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『色とりどりの確認方法 〜白銀の姫〜 』
モーリス・ラジアル2318)&弓槻・蒲公英(1992)


 呪われたゲーム、白銀の姫。
 不可思議なきっかけの数々から異界化してしまった場所で起こる数々の事件。
 これは、その中の都市の一つであるジャンゴとその周辺で起こった、些細な出来事の一つ。


 現在モーリスがいるのは、白銀の姫というゲームの中だ。
 一言に呪われていると言うが、そのからくりは解る人にはとても簡単な事。
 最近東京で起こっている異界化という現象により、多数発生している怪奇現象の結果も作り出された世界の一つである。
 このゲーム内で解った事は多々あるが、大きな特徴を挙げるのであれば能力の一部がアイテムとして現れたり、多少の変化があるという事だ。
 見渡して見えるのは、いかにもゲームな町並みやそこに馴染んでしまっている人達。
 それからモーリスの見知った顔ぶれがちらほらと。
 得てしてその人達……特殊な能力を用いる人に限っては、現実世界の記憶を持ち併せている人が多かった。
 そのあたりはこの世界に関わる法則に関係しているのだろうが、今の所は女神達の言い方に併せて、一言でまとめてしまって構いははしないだろう。
 勇者、なのだからと。
「おや……」
 何かしら面白いを探していたモーリスが目に止めたのは、現実やその他の場所でとてもよく知った相手。
 つまりは蒲公英という少女だった。
「……あれは」
 だが声をかけるよりも前に、まず思案する。
 少し先にいる少女の特徴を幾つか羅列し始めた。
 背丈ほどに伸ばしている真っ黒で艶のある長い髪。
 赤い瞳に幼い顔立ち。
 当然だ。
 彼女……蒲公英はまだ7歳なのだから。
 確かにどれもモーリスが知っている一致するが……違う所も幾つか。
 モーリスの知っている蒲公英は、おとなしくて引っ込み思案な面が多く見えるような子だったのにもかかわらず、今は真逆だといってもいい。
 大きくスリットの入った服は、歩く度に危うい所まで足が見えている。
 物怖じせずに歩く姿や、今身にまとっている雰囲気。
 そのどれもが、どう考えても普段とはかけ離れているのだから。
 そこまで考えてから、考えているより直接確かめた方が早いと結論づけた。
「奇遇ですね、こんなところで」
 蒲公英に向かって軽く手を降りながら、普段と変わらぬ口調で声をかける。
「……そうですね」
 微笑み返すその表情は、年齢相応の幼さのではあったが、同時に見とれる程の妖艶さも含まれていた。
 だが、そこはやはりモーリスがモーリスたる由縁だ。
 目敏く気づいたのは、蒲公英の身につけている腕輪から発せられる特異な気配。
 それこそが今の蒲公英の雰囲気を作り出している原因なのだろうが……。
 赤い瞳を見つめながら、当然のようにデートの約束を取り付け始める。
 せっかくの状況だ。
 すぐさまどうにかするより、楽しみながらどうなるかを見極めながら対処すれば大丈夫だろう。
「せっかくお会いしたんです、ご一緒しませんか」
「はい、どうぞ。でも……どこに?」
 小首をかしげる蒲公英は、いつもながら良い反応だ。
「ここから少し離れた場所ですが、良いところがあるんですよ」
「楽しみです、どんな所ですか?」
 エスコートするように差しだした手に、小さな手が乗せられる。
「付いてからの楽しみにとっておいてください」
「はい、楽しみです」
 せっかくなのだ、目的地までは馬車を借りて移動してのんびり向かう事にしよう。
 馬車に揺られながらの道中。
 軽くきく上下に揺れ始め、このままでは痛いだろうと蒲公英を膝の上と招く。
「こっちへ」
「ありがとうございます」
「この方が痛くありませんから」
 すっぽりと収まってしまう体を、落とさないようにと気をつけつつ。
 二人はやはり変わらぬ速度で目的地へと向かった。



 着いたのは町から離れた位置にある花畑。
 ここまでくれば、馬車から降りなくとも香りや景色でどこにきたか直ぐに解る。
「さあ、どうぞ」
「はい」
 差しだした手を取ろうとした蒲公英を抱きかかえ、人気のない場所を探して歩く。
 幸いにも都合の良さそうな場所は直ぐに見つかる。
 大きな木の下に出来る木陰なら、人目を気にせずゆっくり出来そうだった。
「このあたりで良さそうですね」
「………はい、ステキです」
 微笑む蒲公英をそっと降ろし、ゆっくりと会話を楽しむかのような口調で問いかける。
「最近、本当にいろいろな場所でお会いしますね」
「はい、いつもビックリしてます」
 夢の世界や、現実世界、そして……ここでもと言う事だ。
「これも何かの縁ですよ」
「そうだと……うれしいです」
 指先に小さくキスを落とし、普段であればここで真っ赤になっている頃だと思いながら
……手の甲から華奢な腕を撫で、逆の手で腕輪に触れるか触れないかの距離をとりつつ甘い声で囁きかける。
「きれいな腕輪ですね、繊細な模様がお似合いですよ」
「そうですか?」
「はい、どこで手に入れたんですか?」
 赤い瞳をのぞき込むように囁きかける。
「これは……知りたい、ですか?」
 わずかに口ごもったのは答えたくなかったからか、もしくは答えられないのか?
 おそらくは、後者だろう。
「はい、珍しい物だと思って」
 黒い腕輪から発せられる気配は、どう考えても普通ではなく。むしろ逆に負のオーラを放っているのだ。
 いや、これは……閉じこめられた物が外に出ようとしていると言うべきだろうか?
 蒲公英の体にまとわりつくような気配は、全身に広がっている。
「ここに来た時から、つけていたんです」
「なるほど……」
 つまりは、これが蒲公英のコンバートアイテムと言うことか。
「モーリスさん」
 そろりと頬にのばされる、ほっそりとした指先。
「どうかしましたか?」
「モーリスさんの服も……とても、すてきです」
 頬から肩へと撫で下ろされる緩慢な手の動きは、見取れてしまいそうなほど。
「ありがとうございます」
 声をかけて本当に良かった。
 想像していたよりも、もっとずっと楽しめそうだという予感に、自然と笑みがこぼれる。
「お上手ですね」
「なにがです、か?」
「なんだと思います?」
 華奢で軽い体の肩を抱き寄せ、静かに押し倒し、けれど決して体重はかけないように気を付けながら頬へとキスを一つ。
「蒲公英嬢の服も普段とは違って、魅力的ですよ」
 ゴシックロリータのようなノースリーブのワンピースはサイドが両脇が紐で止められている作りになっていて、肌が見える事と大きく入ったスリットによってとても露出度が高い。
「こういう服は……嫌いですか?」
「いいえ、とてもよく似合っています。ですが……こうすればもっと」
 軽く立たせた足を下から上へとなで上げながら、ゆっくりと蒲公英の体に変化をもたらしていく。
 小さな女の子の体から、少しずつ年を重ねて成長していくように。
 ゆっくりと、ゆっくりと……。
 育っていく姿すらも楽しみながら、時間をかけて先へと進めればいい。



 会話やらを楽しんだ後、かなりの時間がたっていたことをふと思い出した。
 ゲーム内は時間の経過がわかりにくい。
 だが、かなりの時間が経過したことだけは確かだった。
「……蒲公英嬢」
 長い髪を一房すくい取り口づけながら、蒲公英にだけ聞こえるように囁きかける。
「んっ……」
「そろそろ戻りましょうか?」
 うっすらと開かれる瞳は、直ぐにうとうとと閉じられてしまった。
「だいぶ疲れているようですね」
 眠ったままの蒲公英を抱え上げ、歩き出す頃には普段通り、年相応の見た目に戻してある。
 成長した姿でも重い訳ではないのだが、戻しておいた方が起きた時に違和感が少なくていいだろう。
「ここでは、あまり驚かないかもしれませんけれどね」
 小さく笑いながら、もと来た道をゆっくりと辿って行った。



 再びジャンゴ。
 目を覚ました蒲公英を側にあった椅子に座らせる。
「今日はご一緒できて楽しかったですよ」
「わたくしもです」
「それでは、またいずれ」
 次のデートの約束を取り付けるが、それははっきりとではない。
 縁があれば、また近いうちにあえるだろうから。
 はっきりとした約束をと無くとも、こうして幾度も出会えているのだ。
「忘れられないうちに会えるといいね」
「ちゃんと、覚えてます」
 口元に手を当て、小さく笑う。
「……そうですね」
 次に現実であったときに、今を覚えていたらどんな反応をするのかも楽しみだ。
 彼女とは、会う度に楽しみが増えてくる。
 一足先に現実世界へと戻っていく蒲公英の姿を見つめつつ、小さく、誰にともなく呟いた。
「次にあったら、何をしましょうか?」
 続きは、またいずれ。



PCシチュエーションノベル(ツイン) -
九十九 一 クリエイターズルームへ
東京怪談
2005年06月14日

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