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『湯煙にうかぶ追憶 』
レピア・浮桜1926


「ここのお風呂は最高ね。広いし綺麗だし、それに……」
「それに?」
 サアァァー……と水の流れる音が心地よく響く大浴場に美女が二人。湯の中で手足を伸ばし、穏やかな一時を過ごしていた。
 美女の一人は蒼のような紫のような深い色合いが綺麗な髪の、魅惑的でどこか神秘的な雰囲気を持っている女性。
 もう一人の美女は穏やかな春の陽を思わせるような透き通った金髪を持ち、物腰の柔らかそうな、もう一人の美女とはまた違う神秘的な雰囲気を湛えた女性。
 青紫の髪の女性、レピアは大理石の浴槽に静かに腰をかけてにこりと笑った。
「エルファリアと一緒に入れるんだもの。これ以上のお風呂はないわ」
 レピアの言葉にエルファリアはふわりと微笑んだ。
「ふふふ、わたしもレピアと一緒に入れて嬉しいわ。この浴場は一人で入るには広すぎるもの」
 この大浴場は王族であるエルファリアのために作られたものだ。壁と床は純白の大理石が使用され、ところどころに目を楽しませる緑の植物が置かれ、夜でも快適に入ることができるように仄かな灯りを持ったランプが灯され……天井には入浴をしながら星を見ることができるように天窓がある。
「そうね、一人で入るには広すぎるわね。でも王族の浴場はこれが普通の広さよ。各地を転々としていたときに何度か入ったことがあるんだけどね」
「まあ、そうなの?」
 レピアの発言にエルファリアは目を丸くした。この浴場はかなりの広さがあるのにこれで普通の広さだなんて……と。
 そんなエルファリアの反応にレピアはくすりと笑みをうかべた。
「ええ。あたしが入ったことのある浴場で一番大きい浴場は……あの浴場かな」
「あの浴場?」
 きょとんとした表情をうかべ、レピアを見上げるエルファリアの姿に、レピアは湯の中で足を前後に動かしながら話し出した。
「あたしね、お風呂の中で石化から目覚めたことがあるの」


 今から時を遡ること数百年前……レピアはある小国に来ていた。
「なんだか賑やかね。お祭でもあるのかしら?」
 特にこの国に用事はなかったが……町中が楽しそうな様子なのを見て寄ってみることにした。
「露店がいっぱいね。あそこのお店覗いてみようかな?」
 町の通路にところ狭しと立ち並んだ露店を見て、レピアは興味津々といった表情をうかべると通りを歩き出した。
「いらっしゃいいらっしゃい!今日は第一王女の誕生を祝してお値段勉強するよー!お買い得だよー!」
「よってらっしゃい見てらっしゃい!王女様の聖誕祭の今だけこの価格!お、そこのお姉さんおまけするよ!」
 通りを行き交う人々、その人々に向かって元気良く飛び交う商人たちの声……レピアはそんな様子を見ながら、この騒ぎの理由を知って納得した。
「第一王女の聖誕祭が開かれてるのね。それならこのお祭騒ぎもわかるわ」
 そんなことを思いながらしばらく通りを進んで行くと、次第に陽気な音楽が聞こえ始めた。どうやらこの先にある広場で何か催されているようである。
「リズムのいい曲ね。なんだか踊りたくなっちゃうわ」
 聞こえてくる音楽に心を弾ませつつ広場へと足を向けたレピアは、観客の間から催し物を覗いて笑顔をうかべた。
 人々の間からレピアが見たもの、それは……陽気な音楽に合わせて踊る町の人々の姿であった。綺麗な衣装を着て踊っている女性たちが観客の手を取り、自分たちと同様に躍らせていく。しかし、観客自らが出て行って踊っている光景もみられるということは……どうやらこの催しは自由参加らしい。
 リズムのいい曲、踊る、自由参加。と三拍子そろっていてレピアが黙っていられるはずもなく……。
「ごめんなさい、通してもらってもいいかしら?あたしも踊りたくって」
 観客の壁が一番薄くなっているところに立っていた女性に、道を開けてもらえないかと尋ねてみた。すると、女性はにこりと笑んで振り返った。
「ああ、いいよ。祭りはみんなで楽しむもの……!?」
 だが、彼女の申し出に笑顔で応じた女性は……レピアの顔を見た途端、言いかけた言葉を途中で飲み込むと目をまるくした。
「あ、あんた……いやあなたはもしかして女王様では……!?」
「え!?」
 しばらく口をぱくぱくさせながらレピアを見ていた女性であったが……やっとのことでそれだけ言うと笑顔をうかべた。
「出産直後のお身体でお忍びができるぐらい元気でいらっしゃるなんて。あ、さっき城の兵士たちが右往左往していたのは女王様がいなくなったからだったのですね」
「え、あの……!」
 なぜだかレピアが状況を把握できないうちに女性の中で話が進んでしまったらしい。レピアのことを女王様と認識し、兵士たちが忙しそうにしていたのもこのためね、と一人合点をすると。
「いくらお元気とはいえ後でお身体に響きます。今日は城に帰られたほうがよろしいですよ」
 そう言うが早く、近くを歩いていた兵士のところへレピアを連れて行くと丁寧にお辞儀をしてどこかへ行ってしまった。
 女性に連れてこられたレピアを見て、始めは兵士もびっくりしていたが……その兵士も女王がこっそり外出したのだと思ったらしい、では帰りましょうとレピアの手をひくと城へと歩き出した。
 ちなみにレピアは兵士に人違いだと言ってみたものの、兵士はそんなご冗談を、と言ってとりあわず。仕方が無く、連れられるままに城へと向かって歩き出した。

「女王様、一体どちらへお出かけになっていたのですか?」
 兵士に連れられて城門をくぐり、城の一室へと通されたレピアは、おそらく城の大臣であろう男性に出迎えられていた。
「何事も無かったから良いものの……ああ、下がって良い。ご苦労だった」
 男性は兵士が部屋から出るのを見ると、レピアを見て唸り声をあげ、ぼそりと呟いた。
「……本当にそっくりですね……」
 そんな男性の言葉にレピアはこの人は自分が女王ではないことがわかっていると悟ると、さっきまで問いたくても問えなかったことを口にした。
「あたしとその女王様っていうのはそんなに似てるの?」
 すると、男性は静かにレピアの顔をもう一度見て、その発言にうなずいた。
「似ているといいますか……女王様その人のようです」
 男性の話にレピアは自分と同じ顔を持っているという女王に興味を持ったようだ。そうなんだと感嘆の表情をうかべると男性へと問いかける。
「そこまで似てるなら一度会ってみたいわね。女王様に会うことってできるのかしら?」
「女王様と、ですか……?」
「ええ。いるんでしょう?」
 レピアの問いに男性はしばし沈黙をしていたが……一息つくと口を開いた。
「女王様は……昨夜、お亡くなりになりました」
「え……?」
 意外な発言にレピアは小さく言葉を漏らし、驚いたままの表情で男性を見た。
「昨夜亡くなったってどうして……?」
「……女王様は昨日、無事王女様をお産みになられました。母子ともにお元気でいらっしゃいましたので医師のほうも安心していました。しかしその後容態が一変し、そのまま……。もともとお身体の弱い方でしたが……」
 レピアの視線を受けながら男性は話を続けた。
「女王様がお亡くなりになられたことはまだ、ほんの数人しか知っている者はいません。第一王女誕生に国が沸いている今、そのことを国民に報告することが良いこととは思えないのです」
「……」
 男性はそこまで話すと沈黙しているレピアに紅茶はお好きですか?と尋ね、外に控えている従者にそれを告げると、席についた。
「そこでご相談なのですが……」
 それほど経たないうちに紅茶二人分が目の前に置かれると、男性は話を切り出した。
「しばらく……いえ、少しの間で良いのです。女王様の代わりを務めてはくれないでしょうか?」
「あたしが女王様の代わりを?」
「はい。あなたは女王様と本当によく似ています。今日ここでお会いしたのも何か縁があってのこと、そう思って引き受けてはくれないでしょうか?」
 突然の申し出にレピアは紅茶のカップを口に近づけかけて手を止めた。そして男性の目を真っ直ぐに見ると口を開いた。
「あたしは踊ることが好きなの。自由にいろんな場所で踊りたいのよ。だから女王様の代わりを務めることはできないし、束縛されるのは嫌だわ」
 レピアの返答に、男性はそうですか…と深い溜息をつくと、苦笑いをうかべた。
「では折角ですし、ここでおくつろぎください。旅の疲れを癒されるといいでしょう」
 そう言うと、男性はレピアに一礼をして部屋を出て行った。
 レピアは男性の姿が扉の向こうに消えると、大きな溜息をついてから紅茶を口にした。
「この国の紅茶は苦味があるのね。渋みかしら?それとも……」
 紅茶を何口か飲んでみたレピアは、今までに飲んだことの無い紅茶の味に首を捻っていたが……そのときである。
「なん…だ…かね…む…く……」
突然の睡魔に襲われ、レピアが意識を手放したのは。
 紅茶のカップを持ったままレピアの身体がゆらりと傾ぐと、そのまま床に倒れこんでしまった。
「……どうやら紅茶を飲んでもらえたようですね」
 しばらくして。部屋の扉が静かに開かれた。そこにいたのは先ほどの男性を含めた数人の男性の姿があった。
 先ほどの男性はレピアに近づくと、倒れこんだ身体を椅子に座りなおさせながら言った。
「今、女王の訃報を隣国に知られるわけにはいきません。あなたにはかわいそうなことをしてしまいますが……この国を守るために少しの間協力してもらいます」
 椅子にレピアを座りなおさせた男性は、後ろに控えていた男性たちを振り返ってから言った。
「魔法でこの人の記憶に女王の記憶を。記憶は消さなくていい、ただ上書きをすれば」

「王様、この者が女王の代わりを務めてくれることになりました」
「おお、そうか。ほお……東洋の言葉に瓜二つという言葉があるが……まさにその通りだな」
 その日の夕刻。女官に身なりを整えられたレピアは男性に連れられて王様と対面をしていた。
「この者の髪は蒼なのだな……」
「やはり頭部を隠すものが必要でしょうか?」
「そうだな……王妃の髪は茶色であったし、色が異なっては偽物だと言っているようなものだからな」
 王は玉座から立ち上がりレピアの髪をそっと一撫ですると、一瞬悲しげな表情をしたが……次の瞬間には笑顔をうかべていた。
「では晩餐にしよう。この者もここに慣れずに気疲れするだろうしな。早めに休ませたい」
「はい」
 王の言葉に男性は返答して一礼すると、レピアを連れて部屋を出た。
「では皆のものも移動を。くれぐれもあの者の正体は内密に」
「御意」
 先ほどの男性と同じく、控えていた他の男性たちも王に返答をし一礼をすると部屋を出て行った。だが……部屋には一人。兵士が残っていた。
 王は部屋にその兵士以外がいないことを確かめると、兵士に近づき小声で話しかけた。
「隣国の動向はどうなっている?」
「現在隣国の動向、及び状況は……」
 兵士の報告を聞き難しい表情をうかべた王はしばし沈黙をすると……わかった、とだけ告げ部屋を出た。

「疲れたのか?」
「いいえ、そのようなことは。あなたこそ疲れた顔をしていらっしゃいますわ」
 晩餐を終えたその夜。テラスに立ち王女を抱いてあやしていたレピアは、王の方を振り向いて心配そうな表情をうかべた。
「今日は早めにお休みになられたほうがよろしいかと思います。明日もお早いのでしょう?」
 すっかり安心して眠ってしまった王女にレピアは微笑をうかべると、王女を揺り篭に寝かせてから王の隣へと座った。
 自分の隣に座ったレピアを見て、王はふっと表情を緩めた。
「本当にそっくりだな……その行動、言動、そしてその表情までも……」
 王がそっとレピアの頬に手をのばすと、レピアは王を静かに見上げ、その手に自分の手を重ねた。
「私は私です……。あなたのお傍にずっとおります。あなたの望むだけ……」
 レピアの言葉に王は幸せそうな、だがどこか悲しそうな表情をうかべると……ぼそりと呟いた。
「この幸せな時が続くと、信じて疑わなかったのだがな……」
「……?」
 小首を傾げたレピアに王はくすりと笑うと、そっと手を放して言った。
「今日はそなたの言葉通り早く休むとしよう。明日も……」
 だが。今日は休もう、そう王が言いかけたその時である、激しく扉を叩く音が聞こえたのは。
「どうした!?」
 傍に置いてあった剣を持ち、さっと立ち上がって扉を開けに行った王はそこに顔色を変えた兵士が立っているのを見て声をあげた。
 すると兵士は息を切らせながら事の次第を報告し始めた。
「り、隣国が……せ、せめて……きました……っ!!」
「何っ!?今、どこに!?」
「この……町、から三百メートル……ほどのところに……」
「なぜもっと早く気付かなかったのだ!?見張りの者は何をしていたのだ!?」
「見張りの者は、先ほど報告した通り、ここから数キロ離れたところに待機していた軍勢の動向を見張っていました。いえ……その動向しか捕らえることができなかったのです……」
「別働隊か……っ!」
 兵士の報告を忌々しげに聞いていた王は、兵士に素早く指示を出すとレピアの元へ走ってきた。
「よく聞いてくれ。隣国がこの国を乗っ取ろうと攻めてきた。もうわずかな距離しかないようだ……だから、王女を連れて避難通路へ。もしものことがあった場合には……そのときは……この国を頼んだぞ」
「!? あ、あなた、まさか……!?」
 王はそれだけ言うとレピアににこりと笑いかけ、ぎゅっと抱きしめると報告に来た兵士の一人と共に部屋を出ていってしまった。
「王妃様、避難通路はこちらになります。お急ぎください」
「……はい、わかりました」
 報告の兵士と一緒に来た兵士がレピアに声をかけると、レピアははっと我に返り……すぐに王女を布で丁寧にくるむと兵士について駆け出した。去り際に残された言葉、すまなかった……という王の声が頭の中で何度も繰り返されていたが。
「王妃様!こちらです!!」
 城の地下部分まで来たレピアは、床に隠された通路を示す兵士に頷き、慎重にその穴を下へと降りた。
 地下通路に降りるとそこは、松明の灯りで微かに照らされた広めの空間が広がっていた。レピアの他に城の女官たちが避難をして身を固めていた。
「王妃様、王女様もご無事で……!」
「兵士の迅速な対応でここまで来ることができました……あなたは……?」
「わたしは王女様の乳母を務めるように言われているものです」
 レピアの抱いている王女の寝顔を見て乳母はにこりと笑みをうかべた。
「では早くここから脱出をしましょう。この先に続く通路は城の外にある森へと続くものです。おそらく追っ手もかかりにくいと思います」
 こちらです、と乳母は女官たちの先頭に立って歩き出した。通路が薄暗くよく見えないために、王妃が王女を抱いたまま転倒してしまうのを防止するためであった。
 どれぐらい歩いたであろうか……?地下通路を黙々と進んで行くと、次第に夜に無く鳥の声が聞こえだした。
「もうすぐ外に出るよう……!?」
「? どうかしましたか……?」
 鳥の無く声を聞いて乳母はレピアに向かってにこやかにそう告げようとしたが……何かに気付き、言葉を途中で止めた。
 様子が変わった乳母の様子にレピアは乳母の耳元でこそりと尋ねた。一体何が起こったのか?と。
 だが、乳母が何故突然黙り込んでしまったのか……その理由が次の瞬間判明することとなった。
「どうだ?ここから出てきそうか?」
「あぁ。城の地下通路はここだけだと聞いている。他の城から入る地下通路の場所は先に入った仲間が占拠したって言ってたからな」
 耳を澄まさなければ聞こえなかっただろう。遠くで喋っている声がレピアと乳母の耳に届いた。
「この先に追っ手が……!?」
「……そのようですね」
 口元を手で抑えた乳母はその場にぺたんと座り込んでしまった。おそらく、まさかの事態を想定はしていたものの、本当に起こるとは思っていなかったのだろう。
「一体……わたしたちはどうしたら……」
「ここを抜けるための策なら……私に考えがあります」
「え……?」
 地面に座り込んでしまった乳母を含めた女官の数人がその言葉に一斉に顔をあげた。
「おそらく外にいる追っ手は私と王、王女を探し出すように言われているはずです。私が姿を現せば追っ手の目は私に向けられるはず。その間に王女を……娘を連れて逃げてください」
「……っ!?」
 レピアはそう言うと、抱いていた娘の顔をいとおしげにみつめた。
「ごめんなさいね……母としてこんなことしかしてあげられなくて……」
 そっと額をなでると、レピアは乳母へと王女を託して暗闇の中で微笑んだ。
「では私は行きます。皆様、どうかご無事で……」
 レピアが出口に向かって走っていくのを見てはっと我に返った乳母は……王妃様の行動を無駄にしないために、とすっと立ち上がると急いで歩き出した。
 レピアが出口に向かって駆け出して数十秒後……。出口付近にちらほらと松明の灯りが見えてきた。
 レピアには不思議と不安も怖さも無かった。その代わりにあったものは……愛する我が子を守る……その想い一つだけであった。


 ぱしゃん……とお湯が音を立てた。まるでその話の続きを示したかのように。
「その後どうなったの……?」
 隣で静かに話を聞いていたエルファリアであったが……突然レピアが黙り込んでしまったためにおそるおそる問いかけた。
 そんなエルファリアの様子にレピアはにこりと笑みをうかべた。
「その後は聞いた話、と言ってもあたしが記憶を上書きされていたときの話も聞いた話だったんだけどね」
 レピアはうーんと手を上に伸ばすと、天窓を見上げた。
「あの後地下通路を出てしばらくしたところで捕まって、石像に変えられたらしいわ。そして見せしめとして美術館に飾られたみたい」
「なんて酷いことを……」
 エルファリアは口元に手をあてて驚くと、悲しそうな表情をうかべた。
「でもその二十何年か後にあたしが逃がした王女が蜂起して国とあたしを取り戻してくれたんだって」
 悲しそうな表情をうかべているエルファリアにレピアはそんな表情しないで、と話を続けた。
「それでさっきのお風呂の話に繋がるの。王女が母を元に戻すのは二十数年分の汚れを清めてから、と言って石像のままお風呂に入れられて生身に戻って」
「お風呂の中で目覚めたのね」
「ええ、そういうことよ」
 レピアの話の続きを聞いてエルファリアは先ほどとは違い、嬉しそうな表情をうかべるとレピアへと笑いかけた。
「レピアの話を聞いていて、もしレピアが戻らなかったらどうしようと思ったのだけど……今ここにいるんですもの。戻らなかったという終わりは無いわね」
「ふふふ、エルファリアったら。元に戻ってからは王女に母というものは必要無くなっていたし、生身に戻ったときに記憶も戻ったからすぐにその国から出たわ」
 それからいろいろあってこの国に来たのよ、とレピアはくすりと笑みをうかべた。
「話が長すぎたかしら?エルファリアの頬が赤いわ」
「あら、本当?」
 湯船に浸かっていた時間が長かったためか、エルファリアの頬は赤く染まっている。
「のぼせないうちに上がりましょう?」
「そうするわね」
 レピアが先に浴槽からあがりエルファリアが浴槽からあがるのを手伝うと、大浴場の出入り口へと歩き出した。
 
PCシチュエーションノベル(シングル) -
月波龍 クリエイターズルームへ
聖獣界ソーン
2005年03月25日

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