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『琥姫と不思議なタヌキちゃん 』
神楽・琥姫6541)&かわうそ?(NPC0132)

 遠くに見える山々の色づきは鮮やかに、赤と黄色に色づいて、河川敷にはススキが生い茂る。そんな季節になっていた。
 神楽琥姫は夕刻、夕日に照らされる河川敷の道を一人歩いていた。大学の帰りらしいが、常にトマトをかじっている。これが何かしらお菓子であるならある程度納得いくのだが、トマトを食べるというのは妙なモノである。そう、プチトマトではない。あの大きなトマトだ。上手く食べないと中の汁で服がべとべとになる。まあ、彼女にとってトマトはそれほど好きな食べ物であると物語っているわけであり、ほかの道行く人からすれば関係のないことだ。
 彼女が草むらに一本の大きなもふもふした小麦色の棒状のモノを発見した。其れが風に関係なく揺れている。植物でそう言うモノはないと、おもわれるので、何かの尻尾と思うのが普通だった。
「これは、尻尾……だよね?」
 しゃくりとトマトをかじって琥姫は言う。
 噂では、東京でもタヌキが出るというのだからひょっとすると……あのモフモフ……可愛い顔。
 そこで現れたのは、あの小麦色・かわうそ?だった。
|Д゚) うにょ?
「タヌキ――――!!」
 と、琥姫はトマトを投げ捨てダッシュで彼に飛びつく。そう、ナマモノに覆い被さるようにかわうそ?にしてみれば巨体が襲ってきたのだ!
|Д゚) ふぎゃー!
 琥姫の目は完全にハートマークで不意を喰らったナマモノは目を回す。
 このとき小麦色は動けなかった。
「タヌキだ タヌキだ! かわいいい!」
 と、未だぎゅうと抱き締める琥姫。
|Д゚) かわうそ? タヌキちゃうー!
 じたばたもがく小麦色だった。

|Д゚) ごほん
|Д゚) つまり、かわうそ? は かわうそ?なり!
|Д゚#) タヌキちゃう!
 と、何とか放してもらえたかわうそ?は、未だトマトをかじってうんうん頷く琥姫に説明していた。
「わかった、タヌキちゃん」
|Д゚) だからタヌキちゃうって!
 なかなか認識してくれないことに、かわうそ?は突っ込みを入れる。
「え? では、犬? 猫?」
|Д゚) わんわん にゃーにゃー
|Д゚)ノ ちゃうって!
「うきゅう」
 また、かわうそ?が怒り飛び跳ねるが、琥姫は頭を手で覆った。
「ふみゅ?」
 へたを残した後、しっかりゴミ袋に入れて又鞄からトマトを取り出し、食べる琥姫を見て、かわうそ?は、
|Д゚) ……ナマモノ認定候補
 とか、ぼそりと呟いた。
「?」
|Д゚) 何でもない
|Д゚) だから、かわうそ? は かわうそ? 犬、猫、ではない。かわうそ?なの!
「カワウソ……?」
|Д゚) うーん“かわうそ”ひらがな。それに「?」つく。「?」疑問符で発音は「モノを尋ねるときのように上げる」のがみそ
|Д゚) 面倒なら文字だけでも?でOK
|Д゚) わかった?
「うん、分かった。かわうそ?ちゃん」
 何とか納得してもらえたようなので、安堵のため息をつく小麦色。
 しかし、この会話で琥姫が食べたトマトの数は35個だった。それぐらい説得に時間を費やしていたかそれほどまでに彼女が早食いなのか謎だが凄い数である。

 琥姫は、このナマモノを持って帰りたくなった。理由は簡単でありこの60cmの小麦色に色々服を着せたいのである。故に、彼女はかわうそ?を抱っこして、
「ねね、私の所に来ない?」
 と、尋ねるのであった。
|Д゚) ふぇ?
|Д゚) …………
 かわうそ?は考えた。思考では、確かにこの女の子は可愛い、懐いてゴロゴロしてみたい。しかし何かしら怖い気がする。いやまあ、拉致監禁永久封印と言うことはないだろうが、自分のライフスタイルに大きな影響は受けたくない。実のところ発言が多い割に、こっそり背景の如く生きていたいのがこれの願いであったり無かったりする矛盾。と、いうか、喋る背景っていったいなんだ?
|Д゚) いやっぷ
 と、するりと抜けた。
「えー! そんなのいや! 一緒にこようよ!」
 と、鞄からトマトを取り出しかわうそ?に投げつけようとするも!
|Д゚) かぷ
 かわうそ?がトマトを先に奪って囓る。
「あああ! 私のトマトがー!」
|Д゚) もぐもぐ
|Д゚) うまー
 と、人の拳ほどあるトマトを、一口で平らげる。
|Д゚) まて、お持ち帰り、訳、知りたい
 と、その食いっぷりに驚いている琥姫に、かわうそ?が尋ねた。
「えっとね、かわうそ?ちゃんの服を作りたいの」
 彼女は瞳をウルウルして答えた。
|Д゚) まあ、お持ち帰りの動機ではそうか……
 悩む小麦色。可愛い少女の願いは大抵聞き届けるのがこのナマモノの性分、らしいが。
|Д゚) しかし、かわうそ? 近くに用事ある。なので、今無理
「なら寸法だけ測らせて」
 琥姫は懇願した。
|Д゚) わかった
|Д゚) よきにはからえ
|Д゚) で、名前何?
「あ、忘れてた! 私ね、神楽琥姫って言うの!」
|Д゚) 琥姫……
|Д゚)ノ うみ
|Д゚) こっひー(仮称)よろ
 話は何とかまとまったようだ。

 メジャーで、ナマモノのサイズを測り、ご機嫌な琥姫。いろいろ弄り回されて、ヘロヘロなかわうそ?だった。
「又今度、あおうねぇ!」
 と、手を振って夕焼けの朱に照らされ、琥姫はかわうそ?と別れた。かなり一方的な邂逅と接触であったような気がする。
|Д゚) また、妙なのにあった
 と、小麦色は言うが、その小麦色の方が奇妙であると言う自覚がないのが、困ったモノである。
 まあ、これで又一人、小麦色を争奪するライバルが増えたという事実であろう。

 で、今回の謎は、あの鞄の中にどれだけトマトが入っているのだろうか? あの系統のモノは結構重いぞ?

END
PCシチュエーションノベル(シングル) -
滝照直樹 クリエイターズルームへ
東京怪談
2006年09月22日

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