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『クリスマスビンゴゲーム大会 』
シオン・レ・ハイ3356

 あなたの手元には何か数字がランダムに書かれているカードがある。ビンゴゲームのカードだ。
 説明書によると、ビンゴゲームに入賞した人物には何かクリスマスプレゼントとして願いが叶うという仕組みらしい。
 とはいっても、会場が気になる。
 
 場所:|Д゚)の住処
 入賞者3位まで:願いが叶います。ただし突拍子のないモノは多分ムリ
 おやつなど持ち込み可能と言うか大歓迎

 と、書かれているだけ。コレ(顔文字)で分かるのは一部の人だけじゃないのか、と突っ込みたくなる。しかし、この顔文字でピンと来るというのは結構多い気もするのか気のせいだろうか?
 問題はこれだけで願いがかなうって言うのは……何かあるのか? 


〈集合〉
 かわうそ?の住処。
「これは? うーん」
 シュライン・エマが目をこする。道を間違えたのか? いやいや、この住処自体道など無い。
「え? おい。ここって?」
 黒澄龍も入ってきたら目を疑った。
 シオン・レ・ハイはどうしたんでしょうとサンタ姿で首を傾げるばかり。当然草間武彦も草間零も目を丸くしている。

|Д゚) いらはいませー
 ナマモノが出迎えてくれた。

 住処はパッと見、あの草間興信所の雰囲気なのだ。実際よく目をこらせば、ポスターとかが俗っぽくないし、灰皿らしきモノもない。ソファーや机などはかなり高価であり、落ち着きそうだ。台所は事務所のモノより数倍ランクが高く、かわうそ?の背丈を考慮したシステムキッチンだ。そのほかも何となくオシャレで高級っぽい。それに、草間の事務所の数倍は広い。
 読んだ張本人は自分の席で短い足を机に上げて定位置につく。
「お前の住処ってこんなのか? つーかなんか良い暮らししてるな」
 龍が訊く。
|Д゚) 今日、こんな感じ
「ふーん」
 期待外れな気分の龍。恐ろしく謎のようなワンダーランドを想像していたようだ。
「かわうそ?さん 軽く作って持ってきたわ」
|Д゚*)
 シュラインはランチバスケットに沢山の食べ物などを入れてきたのだ。サンドウィッチ、カナッペとクッキーやマカロン等々。
「はい、私はバイト先のケーキを」
 シオンが持ってきたのはバイト先で売れ残ったケーキを持ってきている。
「おっと、熱いときに食べた方がいいかもな。焼き芋だ」
|Д゚) おおきがきくぅ!
|Д゚) ありがとう
|Д゚;) シオン、なんかケーキ、怖いオーラ、出てる。ケーキ・・
「自信作です!」
 威張るシオンさん。
 ――違うだろう。本当かも知れないが。

 と、ジュースで乾杯してナマモノが説明をする。
|Д゚) まあ、簡単なビンゴゲーム。
 と、自分の持ち場にはあのビンゴの数字が出てくる球体が置いてあった。仕掛けもなにもない様である。
|Д゚) 一番のり、願い事が叶う。OK?
「えっと、其れはどれぐらいの範囲でOKなのかしら? 」
 シュラインが尋ねる。
|Д゚) かわうそ?的に、ささやかっぽい。
|Д゚) どんな願い? おしえてみそ?
シュラインはかわうそに耳打ちする。
|Д゚*) ←嬉しそう
|Д゚)ノ 其れぐらいならOK 無問題
「え? いいの? 助かるわぁ」
 かわうそ?の頭を撫でるシュラインさん。ナマモノご機嫌。
 ――まあ、当たれば、だけど。
 草間兄妹の方もカードを貰っている様子で、飲み食いしながら、和気藹々と歓談している。

|Д゚) そろそろはじめるけど?
「は〜い」
 そして、ゴロゴロとビンゴクジ台が動かされた。

〈龍リーチ〉
 小麦色がビンゴの数を決める。良くオモチャなどで売っているアレを使ってだ。
|Д゚) 44
 彼が言ったとたん、一斉にカードを見て数字がないか調べる。
「あったわ チェックと……」
「くそぉ」
「まずはひとつですね♪」
 シュラインとシオンには数字があったらしい。
 31 37 77 53 89 ……と、回しては読み上げていくかわうそ?
 そこで一喜一憂する、参加者皆さん。しかし、20在、誰もリーチが出ない。まあ、此処で出た羅火なりの幸運の持ち主でもある。さらに、少人数でのビンゴゲームなので、そう早く上がる確率的に少ないだろう。宝くじに近いものだから。宝くじと違うと言えば、キャリーオーバーが無いと言う事、誰かがあがるまでクジ回しが行われるという事だろうか? かといって、大人数になると収拾がつかなくなるのだが。

「なかなかリーチ来ないわね」
 むむ、とシュラインさん。
「あーこの数字が此処にあればリーチだったのにぃ!」
 龍は悔しがる。
「この1cmのミニケーキ如何ですか?」
 炭素意味ながらもバイト先にて作った(と思われる)、謎のミニチュアケーキを勧めるシオン。
「箸がないと無理なのかよ!?」
 突っ込む龍。
 しかしこれは粘土細工ではないだろうかと言うほどの精密さである。
|Д゚) 流石、ナマモノ
「いや、お前もだろ」
 あまり数が当たらない草間。煙草を吹かす。

 そして、24回目……
|Д゚) 65
「やったー リーチだ!」
 龍がリーチ。
「むむ! これは行けません!」
 シオンが謎の踊りをしながら抵抗している模様。
 踊っても意味はないのだがまあ良いか。

 31回目の数字でも龍が別の列でリーチをしていた。これはなかなか運が良さそうだ。
「あたしもまだまだ希望はあるでしょうね」
 シュラインは草間にお酒をついであげた。
 草間兄妹はまず希望が薄いらしい。


〈シュラインリーチ〉
 そして、次に32回目
|Д゚) 55
「あ、リーチだわ♪」
 シュラインさんリーチです。
「シュライン頼むぞ!」
「分からないわよ」
 草間が応援する。もう草間は食事や酒の方に目がいっているようだ。もう諦めたらしい。
 ビンゴゲームの恐ろしいところは、リーチを早く作っても狙いの数字が出てこなく、あまり当たっていない人が先にあがるという現象もあるのだから、諦めるには未だ早いのだ。しかし草間はもうする気がないらしい。
「まったくもう、兄さんは」
 零はこういう遊びをよく知らないのだが、それなりに楽しんでいるようだ。

〈一寸休憩、シオンさんのロシアンケーキ〉
 少し発表数字を確認してチェックする時間に……、
|Д゚) シオンの差し入れのロシアンケーキ でゲーム
 ナマモノはとんでもない事を口にした。
「え!?」
 イヤな顔するビンゴゲーム参加者。
|Д゚) かわうそ? 参加するし OK?
「ま、まあいいけどさ」
 龍は困惑気味だ。誰だって困惑する。
「美味しいですよ?」
 シオンさんにっこりと笑う。
 これはどうあがいても運任せだ。ナマモノの方も自分の御都合能力をカットするみたいだ。当たった人のために水3リットルは置いている。後バケツも。
 6人いるため、6コランダムに置いて決着するという。
「シオンさん、中身分かるの?」
「1つだけ、激辛か激甘が入っていたと思いますよぉ。ハバネロとこれでもかと言うぐらいの甘味料の」
「うわ」
「そんなもん売っている店なんて知らん。あっても知りたくない」
 龍と草間は同時に叫ぶ。
 一斉に6つのケーキを取って食べる参加者
 そして、結果は……
「か、からいぃ! ま、まずいい!」
 運が悪いのは草間武彦だった。
 舌が麻痺している様子で、これ以上喋られないようだ。



〈あがった人は?〉
 そして、ビンゴ大会は続く。
 なんと、40回目にしてシオンがダブルリーチをしている。
「やったです。もしあがればアトラスで表紙もらえるとの希望したいです♪」
 意気揚々のシオンさん。先ほどの巻き返しができるのか?

 シュラインも龍もシオンもリーチ状態。これからが接戦だ。
 ひとつの数字で決まるのだから。

 しかし、今回はあっけなく終わりそうな予感がする。と、ナマモノは思っている。
|Д゚) んじゃーいくよ
 ガラガラ
 全ての数字が無くなるまでリーチのままだと思ったが
 41回目 88

「やったー! あがったぜ!」
 ガッツポーズする龍。
 願い事が叶うというこのビンゴゲームを制したのは黒澄龍であった。

〈龍の願い事〉
|Д゚) 龍、願い事を言え
「そうだな、弟妹達の幸せ!」
|Д゚) ふみ。弟妹思いだな。OK
「いつも市販のケーキとか買えなくってな。攻めてクリスマスケーキや」
|Д゚;) まて、それは孤児院として何か破綻している!
 かなり焦っている小麦色。
「え?」
|Д゚) 福祉法人、都道府県関係の福祉でそこまで落ちぶれて居らん。
|Д゚) 15〜20年ぐらい前の某府管轄の養護施設は結構裕福だった
|Д゚) 一部クーラーもあったし
「うそ!」
 驚愕する孤児院在住者・龍。
|Д゚) まぁ、そこは某府自体が借金てんこ盛り為、破綻して更地になったが
「かわんねぇじゃん……俺より酷いんじゃない?
|Д゚) 区役所などに言って、改善体勢をとれ、法人ならそっちに何か手段があるはず
|Д゚) まあ、そこまで不快事情、知らないけど
 かなり福祉の事を語るナマモノ。何かスイッチが入ったのか?
「あ、そんな事言われても俺は良くわからねぇし……」
 悲しいかな龍は其処に住んでいるだけで、どうこうできるわけではない。精々、管理者が何か動くしか道はないと言うものだろう。あとは、もう少し安定した場所に移るかとか……。
|Д゚) 其れもそうだった。それ、管理者の仕事
|Д゚;) マジメな事を言ってしまった
|Д゚) ささやかな幸福ぐらいは可能なり
「さんきゅ」

|Д゚) まあ、取り敢えずシオンの持ってきた唐辛子ケーキでも
「いるかー!」
 怒る龍
「え、楽しいケーキですよ?」
「食えたものじゃないだろう!」
 と、ナマモノ2匹vs弄られキャラになりつつある龍。

 其れを、微笑みながらシュラインはお茶などを淹れて
「まだまだ、宴会は続くのでしょ? 思いっきり楽しみましょう」
 と、言うのであった。

 こうして、ナマモノの住処でのビンゴゲームは……時を忘れて過ぎていくのである。

 暫くしての事だが……。
 龍が住む孤児院の弟妹は、色々幸せに恵まれているそうだ。些細な幸せでは無くしたモノが戻ってきたとか、孤児院が少しだけ暮らしやすくなったとかだ。そのうち数人はとても人の良い里親に引き取られる等々と……。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【0086 シュライン・エマ 26 女 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【1535 黒澄・龍 14 男 中学生/シマのリーダー】
【3356 シオン・レ・ハイ 42 男 びんぼーにん(食住)+α】

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■         ライター通信          ■
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滝照直樹です
クリスマスビンゴゲーム大会に参加して頂きありがとうございます。
実際はパーセンテージダイスを振って、チェックしての作業でした。そしてビンゴゲームをやっている最中の一喜一憂を表現できればと書いていきました。
今回途中でロシアンルーレットケーキが出ましたが、本文通りシオン様が持ってきて下さいました。面白いネタありがとうございます。
今回のビンゴゲームの勝者である黒澄龍様おめでとうございます。自分の願いではなく人の願いと言うところは良いものだと思いました。


では又機会が有れば
滝照直樹拝
20051124著
クリスマス・聖なる夜の物語2005 -
滝照直樹 クリエイターズルームへ
東京怪談
2005年11月24日

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