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『恭賀新年’06〜新年会inペンション日向〜 』
鳴神(w3i013)



 元日の昼チリュウ・ミカ(w3c964maoh)クリスクリス(w3c964ouma)藤宮・深雪(w3i013maoh)鳴神(w3i013ouma)のペンション日向一行は仲良く連れ立って、初詣の帰り道をあるいていた。
「縁結びのお守り欲しかったのに……ミカ姉ひどいよ」
 学業成就のお守りを手にしたクリスクリスはガクリと肩を落とす。
 今年こそは、素敵な彼氏を!と、思っていたのに、どうやら魔皇のミカに買ってもらえたお守りは学業成就のお守りだったようだ。
「学生は学業が本分だぞ、今年もそれを持って勉学に励めよ」
「む〜」
 ミカは剥れるクリスクリスを見て笑う。
『今年も皆が笑顔で暮らせますように』
 そう、願掛けをした深雪は年の瀬に夫と会える時間が取れたのか、心なしか嬉しそうに見えた。
 年末に幸せな時を過ごせて、新年もなんだか良いことがありそうな…そんな気がしていた。
 ガランゴロンと下駄の音が聞こえたのはその時のこと。
「あ、あれ」
 真っ先に気がついたのはクリスクリス。
「透さんと静流君だ――!」
 やっほーと手を振る。
「なんだ、透じゃねぇか」
 愛用の1眼レフのカメラを抱えてた、鳴神もよく知る二人を目にして立ち止まる。
 もちろん彼が始終カメラを向けていたのは、可愛い神社の巫女さん。アルバイトの巫女だとはいえ、今年は当たり年だったようで、可愛い子が多くて1時間ばかりあきもせずカメラを構えていたのはここだけの秘密である。
「あん?なんだお前らか」
「明けましておめでとうございます」
 真冬だというのに裸足に下駄を突っかけ、綿入り半纏を羽織った透は新年だというのに相変わらずの不精ひげ。
 これからどこかへ出かけるにしてはいたって軽装だ。
 逢魔の静流は4人に向かって今年もよろしくお願いいたしますと、丁寧に頭を下げる。
「明けましておめでとう」
「お二人ともこれからお出かけですか?」
「ん〜、ちょっとそこまでな」
 知り合いの家に挨拶周りだ。と、いうが余程気心しれた知り合いのところへ行くつもりなのだろうか、その手には年賀の熨斗が張られた一升瓶がある。
「そうか……用があるなら無理かな……?」
「?」
「これから、うちで新年会やるから。暇なら誘おうかと思ったんだ」
「ん〜」
 ミカにそういわれ、透は暫し考えるように顎に手を当てた。
「ま、正月中に一度顔出せば良いだけだから、別に今日じゃなくても大丈夫だろ」
 その前に、俺らが新年会にいってもいいのか?その方が心配だ。
「もちろん!メンバーは多いほうが楽しいし」
「ぜひ寄っていってください」
 深雪も微笑む。
 パーティーは人数が多いほうが盛り上がる。
「んじゃ、お言葉に甘えてお邪魔するか?」
「透がそれでいいなら、別に俺はかまわないよ」
 肩を竦めて静流は魔皇を見上げた。


「透さん、静流くん入って入って。遠慮するだけ損だよ☆」
 子供は風の子、いつも元気なクリスクリスが二人の手を引きペンション日向に招き入れる。
「んじゃまぁ、お邪魔して」
 二人がここを訪れるのも本日で2回目となる。
「おせちと、お雑煮を今用意するから。透と静流も適当に座ってくれ」
 今年の御神籤は末吉を引き、『小さな幸せ』が丁度いいんだ。と負け惜しみのような事を言っていたミカが台所に立つ。
「私もお手伝いします」
「ほれ、クリスこれ運べ」
 味噌仕立てのお雑煮を用意する、ミカが酒の入った徳利とお猪口を差し出す。
「どうせだから、これものんじまうべ」
 手にしていた一升瓶を透が台所に差し入れた。
「いいのか?」
「正月だからなぁ、持ってく分はまた買えばいいし」
 ある物は飲んでしまえ、と景気良く栓を抜く。酒は飲むためにあるものという酒飲みの意味不明の定理を持ち出しクリスが持ってきた徳利に注ぐ。
「燗か冷か?」
 早速酒好きの鳴神も横から覗き込む。
「燗酒も良いけどまずは冷でお屠蘇だな」
「ほれ、雑煮できたぞー」
「御節運びますから、場所空けてください」
 そうこう話している間に、盆に各自の椀を並べたミカと、御節のお重を抱えた深雪が台所から入ってくる。
「これなーんだ☆」
「私からもです」
 ミカと深雪がそれぞれに、小さなポチ袋を未成年の二人差し出す。
「え……?」
「わーミカ姉、深雪ちゃんありがとー!」
 差し出された、ポチ袋を前に静流がきょとんとしてクリスクリスが大喜びで飛びつく。
「いいから、もらっときな」
「ちょっとまて、俺も出さなきゃいけんだろう」
 あわててジャケットの内ポケットを探っていた透が、クリスクリスにブルーのポチ袋を差し出した。
「ちっとしかはいってないけどな、袋に柄は気にするな」
 どうやら出向く先にで出すつもりだったのか、柄はどちらかというと男の子向けのものである。
「透さんありがとー」
 一気に3人からお年玉をもらったクリスクリスはほくほくの満面の笑みを浮かべている。
「ありがとうございます」
 少し照れながらも、静流が女性二人に礼を言った。
「『鳴神お兄さん』は〜」
 何か忘れてるものなーい?クリスクリスのじと目に、ふふふふと鳴神が鼻を鳴らした。
「良くぞ聞いてくれた……みんなには太っ腹な俺からお年玉をやるのだ」
 ババーンと取り出だしたるは、でかでかと『なるかみ』と流れるような毛筆で書かれた色紙が、きっちり女性陣の人数分用意されていた。
「この、金じゃ買えない『鳴神サイン色紙』を…だから落書きするな!燃やすな!」
 新年早々、受け取ったそれぞれがペキっと割ったりぐりぐりと落書きを始めたりと大反響。
「……やっぱりバットの方がよかったでしょうか……」
 スパーンと、新年から早速景気良く己の逢魔の頭をハリセンで張り飛ばした、深雪が頬に手をあて思案顔を浮かべていた。
「つうか俺様にもお年玉よこせ!」
 さもないと自棄酒するぞ、騒ぐぞ、脱ぐぞ、暴れるぞと早速一升瓶を抱えた鳴神がわめく。
「やっぱり来年からはバットにしておきます」
 踏ん反りかえる鳴神を深雪が真獣刃斬を付与したハリセンで容赦なく沈めた。
「うるさいのもおとなしくなったし、少し遅めだけどはじめるか」
 お屠蘇は年齢の若い順から順々に。
「子供は最初の一杯だけだぞ」
 と言い含められ、おそるおそる未成年の二人が酒を口に含み、その辛さに目をしばたかせる。
「うーお酒よりやっぱりジュースがいい!」
「はいはい、沢山よういしてありますから」
 何がいいでしょう?リンゴにオレンジに炭酸飲料と未成年の二人の前に深雪がジュースを並べる。
「好きなの飲んでくださいね」
「そうそう、食べたもんがち飲んだもんがちだぞ」
 遠慮は無用とミカも笑う。日向の新年会はにぎやかにはじめられた。
「そもそも屠蘇とは数種の薬草を組み合わせた屠蘇散を日本酒や味醂に浸して作る物の事であって……酒そのもののことではないのだ」
 お年玉ももらえず、一升瓶を抱えながら管を巻く鳴神がぶつぶつとつぶやく。
「そうなのか?」
「別にいいだろ、酒が飲めれば」
 酒飲み連中はすでに相手にしていない。
「ねぇねぇ、静流君の御家は御節もやっぱり中華風なの?」
 ミカ姉のおせち料理って純和風だから、ボクの食べたいモノあんまり無い…とぼやきながらも、クリスクリスの箸がとまることはない。
「うちのは……大皿ででるから、重箱に入った御節ってはじめてかも……」
 大皿に数種類の料理を小分けに盛り、大人数で突付くのが神保宅の御節らしい。重箱に詰められた彩も鮮やかな御節の数々が静流にとっては新鮮らしい。
「ふーん」
「中華だけじゃないけど、ローストビーフとか…黒豆の煮付けとか…数の子もあるし」
 ようは見栄えがして日持ちがするものを作り置きしておくとのこと。正月風景も各宅それぞれである。


 大人たちは酒も程よくまわり、子供たちは腹くちくなった頃合。
「それじゃーなんかして遊ぼー!」
 おー!とクリスクリスが元気にパタパタと遊戯道具を取りに立つ。
「正月といえば…」
 凧揚げに羽根突きに……
「カルタ取り、だよね♪」
「ナヌ!脅迫かるた大会!?じゃあ手加減しないのだ」
 誰もそんなことはいってはいないのだが……先ほどまで一升瓶を抱いてごろごろとしていた鳴神がむくりと起き上がった。
「俺様が優勝したら、女性陣は一日せくしぃ衣装の刑なのだ!!」
 ナース服にチャイナドレスにビキニ水着も捨てがたい。
「いいなそれ」
 透も俄然張り切って腕をまくる。畳の上にカルタの札が並べられた。
「破壊や殺傷でなければ魔皇、逢魔の能力使用可だよ」
 バトルカルタだとクリスクリスが宣言する。そのかわり、お手つきは顔に墨の罰ゲーム有りだ。
「読む人は静流くんお願いね!」
 端麗な顔に墨を入れるのは流石に憚られると、クリスクリスが読み札を押し付けた。
「差別だー!」
「ずりーぞ!!」
「いやならお前らも、あの位の顔になってみろ」
 酔った勢いで野次紛いのブーイングを飛ばした親父二人は、そのときミカの笑顔の後ろに猛々しいトラを見た気がしたと後で語ったという……。
「手加減はしません……」
 札の並びを覚えるのは得意だったんですと、深雪も張り切っている。
「それじゃ……『シ』ャンブロウも歩けば、棒にあたる」
 『し』はどこだ!『し』!!
「ふふふ…俺様には獣化という能力があるのだ!」
 野生の力を呼び覚ませ!鳴神はその体で戦場となった畳の上を駆け抜けた。
「あー鳴神さん『た』の札踏んでる!」
 お手つき1ね〜。如何せん子猫の足では札まで遠すぎた。
「よし書くのは任せろ」
 筆を手にしたミカが人系に戻った鳴神の口元にくるりとカールした、中華風どぜう髭書き入れる。
 最初の札は札の位置を覚えるのは得意でありながらも、動きのスローな深雪がゲットした。
「次いきます、こんこん雪ん子『ウ』ィンターフォーク」
「えい!」
「クリス!?」
 卑怯だぞ!
「えへへ〜攻撃しなければ能力つかってもいいんだもんね〜♪」
 クリスクリスが呼び出したミニ吹雪が札を巻き上げる。
「……透、札」
 踏んでるよ。
「何――!」
「じゃぁ私が……」
 旦那様と一緒です。と微笑みながら、深雪が透の口もとにちょび髭を書き込んだ。
「女王の威厳保てし『か』のえ様」
「次こそは!」
「俺様が取る!!ぐおっ!?」
 背後から飛んできた蛇縛呪が親父二人をまとめて捕獲する。
「すまんな」
 余裕の表情で、目の前にあった札をミカが手にとった。
 二人の体の下には大量の札。
「審判これは攻撃じゃないのか!」
「直接攻撃じゃないので」
 読み手兼審判の静流が重々しく宣告する。
「やっぱり、お約束だよねー」
 筆を手にしたクリスクリスが親父二人の額に肉の文字を書き加えた。
 容赦のない女性陣の攻撃に親父二人の顔には次々と勲章が増えていく。
「あははは、鳴神さん変な顔ー!」
 ほっぺたに渦巻きやら、繋がれた眉毛やら……すでに書き込むところがないのではないかと思うほど親父二人の顔は墨だらけである。
 反対に女性陣はほとんど被害が見えない。
「くそう」
「最後の札です、二人の絆は永遠『ス』ピリットリンク」
「こんどこそー!」
「くるか!」
 1枚の札に飛び込んだ親父二人は見事にごちーんと空中で衝突した。
「とったー」
 小柄なクリスクリスがアルコールで動きが鈍った大人たちを制して優勝した。
「一枚もなしかよ……」
 せめて参加賞くれ…おでこに大きなたんこぶを作った鳴神がうめく。
「仕方ないな」
 ぴらりと鳴神の前に薄いポチ袋がおちてくる。
「クリスマスの時のお返しだ」
「お、おぉぉぉ――――!!」
 ポチ袋の中身を見た鳴神は狂喜乱舞した。
 セピア色の1枚のスナップ写真には、今では珍しくなった、足首まであるロング丈のセーラー服姿の高校時代のミカの姿がそこにあった。
「宝物にしろよ」
 レアものだからな。というミカの念押しにこくこくと鳴神がうなづいた。

「なんだかずいぶんお邪魔しちまったみたいだなぁ」
 気がつけば外は夕闇が迫ってきている。
 楽しすぎて時がたつのを忘れていた透が、借りた濡れタオルでごしごしと墨を塗りたくられた顔を拭う。
「酔いがさめたから飲みなおすぞ!」
 付き合え透!ミカの秘蔵写真を手に入れて復活した鳴神がさらに酒瓶を持ち込む。
「まだのむんか」
「正月は無礼講なのだ!」
 俺様の酒が飲めないとはいわせないぜ。日向の新年会はこの後数時間つづけられたという…




……新年快樂、請迎接好的年……




【 Fin 】



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   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / クラス】

【w3c964maoh / チリュウ・ミカ / 女 / 33歳 / 残酷の黒】

【w3i013maoh / 藤宮・深雪 / 女 / 26歳 / 激情の紅】

【w3c964ouma / クリスクリス / 女 / 15歳 / ウインターフォーク】

【w3i013ouma / 鳴神 / 男 / 35歳 / シャンブロウ】


【NPC / 神保透】

【NPC / 静流】


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         ライター通信          
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新年あけましておめでとうございます。ライターのはるです。
あけましておめでとうノベル・2006今回はペンションでの新年会ということで当方NPCを交えて楽しく書かせていただきました。
バトルカルタの罰ゲーム役は半分決定だったようですが(苦笑)
皆様に少しでも楽しんでいただければ幸いです。

何か、イメージと違うというようなことがありましたら遠慮なくお申し付けくださいませ。

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神魔創世記 アクスディアEXceed
2006年01月10日

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