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『誘い櫻 』
オーマ・シュヴァルツ1953



★ ☆


 何でも屋・鷺染。
 その依頼帰りでの事だった。
 ふっと、淡い色をした桜の花弁が詠二の前に舞い落ちて・・・
 視線を上げれば、すぐ目の前には巨大な桜の木があった。
 こんなところに桜の木なんてあったか?
 そう思うと、鷺染 詠二(さぎそめ・えいじ)は桜の木をそっと撫ぜた。

 ――――― 瞬間

 目の前に、見慣れた姿が浮かび上がった。
 銀色の長い髪をした少女・・・笹貝 メグル(ささがい・ー)・・・
 何かあったのだろうか?綺麗な色をした瞳は哀しみに染まっていた。
「メグル・・・??」
『お兄さん・・・お願い・・・見つけて・・・』
「え?メグル・・・??見つけてって・・・」
『私を・・・探して・・・お願い・・・見つけて・・・お兄さん・・・』
 今にも消えてしまいそうなメグルを引き止めようと、右手を差し出し―――
「あれ?お兄さん??どうしたんです?こんなところで。」
 聞きなれた声に振り向くと、そこにはメグルの姿があった。
 両手に大きな袋をぶら提げ、買い物帰りだろうか?その袋は酷く重そうだった。
「な・・・なんで??だって、メグル・・・」
「どうしたんです?」
 キョトンとした表情のメグルに、今起きた事を全て伝えると、詠二は首を捻った。
 どんな怪異なのだろうかと言う詠二に向かって、メグルが小さく苦笑を洩らし
「お兄さん、それは誘い櫻(いざないざくら)じゃないですか?」
「誘い櫻?」
「その人にとって、一番思いいれのある人の幻を見せて、桜の中に誘うんです。相手を見つけられればこちらの勝ちで、現実に戻って来れます。」
「見つけられない場合は?」
「永遠に桜の木の中に閉じ込められて・・・」
「・・・!?」
「ふふ・・・それはただの噂ですよ。それに、見つけられないわけ無いじゃないですか。だって、自分にとって一番思いいれのある人ですよ?大切な人の姿を、見失うわけがないじゃないですか。」
「そうか・・・」
「それにしても・・・誰か、櫻に誘われているのでしょうか・・・」
「どうだかな。」
「きっと、誘いの出入り口なんですね、ここ。・・・どうします?誰か来るか、待ってみます?」
「そうだな。今日の仕事も終わった事だし・・・・・」


☆ ★


 妻と子と、夜に咲く桜を見上げていた時だった。
 飲み物がなくなる気配を感じ、オーマ シュヴァルツは席を立った。
 近くにお店があったかどうかを思い出しながら足早に歩き・・・
 ふわりと目の前に淡い色を発した光が舞い落ちてきた時、思わず足を止めたのだ。
 はらり、ひらり
 それは淡い雪のようで、けれど月光に透けて輝く様は雪よりも存在感がハッキリとしていた。
 足元に落ちた花弁を見詰め ―――――
 ふっと、微かに聞こえた音に顔を上げた。
 ジャリっと、砂を踏む靴音。
 顔を上げれば娘・・・サモン シュヴァルツの姿があった。
 確かにあの場所に残してきたはずなのに、追ってきたのだろうか・・・?
「サモ・・・」
 その名を呼ぼうとした。
 しかし、サモンはそれを嫌がるかのように、俯くと踵を返した。
 寂しそうな瞳の奥、まるで助けを求めているかのような光に思わず手を伸ばし―――
 届かない。
 それほど距離があるわけではないのに、手は虚しく空を切った。
 コツン、コツン・・・
 まるで石の上を歩いているかのような靴音を響かせて離れて行くサモンの背を追い、手が届く・・・
 そう思った刹那、桜吹雪が吹き荒れた。
 視界を遮る桜の花弁に目を閉じ、開いたそこは別の場所だった。


★ ☆


 何処かの病院。
 鼻につく、アルコールのツンとする臭い。
 待合室には長椅子がいくつも並んでいる。
 懐かしい・・・そっと目を閉じ・・・
「おや?オーマじゃないかい。」
 そんな声に振り向くと、そこにはシェラ シュヴァルツの姿があった。
 長い髪を肩から払い、キョロキョロと辺りを見渡し・・・
「おかしいねぇ、あの子を追って来た筈なのに・・・」
 あの子とは、サモンの事だろう。
 と、言う事は・・・あの場にシェラもいたのだろうか・・・?
 いや・・・もしかしたらシェラも同じように、違う場所でサモンの姿を見ただけなのかも知れない。
 あのサモンは、本当のサモンではない・・・
 けれども、何故だか思う。
 サモンを・・・捜さないと・・・。
「奇遇にしちゃぁ随分出来すぎてるとは思わねぇか?」
「おや、あんたもかい。」
「あぁ。・・・それより、ここは何処だ?」
「病院だろうねぇ。ま、そんな事は見て分かるとしても・・・」
 ガランとした病院内。
 壁のボードには無造作にメモが貼られている。
 看護婦宛のもの、先生宛のもの・・・
 今さっき貼られたかのようなメモにも関わらず、この病院には人の気配はしなかった。
 暗い照明がポツポツと等間隔に並び、ずらりと両脇には病室へと続く扉。
「なぁんかなぁ・・・どっかで見た気がすんだけど・・・」
「あっ・・・」
 オーマの呟きにシェラが小さく声をあげ、口元を手で隠すとそのまま意味ありげな笑みを浮かべた。
「なんだよ。」
「さぁね。自分で思い出すこったね。」
 そう言うと、シェラが先に立って歩き始めた。
「あの子を早いトコ見つけ出してやんないとね。」
「あぁ・・・そうだな。」
 長い廊下を歩く。
 コツリ、コツリ・・・
 立てる音は、広い病院内に響いては揺れ、不思議な音色に変わる。
 両脇に並ぶ病室にはどれも光が灯ってはおらず、小さな窓の向こうは漆黒の闇だった。
 105号室も闇
 106号室も闇
 107号室も・・・・・・
 オーマは足を止めると、目の前に居るシェラに向かって―――
 前を向いた刹那、オーマは戦慄した。
 直ぐ目の前を歩いていたはずのシェラの姿はなかった。
 まるで最初からそこには誰も居なかったかのように、冷たい静寂が横たわっていた。
 視線を上げる。
 例えばシェラが早歩きで進んでいたとして、オーマよりも大分離れていたとすれば・・・けれど、そこには誰も居ない。
 それどころか、廊下は先が見えないほどに長く続いていた。
 どう言う事なのだろうか・・・?
 あの待合室から大分歩いたけれども、これほどまでに長い廊下なんて存在するのだろうか・・・?
 オーマは後ろを振り返った。
 きっと、そちらにも歩いてきた分だけの廊下が佇んでいるのだろう。
 けれどその考えはすぐに打ち砕かれた。
 背後に見える、待合室の風景。
 それは・・・オーマが待合室を出て、第1歩目を踏み出した、まさにその瞬間だった。
 どうして―――――
 途方にくれるオーマの目に飛び込んで来たのは、受付に飾られた1輪のルベリアの花。
 咲き誇る、その色に映すは妻子への想い・・・。
「とりあえず、廊下は駄目だ。」
 まるで己に言い聞かせるように言葉を紡ぐと、待合室の奥、階上へと続く階段の前で足を止めた。


☆ ★


 階段を上がり切ると、そこはウォズの巣窟と化していた。
 先ほどまでの、どこか虚無を帯びた空間とは違い、明らかな力が支配する場所だった。
 目の前から歩いてくる、シェラとサモンの姿・・・。
 けれど、それが本物の2人ではない事は直ぐに分かった。
 ウォズが変異した、まがいものに過ぎない。
 開け放たれた病室の中から、小さな女の子が走り出して来る。
 泣きじゃくるその姿もまた、ウォズが具現した姿。
 オーマはなんとかウォズ達の間を抜けると、廊下を走り出した。
 1階の廊下とは違い、こちらはきちんとした距離がある。
 即ち、歩けばその分だけ元いた場所から遠ざかるのだ・・・。
 ・・・それにしても、ここはどこかおかしかった。
 ウォズの力だけではなく、もっと・・・全体を覆う、大きな力の流れがあるような気がした。
 背後から追ってくるウォズとの距離をとりながら走り―――――
 丁度203号室の、出っ張ったドアノブにトンと軽く身体をぶつけた時だった。
 ザァっと音を立てて、目の前の景色が反転する。
 色が落ち、病院内に人の気配が戻り・・・聞こえて来る、ざわめき。
 意味を成さない、ザワザワとした声の結晶の中で、一際大きく聞こえて来る少女の泣き声。
 先ほどウォズが具現した少女が、203号室から姿を現し、左右の色の違う瞳をオーマに向けた。
 右は赤、左は金のオッドアイを潤ませて・・・
『鬼さんあっち』
 そう言って、203号室の中を指差した。
 小さな指先を辿り、部屋の中に視線を向け・・・そこには真っ白なベッドがちょんと置かれているだけで、別に目新しいものは何もない。
 パチリ
 それはほんの短な瞬き1つの間だった。
 少女の姿は消え、ザァっと再び色が反転した。
 背後から追って来る、ウォズの気配を感じる。
 ・・・あの少女が目の前に現れた瞬間は、確かに消えていたはずの気配・・・
 オーマはピタリと足を止めると、203号室のドアノブを右に回し、押し開けた。
 カチャンと軽い音の後に開いた扉の先、続いていたのは部屋などではなかった。
 手術室だろうか・・・
 並んだ機材の中心、血にまみれたベッドが1台置かれていた。
 おびただしい血痕の中、ポツリと置かれている真っ白なクマのぬいぐるみ。
 どうしてこんなところに・・・??
 オーマはそれに触れた。
 ほんの少し、指先がかすかにクマの耳の毛を揺らすほどに。
 ―――― コツンと、オーマのすぐ背後で足音が聞こえた。
 瞬時に振り返れば、そこには先ほどの少女が立っており・・・すっと、数歩下がると1つの扉の前に立った。
『鬼さんこっち』
 そう言って、扉を指差す。
 その瞳には感情らしい色は宿っていない。
 善意も悪意もない、純粋なまでの無を宿した瞳をジっとオーマに向けている。
「お前さ・・・」
『鬼さんこっち』
「こっちとは・・・」
『鬼さんこっち』
 オーマが言葉を紡ごうとする度に、まるでそれを阻止するようにかぶせられる言葉。
 困った・・・
 そう言うように頭を掻くと、1歩、少女の方へと近づき ―――
 ふっと、その姿が掻き消えた。
 コツン
 またも背後で聞こえた音に振り向くと、手術台の上に置かれたぬいぐるみをジっと見詰めていた。
 見詰める先、真っ白なクマが段々と染まる。
 赤く・・・赤く―――――
「これはいったい・・・?」
『鬼さんあっち』
 オーマの声に反応した少女がそう言い、先ほどと同じ扉を指差す。
 ・・・それにしても、鬼さんとは・・・オーマの事なのだろうか?
 この少女は、オーマをどこかへ誘おうとしているのだろうか?
 それを、信じても良いのだろうか?
 けれど少女の瞳には何の色も宿っておらず、いくら瞳を覗きこもうとも少女の心のうちを知る術はなかった。
 ――――― 賭けてみるか ・・・・・・?
 オーマは少女へ背を向けると、ドアノブをゆっくりと回した・・・。


☆ ★


 扉を開けた先は、オーマの良く知っている場所だった。
 シェラと逸れてしまった、あの待合室が、扉の向こうには広がっていた。
 けれど先ほどまでの待合室とは違い、そこにはルベリアの花が咲き誇っていた。
 1輪2輪と言う数ではない。
 待合室の床から、椅子から、壁から・・・咲き誇る、その花は一種の恐怖を含んでいた。
 そして・・・・・・・・・
 オーマは初めて少女が言っていた“鬼さん”の意味が分かった。
 あれは決してオーマの事を言っているわけではなかった。
 鬼さんこっち・・・その後に続く言葉は“おいで”ではなかった。
 オーマを誘っているのではない。オーマに、知らせていたのだ。
 こっちに“いるよ”と。
 鬼が、この先にいるのだと・・・・・・
 ルベリアの花の中、佇む1人の青年の姿。
 八千年前の、オーマ自身の姿だった・・・。
 力こそが全ての頃。
 強さとは何なのか。それを、思い違えていた頃。
 目の前で、嘗てのオーマが嘲る。
 力を放棄したオーマに対し、見下すかのような冷たい言葉を紡ぐ。
 なんて弱いのだろうか―――
 オーマはそう思った。
 嘗ての自分は、なんて弱くて必死で・・・まるで、力を失ったならば全てから見放されてしまうとでも思い込んでいるような・・・。
「妻子を守りたければ、力を得ろ。血を流せ。そうでなければ、妻子は諦めろ。」
 そう言って、大剣二刀を具現すると、その切っ先を突きつけた。
 ―――力の差が歴然としている事は、オーマにもしっかりと分かっていた。
 修羅悪鬼の如く、能力も、戦闘センスも、はるかにオーマを上回っている。
 けれど、ここで引くわけには行かなかった。
 シェラを、サモンを、失うわけには行かない。
 背後を見れば、そこはただの壁だった。
 オーマが入ってきたはずの扉は跡形もなく消えうせ、退路は無くなっていた。
 ならば、進むしかない。
 地を蹴る嘗てのオーマの動きを察し、振り下ろされる切っ先を何とか避ける。
 上半身を反転させ、反対の刀を振りかざすのを見て・・・



   力は、想いを打ち砕く事が出来る
   力は、想いをバラバラに引き裂く事が出来る

   けれど、想いは決して失われる事はない
   想いは、特に力に勝る時がある

   例え砕かれようとも、引き裂かれようとも
   信じ、進む
   想いの力は強いものだから
   例え欠片になろうとも、その輝きは損なわれる事はない

   儚く脆い輝きであろうとも
   消えなければ永遠を手に入れる事が出来る

   想いは目に見えないものだからこそ・・・
   抱き続けていれば、いつか活路は開けるでしょう

   決して揺るがない想いは
   ・・・時に、圧倒的な力に・・・勝つのですから・・・



 シェラを、サモンを想う気持ちは誰にも負けない自信があった。
 そして、例えどんな力に押さえつけられようとも、その想いを失う事はないと、確信があった。
 かけがえのないものを、手放さない、その・・・強い想いがあった。


 オーマの体勢が崩れ、ルベリアの花を押し潰す。
 ハラリ
 舞う、花弁が美しく・・・
 振り下ろされた切っ先に、オーマは思わず目を閉じた。





『頑張ってください!奥さん!もうじき産まれますよ!』
 ざわめきの中、一際大きく聞こえて来た声。
 刹那の静寂、聞こえて来る・・・赤ん坊の泣き声。
 どこか懐かしい声に目を開ければ、そこには2つの扉があった。
 どちらも分娩室と書かれており、双方からはまったく同じ声が聞こえて来る。
「これは・・・?」
『見つけて。貴方なら、見つけられるから、貴方にしか・・・見つけられないから』
 瞬き1つ。
 扉の前にはあの少女が立っていた。
 丁度2つの扉の真ん中に立ち、相変わらず色の宿らない瞳を向け、しかし言葉だけは確かな響きを含んでいた。
『貴方は、決して間違えない。その胸に宿る、想いの強さは決して揺るがない。だからこそ、想いを信じて、進んで』
「それは・・・」
 どう言う意味なんだ?
 そう聞こうとした言葉は途切れた。
 少女の体が、淡く儚く・・・消えたからだ。
 残ったのは2つの扉。
 双方から同じ音が漏れ聞こえるソレは・・・何を物語っているのか、オーマには分かっていた。
 愛しい場所。
 オーマの心の中、温かく流れる、優しい時。
 初めて娘の・・・サモンの声に、温もりに・・・触れた、愛しき始まりの場所。
 そっと目を閉じる。
 そして――――――
 右の扉を、押し開けた・・・・・・・・。


★ ☆


「お帰りなさい。」
 聞き覚えのある声に目を開けると、目の前には1本の櫻の木が立っていた。
 サモンの姿を追いかけた、あの櫻の木だ・・・。
「オーマさんが誘われたんだね。」
「詠二・・・」
 振り向けば鷺染 詠二がニカっと、元気の良い笑顔をオーマに向けていた。
「誘い櫻の中はどうだった?オーマさんは、大切な人を見つける事が出来たんだよね?」
「誘い櫻?」
「うん。心の中に一番強く存在する人の幻を見せて、誘うんだよ。櫻の中へ。」
「・・・どう言う事なんだ??」
「さぁ・・・。俺も詳しくはわかんないよ。俺よりメグルのが詳しいんだけど・・・」
 そう言った後、どこか寂しそうな笑顔を浮かべて櫻を見上げた。
「俺はメグルの幻が視えたんだ。でも、メグルは誘い櫻には“誘われない”んだ。幻が、視えないんだ。」
「幻が視えない??」
「大切な人がいないわけじゃないと思う。でも、櫻はメグルを誘わない。何でかは分からないけど。」
 詠二が櫻・・・誘い櫻にトンと手を置いた。
 まるでそこから何かを得ようとするかのように、暫し目を瞑り・・・
「そう言えば、左右の瞳の違う少女が出て来て、道を・・・教えてくれたんだが。」
「誘い櫻の噂・・・もう、随分昔の噂で、今は誰も覚えていないんだけど・・・1つだけ、あるんだ。」
「噂?」
「誘い櫻が人を誘って櫻の中に引き入れるのは、本当は・・・櫻自身が逢いたい人がいるからなんだって、前にメグルが言ってたよ。」
「それがあの少女だと?」
「さぁ。俺にはわからない。きっと、櫻にしか分からない。櫻の秘密を、暴けるものはいないのだから。」
 秘めたるものは、櫻の中に。
 甘い夢と共に、存在する・・・儚い幻。
「誘う、櫻は・・・人の心を映し見る。その人の心に深く残っているものを、断片的でも・・・連続的でも、見せる。例えそれが悲しい想いだろうと、辛い想いだろうと、人の心の中・・・鮮やかに色付く想いを見せるんだ。」
「するってぇとアレは・・・」
 青年姿のオーマは、現在のオーマの中に色濃く残る想い・・・
 そう言うことなのだろうか?
 ・・・けれど、そうなのかも知れない。
 忘れられない記憶と言うものは、誰にだってある。
 それがどんな記憶であろうと、染まる、記憶の色は強いもの。
 オーマは櫻の木を見上げた。
 丸い月を背景に、櫻の枝が伸び、桜が花開いている。
「幾ら形や匂いを“具幻”したとしてもよ、絆まではそうはさせねぇぜ?」
 コツンと櫻の木を叩き、それでも・・・感じる、櫻の寂しさに、そっとその幹を撫ぜた。
「そう言えば、オーマさんは誰の幻を追っていたの?」
「サモン・・・っと、娘と・・・あと、妻がいたはずなんだが。」
「それじゃぁ、その2人も櫻に誘われた可能性が高いけど・・・うん、でも、オーマさんの家族だもん。絶対戻って来れるよ。」
 力強く頷いた後で、小さく「幻が見つからなかったら永遠に誘い櫻の中に閉じ込められちゃうんだけどね」と呟いた。
 驚きの新事実に目を見開き・・・
 見上げたそこで、櫻が悪戯っぽく・・・笑んだ気がした。



               ≪ E N D ≫



 ━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
 登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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 【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】


  1953 / オーマ シュヴァルツ / 男性 / 39歳 / 医者兼ヴァンサー(ガンナー)腹黒副業有り


  2079 /サモン シュヴァルツ / 女性 / 13歳 / ヴァンサーソサエティ所属ヴァンサー


  2080 / シェラ シュヴァルツ / 女性 / 29歳 / 特務捜査官&地獄の番犬(オーマ談)


 ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 この度は『誘い櫻』にご参加いただきましてまことに有難う御座いました。
 そして、いつも有難う御座います。(ペコリ)
 誘い櫻、如何でしたでしょうか?
 オーマ様とシェラ様のお話の後、サモン様のお話へと続いております。
 今回もオーマ様らしさが描けていればと思います。
 ご家族でのご参加、有難う御座いました。


  それでは、またどこかでお逢いいたしました時はよろしくお願いいたします。
PCゲームノベル・櫻ノ夢 -
雨音響希 クリエイターズルームへ
聖獣界ソーン
2006年05月15日

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