芸能界で華々しく活躍するタレントや芸人、アーティストがメディアに登場しない日は一日としてない。それを影で支えているのが番組制作局であり出版社であり、芸能プロダクションである。トリプルクラウン所属のロックバンド『STILL IN LUV』のマネージャーを務める松元 真橙もそのひとり。彼女はある理由で自ら望んでこの職についた。以前よりも忙しい毎日を過ごしているが、何ともいえない充実感を感じることができるやりがいのある仕事だ。一番の理由は憧れの人を毎日のように見ることができるからだろうか。
真橙は以前、マネージャーに身の回りの面倒を見てもらう立場だった。なんと彼女は『STILL IN LUV』と同じく、歌手としてメジャーデビューしたれっきとしたアーティストなのである。人気もそこそこで順風満帆だった彼女だが、後輩であるスティルのデビューを契機に休業を宣言。そして事務所の社長に直談判し、3時間にも及ぶ論争の末、彼女たちのマネージャーの座に勝ち取ったのである。そんなド根性で一直線な真橙だが、スーツを着れば歌手からマネージャーへと大変身。今ではメンバーからも全幅の信頼を寄せられ「まっとん」の愛称で親しまれる存在である。今回はそんな彼女の一週間を追った。
木曜日午前。いつものスタジオにてレコーディング開始。
メンバーは真橙の前歴を知っているので、よくコーラス部分を歌うようにお願いすることがある。彼女も快く引き受け、メンバーを演奏に集中させようとがんばる。歌手だったプライドからか、それとも憧れの人に見てもらいたいからかはわからないが、彼女はよくここで張り切ってしまう。『STILL IN LUV』の曲だということをすっかり忘れてしまうらしい。ところがそれを聞いたメンバーは「さすがまっとん」と息を飲み、それ以上のコーラスラインを作ろうと躍起になる。結果的に真橙の大暴走はスティルの起爆剤になっているのだ。とりあえずこの日は曲の全体像を作り、そのまま解散となった。この日はちゃんと彼女が送迎を行っている。
土曜日午後。またまたスタジオでレコーディング。
デモテープを聞きながら各パートで最終調整を行う。そしてレコーディング。この後はカップリングに予定している曲の制作に移る。その間、真橙は販売担当とシングル発売時期を模索していた。他社のリリースを考慮し、売り上げの見込める期間を狙っていく。今回は『STILL IN LUV』にとっては2006年初のシングル。プロモーション活動も派手に行うとのことで、大物アーティストが新曲を出した翌週に狙いを定めて展開することにした。もちろんメンバーにもそれを伝え、今後のレコーディングに気合いが入るように「えいえいおー!」で場を盛り上げた。でも一番盛り上がっているのは、真橙だったりする。