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『【恋する漢女】〜桜の夜の夢〜 』
風閂(w3g785)
 2006年 春

 4月に新たな気持ちで動き出す季節。
入社式、入学式などがそれにあたるだろう。3月が別れの季節というのならば、4月は出会いの季節といえるだろう。
 新たな出会い……そう、いきとしいけるものは皆この時期にこそ、出会いを求める。
 生物学的にいうなれば『発情期』である。動物たちが盛んになり、人間もまた5月の連休に向けて相手を探したりするものだ。

「急に悪寒が…何か悪い事が怒る前ぶれなのか……?」
 風閂は買出しの帰り、スーパーの袋を片手に持ちながら身震いをした。鉢巻と紋付袴
「しかし、俺は主を守るべき存在であり、お手伝いではないはずだ……」
 だが、手にジャガイモや人参、たまねぎ…特売牛肉が重くのしかかり、否定してきた。
「ああ、逆らうことができぬ自分が情けない…帰ろう」
 帰途につこうと足を伸ばした、すると再び悪寒が風閂を襲ってきた。今度ははっきりとした視線。殺気にも似た感覚に風閂は腰の脇差を手にかけそちらを振り向いた。
 そこにいたのは屈強な体をした男。いや、漢(おとこ)だった。2mはあろうかという背丈をした3人の男たち。しかし、それ以上にその男たちがかもし出す怪しい雰囲気があった。
 ひざより上のミニスカート、大胸筋でひっぱられたへそだしTシャツ。
 カールのかかったセミロングの髪型で、顔は化粧をしていた。
 そう、一言で言えば『変態』。3人とも似たような格好をしていたが、
「貴様らか!! 先ほどまでの妙な視線の犯人は!!」
 ビシと男達に指を刺して吼えた。
「あら、凛々しい人。私のタイプ」
 答えたのは髭面の男だった。格好は女の格好なので酷く異常に見えた。
「あら、同じね」
「私もよ」
 続けて左右にいる鼻の大きい男と片目に傷のある男が答えた。どこかで見たことがあるという意見は却下させてもらう。
「こ、この展開…身に覚えがありすぎる」
 3人の男の反応を一通り聞いた後、風閂は思い出した。正月、そしてバレンタインのときにも同じことがあったことを。
「一番手、雅伊亜(がいあ)逝きまーす」
 距離にして10mほどの距離を一瞬で詰めてきた。雅伊亜の巨体が風閂の視界をだんだんと埋めていく。雅伊亜は風閂を抱きしめようと両手を広げ包み込んできた。
「ええい、気色悪いっ!!」
 風閂はしゃがみ攻撃をかわした。ぶわぁっと頭上を風が通り過ぎ、髪の毛と鉢巻を揺らすのがわかった。
 すぐに風閂は敵を見据え、隙を探した。狙うなら、顎。
「そこだっ!!」
 左足を踏み出し、軸として固定。同時に右手の拳を握り下げる。次に両足をばねのように伸ばして雅伊亜の顎を捕らえた。
「なに!?」
 その声が聞こえたのは一瞬。風閂の鋼鉄のような拳が雅伊亜の体を持ち上げた。そのまま勢いはとまらず、腕が伸びた。雅伊亜の体が弧を描きながら後方へ飛んでいく。
「おねえさま!」
 後ろにいた二人が雅伊亜を抱きとめた。勢いよく飛ばされた雅伊亜は重いだろう、ぐっと二人が足をまげて勢いを殺しているのが見て取れた。
「キノ子、ウォルティガ……最高のあいてよ」
 雅伊亜は自分を支えた二人を見て、満面の笑みを浮かべながら呟いた。
「ええい、目のやり場に困るきわどい衣装はますます気色悪いわ! こうなったら、やけだ! 思う存分来るがいい、相手になってやろう!」
 羽織を脱いで、片手で鉢巻を縛りなおした。鍛え上げられた肉体が3人の前にさらされた。目は3人をにらむように見据えて脇差を置いて鉄扇を構えた。
「3人まとめて相手してくれるって」
 片目に傷のあるキノ子がうっとりした視線で風閂を見つめつつ呟いた。
「今夜は楽しい夜になりそうね」
 にきびのある大きな鼻をしたウォルティガが上を見上げ、なにやらやましいことを考えながらキノ子に続いた。
「いくわよ、春一番攻撃!」
 二人の答えを待っていた雅伊亜が答えを確かめると掛け声をかけた。
 風閂が構えるまもなく、3人は涎の肘で拭うと駆け出した。雅伊亜が一番前、その裏にキノ子とウォルティガが続く。3人が一直線に並ぶ。すると雅伊亜の巨体が目の前に広がっているため、後ろの二人が見えない。
「味なまねを!」
 風閂は3人に向かって駆け出した。下駄でアスファルトの上を軽快に駆けた。
 すぐに雅伊亜が目の前にきた。そのとき、雅伊亜はいきなりスカートを捲りあげた。
 ピチピチの白いブーメランパンツから毛の生えた足が生えていた。ブーメランパンツの股間部はもっこりしており、なおかつ白いのでさながら女性下着を彷彿させた。
「うぐぉぉ!?」
 風閂は何かの攻撃と思い目を凝らしていた。それがあだになり、グロテスクな光景を直視してしまった。一瞬動きが止まる。
(しまった!!)
「いまよ!」
 その隙を逃すまいと雅伊亜が組み伏すように突撃を仕掛けてきた。
(だが、しかし……この程度では俺は倒せない!)
 ぐっと足に力を入れて飛び上がる。鍛え抜かれた体を生かして、2m近く飛び上がった。
 続けて、下駄で雅伊亜の頭を踏みしめた。平面でないため、重心を取るのが難しいが風閂にはたいしたことではない。
「ごめん!!」
「私を踏み台に!?」
 風閂はぐっと踏みしめるとともに断りを入れて再び飛び上がった。雅伊亜の情けない叫びなどかまわない。
「よくもお姉さまをっ!!」
 雅伊亜の後ろにいたのはキノ子と呼ばれる男だった。キノ子が飛び上がった風閂に渾身のストレートを放った。空を切りながら拳が風閂の胴へ迫った。
「甘いっ! そのような気合の入っていない拳で俺が倒せるものか!」
 風閂は鉄扇で拳を横にそらせた。すぐさまそのままキノ子の喉を鉄扇で突いた。喉仏の筋肉ごと気道を潰した。その一撃でキノ子は目を白くし、口から泡をぶくぶくと吹き始めた。
「よくもキノ子をぉっ!!」
 ウォルティガは先ほどまでのおねぇ言葉ではなく、字の野太い声で怒りを表に出して風閂を狙ってきた。ウォルティガはキノ子の踏み台にして、さらに飛び上がった。風閂のさらに上、見上げるそこにはひらひらとなびくスカートそして、逆行を浴びているウォルティガの姿が。すぐさまキノ子から離れて半歩バク転で下がった。ウォルティガが着地し、衝撃を消さずに蹴りを放った。風閂が視線で追えないほど速かった。
 横腹にミシっと蹴りが食い込み、ざざっと後ろに下がった。吹く飛ばされないようにかかとを上げ、つま先に力を込めて風閂はブレーキをかけた。
「なにを!」
「だが、後ろがお留守よん」
 踏み台にしただけだったため、大丈夫な雅伊亜が背後から風閂を羽交い絞めにした。
「くそ、しまった!」
 ウォルティガが涎をたらしつつ風閂の袴に手を伸ばした。
 だが、風閂はウォルティガの体を駆け上がり、視界がウォルティガの足から顔を流れて太陽を眺め、雅伊亜の頭まできた。
「くたばれ!!」
 そのまま勢いを利用して膝蹴りを雅伊亜の脳天にたたきつけた。風閂の重量に勢いが加わった一撃が脳天を直撃し、ごきりと鈍い音が響いた。すぐさまそのひざを軸に回転、あっけにとられているウォルティガの横頬に協力な足の甲が叩き込まれた。巨体の重みをそこで感じながらも、風閂は振りぬいた。ウォルティガは「ぐ」とも「う」とも取れる声だけ上げて横に2mほど飛んで街路樹にぶつかるとずるずると沈んでいった。
「やっと片付いたな…手間をかけさせてくれた」
 死屍累々と路上に倒れている3人の変態を見つめて一息。
(また、つまらぬ変態を倒してしまった…道を違わねば、いい好敵手となっただろうに…)
 気がつくと周りに人垣ができて、風閂たちの様子をずっと見ていた。警察まで壮絶な戦いを傍観している状態だった。
「い、いかん!? 早く帰らねば主の買い物…か、かいもの?」
 はっとして周囲を見た。再び悪寒が走る確か、どこかにおいたはず…見つけた。キノ子の足元。思い切り踏み潰されていた。袋の端からバラバラ担った人参が転がって出てきていた。
 風閂は絶句して青ざめた。主にどう説明したらいいのだろう……。
 一難さってまた一難。その言葉が延々と風閂の頭を回っていた。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 w3g785ouma/風閂/男/30歳/レプリカント

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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どうも、毎回ありがとうございます(ぺこり)
今回も参加していただき嬉しいです。

長々とあけていましたが復帰記念という感じです。いきなりこれというのも実にアレかもしれませんが……

 今回は戦闘描写に力を入れて見ました。まだまだ未熟ですが、お付き合いいただければと思います(ぺこり)
 今後ともよろしくお願いいたします。
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2006年05月15日

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