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『DEAR MY LOVELY DOLL!-REVENGE- 』
ルイセ・メイフィート3770)&ファルス・ティレイラ(3733)
「ティレ、明日だが仕事が終わったら、私と少々付き合ってはくれないか?」
美しい月夜の晩、ファルス・ティレイラの元にやってきたルイセ・メイフィートはそう言った。
突然のお誘いへの喜びと、いつもより温厚な笑顔と声のトーンに、ティレイラは何の疑いもなく首を縦に振った。
「よかったぁ〜、ルイセってばひょっとして、まだこの前のこと怒ってるんじゃないかなってちょっと心配してたんだぁ。」

"この前のこと"
そう、ティレイラがルイセを騙して人形に変えて仕舞ったことだ。
それはもう酷く御立腹で、随分長い間ルイセはこの事でヘソをまげていたのだ。

「ふ……、そんなことあるわけないだろう。」
ホッと胸をなで下ろし、笑顔を見せるティレイラ。
「だよねだよねっ!私たち友達だしねっ?!」
何も答えなかったが、ルイセは優しく微笑んで見せた。
夕方にもう一度会う約束をして、足取り軽くティレイラは仕事に向かった。
背を向けたルイセが、クスリと低く笑ったことも知らずに――。



「お待たせルイセ!」
仕事を終えたティレイラが自分部屋に帰ってくると、そこにはすでにルイセが到着していた。
「邪魔して居るぞ。」
「えへへ、待っててね、お茶入れるから〜。」

ティレイラがお茶を運んでくると、ルイセの腕の中にはいつもいるはずの人形りゅーなではない何かがあった。
「わ、なにそれ〜?」
にこりと笑うと、ルイセは其れを手に乗せて見せた。
手の平よりも幾分大きい、きらきらと青く輝く菱形の宝石のような物。
それに顔を近づけて、じっと見ているティレイラの赤いはずの瞳が、宝石を映しこんで青く見えた。

「綺麗だろう?」
「うん、まるで吸い込まれちゃいそう〜。」
「ふふ……では、吸い込まれてみればいい。」
「…え?」

先ほどまでとは一変した、明らかに邪悪な微笑み。
背筋に悪寒が走った。
ルイセはティレイラに宝石を、ずいっと突きつけにじり寄る。
「じょ、冗談だよね!だって昨日、もう怒ってないって!!」
「なんのことかな、私は怒っていないとは一言も言っていないはずだが?」
「え、え、ええええええええ!!!」

こんなに高らかと笑う彼女を、ティレイラはかつて一度も見たことがない。
「ずっとこの日を待っていた。」
「待って、待ってよルイセお願い〜〜!」
「問答無用!!」

美しい月をバックに、容赦のない一喝。
ぐん、と身体が宝石へ引き寄せられる。
「いや〜〜〜〜〜!!!」

絶叫虚しく、ティレイラは青い宝石の中に吸い込まれてしまった。
満足そうに笑い、宝石を撫でるルイセ。
けれど彼女の復讐劇は、こんなものでは終わらなかったのだ――。



ルイセが訪れたのは一件の店。
「おや、お客かい。いらっしゃい。」
チャイナドレスと赤い髪が目を引く女店主の名前は蓮。
このアンティークショップ・レンには曰く付きの物ばかりが並べられていた。

「少々珍しい物を持ってきたのが、見て貰えるか?」
上機嫌のルイセが取り出したのは――。
「へぇ、こりゃ……確かに珍しいねぇ。」

青が映える美しい台座に乗せられた、あの宝石。
中に未だ閉じこめられているティレイラは、状況が飲み込めずにいた。

が、次のルイセの驚愕の一言で、一気に血の気が引いた。

「これ、いくらで売れるか?」


『ちょ、ちょ、ちょっとウソでしょルイセ〜〜〜〜!!!』


普通の人間には、閉じこめられているティレが見えることはない。
しかし蓮はプロだ、気付いていないはずはない。
ところがただいたずらっぽい笑みを浮かべ、宝石を興味深そうに覗き込んでいる。
「そうだねぇ、これでどうだい?」

パチン パチン
キセルの煙をくゆらせながら、蓮は装飾の施されたアンティークの算盤をはじき、わざとなのか宝石の中にいるティレイラの視界にも入るように見せた。

それは目の飛び出るような金額――。
これを見て少しも心が揺らがないものなど、居ないのではないだろうか。

あまりに予想外の値、流石のルイセも目を見開いたまま、一瞬固まってしまった。
「……ふむ。」
ティレイラの視線がルイセ、蓮とぶつかる。
『まさか……まさか本気で売るつもりなのおっっ?!』
二人がにやりと笑った。
『もう二度としない、しないから……いやあああ〜〜〜〜!!!』
目の前がぐるぐると回り、ティレイラの意識が遠くなっていく。
ルイセと蓮の笑い声が、聞こえる気がした――。







「これに懲りたら、二度とあんな馬鹿な考えは起こさないことだな、ティレ?」
「はい〜、ごめんなさいごめんなさい〜〜〜!」

やっとのことで宝石から出しては貰えたが、少しの好奇心が3倍で返ってくることを身体で知ったティレイラは、もうルイセで遊ぶまいと心に決めたのであった。


その後、ティレイラに書かせた誓約書を見るたび、ルイセは満足そうに微笑んでいた。
しかし一方、青い宝石をプレゼントされたティレイラは、見るたびあの時の恐怖を思いだしては震えているらしい……。



FIN


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■         ライター通信          ■
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こんにちは、今回担当させていただきましたライターの光無月獅威です。
前回のノベルの続編ということで2度目の発注有り難う御座いました。
楽しんで頂けましたら幸いです。

今回お届けするアイテムは

ティレイラさん:復讐の記念に(笑)【復讐の青石】
ルイセさん:念には念を?【誓約書】

になります。今回のノベルの想い出にどうぞお受け取り下さいませ。
それでは、この度は発注、本当に有り難う御座いました!
PCシチュエーションノベル(ツイン) -
光無月獅威 クリエイターズルームへ
東京怪談
2005年04月07日

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