ストーリーが始まるよ。みあおちゃん、ファイトっ』
 雫の言葉に海に背を向け、振り向く”ハルピュイア”みあお。すると彼女の目の前の空間がぼやけ、一人の若い青年が姿を現した。
 ギリシャ神話でよく描かれる金色の鎧を身に纏い、片手にはぎらりと光る剣をむき出しで握っていた。
「雫、あれが敵?」
『そう。ハルピュイアだと、ギリシャ神話の英雄が敵になってるんだよね。あれはボレアスの息子、ゼテス。ハルピュイアはハデスの命令で、ピネウスっていう預言者に嫌がらせしてるんだよね。で、そんなハルピュイアを退治しにきたのがゼテスとカライスっていう双子、というわけ。ゼテスに勝つと次はカライスだよ。二人は飛べるから、空中戦が主になるの』
「ふぅん、英雄、って割には怖い顔してるね」
『ま、それは一応敵ですから。ゼテスとカライスの獲物は剣。ハルピュイアは武器は装備できないから、代わりに足の爪で対抗するの。基本的に蹴り技が主だけど、大キックを使うと、敵の身体を抉れるよ。あとは特殊攻撃で、羽根をナイフみたいに飛ばすとか。まあ適当にやってたらコツは掴めると思う』
「雫、適当だなぁ」
 やれやれ、とみあおは肩をすくめ、剣を構えているゼテスに向かい合った。とりあえずどんなポーズを取るべきか分からなかったので、意識がダイブする前、ゴーグルのスクリーンで見たハルピュイアのポーズを真似してみる。腕の代わりの羽根を上段に構え、腰を少し引いて足を大きくずらすポーズは、我ながらどこかの似非中国拳法のようだとみあおは思った。
 そうこうしている間に、NPCであるゼテスが勝手に喋りだす。
「ハルピュイア、ピネウスの食事を啄ばむのはもうやめろ。それ以上彼を弱らせると、この剣の錆びにしてくれるぞ」
「えー、嫌がらせってツマミ食いなの? みあお、そんなことしないもん」
 そう口を尖らせて反論してみるが、無論コンピューター制御のNPCに通じるわけもなく。
「そうか、やはり口頭では納得しないか。ならば腕づくで」
「…なんか喋り方、ダサーい…」
 NPCには聞こえないのをいいことに、製作者の耳に入ったらしかめっ面をされそうなことをぼやくみあおである。無論、緊張感はゼロ。ゲームは楽しむもの、という認識の上に成り立っているみあおの思考は、現在の状態を全く深刻に考えていなかった。考えていることと言えば、あの剣に切られても痛くなければいいなあ、とそういう程度のものである。
 だがそれでも、戦いの火蓋は切って落とされる。








 電子音のゴングが鳴り響くと同時に、みあおの足は岩肌を蹴り、空高く舞い上がった。先手を取られたゼテスは、むっとした顔で上空のみあおを睨みつけている。
『みあおちゃん。ハルピュイアは、とにかくスピードが命だからね。ていうかゼテスは弱いから、適当に蹴りつけたらすぐダウンするよ』
「オッケー、雫。で、蹴るのってどうするの?」
『どーするって…。一応コントローラーではBボタンなんだけど』
「ふぅん、Bね。りょうかーい」
 みあおはそう歌うように言い、両の羽根を羽ばたかせて地面のゼテスへと滑降した。そしてすれ違い際に、
「Bーっ!!」
 と叫び、ゼテスの端正な顔を勢い良く蹴り上げる。
『…みおあちゃん、それちょっと違う…!』
「えー? Bっていったじゃん」
 ぷくぅ、と頬を膨らませ、みあおは再び上空で滞空する。蹴り技は分からなくても、翼の羽ばたかせ方は既に習得済み、というのがみあおらしい。
 地面のゼテスは、蹴られたショックでふらついていたが、すぐに意識を取り戻し、背中に大きな白い翼を出現させた。
「うわっ、来るよ?」
 そう身構えるみあお。
『大丈夫、ゼテスは弱いから。とりあえず蹴って、蹴って、えぐるの!』
「うえー、グローい」
 みあおはしかめっ面をしつつも、翼をばさりと羽ばたかせ、まるでダッシュするように空に浮かび上がったゼテスに強襲をかける。
「うーんと、Bーっ、Bーっ! 雫、大キックってどうやるの!?」
『AB同時押し!』
「よぉし、ABーっ!!」
 雫のサポートはあって無いようなものだったが、それでもみあおはちゃっかりゼテスに大キックを繰り出すことができた。もともと脆い設定になっているのか、ゼテスの鎧ごと、肩のあたりの肉を鉤爪でえぐる。
 だがそこはやはりゲーム、えぐった感触はあれども、決して血が噴出してみあおの白い羽毛を真っ赤に染める―…などということはない。
 みあおの攻撃は”弱い”ゼテスにとっては致命傷であったようで、ゼテスは迫力の無い叫び声を上げ、遥か下の海面へと落下していった。
 ゼテスの体が白い波に飲まれたところで、高らかなラッパの音と共に、”You win!”という英語が響く。
「わぁい、勝ったーっ! 楽勝っ」
 みあおは滞空したまま、ぴょんぴょんと飛跳ねるイメージで、羽根を羽ばたかせる。
『おめでとっ! 次はカライスだよ。こいつは強いからねー』
「そーなんだ」
『うん。ホントはカライスもゼテスぐらいの強さのはずなんだけど、ストーリーモードでは兄弟を倒された怒りとかそういうノリで、超人化するとかまあそういう感じ』
「てきとーだなぁ…」
 大雑把すぎる雫の説明に、みあおはハァ、とため息をつく。
だが”兄弟を倒された怒り”といっても、所詮はゲーム。敵が現れたなら、倒すだけのことだ。
「よぉし、みあおがんばるっ」
 そうみあおが気合を入れなおしたところで、眼前にカライスと思しき青年が現れた。
 その容貌は確かにゼテスと良く似ている。だが銀色の鎧、黒色の剣を携えている様は、確かにゼテスより迫力がある。ゼテスと違い、はじめから白い翼を出し、みあお同様滞空している。
 カライスは黒色の剣をみあおにつきつけ、
「憎っきハルピュイア、我が分身の仇!」
「…でもやっぱり、喋りはダサいんだよなあ…」
 やれやれ、とみあおは手…否、翼を腰にやる。このゲーム、やはりシステムに重きが置かれているらしい。
「まあいいや。とりあえず、やっちゃうもん!」
 それが宣戦布告になったようで、ゼテスのときと同じような電子音のゴングが鳴り響いた。








『みあおちゃん! とにかく、何でも良いから攻撃して。カライスは攻撃力が高くてしつこいから、一度間合いに入ったらなかなか抜け出せないよ』
「りょーかいっ」
 みあおは雫の言葉に短く返事を返し、ぐんっとスピードを上げてカライスの懐に飛び込む。
「やぁーっ!」
 可愛らしい雄叫びにあわせ、蹴りを繰り出す。だがゼテスのときと違い、カライスは半分以上剣を使い、みあおの攻撃を防いでしまう。
「うーっ、効かないよう」
 ちぇ、と洩らし、みあおはさっとカライスから離れ、距離をとる。たとえ雫の言っていた特殊攻撃を繰り出せたとしても、今の状態では簡単に防がれてしまうだろう。
「どぉしよ…」
 むむ、と唸ったみあお。だがその隙をつかれ、今度はカライスがみあおの眼前に飛び込んできた。
「うわっ」
 思わず翼で防ごうとするが、何度か剣の攻撃を受けてしまう。さすがに実際斬られるほどの痛みはないが、それでも簡単な切り傷を受けた程度の痛みはある。
「いたっ、いたいってば! んもー!」
 みあおは口を尖らせ、よろめいたと見せかけ、サッとその場から離れる。さてどうしようか。悩みたいが、悩む暇も無い。ガードを解いた瞬間に、またカライスは切り込んでくるだろう。
「んー…。あっ、そうだ」
 そこでみあおはひらめいた。
 まず先程のように、カライスの眼前に移動し、蹴りを繰り出す。大キックは隙が出来るので、隙の出来難い小さい蹴りばかりだ。無論、カライスにとってはダメージにもならない。
 カライスは好戦的な性格をしているようで、みあおの蹴りが止まった瞬間に、ガードを解いて剣を横薙ぎにしてくる。だがそのときにはもう、みあおの姿はカライスの前から消えていた。
「よーっし、必殺! えーとなんだっけ…まあいいや、ハルピュイア・アターック!!」
 カライスの足下を潜り抜け、彼の背後に回ったみあお。すかさずそこで、特殊攻撃である鋭い羽根の乱舞を繰り出す。
 まるで投げナイフのように、みあおの羽根はカライスの全身に突き刺さった。そのダメージには耐え切れず、カライスは大きくよろめく。
 そしてみあおは、止めとばかりに、カライスの顎を思いっきり蹴り付けた。

 かくして、”兄弟を倒された怒りとかそういうノリで、超人化した”カライスは、ハデスの手先、ハルピュイアによって海の底へ落とされたのである。










「ふいーっ! 楽しかったぁ」
 ゼテス、カライス兄弟を倒したみあおは、無事に現実世界へと戻ってきた。「続ける?」の雫の問いに、「疲れたからもういーや」と返答したからだ。どうやらこのゲーム、次のステージに入る前に、続けるか否かを決めることが出来るらしい。体感型ということで、プレイヤーの身体・精神に負担がかかることを見越してのシステムだろう。
 ゴーグルをはずし、ぷるぷると髪を振るみあおに、雫はジュースを差し出す。
「みあおちゃん、お疲れ様っ! とーってもかっこよかったよ〜!」
「えへへ、ありがとう。雫も適当なサポート、おつかれさま」
 ジュースを受け取り、ごくごくと飲み干す。やはり、相当な疲れが出てしまうらしい。
「そーいえば雫、あの特殊攻撃ってホントは何ていうの?」
 ラスト、カライスに致命傷を負わせた特殊攻撃。攻撃名を聞いていなかったので、みあおは適当な名前を叫んでしまったのだが、まがりなりにも格闘ゲームなら、本来の名前があるはずだ。
 みあおに問いに、雫は苦笑しつつ答えた。
「ホントはねー、ハルピュイア・ボンバーっていうんだって」
「……やっぱダサい…」
 みあおはそう”げんなり”とした。
「…言うと思ったよ、みあおちゃん…」

 どうやら開発元に、要望という名の苦情を送る必要がありそうだ。








おわり。



PCシチュエーションノベル(シングル) -
瀬戸太一 クリエイターズルームへ
東京怪談
2006年11月22日

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